2023年7月号
特集
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生産性のバラツキを可視化して平準化する
平均値にはほとんど意味がない
庫内作業の生産性を把握している現場の多くは、生産性の平均値を引き上げる努力をしている。
もちろん間違ってはいない。
しかし、生産性を平均値で見ているだけでは、見える化としては不十分だ。
それでは現場改善の手段を誤ってしまうこともある。
「正しい数値の捉え方」をすることによって、効果的な改善のアプローチを選択できる。
例えば図表1の「Aセンター」と「Bセンター」の生産性はいずれも平均値は100である。
ただし、Aセンターの生産性は最低値が60、最高値が150となっている。
一方のBセンターは最低値が80、最高値は120である。
Aセンターと比べてバラツキが抑えられている。
このうち「良いセンター」と言えるのはどちらかだろうか。
Aセンターでは生産性の最高値と最低値に大きな開きがあるということは、とても忙しい日と、とても暇な日があるということである。
勤務シフトによっては現場のメンバー間に不公平感が生まれている可能性がある。
生産性のバラツキが大きいと、作業品質も不安定になる。
忙しい日は、締切時間までに作業を完了させようと、本来守るべき手順を抜かしたり、確認が疎かになる。
つまりミスの起きる確率が上がる。
暇な日も、時間が余ると気の緩みが確認ミスを誘発する。
一方、最高値と最低値の差が小さいBセンターでは、作業員は日々同じペースで作業することができる。
決められた手順通りの作業なので、品質も安定する。
このように、生産性の平均値は同じでも、生産性のバラツキによって運営実態には大きな差がある。
当然ながら有効な改善のアプローチも違ってくる。
以下、本稿ではバラツキの大きなAセンター型の改善アプローチを詳述する。
なお、Bセンター型の現場は、人的運用の改善余地は小さいことから、工程を対象とした改善施策が有効になることを申し添えておく。
さて、庫内作業の効率は「人時生産性」で定量化(見える化)できる。
次の通り「作業物量÷作業時間」という計算式で、作業人員1人1時間当りの処理量を算出する。
例:1000ケース÷20人時=50ケース/人時 図表2は、横軸が作業物量、縦軸に人時生産性をとった作業量別生産性の分布図である。
この図にあるように、一般に作業物量が多いと生産性は高く、少ないと低くなる傾向がある。
これは、日々の物量には波動(繁閑差)があるの対して、投入人員は大なり小なり硬直的にならざるを得ない構造になっているからである。
日々同じように業務をしているにもかかわらず、生産性が安定しない現場では次のような「現象」が起きやすくなる。
・ 平均値と比較して生産性が高い日──ルールを守らない(守れない)。
確認漏れ・見間違い。
不満(損している気分)。
・ 平均値と比較して生産性が低い日──注意力散漫(緊張感の欠如)。
作業してるフリ(ムダ行動)。
不安(人員整理の可能性)。
生産性が平準化されていない現場で、忙しい日に、作業員が手順を守らずにミスが起きるのは想定内の「現象」である。
ミスを招いた原因は「作業者が手順を守らないこと」ではなく「手順を守れないような状況を作った管理者側のマネジメント」にあることを肝に銘じなければならない。
「波動指数」で波動の大きさを測る 人時生産性は、処理する物量と投入した人時から計算するが、このうち物量は物流現場側ではコントロールできないため、生産性の平準化は「投入人時」のコントロールによって実現することになる。
まずは、どの程度の調整が必要なのか、現場の波動の大きさを把握することが大事だ。
波動の大きさは「波動指数」で算定する。
算出式は「当該作業日物量÷平均作業日物量」である。
例えば、1日平均100件の出荷を行っている現場で、ある月曜日の出荷が80件であれば波動指数は0・8、火曜日の出荷が130件であれば、波動指数は1・3ということになる。
筆者の経験則では、波動指数がプラスマイナス0・2が一つの目安である。
波動指数が0・8を下回る日や1・2を超える日が多い現場は、管理の難易度が高い。
図表3は、あるアパレルセンターにおける日別の出荷物量である。
その波動指数を見れば波動の大きさは一目瞭然である。
物量が平均的な日はほとんど存在しない。
とても忙しいか、それとも暇か、かなり極端な現場である。
そのままでは現場メンバーの不満が溜まる一方であろう。
ところが、この現場は上手く回っている。
管理が優れているのである。
図表3には「物量」の波動指数の隣に「人時生産性」の波動指数を表記している。
作業物量の波動指数は非常にバラツキがあるのに対して、生産性の波動指数はかなり安定(平準化)している。
作業物量に応じた人時の投入を実施できているためである。
現場で働くメンバーは、ほぼ毎日、同じ動きをしていれば、しっかりと出荷締切時間を遵守できるようになっている。
作業を焦って手順を誤ったり、抜かしたりすることがないことから品質も安定している。
そのために同センターの管理者が実行したのは大きく、「①工程別作業の整理」、「②現場メンバーの力量の把握」、「③多能工化の推進」の三つである。
①工程別作業の整理とは、「出荷」「入荷」「流通加工」等の各工程の業務を明確にして、作業手順を標準化することである。
②現場メンバーの力量の把握とは、工程別作業において、各メンバーの熟練度を個人別生産性で見える化することである。
この現場では、ピッキング時にハンディターミナルを使用していないため、定期的に各メンバーが自分のピッキング作業時間を測り、生産性を把握している。
③多能工化の推進は、①と②の組み合わせである。
個人別の生産性によって、担当させる工程の範囲を区別し、熟練度に応じて徐々に担当する工程の範囲を広げている。
多能工化が平等化の決め手 このうち③多能工化の推進が、生産性の平準化を実現する決め手となっている。
物量に合わせた人員投入が理想であるのは事実だが、その二つを完全に連動させるのは現実には不可能だ。
それでも多能工化を推進すれば、工程別の人時生産性を平準化することが可能になる。
この現場は、当日出荷を顧客に約束している。
日々の物量がどれだけ大きく変動しても、当日出荷は維持しなければならない。
そのために、「出荷工程」を新人を含めた全メンバーが対応可能な業務としている。
繁忙日には全員が出荷業務に当たる。
一方、物量の少ない日には、新人や熟練度の高くないメンバーが出荷業務に対応して、熟練者は経験を必要とする「入荷工程」に専念させる。
つまり、入荷工程をバッファーにすることで平準化を図っている。
なお、波動指数は物量に適用すれば「現場の難易度」を示すことになるが、これを生産性に適用すると、その日の現場の状況を測ることができる。
これも目安はプラスマイナス0・2である。
生産性の波動指数が1・2を超えていれば、現場は忙し過ぎる状態にあると考えられる。
作業ルールの違反や、事故の起こりやすい状況だと言える。
逆に0・8を下回る場合、現場にはかなりの余裕があることになり、注意力が散漫になってミスが発生したり、過剰な人件費で赤字に陥っている恐れがある。
このように、生産性をはじめとして物流現場にもKPIの導入が進んできている。
しかし、数値を取ることが目的化して、本来の効果を発揮できていないケースがかなりある。
定量的な見える化は、その数値をコミュニケーションのツールとして利用することで、それだけでも改善が実現する。
図表4は、1階〜4階の複数のフロアでほぼ同じ業務を行っているセンターの人時生産性の月別推移グラフである。
そこにある通り「7月」のセンター全体の平均値は75である。
しかし、フロア別に見ると、平均値に近いフロアは一つもなく、生産性の高いフロアと低いフロアに二極化している。
同センターでは従来、各フロア責任者がそれぞれの裁量で自分の担当するフロアを運営していた。
ところがフロアによって業務負荷が違うことから現場には不公平感がまん延していた。
そこで各フロアの業務を定量的に見える化することにした。
その最初の測定結果が図表4の「7月」であった。
見える化はコミュニケーションの始まり さて、この結果からセンター長はどのような行動を取るべきだろうか。
数値を見れば、3Fの生産性が低いことは明らかである。
1Fも平均以下である。
全フロアを統括する立場にある管理者としては平均値未満のフロア責任者に対して「平均値に届くように運営体制を見直すように」と指示するのではないだろうか。
それではせっかくの見える化の効果が半減してしまう。
センター長が上意下達で指示を出す前に、まずは各フロア責任者に現状を「客観視」させて、「なぜそうした状態になっているのか」を認識させることが重要である。
どの現場も「自分たちはよく頑張っている」と思って働いている。
ただし、「頑張っている・いない」は定性的な感想であって、比較・検証はしにくい。
そのため現場が「できていない」という現実を素直に受け入れるのはなかなかに難しい。
従ってまず必要なのは「数値を示して指示を出す」ことではなく、「数値を示して、どう感じたか確認する」ことなのである。
定性的には自分は頑張ってきた。
しかし、定量的、客観的に見るとそうではなかった。
それが分かれば誰もが「なぜか?」と考える。
現場が自分で考えることが、行動に変化を促す。
現場が自立して自律化へと進んでいく。
さらには継続的な改善へとつながっていく。
実際、この現場ではフロア責任者を集めて数値を提示し、まずは皆に意見を求めた。
最初に発言したのは3Fの責任者であった。
「自分では頑張っているつもりでいたが、そうではないことを認識した」と素直に認めた。
次いで発言したのは最も成績の良かった2Fの責任者であった。
「こうした数値が出ると思っていた。
自身のメンバーには、他フロアよりも厳しめの対応をしているという認識は持っていた」と打ち明けた。
そのことが現場の不満を招いている恐れがあった。
フロア責任者たちは話し合いの結果、「平均値を本当の平均値にしよう」という結論に至った。
生産性の目標値を設定して、各フロアの人員調整を時間帯ごとに行うように取り決めた。
その結果、作業方法は変えていないにもかかわらず、半年後には平均値がフロア別の数値と近似値になった。
しかも、全体の生産性の平均値が従来の1・3倍を超えるレベルまで向上したのである。
現場の不公平感も無くなり、フロア間の人員調整によって交流が増えたことでセンターの一体感が高まり、それによって改善活動がさらに活発になるという好循環が生まれた。
定量的な見える化は時間が経つとデータの取得自体が目的となりがちである。
見える化をコミュニケーションのツールと位置づけて、そのデータを基にセンター内で対話を行う活動を続けていくことで、良い現場を実現してほしい。
もちろん間違ってはいない。
しかし、生産性を平均値で見ているだけでは、見える化としては不十分だ。
それでは現場改善の手段を誤ってしまうこともある。
「正しい数値の捉え方」をすることによって、効果的な改善のアプローチを選択できる。
例えば図表1の「Aセンター」と「Bセンター」の生産性はいずれも平均値は100である。
ただし、Aセンターの生産性は最低値が60、最高値が150となっている。
一方のBセンターは最低値が80、最高値は120である。
Aセンターと比べてバラツキが抑えられている。
このうち「良いセンター」と言えるのはどちらかだろうか。
Aセンターでは生産性の最高値と最低値に大きな開きがあるということは、とても忙しい日と、とても暇な日があるということである。
勤務シフトによっては現場のメンバー間に不公平感が生まれている可能性がある。
生産性のバラツキが大きいと、作業品質も不安定になる。
忙しい日は、締切時間までに作業を完了させようと、本来守るべき手順を抜かしたり、確認が疎かになる。
つまりミスの起きる確率が上がる。
暇な日も、時間が余ると気の緩みが確認ミスを誘発する。
一方、最高値と最低値の差が小さいBセンターでは、作業員は日々同じペースで作業することができる。
決められた手順通りの作業なので、品質も安定する。
このように、生産性の平均値は同じでも、生産性のバラツキによって運営実態には大きな差がある。
当然ながら有効な改善のアプローチも違ってくる。
以下、本稿ではバラツキの大きなAセンター型の改善アプローチを詳述する。
なお、Bセンター型の現場は、人的運用の改善余地は小さいことから、工程を対象とした改善施策が有効になることを申し添えておく。
さて、庫内作業の効率は「人時生産性」で定量化(見える化)できる。
次の通り「作業物量÷作業時間」という計算式で、作業人員1人1時間当りの処理量を算出する。
例:1000ケース÷20人時=50ケース/人時 図表2は、横軸が作業物量、縦軸に人時生産性をとった作業量別生産性の分布図である。
この図にあるように、一般に作業物量が多いと生産性は高く、少ないと低くなる傾向がある。
これは、日々の物量には波動(繁閑差)があるの対して、投入人員は大なり小なり硬直的にならざるを得ない構造になっているからである。
日々同じように業務をしているにもかかわらず、生産性が安定しない現場では次のような「現象」が起きやすくなる。
・ 平均値と比較して生産性が高い日──ルールを守らない(守れない)。
確認漏れ・見間違い。
不満(損している気分)。
・ 平均値と比較して生産性が低い日──注意力散漫(緊張感の欠如)。
作業してるフリ(ムダ行動)。
不安(人員整理の可能性)。
生産性が平準化されていない現場で、忙しい日に、作業員が手順を守らずにミスが起きるのは想定内の「現象」である。
ミスを招いた原因は「作業者が手順を守らないこと」ではなく「手順を守れないような状況を作った管理者側のマネジメント」にあることを肝に銘じなければならない。
「波動指数」で波動の大きさを測る 人時生産性は、処理する物量と投入した人時から計算するが、このうち物量は物流現場側ではコントロールできないため、生産性の平準化は「投入人時」のコントロールによって実現することになる。
まずは、どの程度の調整が必要なのか、現場の波動の大きさを把握することが大事だ。
波動の大きさは「波動指数」で算定する。
算出式は「当該作業日物量÷平均作業日物量」である。
例えば、1日平均100件の出荷を行っている現場で、ある月曜日の出荷が80件であれば波動指数は0・8、火曜日の出荷が130件であれば、波動指数は1・3ということになる。
筆者の経験則では、波動指数がプラスマイナス0・2が一つの目安である。
波動指数が0・8を下回る日や1・2を超える日が多い現場は、管理の難易度が高い。
図表3は、あるアパレルセンターにおける日別の出荷物量である。
その波動指数を見れば波動の大きさは一目瞭然である。
物量が平均的な日はほとんど存在しない。
とても忙しいか、それとも暇か、かなり極端な現場である。
そのままでは現場メンバーの不満が溜まる一方であろう。
ところが、この現場は上手く回っている。
管理が優れているのである。
図表3には「物量」の波動指数の隣に「人時生産性」の波動指数を表記している。
作業物量の波動指数は非常にバラツキがあるのに対して、生産性の波動指数はかなり安定(平準化)している。
作業物量に応じた人時の投入を実施できているためである。
現場で働くメンバーは、ほぼ毎日、同じ動きをしていれば、しっかりと出荷締切時間を遵守できるようになっている。
作業を焦って手順を誤ったり、抜かしたりすることがないことから品質も安定している。
そのために同センターの管理者が実行したのは大きく、「①工程別作業の整理」、「②現場メンバーの力量の把握」、「③多能工化の推進」の三つである。
①工程別作業の整理とは、「出荷」「入荷」「流通加工」等の各工程の業務を明確にして、作業手順を標準化することである。
②現場メンバーの力量の把握とは、工程別作業において、各メンバーの熟練度を個人別生産性で見える化することである。
この現場では、ピッキング時にハンディターミナルを使用していないため、定期的に各メンバーが自分のピッキング作業時間を測り、生産性を把握している。
③多能工化の推進は、①と②の組み合わせである。
個人別の生産性によって、担当させる工程の範囲を区別し、熟練度に応じて徐々に担当する工程の範囲を広げている。
多能工化が平等化の決め手 このうち③多能工化の推進が、生産性の平準化を実現する決め手となっている。
物量に合わせた人員投入が理想であるのは事実だが、その二つを完全に連動させるのは現実には不可能だ。
それでも多能工化を推進すれば、工程別の人時生産性を平準化することが可能になる。
この現場は、当日出荷を顧客に約束している。
日々の物量がどれだけ大きく変動しても、当日出荷は維持しなければならない。
そのために、「出荷工程」を新人を含めた全メンバーが対応可能な業務としている。
繁忙日には全員が出荷業務に当たる。
一方、物量の少ない日には、新人や熟練度の高くないメンバーが出荷業務に対応して、熟練者は経験を必要とする「入荷工程」に専念させる。
つまり、入荷工程をバッファーにすることで平準化を図っている。
なお、波動指数は物量に適用すれば「現場の難易度」を示すことになるが、これを生産性に適用すると、その日の現場の状況を測ることができる。
これも目安はプラスマイナス0・2である。
生産性の波動指数が1・2を超えていれば、現場は忙し過ぎる状態にあると考えられる。
作業ルールの違反や、事故の起こりやすい状況だと言える。
逆に0・8を下回る場合、現場にはかなりの余裕があることになり、注意力が散漫になってミスが発生したり、過剰な人件費で赤字に陥っている恐れがある。
このように、生産性をはじめとして物流現場にもKPIの導入が進んできている。
しかし、数値を取ることが目的化して、本来の効果を発揮できていないケースがかなりある。
定量的な見える化は、その数値をコミュニケーションのツールとして利用することで、それだけでも改善が実現する。
図表4は、1階〜4階の複数のフロアでほぼ同じ業務を行っているセンターの人時生産性の月別推移グラフである。
そこにある通り「7月」のセンター全体の平均値は75である。
しかし、フロア別に見ると、平均値に近いフロアは一つもなく、生産性の高いフロアと低いフロアに二極化している。
同センターでは従来、各フロア責任者がそれぞれの裁量で自分の担当するフロアを運営していた。
ところがフロアによって業務負荷が違うことから現場には不公平感がまん延していた。
そこで各フロアの業務を定量的に見える化することにした。
その最初の測定結果が図表4の「7月」であった。
見える化はコミュニケーションの始まり さて、この結果からセンター長はどのような行動を取るべきだろうか。
数値を見れば、3Fの生産性が低いことは明らかである。
1Fも平均以下である。
全フロアを統括する立場にある管理者としては平均値未満のフロア責任者に対して「平均値に届くように運営体制を見直すように」と指示するのではないだろうか。
それではせっかくの見える化の効果が半減してしまう。
センター長が上意下達で指示を出す前に、まずは各フロア責任者に現状を「客観視」させて、「なぜそうした状態になっているのか」を認識させることが重要である。
どの現場も「自分たちはよく頑張っている」と思って働いている。
ただし、「頑張っている・いない」は定性的な感想であって、比較・検証はしにくい。
そのため現場が「できていない」という現実を素直に受け入れるのはなかなかに難しい。
従ってまず必要なのは「数値を示して指示を出す」ことではなく、「数値を示して、どう感じたか確認する」ことなのである。
定性的には自分は頑張ってきた。
しかし、定量的、客観的に見るとそうではなかった。
それが分かれば誰もが「なぜか?」と考える。
現場が自分で考えることが、行動に変化を促す。
現場が自立して自律化へと進んでいく。
さらには継続的な改善へとつながっていく。
実際、この現場ではフロア責任者を集めて数値を提示し、まずは皆に意見を求めた。
最初に発言したのは3Fの責任者であった。
「自分では頑張っているつもりでいたが、そうではないことを認識した」と素直に認めた。
次いで発言したのは最も成績の良かった2Fの責任者であった。
「こうした数値が出ると思っていた。
自身のメンバーには、他フロアよりも厳しめの対応をしているという認識は持っていた」と打ち明けた。
そのことが現場の不満を招いている恐れがあった。
フロア責任者たちは話し合いの結果、「平均値を本当の平均値にしよう」という結論に至った。
生産性の目標値を設定して、各フロアの人員調整を時間帯ごとに行うように取り決めた。
その結果、作業方法は変えていないにもかかわらず、半年後には平均値がフロア別の数値と近似値になった。
しかも、全体の生産性の平均値が従来の1・3倍を超えるレベルまで向上したのである。
現場の不公平感も無くなり、フロア間の人員調整によって交流が増えたことでセンターの一体感が高まり、それによって改善活動がさらに活発になるという好循環が生まれた。
定量的な見える化は時間が経つとデータの取得自体が目的となりがちである。
見える化をコミュニケーションのツールと位置づけて、そのデータを基にセンター内で対話を行う活動を続けていくことで、良い現場を実現してほしい。
