2023年7月号
特集
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東京青果 バース予約時に積み荷の内容や量を登録
総合予約サイトの応用が転機に
東京青果は東京都「大田市場」内に本社を置く青果物卸最大手だ。
現在の従業員数は524人、年間2168億円の取扱高がある。
青果物はドライバー不足により、大都市拠点市場に出荷の集約が進んでいる。
その結果、荷降ろし待ちのトラックによる渋滞が慢性化し、大田市場ではトラックが市場に着いてから荷降ろしが始まるまで平均2〜3時間、長い場合には4〜5時間かかっていた。
そこで東京青果は18年夏にバース予約システムを導入した。
当初は、物流専用に開発されたバース予約システムを検討したが、ドライバー側も利用料を払う必要があり、不特定多数のドライバーが出入りする卸売市場には不向きと判断した。
代わって着目したのが、レストランや美容院、医療機関などさまざまな施設の予約システムとして普及していた「EPARK」だった。
予約する側は無料で使える上、既に大勢の人が使っているシステムなので、ドライバーにも受け入れられやすいと判断した。
入荷の2日前から予約できるように設計して導入した。
個人の携帯電話を使っているドライバーが利用に難色を示したりもしたが、予約したトラックの大半で荷降ろしの待ち時間を1時間以内に短縮できたことが認知され普及していった。
登録ドライバー数は、21年秋には5千人を突破して現在は約6千人に達した。
年間予約件数も、19年が1万3279件、20年が2万2948件、21年が2万7608件、22年が3万2545件と増え続けている。
予約システムにEPARKを選んだ理由は、他にもあった。
「プルダウン(選択式回答)機能が標準装備されており、予約時に積み荷の情報を確認しやすい仕様にできることだった。
カスタマイズの要望にも柔軟に対応してもらえた」と、東京青果で物流改善の責任者を務める庄内弘志取締役商品センター部長はいう。
それまでは事前に積み荷の内容が分からないため、トラックが到着した順番に荷降ろしして、空いているスペースに一時保管していた。
同じ商品でも置き場所が散在して、人やフォークリフトの動線が複雑化していた。
入荷される荷物が事前に分かれば、庫内のオペレーションを改善できる可能性があった。
そのため、積み荷の主品目は何か、パレット積みかバラ積みか、パレットなら5枚以上か5枚未満か、バラ積みなら積載率は満載か約半分か少量か、車種は4トン車か10トン車かコンテナ車かトレーラーか、ウイング車か箱車かを、バース予約時にドライバーに入力してもらう仕様にして導入した。
折しも同社は、商品量の増加を受けて20年11月と21年6月に、商品置き場に2階部分を増設した。
これにより保管面積が2割増え、商品配置を改善する余裕が生まれた。
また、22年1月には大田市場内で売り場が隣り合っていた東京神田青果市場(現在は東一神田青果。
以下、神田青果)を買収し、グループとして売り場レイアウトを効率化する必要が生じた。
こうした変化と、EPARK利用者が増えて積み荷の可視化が進んだタイミングが重なったことから、商品の配置を合理化することにした。
これまで場内物流の効率化は、社員の経験に基づく工夫で行ってきたが、部分最適に陥る弊害も起きていた。
今回は商品の配置変更が、商品の滞在時間やフォークリフトなどの動線にどのような影響があるのか可視化して、データに基づく最適化に挑戦した。
AIソリューションプロバイダーのヘッドウォータース、監視カメラシステムプロバイダーのキヤノンマーケティングジャパンの協力を得て、21年10月から22年3月にかけて、可視化と改善策の検証を行った。
市場内にWebカメラを5台設置し、商品の動きを2カ月近くAIで分析した。
その結果、例えば競売台付近は人やフォークリフトがアクセスしやすいにもかかわらず、回転数の少ない商品(果物)が集まっており、空間の利用効率が悪いことが分かった。
そこで、果物置き場のうち28パレット分のスペースを、回転の速い業務用レタスに置き換えて、効果を検証した。
10日間観察したところ、果物を置いていた時は3日に1回程度しか動きがなかったが、業務用レタスに置き換えた後は1日平均1・27回ほど動くようになっていた。
さらに監視カメラシステムを使って、人やフォークリフトが移動した軌跡を可視化すると、回転の速い商品がアクセスの良い場所に置かれたことで、動線が短くなったことも分かった。
こうした結果を踏まえて東京青果は、商品の配置を改善した。
卸売市場では、入荷した商品は仲卸業者への競売、仲卸業者による小分けと小売業者や飲食店への販売を経て、出荷される。
そこで、回転数の多い商品は仲卸業者の入居エリア近くに集約して、入荷から出荷までの動線が短くなるようにした。
EPARKで予約したトラックは、荷降ろし後の動線が短くなるバースに案内するようにした。
神田青果との間で同一品目の置き場を統合するとともに、野菜の積み降ろしバースを従前の15カ所から25カ所に増やした。
回転数の少ない商品は中央通路から離れた場所や、2階部分にまとめた。
一連の改善策の結果、フォークリフトの月間走行量が2〜3割減少するなどの効果が得られた。
東京青果の中村岩生経営戦略室課長は「肌感覚に頼らない改善の基礎ができた」と手応えを感じ取っている。
HACCP対応の可視化も推進 同時期、衛生管理でも可視化を進めた。
食品衛生法改正に伴い、卸売市場を含め食品を扱う全事業者に対し、21年6月からHACCP(食品の衛生管理手法)に沿った衛生管理が義務化されたためだ。
HACCPでは、重要な工程を記録に残すことが要求される。
佐々木奈穂営業管理部業務2課係長によると、「東京都内の卸売市場については、都との協議の結果、まず最大市場である大田市場で、当社が先行事例となる衛生管理マニュアルを作成することになった」という。
そこで従来の品質管理マニュアルを改定し、19年5月から運用を開始した。
品質・施設・職員の3領域に関して、毎月全職員にレポーティングするようにした。
例えば低温庫の温度管理は担当部署だけで行ってきたが、どの時間に、どの現場で温度が上昇したかを、現場と経営層にも共有し、全社で対策を取るようにした。
職員の健康チェックも強化した。
21年4月には、低温庫に紫外線殺菌灯を新規導入した。
空気を冷やすだけで衛生環境を保てるのか、空調機フィルターを検査したところ、紫外線照射の有無によって微生物の繁殖度が異なることを視認できたためだ。
現在の従業員数は524人、年間2168億円の取扱高がある。
青果物はドライバー不足により、大都市拠点市場に出荷の集約が進んでいる。
その結果、荷降ろし待ちのトラックによる渋滞が慢性化し、大田市場ではトラックが市場に着いてから荷降ろしが始まるまで平均2〜3時間、長い場合には4〜5時間かかっていた。
そこで東京青果は18年夏にバース予約システムを導入した。
当初は、物流専用に開発されたバース予約システムを検討したが、ドライバー側も利用料を払う必要があり、不特定多数のドライバーが出入りする卸売市場には不向きと判断した。
代わって着目したのが、レストランや美容院、医療機関などさまざまな施設の予約システムとして普及していた「EPARK」だった。
予約する側は無料で使える上、既に大勢の人が使っているシステムなので、ドライバーにも受け入れられやすいと判断した。
入荷の2日前から予約できるように設計して導入した。
個人の携帯電話を使っているドライバーが利用に難色を示したりもしたが、予約したトラックの大半で荷降ろしの待ち時間を1時間以内に短縮できたことが認知され普及していった。
登録ドライバー数は、21年秋には5千人を突破して現在は約6千人に達した。
年間予約件数も、19年が1万3279件、20年が2万2948件、21年が2万7608件、22年が3万2545件と増え続けている。
予約システムにEPARKを選んだ理由は、他にもあった。
「プルダウン(選択式回答)機能が標準装備されており、予約時に積み荷の情報を確認しやすい仕様にできることだった。
カスタマイズの要望にも柔軟に対応してもらえた」と、東京青果で物流改善の責任者を務める庄内弘志取締役商品センター部長はいう。
それまでは事前に積み荷の内容が分からないため、トラックが到着した順番に荷降ろしして、空いているスペースに一時保管していた。
同じ商品でも置き場所が散在して、人やフォークリフトの動線が複雑化していた。
入荷される荷物が事前に分かれば、庫内のオペレーションを改善できる可能性があった。
そのため、積み荷の主品目は何か、パレット積みかバラ積みか、パレットなら5枚以上か5枚未満か、バラ積みなら積載率は満載か約半分か少量か、車種は4トン車か10トン車かコンテナ車かトレーラーか、ウイング車か箱車かを、バース予約時にドライバーに入力してもらう仕様にして導入した。
折しも同社は、商品量の増加を受けて20年11月と21年6月に、商品置き場に2階部分を増設した。
これにより保管面積が2割増え、商品配置を改善する余裕が生まれた。
また、22年1月には大田市場内で売り場が隣り合っていた東京神田青果市場(現在は東一神田青果。
以下、神田青果)を買収し、グループとして売り場レイアウトを効率化する必要が生じた。
こうした変化と、EPARK利用者が増えて積み荷の可視化が進んだタイミングが重なったことから、商品の配置を合理化することにした。
これまで場内物流の効率化は、社員の経験に基づく工夫で行ってきたが、部分最適に陥る弊害も起きていた。
今回は商品の配置変更が、商品の滞在時間やフォークリフトなどの動線にどのような影響があるのか可視化して、データに基づく最適化に挑戦した。
AIソリューションプロバイダーのヘッドウォータース、監視カメラシステムプロバイダーのキヤノンマーケティングジャパンの協力を得て、21年10月から22年3月にかけて、可視化と改善策の検証を行った。
市場内にWebカメラを5台設置し、商品の動きを2カ月近くAIで分析した。
その結果、例えば競売台付近は人やフォークリフトがアクセスしやすいにもかかわらず、回転数の少ない商品(果物)が集まっており、空間の利用効率が悪いことが分かった。
そこで、果物置き場のうち28パレット分のスペースを、回転の速い業務用レタスに置き換えて、効果を検証した。
10日間観察したところ、果物を置いていた時は3日に1回程度しか動きがなかったが、業務用レタスに置き換えた後は1日平均1・27回ほど動くようになっていた。
さらに監視カメラシステムを使って、人やフォークリフトが移動した軌跡を可視化すると、回転の速い商品がアクセスの良い場所に置かれたことで、動線が短くなったことも分かった。
こうした結果を踏まえて東京青果は、商品の配置を改善した。
卸売市場では、入荷した商品は仲卸業者への競売、仲卸業者による小分けと小売業者や飲食店への販売を経て、出荷される。
そこで、回転数の多い商品は仲卸業者の入居エリア近くに集約して、入荷から出荷までの動線が短くなるようにした。
EPARKで予約したトラックは、荷降ろし後の動線が短くなるバースに案内するようにした。
神田青果との間で同一品目の置き場を統合するとともに、野菜の積み降ろしバースを従前の15カ所から25カ所に増やした。
回転数の少ない商品は中央通路から離れた場所や、2階部分にまとめた。
一連の改善策の結果、フォークリフトの月間走行量が2〜3割減少するなどの効果が得られた。
東京青果の中村岩生経営戦略室課長は「肌感覚に頼らない改善の基礎ができた」と手応えを感じ取っている。
HACCP対応の可視化も推進 同時期、衛生管理でも可視化を進めた。
食品衛生法改正に伴い、卸売市場を含め食品を扱う全事業者に対し、21年6月からHACCP(食品の衛生管理手法)に沿った衛生管理が義務化されたためだ。
HACCPでは、重要な工程を記録に残すことが要求される。
佐々木奈穂営業管理部業務2課係長によると、「東京都内の卸売市場については、都との協議の結果、まず最大市場である大田市場で、当社が先行事例となる衛生管理マニュアルを作成することになった」という。
そこで従来の品質管理マニュアルを改定し、19年5月から運用を開始した。
品質・施設・職員の3領域に関して、毎月全職員にレポーティングするようにした。
例えば低温庫の温度管理は担当部署だけで行ってきたが、どの時間に、どの現場で温度が上昇したかを、現場と経営層にも共有し、全社で対策を取るようにした。
職員の健康チェックも強化した。
21年4月には、低温庫に紫外線殺菌灯を新規導入した。
空気を冷やすだけで衛生環境を保てるのか、空調機フィルターを検査したところ、紫外線照射の有無によって微生物の繁殖度が異なることを視認できたためだ。
