2023年7月号
特集
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アルプス物流 「物流個性」を体系化して作業指示を自動化
出荷指示書に注意事項を記載して共有
アルプス物流が主軸としている電子部品物流では、半導体や精密機器の部品などといった各種の製品特性に合わせた精細な取り扱いが必要になる上、納品先によってラベルの貼付方法や納品書の入れ方などといった梱包仕様が異なってくる。
例えば電子部品10箱を出荷する場合、納品書をそれぞれの箱に貼るパターンと、10箱の中の1箱だけに納品書を貼るというパターンがある。
「納品書を箱に貼る」と「納品書を箱の中に入れる」というパターンからさらに派生して、「納品書は外から見えないよう茶封筒に入れた上で天面に貼る」や「透明なビニールの納品書入れに納品書を入れた上で外から見えないよう裏返す」という場合もある。
他にもダンボール箱納入と通い箱納入といった違い、複数アイテムを混載可能な場合もあれば1梱包1アイテムという納入先もある。
製品や納入先によって取り扱い方法や納品仕様が異なるため、流通加工作業のバリエーションが非常に多い。
そこで誰でも間違いなく作業ができるよう注意事項をデータ化して作業を標準化する仕組みを整備した。
電子部品それぞれ固有の特性に合わせた独自のノウハウや知見を「物流個性」と名付けて体系化。
流通加工の作業内容や注意点をデータベースとして整備し、基本的な作業内容とは別に数百種類以上もある流通加工や小分け作業指示を確実に庫内スタッフに伝達して作業を実行できる仕組みを構築している。
マスター登録された各種注意事項は庫内スタッフが作業時に参照する出荷指示書に記載される。
納入先や出荷日、納期、ロケーションなどといった基本情報に加え、工程別に記載する行を分けて作業時の注意事項がテキストで印字される。
初期段階では「Dラベル」「Cラベル」「客先伝票」「納品書」といった帳票の種類と「正面貼付」「左側貼付」といった貼付方法などを単語の組み合わせで表示する形で作業指示を印字していた。
その後、庫内スタッフがより理解しやすいよう作業内容は各工程別に短い文章にして登録する形式に変更している。
文章は実際に現場に出ている作業責任者などが作成し、作業を行う庫内スタッフ目線の分かりやすい文章にしている。
梱包工程向けの作業内容であれば「納品書はまとめて天面貼付」「Dラベル標準納品荷札を外装右に貼付」「混載禁止」「緩衝材はAを使用」といった形だ。
登録されている作業内容データを工程別にみると、最も多いのは梱包工程となっている。
倉庫内では出荷商品と作業内容が記載された出荷指示書が一緒に各工程間を移動していく。
出荷製品と出荷指示書が一体となって次の工程へと引き渡されるので、工程ごとに作業スタッフが異なる場合であっても、庫内スタッフは確実に注意事項を踏まえた作業を実行できる。
入庫、入庫検収、格納、出庫、分割、出荷検収、梱包、出荷などの各工程における基本的な作業内容を説明する作業手順書にも出荷指示書に記載されている各種注意事項の確認を作業手順の一つに組み込んでいる。
基本的な作業手順の教育と納品先や荷物などによって特別な注意が必要な内容が記載された出荷指示書を組み合わせて運用することで、多様な物流個性に対応したオペレーションを実現している。
物流個性データベースに対応した緻密な保管を支えているのがアルプス物流が独自に開発した情報システム「ACCS(Alps Cargo Center System)」となる。
荷物の全情報を一元管理して入庫から出庫までの倉庫オペレーションを効率的に実行することに加え、在庫や出庫に関する帳票類の出力や納入先別出荷明細や長期在庫報告などの提供も行える。
荷主の基幹システムとACCSがEDI連携することによって荷主は入庫時点から出庫までの倉庫の状況をリアルタイムで把握できる。
この仕組みが特に効果を発揮しているのが、メーカーの生産計画と同期した納品の実現だ。
アルプス物流の倉庫に保管された部材を生産計画とシンクロさせる形での最適な納品を行う。
「当社の倉庫に在庫している荷物の現物とデータ、そしてこれらを反映した荷主側の在庫ステータスは常に三位一体。
その上でメーカーの生産計画がどのように立案され、どうやって展開されているかという製造の仕組みを十分に理解してサービスを設計できる点が当社の強みの一つになっている」と石黒正明執行役員営業副本部長は話す。
ACCSは荷主向けの機能として長期在庫や在庫不足などのアラート機能、入庫日別の保管状況管理機能なども整備している。
庫内の作業ステータスの可視化も可能で、こちらは主にアルプス物流が自社の倉庫運営の効率化で利用している。
出荷予定数に対する各作業の進行件数などをリアルタイムで画面表示し、その進捗を見ながら遅れている場合があれば庫内スタッフを投入するといった運用などで活用している。
IE分析や情報共有方法をデジタル化 現場の庫内スタッフの動作を可視化して効率化を進める「TIE(トータルインダストリアルエンジニアリング)」分析も行っている。
通常のIE分析は一定工程のムダ取りを行うのに対して、複数工程にまたがったIE分析の集合体による改善の手法をアルプスグループではTIEと呼び、物流現場でも活用している。
ピッキングや梱包といった各工程のIE分析に加え、工程と工程の間といった部分まで分析して改善を進める。
分析内容は稼働分析、動線分析、時間分析の三つで、計測にはストップウォッチや歩数計などを用いている。
現在、これら計測手法のデジタル化を進めている。
稼働分析については1日の間に庫内スタッフが行っている作業を一定時間ごとに手動で記録していたものを、自社開発のスマホアプリを用いた作業内容の計測に代替した。
庫内スタッフが携行するスマホのアプリから一定時間ごとに何の作業をしているのかという質問が通知されるので庫内スタッフは行っている作業内容を入力する。
動線分析では作業台車にカメラを設置して、位置情報と移動の軌跡を記録できるソリューションを活用して実証実験を行っている。
スマホを用いた稼働分析と作業台車に積載したカメラ機材を活用した動線分析を組み合わせることで、庫内スタッフの倉庫作業を可視化することができる。
時間分析は動画を撮影して専用の作業分析ツールソフトを用いて解析を行っている。
「計測方法をアナログからデジタルに変えることで、計測、分析、改善実施のサイクルを短縮し、改善の実施回数を大幅に増やすことが可能となる」と野殿征範事業本部保管BU部長は語る。
物流個性のデータベースに格納された各種注意内容を現場の庫内スタッフに伝達する方法をデジタル化することも検討していく。
現行の紙の出荷指示書に記載する形式から、スタッフが携行するハンディや作業台に置かれたモニターなどに作業内容や梱包状態などを表示してペーパーレス化する方法を構想している。
特に梱包状態の映像表示が実現すれば、初めて作業をするスタッフが自身で梱包した荷物と見本を見比べて確認することができるため、高い効果を見込める。
今後はこれらを含めた複数のDXの実現に向けた取り組みを加速させる方針だ。
例えば電子部品10箱を出荷する場合、納品書をそれぞれの箱に貼るパターンと、10箱の中の1箱だけに納品書を貼るというパターンがある。
「納品書を箱に貼る」と「納品書を箱の中に入れる」というパターンからさらに派生して、「納品書は外から見えないよう茶封筒に入れた上で天面に貼る」や「透明なビニールの納品書入れに納品書を入れた上で外から見えないよう裏返す」という場合もある。
他にもダンボール箱納入と通い箱納入といった違い、複数アイテムを混載可能な場合もあれば1梱包1アイテムという納入先もある。
製品や納入先によって取り扱い方法や納品仕様が異なるため、流通加工作業のバリエーションが非常に多い。
そこで誰でも間違いなく作業ができるよう注意事項をデータ化して作業を標準化する仕組みを整備した。
電子部品それぞれ固有の特性に合わせた独自のノウハウや知見を「物流個性」と名付けて体系化。
流通加工の作業内容や注意点をデータベースとして整備し、基本的な作業内容とは別に数百種類以上もある流通加工や小分け作業指示を確実に庫内スタッフに伝達して作業を実行できる仕組みを構築している。
マスター登録された各種注意事項は庫内スタッフが作業時に参照する出荷指示書に記載される。
納入先や出荷日、納期、ロケーションなどといった基本情報に加え、工程別に記載する行を分けて作業時の注意事項がテキストで印字される。
初期段階では「Dラベル」「Cラベル」「客先伝票」「納品書」といった帳票の種類と「正面貼付」「左側貼付」といった貼付方法などを単語の組み合わせで表示する形で作業指示を印字していた。
その後、庫内スタッフがより理解しやすいよう作業内容は各工程別に短い文章にして登録する形式に変更している。
文章は実際に現場に出ている作業責任者などが作成し、作業を行う庫内スタッフ目線の分かりやすい文章にしている。
梱包工程向けの作業内容であれば「納品書はまとめて天面貼付」「Dラベル標準納品荷札を外装右に貼付」「混載禁止」「緩衝材はAを使用」といった形だ。
登録されている作業内容データを工程別にみると、最も多いのは梱包工程となっている。
倉庫内では出荷商品と作業内容が記載された出荷指示書が一緒に各工程間を移動していく。
出荷製品と出荷指示書が一体となって次の工程へと引き渡されるので、工程ごとに作業スタッフが異なる場合であっても、庫内スタッフは確実に注意事項を踏まえた作業を実行できる。
入庫、入庫検収、格納、出庫、分割、出荷検収、梱包、出荷などの各工程における基本的な作業内容を説明する作業手順書にも出荷指示書に記載されている各種注意事項の確認を作業手順の一つに組み込んでいる。
基本的な作業手順の教育と納品先や荷物などによって特別な注意が必要な内容が記載された出荷指示書を組み合わせて運用することで、多様な物流個性に対応したオペレーションを実現している。
物流個性データベースに対応した緻密な保管を支えているのがアルプス物流が独自に開発した情報システム「ACCS(Alps Cargo Center System)」となる。
荷物の全情報を一元管理して入庫から出庫までの倉庫オペレーションを効率的に実行することに加え、在庫や出庫に関する帳票類の出力や納入先別出荷明細や長期在庫報告などの提供も行える。
荷主の基幹システムとACCSがEDI連携することによって荷主は入庫時点から出庫までの倉庫の状況をリアルタイムで把握できる。
この仕組みが特に効果を発揮しているのが、メーカーの生産計画と同期した納品の実現だ。
アルプス物流の倉庫に保管された部材を生産計画とシンクロさせる形での最適な納品を行う。
「当社の倉庫に在庫している荷物の現物とデータ、そしてこれらを反映した荷主側の在庫ステータスは常に三位一体。
その上でメーカーの生産計画がどのように立案され、どうやって展開されているかという製造の仕組みを十分に理解してサービスを設計できる点が当社の強みの一つになっている」と石黒正明執行役員営業副本部長は話す。
ACCSは荷主向けの機能として長期在庫や在庫不足などのアラート機能、入庫日別の保管状況管理機能なども整備している。
庫内の作業ステータスの可視化も可能で、こちらは主にアルプス物流が自社の倉庫運営の効率化で利用している。
出荷予定数に対する各作業の進行件数などをリアルタイムで画面表示し、その進捗を見ながら遅れている場合があれば庫内スタッフを投入するといった運用などで活用している。
IE分析や情報共有方法をデジタル化 現場の庫内スタッフの動作を可視化して効率化を進める「TIE(トータルインダストリアルエンジニアリング)」分析も行っている。
通常のIE分析は一定工程のムダ取りを行うのに対して、複数工程にまたがったIE分析の集合体による改善の手法をアルプスグループではTIEと呼び、物流現場でも活用している。
ピッキングや梱包といった各工程のIE分析に加え、工程と工程の間といった部分まで分析して改善を進める。
分析内容は稼働分析、動線分析、時間分析の三つで、計測にはストップウォッチや歩数計などを用いている。
現在、これら計測手法のデジタル化を進めている。
稼働分析については1日の間に庫内スタッフが行っている作業を一定時間ごとに手動で記録していたものを、自社開発のスマホアプリを用いた作業内容の計測に代替した。
庫内スタッフが携行するスマホのアプリから一定時間ごとに何の作業をしているのかという質問が通知されるので庫内スタッフは行っている作業内容を入力する。
動線分析では作業台車にカメラを設置して、位置情報と移動の軌跡を記録できるソリューションを活用して実証実験を行っている。
スマホを用いた稼働分析と作業台車に積載したカメラ機材を活用した動線分析を組み合わせることで、庫内スタッフの倉庫作業を可視化することができる。
時間分析は動画を撮影して専用の作業分析ツールソフトを用いて解析を行っている。
「計測方法をアナログからデジタルに変えることで、計測、分析、改善実施のサイクルを短縮し、改善の実施回数を大幅に増やすことが可能となる」と野殿征範事業本部保管BU部長は語る。
物流個性のデータベースに格納された各種注意内容を現場の庫内スタッフに伝達する方法をデジタル化することも検討していく。
現行の紙の出荷指示書に記載する形式から、スタッフが携行するハンディや作業台に置かれたモニターなどに作業内容や梱包状態などを表示してペーパーレス化する方法を構想している。
特に梱包状態の映像表示が実現すれば、初めて作業をするスタッフが自身で梱包した荷物と見本を見比べて確認することができるため、高い効果を見込める。
今後はこれらを含めた複数のDXの実現に向けた取り組みを加速させる方針だ。
