2023年7月号
特集
特集
エスプールロジスティクス 独自の分析ダッシュボードでEC事業者を支援
倉庫情報を用いた独自ツールを提供
エスプールロジスティクスは東証プライムに上場しているエスプールのロジスティクス事業部が2013年に分社化して発足した物流会社だ。
元々は庫内作業の業務請負を主に展開していたが、徐々にEC物流へと比重を移し、現在は売り上げの9割近くをEC向けが占めている。
業務内容も倉庫業務から受注処理、コールセンター、ささげ、特殊加工など、ECのバックヤード業務全域に及んでいる。
自社運営のEC物流センターは「品川」「つくば」「浦安」などを展開している。
化粧品、サプリメント、雑貨、アパレル、健康食品、書籍、加工食品、酒類・飲料など幅広い商品を取り扱う汎用センターとして主に運用している。
23年夏には新たに「流山」を開設し、既存拠点の再編なども行い、合計約1万8480平方メートル規模の拠点を運営していく計画だ。
同社は荷主のEC事業者の売り上げ拡大を支援するため、倉庫関連データを基にして、どの商品がどのように売れているかを可視化する独自の分析ダッシュボード「Synapse(シナプス)」を運用している。
カテゴリー別、期間別などのさまざまな切り口で分析できる。
シナプスの開発は18年ごろからエスプールの他のグループ会社とも連携して本格的に開始した。
具体的にどのような分析機能が必要なのかについて荷主のEC事業者と何度も協議を重ねて、仕組みに落とし込んでいった。
20年には基本的な機能を網羅したシステムを整備し、エスプールロジスティクスの物流センターに入居している荷主が幅広く利用できるオプションサービスとして完成させた。
シナプスは大きく「KPI」「インサイト」「在庫」という三つの切り口からの分析機能を備えている。
「KPI」では商品の出荷件数、総売上、返品率、返品件数、LTV(ライフタイムバリュー)分布、月間売上推移などといった各種数値や中央値などが一目で確認できる。
商品別やカテゴリー別に加えて期間で区切ることもできる。
使用したダンボールなどといった資材別、チラシをはじめとする同梱物別、自社サイトやモールなど発送元別にも整理できる。
「インサイト」では、売れ筋ABC、出荷エリアマップ、出荷割合、リピーター、返品率、返品理由内訳、顧客テーブルなどの分析が行える。
例えば、決済方法別の返品率分析で代引きの返品率が高いことが分かれば、決済方法から代引きを除外するといった判断に用いることができる。
インサイトの機能の一つ、ヒートマップ形式で日本地図を色付けした「出荷エリアマップ」を見れば、どの商品がどの地域で売れているかを簡単に把握できる。
例えば政令指定都市によって売れ行きに偏りがあるのならば、EC事業者は売れ行きが芳しくない特定地域を対象とした広告を打つといった際の判断材料に使える。
EC事業者向けにプロモーションの提案も行っている。
荷主がシナプスを活用してプロモーション活動を行う際の相談にも対応する。
地域限定のSNS広告といったネット関連の広告に加え、エスプールグループのプロモーション会社と連携した商業施設やスポーツジムなどでのサンプル配布といったネット広告ではアプローチできない層へのリアルなプロモーション活動も提案できる。
「在庫」では「在庫予測テーブル」「在庫推移グラフ」「在庫状況ABC」などを利用できる。
「在庫状況ABC」は、選択した任意の商品の在庫量や回転数などをビジュアル化する。
画面上の長方形の大きさで在庫量を示し、色で回転数を表す。
赤が低回転で、青は高回転を意味している。
青色で表示された長方形の面積が大きければ、「回転数が高く、在庫量も多い」という意味だ。
売れ筋商品をしっかりと在庫した上で、欠品しないように販売できていることが分かり、適切な在庫量であることが確認できる。
一方、大きな長方形が赤色で表示されていれば「回転数が低い商品の在庫が多くある」ことが分かる。
セールなどで売り切って他の商品のためにスペースを開けるといった措置が必要になる。
「ビジュアル化することで、倉庫の状態がどうなっているのかが一目で分かるようにした。
利用しているクライアントからも高い評価を得ている。
SKU数と出荷量が一定以上あるEC事業者はシナプスの導入効果が特に高い」とエスプールロジスティクスの小林正憲社長執行役員は話す。
どこからでもアクセスできるセキュアな環境を構築しているので、データに基づいた意思決定が場所を選ばずに行える。
プライバシーマークも取得しており、各種情報管理も万全だ。
今後はAIを活用した機能をシナプスに追加することも検討している。
売り上げや出荷傾向の予測に加えて、施策の実施による数値の変化を算出する機能を構想している。
ロジメーターで倉庫を金額管理 シナプスが荷主の売上高拡大をサポートすることを目的とする倉庫の可視化ツールであるのに対して、同社が物流センターの稼働状況の管理に活用している倉庫作業可視化ツールがKURANDOの「ロジメーター」だ。
ロジメーターを用いて日次の損益計算書を作成し、各物流現場を金額で管理している。
汎用センターで荷主ごとの損益を把握するためには、荷役作業の人件費を荷主別に集計しなければならない。
荷主ごとに単価は異なり、スタッフによって人件費も違うため、正確な数値を算出するには、どの荷主の作業をどのスタッフがどれだけの時間行ったのか計測する必要がある。
人手で行うことが難しいため、ロジメーターを用いている。
ロジメーターを導入した物流現場では庫内スタッフが「検品・梱包」「仕分け」「ピッキング」などの中から作業内容を選択し、携行しているQRコードをタブレットなどにかざして作業を始めれば、コストや作業時間といった数値を荷主ごとに蓄積してくれる。
庫内スタッフはそれぞれ時給が違うので各スタッフをユニーク名で登録し、作業コストの正確な内容が荷主ごとに割り振られていく。
各スタッフの人件費がどの荷主に対してどれだけの時間割り振られているかを収集することが主目的なので、庫内スタッフは作業対象の荷主が変わるごとにQRコードによる切り替えを行うようオペレーションを組み立てている。
こうして荷役作業のコストの詳細を収集した上で、管理者が売り上げ、作業数量、出荷数量、販管費などを入力すれば、荷主ごとの費用、売り上げ、利益、利益率などが把握できる。
このデータは庫内スタッフの機動的な転換を行う際の判断材料にも活用している。
同社の倉庫では毎日14時ごろに当日の出荷情報が確定する。
その段階でマネージャーによるミーティングを行い、現場への応援などを検討する。
小林社長は「当社のセンター運営のコンセプトは『物流を金額化して、金額でみる』だ」という。
シナプスで売り上げを伸ばし、ロジメーターで『日々PL』を作成して庫内の原価を下げる。
この二つの相乗効果で利益率が上がる。
そうした現場をいくつも作り上げていくことで会社全体を成長させる、という発想だ。
「倉庫運営ではこれからも明確に金額と利益率を追い求めていく」と小林社長は語り、可視化ツールの活用をさらに高度化させていく方針だ。
元々は庫内作業の業務請負を主に展開していたが、徐々にEC物流へと比重を移し、現在は売り上げの9割近くをEC向けが占めている。
業務内容も倉庫業務から受注処理、コールセンター、ささげ、特殊加工など、ECのバックヤード業務全域に及んでいる。
自社運営のEC物流センターは「品川」「つくば」「浦安」などを展開している。
化粧品、サプリメント、雑貨、アパレル、健康食品、書籍、加工食品、酒類・飲料など幅広い商品を取り扱う汎用センターとして主に運用している。
23年夏には新たに「流山」を開設し、既存拠点の再編なども行い、合計約1万8480平方メートル規模の拠点を運営していく計画だ。
同社は荷主のEC事業者の売り上げ拡大を支援するため、倉庫関連データを基にして、どの商品がどのように売れているかを可視化する独自の分析ダッシュボード「Synapse(シナプス)」を運用している。
カテゴリー別、期間別などのさまざまな切り口で分析できる。
シナプスの開発は18年ごろからエスプールの他のグループ会社とも連携して本格的に開始した。
具体的にどのような分析機能が必要なのかについて荷主のEC事業者と何度も協議を重ねて、仕組みに落とし込んでいった。
20年には基本的な機能を網羅したシステムを整備し、エスプールロジスティクスの物流センターに入居している荷主が幅広く利用できるオプションサービスとして完成させた。
シナプスは大きく「KPI」「インサイト」「在庫」という三つの切り口からの分析機能を備えている。
「KPI」では商品の出荷件数、総売上、返品率、返品件数、LTV(ライフタイムバリュー)分布、月間売上推移などといった各種数値や中央値などが一目で確認できる。
商品別やカテゴリー別に加えて期間で区切ることもできる。
使用したダンボールなどといった資材別、チラシをはじめとする同梱物別、自社サイトやモールなど発送元別にも整理できる。
「インサイト」では、売れ筋ABC、出荷エリアマップ、出荷割合、リピーター、返品率、返品理由内訳、顧客テーブルなどの分析が行える。
例えば、決済方法別の返品率分析で代引きの返品率が高いことが分かれば、決済方法から代引きを除外するといった判断に用いることができる。
インサイトの機能の一つ、ヒートマップ形式で日本地図を色付けした「出荷エリアマップ」を見れば、どの商品がどの地域で売れているかを簡単に把握できる。
例えば政令指定都市によって売れ行きに偏りがあるのならば、EC事業者は売れ行きが芳しくない特定地域を対象とした広告を打つといった際の判断材料に使える。
EC事業者向けにプロモーションの提案も行っている。
荷主がシナプスを活用してプロモーション活動を行う際の相談にも対応する。
地域限定のSNS広告といったネット関連の広告に加え、エスプールグループのプロモーション会社と連携した商業施設やスポーツジムなどでのサンプル配布といったネット広告ではアプローチできない層へのリアルなプロモーション活動も提案できる。
「在庫」では「在庫予測テーブル」「在庫推移グラフ」「在庫状況ABC」などを利用できる。
「在庫状況ABC」は、選択した任意の商品の在庫量や回転数などをビジュアル化する。
画面上の長方形の大きさで在庫量を示し、色で回転数を表す。
赤が低回転で、青は高回転を意味している。
青色で表示された長方形の面積が大きければ、「回転数が高く、在庫量も多い」という意味だ。
売れ筋商品をしっかりと在庫した上で、欠品しないように販売できていることが分かり、適切な在庫量であることが確認できる。
一方、大きな長方形が赤色で表示されていれば「回転数が低い商品の在庫が多くある」ことが分かる。
セールなどで売り切って他の商品のためにスペースを開けるといった措置が必要になる。
「ビジュアル化することで、倉庫の状態がどうなっているのかが一目で分かるようにした。
利用しているクライアントからも高い評価を得ている。
SKU数と出荷量が一定以上あるEC事業者はシナプスの導入効果が特に高い」とエスプールロジスティクスの小林正憲社長執行役員は話す。
どこからでもアクセスできるセキュアな環境を構築しているので、データに基づいた意思決定が場所を選ばずに行える。
プライバシーマークも取得しており、各種情報管理も万全だ。
今後はAIを活用した機能をシナプスに追加することも検討している。
売り上げや出荷傾向の予測に加えて、施策の実施による数値の変化を算出する機能を構想している。
ロジメーターで倉庫を金額管理 シナプスが荷主の売上高拡大をサポートすることを目的とする倉庫の可視化ツールであるのに対して、同社が物流センターの稼働状況の管理に活用している倉庫作業可視化ツールがKURANDOの「ロジメーター」だ。
ロジメーターを用いて日次の損益計算書を作成し、各物流現場を金額で管理している。
汎用センターで荷主ごとの損益を把握するためには、荷役作業の人件費を荷主別に集計しなければならない。
荷主ごとに単価は異なり、スタッフによって人件費も違うため、正確な数値を算出するには、どの荷主の作業をどのスタッフがどれだけの時間行ったのか計測する必要がある。
人手で行うことが難しいため、ロジメーターを用いている。
ロジメーターを導入した物流現場では庫内スタッフが「検品・梱包」「仕分け」「ピッキング」などの中から作業内容を選択し、携行しているQRコードをタブレットなどにかざして作業を始めれば、コストや作業時間といった数値を荷主ごとに蓄積してくれる。
庫内スタッフはそれぞれ時給が違うので各スタッフをユニーク名で登録し、作業コストの正確な内容が荷主ごとに割り振られていく。
各スタッフの人件費がどの荷主に対してどれだけの時間割り振られているかを収集することが主目的なので、庫内スタッフは作業対象の荷主が変わるごとにQRコードによる切り替えを行うようオペレーションを組み立てている。
こうして荷役作業のコストの詳細を収集した上で、管理者が売り上げ、作業数量、出荷数量、販管費などを入力すれば、荷主ごとの費用、売り上げ、利益、利益率などが把握できる。
このデータは庫内スタッフの機動的な転換を行う際の判断材料にも活用している。
同社の倉庫では毎日14時ごろに当日の出荷情報が確定する。
その段階でマネージャーによるミーティングを行い、現場への応援などを検討する。
小林社長は「当社のセンター運営のコンセプトは『物流を金額化して、金額でみる』だ」という。
シナプスで売り上げを伸ばし、ロジメーターで『日々PL』を作成して庫内の原価を下げる。
この二つの相乗効果で利益率が上がる。
そうした現場をいくつも作り上げていくことで会社全体を成長させる、という発想だ。
「倉庫運営ではこれからも明確に金額と利益率を追い求めていく」と小林社長は語り、可視化ツールの活用をさらに高度化させていく方針だ。
