2023年7月号
特集
特集
プラント系製造業における調達物流のDX
MESとWMSの連携による物流改革
製造業における調達物流の見直しが急速に進んでいる。
とりわけ、食品・医薬品・化粧品・日用品など、原料資材を事前に調達して製造工程で混合・加工するプラント系製造業における見直しが多い。
トヨタ生産方式に従い、必要な物を、必要な時に、必要な量だけ、後工程から要求するプル型の生産管理方式を採用している製造業においては、調達物流のムダは基本的に発生しない。
しかし、それ以外のほとんどの製造量は需要予測や事前に定めた製造計画に基づいて調達して大量生産している。
そのために、どうしても予測と実需のギャップが発生する。
当社が相談を受けた大手化学品メーカーA社では、需要予測や製造計画の精度が低いことにより、過剰在庫と欠品が同時に発生する状況となっていた。
食品メーカーB社では、原材料のマスターが整備されていないために、原材料の保管スペースの算出ができない状態であった。
プラントにおける投資や改善の対象範囲は製造領域にとどまっており、物流領域には及んでいない。
自動化・省人化の投資が進む完成品の物流センターと比べて、デジタル化も思うように進まず、極端に属人化したままの状態で運用を続けている。
プラント系製造業は装置産業であり、既存の設備・システムの制約の下、いかに商品原価を下げ、大量生産するかに重きが置かれてきた。
市場が拡大している時代にはそれがよしとされた。
しかし今日の製造業には、効率性や生産性以上に柔軟性が求められるようになってきている。
とりわけ消費者向け商品を扱う製造業は消費の改廃の頻度が高く、毎週のように主軸商品をアレンジして新商品を発売しているケースもある。
それに応じて商品を構成する原材料の比率や各バッチの使用量も変化する。
管理は煩雑化して原材料の使用量の予測も難しくなる。
製造工程を中心に、物流は大きく製造の前工程にあたる「調達物流」と後工程の「完成品物流(製造工程後の完成品物流領域)」の二つに分けられる。
この二つはまったく特性が異なる。
「完成品物流」は、モノがケースもしくはパレット単位で管理されること、SKU数は原材料と比べて少なくなる傾向にあることから、業務は比較的シンプルであり、管理・運用しやすい。
荷姿は似通っており、規格化されているため、マテハンの活用による省人化もしやすい。
一方、プラント系製造業の「調達物流」で取り扱うモノは、原材料と包材がメインである。
完成品1品目に対して数十の原材料が使われることもあり、管理するSKU数は多く、液体や粉末などさまざまな形態がある。
温度帯管理やアレルギー品など特有の取り扱いが求められるものも多い。
製造工程に投入するためのピッキング作業も、不定貫品は計量が必要となるため付帯業務が増える。
しかも荷姿はフレコン、大袋、金属管など多様であり、荷扱いの複雑さから自動化が進めにくい。
そのため完成品物流よりもはるかに業務が属人化している。
その仕組みがもはや立ち行かなくなっているのである。
生産部門が管理している調達物流用の倉庫スペースには、大手メーカーの大規模工場であってもWMSさえ導入されていないことが多い。
製造工場の各生産ラインにおいて作業指示を行うのは「製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)」である。
MESには物流業務の作業指示や携帯端末による実績登録などの機能が実装されている。
そのため、MESをWMSの代わりに使用している現場が多い。
しかし、MESの機能は通常は作業帳票を出力するだけある。
ロット別・ロケーション別の在庫管理や間口単位での格納場所までは指示できない。
作業品質や生産性は現場の管理者・担当者の運用能力と判断に依存することになる。
熟練した作業者がいる間はなんとか現場は回っても、早晩限界がきてしまう。
MESを上位システムと見立てWMSを導入して、MES⇔WMSを連携させる。
もしくはMES⇔WMS⇔WES(倉庫運用システム:Warehouse Execution System)のシステム連携をとることが有効な対策となる。
動的制御による業務の平準化 システムの連携の効果を最大化するために必要となるのは、業務要件を物流要件に正しく落とし込む精度の高い設計と、運用後に発生する予実ギャップを吸収するための平準化の2点である。
そのためには、シミュレーターによる設計精度の向上と、WMS/WESの動的制御による変化への対応力をつけることが望ましい。
MESは基本的に、製造原価を抑えるために、いかにまとめて段取り替えなしに生産計画を組むかという、製造工程の最適化に重きを置いている。
しかし、全体最適の視点ではスループットを最大化するために物流を含めた工程全体をどう設計するか、という発想が重要になる。
段取り替えを少なくして、まとめて生産すれば、設備稼働率は上がり、製造原価は下がる。
しかし、そのために物流側では原材料・中間品・完成品の資材保管スペースが増える。
製造工程に投入するための計量やピッキングなど出庫作業の煩雑化も招く。
そうしたコストは通常、製造原価に反映されていない。
考慮されていても粒度が粗いことが多い。
マスター整備や物流改革に必要なデータが十分でない状態で、工場の統廃合や拠点網の再編計画を立案しなければならない場合には、専用シミュレーターを構築して、各システムやプロジェクトの検討メンバーに必要な情報をインプットできる環境を整えるのが有効である。
実際のプロジェクトでは、(本来は避けるべきことだが)前提条件が未確定なまま検討を進めたり、さまざまな事情で後から新たな検討軸が追加されたりすることが多い。
前提条件自体を見直し、プロジェクトの方向性や具体的な施策の検討を繰り返し行うことになる。
商品の改廃や商品ライフサイクル、事業環境の変化に応じてその都度、原材料や完成品の構成比・物量変化をシミュレーターで算出して、インプット情報として提供する環境を整備することで、軌道修正や対策にスピーディーに取り組める。
プロジェクトメンバーの認識をあわせながら、建設的な議論にリソースを注力することができるようになる。
また、シミュレーターの導入により、再試算を行う人的リソースを別のタスクに再配分できる。
マスター不備の修正情報をシミュレーターという器に蓄積して、整流化・標準化しておくことで、別のプロジェクトに再利用することも可能になる。
正しい制度設計により工程全体が最適化されても、製品ライフサイクルの短期化、原材料調達の遅延、有事によるライフラインの寸断など、実運用においては常に想定外のことが起きる。
計画外の環境変化があっても、その影響が物流現場で顕在化する前に予兆を感知して、影響を算出する仕組みがあれば、現場の負荷は下がり、レジリエンスが高くなる。
こうした際に効果を発揮するのがWMS/WESの「動的制御」である。
大きな変化のない安定した市場であれば、与えられたインプットに対して画一的なアウトプットを出すシステムでも大きな問題はない。
しかし、そうでない場合にはアウトプットを変えていく必要がある。
全体最適とは、各工程の処理スピードを同期化することである。
そのために各工程間を通過させる物量と各工程におけるリソースの割り当てを調整してスループットを高めていく。
それが動的制御である。
そのために各工程に流れるデータをシステムが常時モニタリングして、流量が一定となる推奨値を提示する。
その結果、現場は意思決定に集中できる。
さらには判断業務をシステム側に寄せていく。
その意思決定を自動化機器と連携することで、作業だけではなく管理面でも自動化が進む。
属人化を離れてオペレーションを下支えできるようになる。
本気のデータ整備が改革の第一歩 その前提となるのが、必要なデータが、必要な時に必要な状態で利用できる環境である。
作業量や保管量を算出するのに基礎情報として必要なデータは、後工程から前工程に逆引きする。
製造計画を検討する際のインプットは完成品の出荷需要(予測含む)と在庫量であり、原材料の出庫指示のインプットは製造計画、原材料の発注量を決めるインプットは原材料の出庫指示および在庫量である。
調達物流は製造工程の情報を逆引きする。
製造業においては、製品ライフサイクルの全体管理のためのPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)システムにより、製品の企画から製品設計、工程設計、生産準備に至る一連の業務プロセス、すなわちエンジニアリングチェーンの情報が統合管理されている。
「BOM(Bill of Materials)」と呼ばれる部品表をマスターとして、各製造品目における原材料の構成や必要分量の対応関係を把握する。
実際の製造はBOMと製造工程や設備などから構成された「BOP(Bill of Process:製造プロセス情報)」を用いて進められる。
そこから製造工程に隣接する物流工程のデータを抽出できる。
しかし、原材料データに関しては、精度が悪いだけでなく、データ化自体が行われず、書面管理にとどまっているなどの理由から、利活用できていないことが多い。
製造時の品質問題にもつながるリスクが内在していることもあるため、早急に解決すべき問題である。
したがって、こうした課題を抱える製造業が最初にやるべきなのは物流領域まで含めたデータ整備である。
一見遠回りのようでも、正しい情報を元に検証・検討を進めるという、当たり前のことができなければ、スムーズに改革を進めることはできない。
21世紀の産業はデータが原材料である。
データの利活用が事業成長を牽引し変革を実現する。
必要な範囲かつ必要な粒度のデータを保持することは、物流の効率化にとっても必須条件である。
新しいプロジェクトに取り組む際には、その前にデータを正しく取得できる状況であるのか確認しておく必要がある。
ここで大事なのは利活用できるレベルでデータの型・桁が揃っていることである。
それがスムーズにプロジェクトを進めるうえで必要になる。
多くの企業において、データ管理は20世紀の状態のまま放置されている。
データ整備には手間がかかり、すぐに目に見える効果が表れるとは限らないため、投資や取り組みに後ろ向きになりがちである。
しかし、筆者の知る限り、改革を成功させた企業はすべからくデータ整備に取り組んでいる。
そうした企業も当初からデータの重要性とその課題の大きさに気付いていたわけではない。
プロジェクトを進めていく中、本質的な問題としてまずはデータの整備に取り組むべきだという結論に至ることが多い。
少しずつでも、できるところからデータ整備を始めることが改革の第一歩となる。
データ整備によって得られる効果は非常に大きい。
シミュレーションツールによる設計精度の向上や、動的制御による対応力の強化が可能にある。
現場の全体最適をより前進させることができる。
データ整備は企業風土を変えるきっかけにもなる。
これまで特定の個人に依存して、個人の中に閉じていた情報を、利活用できるようにオープンな形で登録・収集・管理できるようにしていく。
その活動自体が多くの関係者間の協力体制を構築する。
データを媒介にして組織に横串を通すことになる。
とりわけ、食品・医薬品・化粧品・日用品など、原料資材を事前に調達して製造工程で混合・加工するプラント系製造業における見直しが多い。
トヨタ生産方式に従い、必要な物を、必要な時に、必要な量だけ、後工程から要求するプル型の生産管理方式を採用している製造業においては、調達物流のムダは基本的に発生しない。
しかし、それ以外のほとんどの製造量は需要予測や事前に定めた製造計画に基づいて調達して大量生産している。
そのために、どうしても予測と実需のギャップが発生する。
当社が相談を受けた大手化学品メーカーA社では、需要予測や製造計画の精度が低いことにより、過剰在庫と欠品が同時に発生する状況となっていた。
食品メーカーB社では、原材料のマスターが整備されていないために、原材料の保管スペースの算出ができない状態であった。
プラントにおける投資や改善の対象範囲は製造領域にとどまっており、物流領域には及んでいない。
自動化・省人化の投資が進む完成品の物流センターと比べて、デジタル化も思うように進まず、極端に属人化したままの状態で運用を続けている。
プラント系製造業は装置産業であり、既存の設備・システムの制約の下、いかに商品原価を下げ、大量生産するかに重きが置かれてきた。
市場が拡大している時代にはそれがよしとされた。
しかし今日の製造業には、効率性や生産性以上に柔軟性が求められるようになってきている。
とりわけ消費者向け商品を扱う製造業は消費の改廃の頻度が高く、毎週のように主軸商品をアレンジして新商品を発売しているケースもある。
それに応じて商品を構成する原材料の比率や各バッチの使用量も変化する。
管理は煩雑化して原材料の使用量の予測も難しくなる。
製造工程を中心に、物流は大きく製造の前工程にあたる「調達物流」と後工程の「完成品物流(製造工程後の完成品物流領域)」の二つに分けられる。
この二つはまったく特性が異なる。
「完成品物流」は、モノがケースもしくはパレット単位で管理されること、SKU数は原材料と比べて少なくなる傾向にあることから、業務は比較的シンプルであり、管理・運用しやすい。
荷姿は似通っており、規格化されているため、マテハンの活用による省人化もしやすい。
一方、プラント系製造業の「調達物流」で取り扱うモノは、原材料と包材がメインである。
完成品1品目に対して数十の原材料が使われることもあり、管理するSKU数は多く、液体や粉末などさまざまな形態がある。
温度帯管理やアレルギー品など特有の取り扱いが求められるものも多い。
製造工程に投入するためのピッキング作業も、不定貫品は計量が必要となるため付帯業務が増える。
しかも荷姿はフレコン、大袋、金属管など多様であり、荷扱いの複雑さから自動化が進めにくい。
そのため完成品物流よりもはるかに業務が属人化している。
その仕組みがもはや立ち行かなくなっているのである。
生産部門が管理している調達物流用の倉庫スペースには、大手メーカーの大規模工場であってもWMSさえ導入されていないことが多い。
製造工場の各生産ラインにおいて作業指示を行うのは「製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)」である。
MESには物流業務の作業指示や携帯端末による実績登録などの機能が実装されている。
そのため、MESをWMSの代わりに使用している現場が多い。
しかし、MESの機能は通常は作業帳票を出力するだけある。
ロット別・ロケーション別の在庫管理や間口単位での格納場所までは指示できない。
作業品質や生産性は現場の管理者・担当者の運用能力と判断に依存することになる。
熟練した作業者がいる間はなんとか現場は回っても、早晩限界がきてしまう。
MESを上位システムと見立てWMSを導入して、MES⇔WMSを連携させる。
もしくはMES⇔WMS⇔WES(倉庫運用システム:Warehouse Execution System)のシステム連携をとることが有効な対策となる。
動的制御による業務の平準化 システムの連携の効果を最大化するために必要となるのは、業務要件を物流要件に正しく落とし込む精度の高い設計と、運用後に発生する予実ギャップを吸収するための平準化の2点である。
そのためには、シミュレーターによる設計精度の向上と、WMS/WESの動的制御による変化への対応力をつけることが望ましい。
MESは基本的に、製造原価を抑えるために、いかにまとめて段取り替えなしに生産計画を組むかという、製造工程の最適化に重きを置いている。
しかし、全体最適の視点ではスループットを最大化するために物流を含めた工程全体をどう設計するか、という発想が重要になる。
段取り替えを少なくして、まとめて生産すれば、設備稼働率は上がり、製造原価は下がる。
しかし、そのために物流側では原材料・中間品・完成品の資材保管スペースが増える。
製造工程に投入するための計量やピッキングなど出庫作業の煩雑化も招く。
そうしたコストは通常、製造原価に反映されていない。
考慮されていても粒度が粗いことが多い。
マスター整備や物流改革に必要なデータが十分でない状態で、工場の統廃合や拠点網の再編計画を立案しなければならない場合には、専用シミュレーターを構築して、各システムやプロジェクトの検討メンバーに必要な情報をインプットできる環境を整えるのが有効である。
実際のプロジェクトでは、(本来は避けるべきことだが)前提条件が未確定なまま検討を進めたり、さまざまな事情で後から新たな検討軸が追加されたりすることが多い。
前提条件自体を見直し、プロジェクトの方向性や具体的な施策の検討を繰り返し行うことになる。
商品の改廃や商品ライフサイクル、事業環境の変化に応じてその都度、原材料や完成品の構成比・物量変化をシミュレーターで算出して、インプット情報として提供する環境を整備することで、軌道修正や対策にスピーディーに取り組める。
プロジェクトメンバーの認識をあわせながら、建設的な議論にリソースを注力することができるようになる。
また、シミュレーターの導入により、再試算を行う人的リソースを別のタスクに再配分できる。
マスター不備の修正情報をシミュレーターという器に蓄積して、整流化・標準化しておくことで、別のプロジェクトに再利用することも可能になる。
正しい制度設計により工程全体が最適化されても、製品ライフサイクルの短期化、原材料調達の遅延、有事によるライフラインの寸断など、実運用においては常に想定外のことが起きる。
計画外の環境変化があっても、その影響が物流現場で顕在化する前に予兆を感知して、影響を算出する仕組みがあれば、現場の負荷は下がり、レジリエンスが高くなる。
こうした際に効果を発揮するのがWMS/WESの「動的制御」である。
大きな変化のない安定した市場であれば、与えられたインプットに対して画一的なアウトプットを出すシステムでも大きな問題はない。
しかし、そうでない場合にはアウトプットを変えていく必要がある。
全体最適とは、各工程の処理スピードを同期化することである。
そのために各工程間を通過させる物量と各工程におけるリソースの割り当てを調整してスループットを高めていく。
それが動的制御である。
そのために各工程に流れるデータをシステムが常時モニタリングして、流量が一定となる推奨値を提示する。
その結果、現場は意思決定に集中できる。
さらには判断業務をシステム側に寄せていく。
その意思決定を自動化機器と連携することで、作業だけではなく管理面でも自動化が進む。
属人化を離れてオペレーションを下支えできるようになる。
本気のデータ整備が改革の第一歩 その前提となるのが、必要なデータが、必要な時に必要な状態で利用できる環境である。
作業量や保管量を算出するのに基礎情報として必要なデータは、後工程から前工程に逆引きする。
製造計画を検討する際のインプットは完成品の出荷需要(予測含む)と在庫量であり、原材料の出庫指示のインプットは製造計画、原材料の発注量を決めるインプットは原材料の出庫指示および在庫量である。
調達物流は製造工程の情報を逆引きする。
製造業においては、製品ライフサイクルの全体管理のためのPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)システムにより、製品の企画から製品設計、工程設計、生産準備に至る一連の業務プロセス、すなわちエンジニアリングチェーンの情報が統合管理されている。
「BOM(Bill of Materials)」と呼ばれる部品表をマスターとして、各製造品目における原材料の構成や必要分量の対応関係を把握する。
実際の製造はBOMと製造工程や設備などから構成された「BOP(Bill of Process:製造プロセス情報)」を用いて進められる。
そこから製造工程に隣接する物流工程のデータを抽出できる。
しかし、原材料データに関しては、精度が悪いだけでなく、データ化自体が行われず、書面管理にとどまっているなどの理由から、利活用できていないことが多い。
製造時の品質問題にもつながるリスクが内在していることもあるため、早急に解決すべき問題である。
したがって、こうした課題を抱える製造業が最初にやるべきなのは物流領域まで含めたデータ整備である。
一見遠回りのようでも、正しい情報を元に検証・検討を進めるという、当たり前のことができなければ、スムーズに改革を進めることはできない。
21世紀の産業はデータが原材料である。
データの利活用が事業成長を牽引し変革を実現する。
必要な範囲かつ必要な粒度のデータを保持することは、物流の効率化にとっても必須条件である。
新しいプロジェクトに取り組む際には、その前にデータを正しく取得できる状況であるのか確認しておく必要がある。
ここで大事なのは利活用できるレベルでデータの型・桁が揃っていることである。
それがスムーズにプロジェクトを進めるうえで必要になる。
多くの企業において、データ管理は20世紀の状態のまま放置されている。
データ整備には手間がかかり、すぐに目に見える効果が表れるとは限らないため、投資や取り組みに後ろ向きになりがちである。
しかし、筆者の知る限り、改革を成功させた企業はすべからくデータ整備に取り組んでいる。
そうした企業も当初からデータの重要性とその課題の大きさに気付いていたわけではない。
プロジェクトを進めていく中、本質的な問題としてまずはデータの整備に取り組むべきだという結論に至ることが多い。
少しずつでも、できるところからデータ整備を始めることが改革の第一歩となる。
データ整備によって得られる効果は非常に大きい。
シミュレーションツールによる設計精度の向上や、動的制御による対応力の強化が可能にある。
現場の全体最適をより前進させることができる。
データ整備は企業風土を変えるきっかけにもなる。
これまで特定の個人に依存して、個人の中に閉じていた情報を、利活用できるようにオープンな形で登録・収集・管理できるようにしていく。
その活動自体が多くの関係者間の協力体制を構築する。
データを媒介にして組織に横串を通すことになる。
