2023年8月号
特集
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イケア・ジャパン 名古屋から全国各地にインターモーダル輸送
物流効率化などで適正価格維持
イケア(IKEA)は世界最大の家具量販店だ。
2022年8月期のグループ売上高は446億ユーロ(約6兆円)。
全世界で60以上の市場に約460店舗を展開している。
1943年にスウェーデンで創業。
デザイン性の高い商品を、手ごろな価格で販売して若い世代を中心に人気を集め、欧州から北米、アジアへと市場を広げていった。
日本法人のイケア・ジャパンは2002年に発足した。
06年に日本1号店を千葉県船橋市にオープン。
現在は全国12カ所に店舗を構えている。
中軸とする郊外型の大規模店に加えて、近年は東京の原宿や渋谷、新宿にコンパクトなサイズの都心型店舗を展開するなど事業を成長させている。
同社は物流コストを抑制するため、コンテナサイズに合わせて規格化した「フラットパック」と呼ぶ段ボール箱に商品の荷姿を統一。
設計から製造、物流、店頭での陳列方法に至るまでユニットロードを徹底している。
欧州企業らしく環境保護にも積極的だ。
グループ全体でSDGs(国連の持続可能な開発計画)を重視し、再生可能エネルギー由来の電力利用、環境負荷の低い商品の開発などを積極的に推進して事業のサステナビリティ(持続可能性)向上に注力している。
物流面でもゼロエミッション(温室効果ガス排出実質ゼロ)を視野に入れている。
海上輸送に用いる船舶の燃料には環境負荷の低いものを採用。
昨年は非営利の国際環境保護組織「The Climate Group(ザ・クライメイト・グループ)」が主導する「EV100+」への参加を表明、使用する中・大型車両をEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)に切り替えていく方針を打ち出した。
ただし、イケア・ジャパンのペトラ・ファーレ社長兼CSO(最高サステナビリティ責任者)は「サステナブルな行動は私たちの暮らしをダウングレードさせるものだと捉えられてはいけない。
サステナブルな商品や暮らしはプレミアムな価格が付いてもいけないし、より多くの方々にとって手ごろな価格でなければならない」と説明。
コストの上昇が厳しい中でも、物流の効率化などで商品の適正価格を維持して環境負荷低減を両立させる姿勢を強調する。
イケア・ジャパンでは以前からEV車両を投入してきた。
今年5月現在、自社配送で6台、大型商品配送で1台を運用している。
大型商品配送用のEVトラックは、配送パートナーのSGホールディングスグループのSGムービングがイケア・ジャパンの配送業務へ優先的に投入している。
イケアグループは日本を含む世界の各エリアで、25年までにラストワンマイルのゼロエミッション配送100%を実現することを目標に掲げている。
イケア・ジャパンの岡本有加Fulfilment Sourcing Managerは「決して楽な目標ではないが、順次(EV車両の)台数を広げていきながら達成できるよう努めていく」と力を込める。
大型商品を購入者が好きなタイミングで引き取ることができる専用ポイント「商品受け取りセンター」を各地に設置、ラストワンマイル配送の負荷軽減を進めている。
同センターは19年3月の札幌からスタートし、現在は青森や福島、静岡、茨城、広島、山口、熊本など20カ所以上に到達。
商品を受け取る際の料金は通常配送より割安に設定していることもあり、着実に利用が広がっている。
顧客が商品を受け取る際に「置き配」を選択できるようにして再配達の削減を促進。
現状では配達件数全体の約4割で使われている。
日本各地の店舗に届ける長距離輸送に関しても、サステナビリティを重視している。
イケア・ジャパンは名古屋港から10数キロメートルの愛知県弥富市に在庫拠点を構えている。
延床面積は拡張分も合わせて8万平方メートル超で、中国などのサプライヤーから輸入した商品をいったん倉庫に集めた後、各地の店舗へ発送している。
弥富の倉庫は売れ筋の商品を中心に取り扱っており、それ以外の商品は店舗があるエリアの近隣港へ直接輸送している。
イケア・ジャパングループで倉庫の運営を手掛けているイケア・ディストリビューションサービスの川合健一Supply Operations Developerは弥富市の倉庫から各店舗への商品輸送に関し「トラックの長距離輸送は非常にドライバーの負担が大きく、今の時代には合わない。
陸送だけに頼り過ぎずインターモーダル(異なったモードの輸送組み合わせ)を活用して効率的に商品を運ぶ仕組みを目指している」と言う。
イケア・ジャパンは10年以上前から鉄道貨物や内航海運の利用を積極的に進めてきた。
09年にはモーダルシフトを推進する国土交通省の「エコシップマーク制度」で優良事業者の中の1社として表彰されている。
「2024年問題」が顕在化するはるか前から、トラックだけに頼らない長距離輸送を実践してきた。
鉄道、フェリー、RORO船を活用 現在の基本的な輸送ルートは関東向けの場合、名古屋港からRORO船を使って神奈川の川崎港まで搬送した上で、各店舗まで陸送している。
名古屋から直接トラックで運ぶよりもドライバーの拘束時間を大幅に短くできる上、温室効果ガスの排出も抑えられる。
福岡県内に大型店舗がある九州向けはJR貨物とRORO船を適宜活用。
仙台に大型店舗を構えている東北向けは名古屋港から北海道の苫小牧港向けフェリーを使い、途中の仙台で降ろして店舗へ陸送している。
海上輸送は天候の影響を受けやすいため、悪天候が見込まれる場合はなるべく前倒しで、一部のコースをトラック輸送で代替するなどの対応を講じ、混乱を回避するよう努めている。
イケア・ジャパンは24年に北関東で初となる大型店舗を群馬県前橋市にオープンさせる計画だ。
この新店舗への商品供給も名古屋港から内航船で川崎港まで運んだ上で陸送するという基本パターンを踏襲するもようだ。
ただし、川崎港から前橋市までは距離があるため、川合氏は「1回当たりのトラック輸送が長距離にならないよう、何らかの工夫が必要」と、協力輸送会社などと対応を協議している。
荷物を降ろした後の空の輸入コンテナを有効活用するラウンドユースも検討中だ。
川合氏は「ラウンドユースは試験的にやったことはあるが、いろいろと考えなければいけないポイントがあるので、他の企業と協力していきたい。
トラックドライバー不足にも対応できればいいと思っている」と語る。
他社との共同物流も視野に入れている。
イケア・ジャパンの平山絵梨Country Sustainability Managerは「どの区間で実施するかなど、細かいことはまだ決まっていないが、サステナビリティを高める上では有効な施策。
ハードルは低くないがぜひ検討していきたい」と説明。
物流の持続可能性をさらに突き詰めていこうとしている。
2022年8月期のグループ売上高は446億ユーロ(約6兆円)。
全世界で60以上の市場に約460店舗を展開している。
1943年にスウェーデンで創業。
デザイン性の高い商品を、手ごろな価格で販売して若い世代を中心に人気を集め、欧州から北米、アジアへと市場を広げていった。
日本法人のイケア・ジャパンは2002年に発足した。
06年に日本1号店を千葉県船橋市にオープン。
現在は全国12カ所に店舗を構えている。
中軸とする郊外型の大規模店に加えて、近年は東京の原宿や渋谷、新宿にコンパクトなサイズの都心型店舗を展開するなど事業を成長させている。
同社は物流コストを抑制するため、コンテナサイズに合わせて規格化した「フラットパック」と呼ぶ段ボール箱に商品の荷姿を統一。
設計から製造、物流、店頭での陳列方法に至るまでユニットロードを徹底している。
欧州企業らしく環境保護にも積極的だ。
グループ全体でSDGs(国連の持続可能な開発計画)を重視し、再生可能エネルギー由来の電力利用、環境負荷の低い商品の開発などを積極的に推進して事業のサステナビリティ(持続可能性)向上に注力している。
物流面でもゼロエミッション(温室効果ガス排出実質ゼロ)を視野に入れている。
海上輸送に用いる船舶の燃料には環境負荷の低いものを採用。
昨年は非営利の国際環境保護組織「The Climate Group(ザ・クライメイト・グループ)」が主導する「EV100+」への参加を表明、使用する中・大型車両をEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)に切り替えていく方針を打ち出した。
ただし、イケア・ジャパンのペトラ・ファーレ社長兼CSO(最高サステナビリティ責任者)は「サステナブルな行動は私たちの暮らしをダウングレードさせるものだと捉えられてはいけない。
サステナブルな商品や暮らしはプレミアムな価格が付いてもいけないし、より多くの方々にとって手ごろな価格でなければならない」と説明。
コストの上昇が厳しい中でも、物流の効率化などで商品の適正価格を維持して環境負荷低減を両立させる姿勢を強調する。
イケア・ジャパンでは以前からEV車両を投入してきた。
今年5月現在、自社配送で6台、大型商品配送で1台を運用している。
大型商品配送用のEVトラックは、配送パートナーのSGホールディングスグループのSGムービングがイケア・ジャパンの配送業務へ優先的に投入している。
イケアグループは日本を含む世界の各エリアで、25年までにラストワンマイルのゼロエミッション配送100%を実現することを目標に掲げている。
イケア・ジャパンの岡本有加Fulfilment Sourcing Managerは「決して楽な目標ではないが、順次(EV車両の)台数を広げていきながら達成できるよう努めていく」と力を込める。
大型商品を購入者が好きなタイミングで引き取ることができる専用ポイント「商品受け取りセンター」を各地に設置、ラストワンマイル配送の負荷軽減を進めている。
同センターは19年3月の札幌からスタートし、現在は青森や福島、静岡、茨城、広島、山口、熊本など20カ所以上に到達。
商品を受け取る際の料金は通常配送より割安に設定していることもあり、着実に利用が広がっている。
顧客が商品を受け取る際に「置き配」を選択できるようにして再配達の削減を促進。
現状では配達件数全体の約4割で使われている。
日本各地の店舗に届ける長距離輸送に関しても、サステナビリティを重視している。
イケア・ジャパンは名古屋港から10数キロメートルの愛知県弥富市に在庫拠点を構えている。
延床面積は拡張分も合わせて8万平方メートル超で、中国などのサプライヤーから輸入した商品をいったん倉庫に集めた後、各地の店舗へ発送している。
弥富の倉庫は売れ筋の商品を中心に取り扱っており、それ以外の商品は店舗があるエリアの近隣港へ直接輸送している。
イケア・ジャパングループで倉庫の運営を手掛けているイケア・ディストリビューションサービスの川合健一Supply Operations Developerは弥富市の倉庫から各店舗への商品輸送に関し「トラックの長距離輸送は非常にドライバーの負担が大きく、今の時代には合わない。
陸送だけに頼り過ぎずインターモーダル(異なったモードの輸送組み合わせ)を活用して効率的に商品を運ぶ仕組みを目指している」と言う。
イケア・ジャパンは10年以上前から鉄道貨物や内航海運の利用を積極的に進めてきた。
09年にはモーダルシフトを推進する国土交通省の「エコシップマーク制度」で優良事業者の中の1社として表彰されている。
「2024年問題」が顕在化するはるか前から、トラックだけに頼らない長距離輸送を実践してきた。
鉄道、フェリー、RORO船を活用 現在の基本的な輸送ルートは関東向けの場合、名古屋港からRORO船を使って神奈川の川崎港まで搬送した上で、各店舗まで陸送している。
名古屋から直接トラックで運ぶよりもドライバーの拘束時間を大幅に短くできる上、温室効果ガスの排出も抑えられる。
福岡県内に大型店舗がある九州向けはJR貨物とRORO船を適宜活用。
仙台に大型店舗を構えている東北向けは名古屋港から北海道の苫小牧港向けフェリーを使い、途中の仙台で降ろして店舗へ陸送している。
海上輸送は天候の影響を受けやすいため、悪天候が見込まれる場合はなるべく前倒しで、一部のコースをトラック輸送で代替するなどの対応を講じ、混乱を回避するよう努めている。
イケア・ジャパンは24年に北関東で初となる大型店舗を群馬県前橋市にオープンさせる計画だ。
この新店舗への商品供給も名古屋港から内航船で川崎港まで運んだ上で陸送するという基本パターンを踏襲するもようだ。
ただし、川崎港から前橋市までは距離があるため、川合氏は「1回当たりのトラック輸送が長距離にならないよう、何らかの工夫が必要」と、協力輸送会社などと対応を協議している。
荷物を降ろした後の空の輸入コンテナを有効活用するラウンドユースも検討中だ。
川合氏は「ラウンドユースは試験的にやったことはあるが、いろいろと考えなければいけないポイントがあるので、他の企業と協力していきたい。
トラックドライバー不足にも対応できればいいと思っている」と語る。
他社との共同物流も視野に入れている。
イケア・ジャパンの平山絵梨Country Sustainability Managerは「どの区間で実施するかなど、細かいことはまだ決まっていないが、サステナビリティを高める上では有効な施策。
ハードルは低くないがぜひ検討していきたい」と説明。
物流の持続可能性をさらに突き詰めていこうとしている。
