2005年3月号
特集
特集
物流資産は誰が持つ プロロジス利用者の損得計算
MARCH 2005 18松下電器グル プ 専用拠点新設松下電器産業の物流子会社 松下ロジステ クスは二〇〇三年四月 千葉県浦安に専用センタ を稼働した 敷地面積約一万六〇〇〇平方メ トル 延べ床面積二万八〇〇〇平方メ トル 六階建ての大型センタ だ 土地と建物はプロロジスが所有している 同センタ とは別に松下ロジステ クスは一九八一年から浦安に物流センタ を構えている だが物流に求められる機能が従来の保管型からスル 型に移行するのに伴い 既存施設は機能的な限界に達していた 取扱物量という点でもパンクしつつあ た 二〇〇〇年頃になると このエリアで新たな物流拠点を確保することが急務にな ていた も とも近年の松下電器グル プは 物流資産を自社では持たない方針を鮮明にしている 松下電器産業・物流統括グル プの今村元則グル プマネジ は 実際にいま持 ているかどうかは別にして 今後は自社の資産としては持たない 現状はいかにして身軽になるかを考えている段階 こうした考え方は中村社長にな てから一層明確にな た と説明する そのため浦安で新たな物流拠点を探すときにも 自分たちで資産を保有するという選択肢は端からなか た この方針を前提に 1必要な機能 2そのための設備 3短い契約期間 4リ ズナブルな賃料 という四条件を満たす物件を探したのだが なかなか見つからない 従来型の営業倉庫は保管型を前提としている物件がほとんど 松下が望む要件を満たすには結局 新設するしかなか た だが短い契約年数で物件を新設させようとすれば賃料がどうしても高くな てしまう そんな悩みを抱えていた時に浦安の既存物件から一キロ弱の土地が空くという情報が JFEシビル 旧川崎製鉄系の建設会社 によ てもたらされた もともとJFEの物流センタ があ た土地で これをケネデ ・ウ ルソン・ジ パンも絡んでプロロジスに売却することが決ま た その跡地に松下ロジステ クス専用の拠点を新設するから入居しないかというオフ だ た 経験したことのない物流不動産の枠組みだ ただけに当初は疑心暗鬼だ た 決裁する立場から契約の要所に立ち会 てきた松下電器の今村グル プマネジ は当時 なじみのないプロロジスという会社やそのビジネスモデルについて かなりの労力を費やして調べたという しかし建設自体は信用と実績のあるJFEシビルが手掛け 契約期間についても従来型の営業倉庫と比べると大幅に短かくなりそうだ た 三六五日・二四時間という稼働条件もクリアできる 調べれば調べるほど悪い話ではないことが分か た すでに倉庫業者などを相手に 昔ながらの手法で物件を探していたのだが 希望通りの物件が見つからなか た これに対してプロロジスからは 仕様にしても 賃料にしても 契約期間にしても 我々の要望に応えようという姿勢を感じた と今村グル プマネジ は当時を振り返る こうした感想は プロロジスと契約を交わしたテナント企業の大半に共通している 複数のプロロジスの物件に入居しているある企業の担当者は 正直い て最初はうさん臭い会社だと思 ていた だが我々が最初に入居した物件で指摘した点が 数カ月後に竣工した別の物件で改善されていたのには驚いた と証言する 結局 松下ロジステ クスは二〇〇二年にプロロジプロロジス利用者の損得計算欧米市場では3PLが、不動産投資ファンドのテナントとして圧倒的なシェアを占めている。
これに対して日本では荷主企業や物流子会社が不動産投資ファンドを利用するケースが目立つ。
プロロジスの施設を利用する荷主企業に、その損得勘定をたずねた。
(岡山宏之)第4部物流資産は誰が持つ 特集 19 MARCH 2005スと契約を交わした プロロジスにと てはDHLジ パンに続く国内で二番目となる案件だ た このとき松下サイドが評価したポイントは 自分たちが追求する 持たざる経営 のパ トナ としてプロロジスが機能してくれる点だ た しかも既存の倉庫業にはないレベルで要望を聞き入れてくれたことが 判断を後押しした 良品計画 オ ナ チ ンジ松下ロジステ クスの浦安の物流拠点からわずか数百メ トルの立地に 無印良品ブランドを展開する良品計画の大型物流センタ がある かつてこの一帯は旧川崎製鉄グル プの所有地だ た それが川鉄とNKKが二〇〇二年九月に経営統合を決めたことから大きく動いた 経営統合を前に総資産の圧縮と有利子負債の削減を進める一環として 川鉄グル プが資産売却を急いだためだ このとき川鉄商事は 浦安の約六五〇〇〇平方メ トルの敷地に建てられていた複数の営業倉庫を手放した このうち一部の棟 B C棟 延べ床面積三万三〇〇〇平方メ トル に入居していたのが良品計画だ た この施設は 九〇年代後半に拠点集約のための大型物件を探していた良品計画に対し 川鉄商事の子会社である川商倉庫が土地・建物を提供して建てたものだ 当然 まだ賃貸借契約の途中だ たが 親会社の都合で売却されることにな た その買い手がプロロジスだ た プロロジスにと ては 国内で二カ所目となる既存物件の買収だ た も ともこの物件には テナントである良品計画も建設協力金などを数十億円投じていた それだけに 経済的条件も含めて川商倉庫さんと交わしていた契約の条件を踏襲してもらうことが プロロジス側に我々が提示した基本的な条件だ た 良品計画の小森孝情報システム担当部長 新設物件にはない交渉が発生した 松下ロジステ クスのケ スとは違い 良品計画の場合は オ ナ の物件譲渡によ て降 てわいたようにプロロジスとの付き合いが始ま た それだけに川商倉庫からオ ナ 交代を告げられときには少なからず不安を感じたという とりわけ建物の保全がどうなるのかが問題だ た あそこは埋め立て地で海辺のため サビも出れば地盤沈下もある 長期的にみたら保全が欠かせない これをどうするかが一番大きか た 小森部長 良品計画が九八年にこの物件を選んだ背景には 日本有数の鉄鋼メ カ である川鉄がバ クにいる安心感があ た それが日本で事業をスタ トして間もない外資系企業に変わるという 一抹の不安を抱えながらも これまでと同等の条件 を前提にプロロジスとの契約を新たに交わした その後 引き継ぎ期間が短か たせいか 川商倉庫ほど小回りが利かないという歯がゆさこそ感じたが プロロジスとの関係はおおむね良好だ 今後は 調達業務を中心に利用している新潟の物流拠点との役割分担の見直しを検討したい これが可能になればもう一段のコスト削減につながるはず と良品計画の柴嶺哲流通推進担当部長は新たな課題を見据えている ナイガイ セ ルス&リ スバ ク本特集の第二部でも取り上げたように 物流資産の常識を変えた要因の一つに減損会計がある なかでも八〇年代半ば以後に物流施設を購入した企業が資産戦略の変更を迫られた 老舗アパレルメ カ のナイガイが まさにこのケ スだ た 良品計画の柴嶺哲流通推進担当部長新木場 浦 安 辰 巳 東 海 福 崎 加 須 杉戸1 三 郷 2002年9月 2003年4月 2003年9月 2004年7月 2004年8月 2005年3月 2005年7月 2006年1月 11,223 16,054 6,502 18,991 40,467 38,278 48,237 36,000 19,676 28,344 12,926 32,313 26,447 57,992 58,918 47,000 DHLジャパン 松下ロジスティクス 日本通運 アスクル 日本通運 日立物流 センコー 西友 既存施設買収 専用施設新設 竣工 敷地面積 (平方m) 延床面積 (平方m) テナント 新 砂 八王子 越 谷 習志野 浦安2 三 田 1987年 1972年 1987年 1989年 1989年 1996年 22,831 11,547 7,922 14,047 24,445 13,056 44,893 15,422 9,202 23,564 32,951 19,485 日本通運 三洋電機ロジスティクス ナイガイ Human21(日本通運) 良品計画 ナイガイ プロロジスパーク《専用施設&既存施設》 松下電器産業・物流統括グループの今村元則グループマネージャー良品計画の小森孝情報システム担当部長※プロロジスのサイトより本誌が作成MARCH 2005 20ナイガイは二〇〇四年九月に兵庫県三田にある自社保有の物流拠点 ナイガイフ シ ンセンタ の減損処理を実施 二八億円の特損を出した その約一カ月後に同センタ と埼玉県越谷市の物流拠点の二カ所をセ トでプロロジスに売却し 七年間は従来通り物流拠点に入居し続ける契約を交わした 九六年に土地を購入し自ら施設を建てた三田の フ シ ンセンタ 延床面積一万九〇〇〇平方メ トル・七階建て は 厳密に言うと物流センタ ではなか た 同センタ 周辺は 企業の研修センタ や 電算機センタ などが立ち並ぶル ル上は倉庫を建てられないエリアだ このため実体としては物流施設なのに かなりの資金を投じて随所に凝 た造作を施していた いま考えれば三田の土地はとてつもなく高い値段で購入してしま た だが当時はバブルが弾けたあとで もはや地価は底値だろうという判断があ たようだ 購入先が公的な機関だ たこともあ て当時の時価としては割安感もあ た だからこそ建物の仕様などの制約があるのを承知で購入した とナイガイの由利隆文取締役経営企画本部長は述懐する 結果として この判断は誤りだ た その後も地価は下がり続け ナイガイにと て三田の施設は大きな含み損を抱える不良資産にな てしま た 同社は近年 同施設の売却を水面下で模索し続けてきたが引き合いは皆無だ た ただでさえ中途半端な物件であるうえ 衣料品という軽量物にしか対応できない構造にな ていたことなどがネ クにな た す かり頭を抱えていたところに プロロジスから 越谷の物流センタ とワンセ トであれば三田を引き取る という提案が持ち込まれた 越谷センタ については含み損を抱えていたわけでもなく 手放す理由はなか たが 三田とセ トで売却することを決めた 三田の施設に対してプロロジスが提示してきた買取額が高か たこともあ て ほぼプロロジス以外には選択の余地のない状態だ た それまでは三田と越谷の二拠点とも ナイガイの本社が物件を所有し 物流子会社のナイガイロジステ クスに賃借していた 基本的には周囲の地価を参考に坪単価を決める仕組みだ プロロジスへの所有権の移転後も従来通りの条件で入居し続けることが 売却にあた てナイガイがつけた条件だ た 取引は成立し 二つの施設はそれぞれプロロジスパ クとして生まれ変わ た ナイガイにと ては当初の狙い通り三田の施設のオフバランス化を達成 物流業務の取引条件はすべて従来のまま向こう七年間入居し続けることにな た 物流現場の人たちは気づかない世界でオ ナ 交代だけがなされた 売却価格も含めてほぼ満足している ただし私個人としては 七年にわた て賃料を固定する契約には不安も感じた もし物量が大幅に減 て二つの施設を一つに集約すべき状況が生まれたら 七年間一棟借りする契約のデメリ トが出てきてしまう と由利取締役の心配は尽きない このような懸念があ ただけに当初 ナイガイとしては五年契約を希望した これに対してプロロジスは一〇年を主張し 折衷案として七年契約に落ち着いた 今後 ナイガイとしては 物流の本格的なアウトソ シングの可能性も見据えながら物流のあり方を再検討していく プロロジスとの契約期限の切れるタイミングが ナイガイの物流管理の転機になりそうだ アスクル 専用拠点新設オフ ス用品通販大手のアスクルは 二〇〇四年成田 東京 大阪 成田2 東京2 横浜 2003年10月 2003年11月 2004年10月 2005年3月 2006年4月 2005年6月 28,200 14,880 45,982 34,005 31,998 51,096 51,095 74,238 158,297 28,096 102,529 119,660 成田ロジスティック・ターミナル、エクセル・ジャパン、全日空デューティーフリー、国際空港上屋、空港集配サービスなど ヤマトロジスティクス、ソニーテクノクリエイト、新開ティ・エス、UPS‐SCS。
ドコモモバイルなど コクヨロジテム、日本通運、トッパンコスモ/タケヤテック、ヤマトロジスティクス、フェデラルエクスプレス、DHL、小泉成器、トーカン プロロジスパーク《マルチテナント》 未定 未定 ブリヂストンスポーツ、エステーエス 竣工 敷地面積 (平方m) 延床面積 (平方m) テナント ナイガイの由利隆文取締役経営企画本部長物流資産は誰が持つ 特集 21 MARCH 2005九月に稼働した国内六カ所目となる物流拠点 アスクル名古屋センタ の資産パ トナ としてプロロジスを選んだ 三年ほど前から両社は接触していたが アスクルにと て従来のプロロジスは 賃料が高いうえに契約の縛りなどに外資系特有の煩雑さが伴うイメ ジが強か たという それが名古屋センタ でプロロジスと組むに至 た理由は 話の内容が合理的で 我々の想定したコストに近い水準の提案をしてきたから とアスクルの鈴木博之取締役は強調する 現在のアスクルは絶対に物流資産を持つべきではないと決めてかか ているわけではない それどころが昨今の経済環境であれば 場合によ ては自ら物流センタ を取得した方がコスト的には有利とすら考えている しかし 現在のようなスピ ドで成長していると将来的に物流センタ が必要とする規模が読めない つまり物件を取得してしまえば いずれは売却しなければならなくなるリスクがある そのときに売却額が高くな たり 安くな たりするリスクは本業ではないため取りたくない 賃貸で最も良い条件の物件を探す必要があ た 鈴木取締役 当然 プロロジス以外の倉庫業者や不動産業者を通じた物件探しも行 た 自ら物件を取得する場合の利回り計算やコスト計算もした ところがせ かく試算値を弾いても 従来型の倉庫業者などとは まるで話が噛み合わなか た すぐに相場がどうで隣の物件の賃料はいくらだから この物件はいくらという何やら訳のわからない話にな てしまう しかも先方が二〇年でと希望してきた契約期間を一〇年に短縮しようとすると いきなり賃料が跳ね上がる 今の経済状況では相場とドンブリ勘定が一番高い 合理的な考え方をするアスクルにと て 欧米流の利回り計算を行うプロロジスとは互いに理解しやすい相手だ た 設計部門などを抱えているために 素早く正確な建設費用などを提示してくる点も評価に値した そこでは既存業者にありがちな 見積もり金額を提示された後での営業的な腹の探り合いは必要なか た 最終的にプロロジスと交わした一〇年間という契約期間は 事業スピ ドの速いアスクルとしてはも と短くしたいところだ た それでも既存業者の提示してきた条件と比較すれば はるかに合理的だ た 今は名古屋センタ を舞台に自ら解決すべき課題に専念している 本誌三十一ペ ジ参照 荷主と物流業者では 物流資産を持つか否かの判断も異な てくる 物流を生業とする事業者にと ては 例え資本効率が一時的に悪化したとしても事業運営に必要なインフラは資産として所有するという選択肢は依然として有力だ これに対して 荷主が物流資産を持つ必要性は格段に小さくな ている 一口に荷主とい ても 通販業者や卸売業者の場合には少し意味が異なる こうした事業者は物流サ ビスそのものを売り物にしている面があるため 物流業者に近い性格を持 ている 企業のビジネスの成熟度合いによ ては 資産を自ら持つことでコストパフ マンスの向上を追求する道もあり得る ただし保有資産の値上がりによるキ ピタルゲインを荷主が期待するのは論外だ むしろ不動産相場の変動リスクを抱え込むことになる 資金調達方法の多様化で担保となる資産を持つ意味も薄れた アスクルのように物流機能そのものを差別化手段としている場合であ ても 今や資産の所有と運営は分離できるようにな ている 2004年9月の竣工式でテープカットに臨むアスク ル の 岩 田 彰 一 郎 社 長(中央)とプロロジスの山田御酒日本共同代表(右)アスクルが入居するプロロジスパーク東海
これに対して日本では荷主企業や物流子会社が不動産投資ファンドを利用するケースが目立つ。
プロロジスの施設を利用する荷主企業に、その損得勘定をたずねた。
(岡山宏之)第4部物流資産は誰が持つ 特集 19 MARCH 2005スと契約を交わした プロロジスにと てはDHLジ パンに続く国内で二番目となる案件だ た このとき松下サイドが評価したポイントは 自分たちが追求する 持たざる経営 のパ トナ としてプロロジスが機能してくれる点だ た しかも既存の倉庫業にはないレベルで要望を聞き入れてくれたことが 判断を後押しした 良品計画 オ ナ チ ンジ松下ロジステ クスの浦安の物流拠点からわずか数百メ トルの立地に 無印良品ブランドを展開する良品計画の大型物流センタ がある かつてこの一帯は旧川崎製鉄グル プの所有地だ た それが川鉄とNKKが二〇〇二年九月に経営統合を決めたことから大きく動いた 経営統合を前に総資産の圧縮と有利子負債の削減を進める一環として 川鉄グル プが資産売却を急いだためだ このとき川鉄商事は 浦安の約六五〇〇〇平方メ トルの敷地に建てられていた複数の営業倉庫を手放した このうち一部の棟 B C棟 延べ床面積三万三〇〇〇平方メ トル に入居していたのが良品計画だ た この施設は 九〇年代後半に拠点集約のための大型物件を探していた良品計画に対し 川鉄商事の子会社である川商倉庫が土地・建物を提供して建てたものだ 当然 まだ賃貸借契約の途中だ たが 親会社の都合で売却されることにな た その買い手がプロロジスだ た プロロジスにと ては 国内で二カ所目となる既存物件の買収だ た も ともこの物件には テナントである良品計画も建設協力金などを数十億円投じていた それだけに 経済的条件も含めて川商倉庫さんと交わしていた契約の条件を踏襲してもらうことが プロロジス側に我々が提示した基本的な条件だ た 良品計画の小森孝情報システム担当部長 新設物件にはない交渉が発生した 松下ロジステ クスのケ スとは違い 良品計画の場合は オ ナ の物件譲渡によ て降 てわいたようにプロロジスとの付き合いが始ま た それだけに川商倉庫からオ ナ 交代を告げられときには少なからず不安を感じたという とりわけ建物の保全がどうなるのかが問題だ た あそこは埋め立て地で海辺のため サビも出れば地盤沈下もある 長期的にみたら保全が欠かせない これをどうするかが一番大きか た 小森部長 良品計画が九八年にこの物件を選んだ背景には 日本有数の鉄鋼メ カ である川鉄がバ クにいる安心感があ た それが日本で事業をスタ トして間もない外資系企業に変わるという 一抹の不安を抱えながらも これまでと同等の条件 を前提にプロロジスとの契約を新たに交わした その後 引き継ぎ期間が短か たせいか 川商倉庫ほど小回りが利かないという歯がゆさこそ感じたが プロロジスとの関係はおおむね良好だ 今後は 調達業務を中心に利用している新潟の物流拠点との役割分担の見直しを検討したい これが可能になればもう一段のコスト削減につながるはず と良品計画の柴嶺哲流通推進担当部長は新たな課題を見据えている ナイガイ セ ルス&リ スバ ク本特集の第二部でも取り上げたように 物流資産の常識を変えた要因の一つに減損会計がある なかでも八〇年代半ば以後に物流施設を購入した企業が資産戦略の変更を迫られた 老舗アパレルメ カ のナイガイが まさにこのケ スだ た 良品計画の柴嶺哲流通推進担当部長新木場 浦 安 辰 巳 東 海 福 崎 加 須 杉戸1 三 郷 2002年9月 2003年4月 2003年9月 2004年7月 2004年8月 2005年3月 2005年7月 2006年1月 11,223 16,054 6,502 18,991 40,467 38,278 48,237 36,000 19,676 28,344 12,926 32,313 26,447 57,992 58,918 47,000 DHLジャパン 松下ロジスティクス 日本通運 アスクル 日本通運 日立物流 センコー 西友 既存施設買収 専用施設新設 竣工 敷地面積 (平方m) 延床面積 (平方m) テナント 新 砂 八王子 越 谷 習志野 浦安2 三 田 1987年 1972年 1987年 1989年 1989年 1996年 22,831 11,547 7,922 14,047 24,445 13,056 44,893 15,422 9,202 23,564 32,951 19,485 日本通運 三洋電機ロジスティクス ナイガイ Human21(日本通運) 良品計画 ナイガイ プロロジスパーク《専用施設&既存施設》 松下電器産業・物流統括グループの今村元則グループマネージャー良品計画の小森孝情報システム担当部長※プロロジスのサイトより本誌が作成MARCH 2005 20ナイガイは二〇〇四年九月に兵庫県三田にある自社保有の物流拠点 ナイガイフ シ ンセンタ の減損処理を実施 二八億円の特損を出した その約一カ月後に同センタ と埼玉県越谷市の物流拠点の二カ所をセ トでプロロジスに売却し 七年間は従来通り物流拠点に入居し続ける契約を交わした 九六年に土地を購入し自ら施設を建てた三田の フ シ ンセンタ 延床面積一万九〇〇〇平方メ トル・七階建て は 厳密に言うと物流センタ ではなか た 同センタ 周辺は 企業の研修センタ や 電算機センタ などが立ち並ぶル ル上は倉庫を建てられないエリアだ このため実体としては物流施設なのに かなりの資金を投じて随所に凝 た造作を施していた いま考えれば三田の土地はとてつもなく高い値段で購入してしま た だが当時はバブルが弾けたあとで もはや地価は底値だろうという判断があ たようだ 購入先が公的な機関だ たこともあ て当時の時価としては割安感もあ た だからこそ建物の仕様などの制約があるのを承知で購入した とナイガイの由利隆文取締役経営企画本部長は述懐する 結果として この判断は誤りだ た その後も地価は下がり続け ナイガイにと て三田の施設は大きな含み損を抱える不良資産にな てしま た 同社は近年 同施設の売却を水面下で模索し続けてきたが引き合いは皆無だ た ただでさえ中途半端な物件であるうえ 衣料品という軽量物にしか対応できない構造にな ていたことなどがネ クにな た す かり頭を抱えていたところに プロロジスから 越谷の物流センタ とワンセ トであれば三田を引き取る という提案が持ち込まれた 越谷センタ については含み損を抱えていたわけでもなく 手放す理由はなか たが 三田とセ トで売却することを決めた 三田の施設に対してプロロジスが提示してきた買取額が高か たこともあ て ほぼプロロジス以外には選択の余地のない状態だ た それまでは三田と越谷の二拠点とも ナイガイの本社が物件を所有し 物流子会社のナイガイロジステ クスに賃借していた 基本的には周囲の地価を参考に坪単価を決める仕組みだ プロロジスへの所有権の移転後も従来通りの条件で入居し続けることが 売却にあた てナイガイがつけた条件だ た 取引は成立し 二つの施設はそれぞれプロロジスパ クとして生まれ変わ た ナイガイにと ては当初の狙い通り三田の施設のオフバランス化を達成 物流業務の取引条件はすべて従来のまま向こう七年間入居し続けることにな た 物流現場の人たちは気づかない世界でオ ナ 交代だけがなされた 売却価格も含めてほぼ満足している ただし私個人としては 七年にわた て賃料を固定する契約には不安も感じた もし物量が大幅に減 て二つの施設を一つに集約すべき状況が生まれたら 七年間一棟借りする契約のデメリ トが出てきてしまう と由利取締役の心配は尽きない このような懸念があ ただけに当初 ナイガイとしては五年契約を希望した これに対してプロロジスは一〇年を主張し 折衷案として七年契約に落ち着いた 今後 ナイガイとしては 物流の本格的なアウトソ シングの可能性も見据えながら物流のあり方を再検討していく プロロジスとの契約期限の切れるタイミングが ナイガイの物流管理の転機になりそうだ アスクル 専用拠点新設オフ ス用品通販大手のアスクルは 二〇〇四年成田 東京 大阪 成田2 東京2 横浜 2003年10月 2003年11月 2004年10月 2005年3月 2006年4月 2005年6月 28,200 14,880 45,982 34,005 31,998 51,096 51,095 74,238 158,297 28,096 102,529 119,660 成田ロジスティック・ターミナル、エクセル・ジャパン、全日空デューティーフリー、国際空港上屋、空港集配サービスなど ヤマトロジスティクス、ソニーテクノクリエイト、新開ティ・エス、UPS‐SCS。
ドコモモバイルなど コクヨロジテム、日本通運、トッパンコスモ/タケヤテック、ヤマトロジスティクス、フェデラルエクスプレス、DHL、小泉成器、トーカン プロロジスパーク《マルチテナント》 未定 未定 ブリヂストンスポーツ、エステーエス 竣工 敷地面積 (平方m) 延床面積 (平方m) テナント ナイガイの由利隆文取締役経営企画本部長物流資産は誰が持つ 特集 21 MARCH 2005九月に稼働した国内六カ所目となる物流拠点 アスクル名古屋センタ の資産パ トナ としてプロロジスを選んだ 三年ほど前から両社は接触していたが アスクルにと て従来のプロロジスは 賃料が高いうえに契約の縛りなどに外資系特有の煩雑さが伴うイメ ジが強か たという それが名古屋センタ でプロロジスと組むに至 た理由は 話の内容が合理的で 我々の想定したコストに近い水準の提案をしてきたから とアスクルの鈴木博之取締役は強調する 現在のアスクルは絶対に物流資産を持つべきではないと決めてかか ているわけではない それどころが昨今の経済環境であれば 場合によ ては自ら物流センタ を取得した方がコスト的には有利とすら考えている しかし 現在のようなスピ ドで成長していると将来的に物流センタ が必要とする規模が読めない つまり物件を取得してしまえば いずれは売却しなければならなくなるリスクがある そのときに売却額が高くな たり 安くな たりするリスクは本業ではないため取りたくない 賃貸で最も良い条件の物件を探す必要があ た 鈴木取締役 当然 プロロジス以外の倉庫業者や不動産業者を通じた物件探しも行 た 自ら物件を取得する場合の利回り計算やコスト計算もした ところがせ かく試算値を弾いても 従来型の倉庫業者などとは まるで話が噛み合わなか た すぐに相場がどうで隣の物件の賃料はいくらだから この物件はいくらという何やら訳のわからない話にな てしまう しかも先方が二〇年でと希望してきた契約期間を一〇年に短縮しようとすると いきなり賃料が跳ね上がる 今の経済状況では相場とドンブリ勘定が一番高い 合理的な考え方をするアスクルにと て 欧米流の利回り計算を行うプロロジスとは互いに理解しやすい相手だ た 設計部門などを抱えているために 素早く正確な建設費用などを提示してくる点も評価に値した そこでは既存業者にありがちな 見積もり金額を提示された後での営業的な腹の探り合いは必要なか た 最終的にプロロジスと交わした一〇年間という契約期間は 事業スピ ドの速いアスクルとしてはも と短くしたいところだ た それでも既存業者の提示してきた条件と比較すれば はるかに合理的だ た 今は名古屋センタ を舞台に自ら解決すべき課題に専念している 本誌三十一ペ ジ参照 荷主と物流業者では 物流資産を持つか否かの判断も異な てくる 物流を生業とする事業者にと ては 例え資本効率が一時的に悪化したとしても事業運営に必要なインフラは資産として所有するという選択肢は依然として有力だ これに対して 荷主が物流資産を持つ必要性は格段に小さくな ている 一口に荷主とい ても 通販業者や卸売業者の場合には少し意味が異なる こうした事業者は物流サ ビスそのものを売り物にしている面があるため 物流業者に近い性格を持 ている 企業のビジネスの成熟度合いによ ては 資産を自ら持つことでコストパフ マンスの向上を追求する道もあり得る ただし保有資産の値上がりによるキ ピタルゲインを荷主が期待するのは論外だ むしろ不動産相場の変動リスクを抱え込むことになる 資金調達方法の多様化で担保となる資産を持つ意味も薄れた アスクルのように物流機能そのものを差別化手段としている場合であ ても 今や資産の所有と運営は分離できるようにな ている 2004年9月の竣工式でテープカットに臨むアスク ル の 岩 田 彰 一 郎 社 長(中央)とプロロジスの山田御酒日本共同代表(右)アスクルが入居するプロロジスパーク東海
