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2005年3月号
特集

物流資産は誰が持つ 「倉庫用地の高騰はバブルではない」

MARCH 2005 26デ ズニ ランドより高利回り? 外資系フ ンドなどによる物流施設の新設が相次ぐ状況を 不動産の専門家はどう見ているのですか 物流施設は いわゆるプロの投資家が好む物件です 一〇年 二〇年にわた てクレジ ト 支払い能力に対する信頼度 の高いテナントが入居し 長期にわたるキ シ フロ が見える しかもキ ンセルはほとんどない このためリ ト 不動産投資信託 だとか 私募フ ンドの対象になりやすいんです SPC 特定目的会社 を介して物件を購入したり リ トのような投資法人に組み入れたりするのが 最近五年くらいの不動産投資のスタンダ ドにな ています これを不動産証券化の金融技術と言うのですが こうした技術を使うフ ンドが 日本にもすでに五〇から六〇社あります 彼らがオフ スビルやアパ ト シ ピングセンタ を競い合 て買い その次に出てきたのがロジステ クスの分野です 物流分野だけでもかなりのプレ ヤ がいます 物流不動産というのは相応のノウハウの必要な分野なのですが いま手を上げている三井物産や三菱商事とい た商社は ある意味では本体でロジステ クスをや ています 既存の機能を使 てマネジメントに強みを発揮していこうということなのでし う こうした商社系に加えて プロロジスやAMBブラ クパインとい た外資系 それから物流不動産の専門ではないが この分野の将来性に期待して素人同然で入 てきたオリ クスやジ ンズラングラサ ルなどがいます だいたいこの三種のタイプのプレ ヤ がいて 現状では彼らが物件の奪い合いや フ ンドの規模の競い合いをしているわけです プロロジスやAMBなどが日本の物流不動産に投じている土地代は 決して安くありません たしかに浦安でプロロジスが買 た土地については 業界でも話題になりました とてつもない高値で落札しましたからね デ ズニ シ の隣の土地ですから みんなオリエンタルランドが買うものとばかり思 ていた ところが その一割とか二割高でプロロジスが持 てい てしま た そんな高値で買 て大丈夫なの という声があることは事実です なぜ そんなことが可能なのでし う まず彼らには豊富な資金があります そしてグロ バルで事業を展開しているため ここぞというところに資金を投入できる 東京とか浦安だけで不動産投資をしている人から彼らの行動を見れば自殺行為でも グロ バルで全体をならしてみれば多少高く買 てもいいという判断なのでし う そのかわりバリ のある土地を買う 価値のある土地であれば強気で買 ていく そういう戦略があるからこそ 他より高く買 ているのではないかと私は見ています 物流施設の土地代が高騰する理由 数年前に売りに出た大田区の土地では 東京都の希望入札価格に対し プロロジスとAMBが二倍くらいで応札しました 最終的にAMBが一〇七億円で落札したのですが このときプロロジスは一〇三億円 オリ クスは五九億円という入札額だ たようです これほど差がつく理由が分かりません いくつかの理由があるはずです 一つはレバレ ジというのがある プロロジスのようなフ ンドは グロ バルでほとんどただに近い資金コストで借り入れをしています たとえば八割 九割りを金利ゼロに近いような資金でまかない 残りの一割 二割だけ投資家の資金を入れる こうなると投資資金に対する利回「倉庫用地の高騰はバブルではない」Interview井出不動産金融研究所 井出保夫 代表投資ファンドによる物流施設の新設ラッシュが止まらない。
しかも彼らは驚くような高値で土地を購入している。
そのカラクリと、日本の物流不動産のオーナーたちを襲うグローバリズムの大波について、不動産の専門家に解説してもらった。
(聞き手・岡山宏之) 物流資産は誰が持つ 特集 27 MARCH 2005りは飛躍的に高まります これをレバレ ジ効果と言うのですが 一つはこれがあるはずです もう一つは 物流施設に限らず都心部のオフ スビルをもの凄い高値で買 ている外資系のプレ ヤ に言える話なのですが 投資利回りをかなり強気でみています 日本経済は今が底で景気はよくな ていく 現在の賃料は低すぎるから 必ず是正されてアベレ ジが上がる そう見ている連中は 強気で買 ていくわけです これに対して 現行の賃料ですら保守的に見ているところもある こうした違いから土地の購入価格に二倍の差がついているのかもしれません 物流分野の不動産の動きだけを見ていても 少しバブル的な危うさを感じます そこは客観的に判断する必要があります なぜ一五年前にバブルが崩壊したのかといえば 結局は国の総量規制が入 たからです 国がバブル潰しに躍起にな たために ああいう強烈なバ ストが起こ た 金融とか不動産にと て一番恐いのは 実はマ ケ トではなくそうした規制です では いま当局は何を言 ているか 不動産バブルのようなことを言 ているのはマスコミだけで 当局は一切言及していません それどころか警戒さえしていない 日銀総裁のインタビ などを定期的にウ チしていると 不動産の価格メカニズムが変わ てきて 今が正常とすら言 ています バブルのバの字も出てこない 一方で もしこれから長期金利が跳ね上がるようなことにな たら あまりにも低い利回りの不動産を買 た投資家はおかしくな てしまうのではないか という心配はあります しかし 現実の長期金利はどんどん下が てきている 下手をするとまた一%を割り込むのではないかとすら言われています 資本市場の金が凄い勢いで入 てきているという意味では 流動性が過剰にな ている面は否めません しかし それが不動産に全部流れて 昔の土地転がしのようにな ているかといえばそうではない やはり利回りに裏打ちされて価格が形成されている ひ としたら各社のキ プレ ト 総合還元利回り は一 二%違うかもしれないけれども その程度でし う そういう意味で バブルではありません 誰も資本の論理から逃れられない 物流不動産に資金を投じる投資家の視点に立てば どのようなテナントが入るかが重要ですね そこが最大のポイントです 何よりもまずクレジ トの高いテナントに入居してもらう必要がある そして こうしたテナントの要望に耐えうるプロパテ ・マネジメントができるかどうか 質の悪いプロパテ ・マネジ を入れれば後が続かなくな てしまいますからね 投資家は素人でも PM業者にはプロを置くとい た発想が欠かせません 強い不動産業者のところに強いテナントが集まり それを強いプロパテ ・マネ ジ が管理するようにな ていくという力が 必然的に働きます 資本の論理のなかでは当然ですが そうな ていくはずです 強者はインセンテ ブでどんどん儲け 弱者はどんどん淘汰される やはりこれからは日本でもそういう変化が避けられません 私は 伝統的な倉庫業者すべてが生き残れなくなるとは思 ていません しかし従来のやり方のままでは立ちゆかなくなるところが必ず出てくる そうなれば やはり新しいビジネスモデルでやろうとする人たちが増え 全体としてはそちらが主流にな ていくはずです そういう動きに すでに日本も入 ているのではないでし うか PROFILEいで・やすお 1985年早稲田大学商学部卒業、秀和、オリックス、シンクタンクなどを経て、不動産金融アナリストとして独立。
1999年11月に井出不動産金融研究所を設立し、代表に就任。
コンサルティング、講演活動のほかテレビのコメンテーターなどを務める。
主な著書に『証券化がよく分かる』(文藝春秋)、『REITのしくみ』(日本実業出版社)、『不動産金融ビジネスのしくみ』(フォレスト出版)など多数。

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