2002年1月号
SOLE
SOLE
システムライフサイクルにおけるロジスティクス
77 JANUARY 2002
ロ
ジ
ス
テ
ィ
ク
ス
学
会
(
S O L E - T h e
International Society of Logistics
)は技術
関連のニュースレター「SOLEtech
」を発行
し
て
い
る
。
前 回 に 続 い て 、 今 号 で も 「 SOLEtech 」の新シリーズから小論文を紹介 する。
著者はバージニア工科大学名誉教授の ブランチャード教授(Ben S. Blanchard, CPL, Fellow, Professor-Emeritus, Virginia Tech )、原題は「Logistics in The Context of The System Life Cycle 」である。
先月号では、システム、システムエンジニ アリング、システムライフサイクル、システ ムエンジニアリングプロセスに関する基本定 義から始めて、主としてメンテナンスとロジ スティクス支援インフラが、そのシステムが 狙っている機能(ミッション)を充分に果た すための主要要素であることを強調した。
今回は再度、ロジスティクスに関する基本 的な定義を見直し、あらためてライフサイク ルの観点から取り上げてみたい(本誌十二月 号七八頁に掲載した図2)。
お気づきのよう に、システム設計・開発、構築もしくは製造、 システム運用・支援、システム廃棄・リサイ クル・処分などの各段階においてロジスティ クス独自の活動が存在する。
CLMによるロジスティクスの定義 SOLEのウェブサイトにある「文献一 覧」項目のセクション?A〞には、「ロジス ティクス、ロジスティクスエンジニアリング、 統合ロジスティクス支援(ILS)」に関す る三八の参照文献が掲載されている。
これら は文献のサンプルを示しているのみならず、 それらを参照することで定義や重要分野にお けるこれまでの変化を見出せる情報源である。
いずれにしろ、次の考察のためにいくつか定 義を追加しようと思う。
第10回 システムライフサイクルにおける ロジスティクス 全体システムのライフサイクル基本要素(本誌2001年12月号に掲載した図を再掲) JANUARY 2002 78 コマーシャルセクター(商業分野)では、 ロジスティクスを次のように定義している。
「ロジスティクスとは、顧客要求を満たすた めに、原材料・仕掛在庫・完成品・関連情 報の産出地から消費地への効率的かつ経済的 なフローおよび保管を計画し、実施し、管理 するプロセスである」 この定義はロジスティクス管理協議会(C LM)によってなされたものだが、はじめは 供給元から消費者にいたる資材フローに関わる?ビジネス〞の側面に対処され、また図1 に示したように、生産活動や製造環境下での 小コンポーネントや消耗品にも主として適用 されている。
しかし、この定義自体は「システム」およ び製品設計・メンテナンスサポート問題には 対処していないため、ライフサイクルの全て ではないことに注意する必要がある。
サプライチェーン・マネジメント ここ数年の間、「サプライチェーン・マネ ジメント(SCM)」の旗の下に幅広いアプ ローチを展開している分野が注目を浴びてい る。
「サプライチェーン」とは原材料段階からエ ンドユーザーにいたる物の流れに関するすべ ての活動を包含し、原材料生産から生産、卸、 小売に従事する種々の企業を含む。
さらに輸 送、荷役、倉庫、情報処理に従事する全ての タイプの組織を含む。
サプライチェーン全て にわたって存在する機能には、原材料入手、 調達、生産、スケジューリング、製造、オー ダー処理、在庫管理、倉庫管理、顧客サービ スを含む。
サプライチェーン・マネジメントは、消費 者の満足を「最大」にし、運用コストを「最 小」にすることを目標として、産出地から消 費地に至る企業間の製品、情報、キャッシュ の流れを統合化する。
このサプライチェー ン・マネジメントのコンセプトは最新のもの で、多数の企業がチャネルパートナーとのビ ジネスプロセスの統合を試みている。
図2は この統合化を図示したものであり、図1で描 いたことをさらに拡大するアプローチを示し ている。
図2を作成したコイル氏は、「ロジスティ クスとは、従来、企業間の製品の物理的な流 れを管理する責任を負うものであった。
輸送 や倉庫に関わる活動は、物が継続的、安定的 図1 生産プロセスにおけるロジスティクス活動 ・需要予測 ・注文処理 ・調達 ・在庫管理 ・輸送/フロー ・情報フロー ・生産計画 ・購買 ・マテハン ・在庫管理 ・包装/出荷 ・情報フロー 物的流通 出典:B.S.Blanchard“ Logistics Engineering and Management” 5th Ed. Prentice Hall, NJ, 1998, Figure 6.1 生産/建設 倉庫 No.1 倉庫 No.2 倉庫 No.3 倉庫 No.4 供給者A 供給者B 供給者C 供給者D 生産 プロセス フロー 工場 ロジスティクス 支援 運用拠点 運用拠点 運用拠点 運用拠点 物的供給 製 造 ・需要予測 ・注文処理 ・在庫管理 ・輸送/運輸 ・顧客サービス ・情報フロー 需要予測 購買 要求計画 生産計画 製造在庫 倉庫 マテリアルハンドリング 工業包装 完成品在庫 流通計画 注文処理 輸送 顧客サービス 戦略計画 情報技術 マーケティング/販売 財務 資材管理 物的流通 ロジスティクス サプライチェーン マネジメント Fragmentation 1960 図2 ロジスティクスのサプライチェーンマネジメントへの発展 出典 : J.J.Coyle, et al, Transportation, 5th Ed., South-Western Publishing, Ohio, 2000, Figure 1.4 79 JANUARY 2002 に動くことを保証するために行ない、マーケ ティングや販売には取引の前後に顧客に情報 を提供する責任があった。
ここに情報技術の 発達によって、ロジスティクスには組織間の 情報フローを管理するという責任が加わった。
バーコードやEDIにより、ロジスティクス は製品の流れに関する情報を、物を動かす前、 移動中、配送後に提供できるようになった」 と、図1の示すロジスティクス活動との違い を述べている。
全体ライフサイクル・アプローチ 最近のコマーシャルセクターにおけるロジ スティクスの発展にもかかわらず、全体的な ライフサイクルベースでシステムを取り扱っ ていないために、「サプライチェーン・マネジ メント」の実現はまだ限られている。
この点 を考慮して定義を追加したいのだが、それは 最近、防衛分野で強力に推進されている「統 合ロジスティクス支援(ILS)」に関する ものだ。
この定義は次の通りである。
「ロジスティクスとは、?システムや機器の 設計にサポートを配慮し、?レディネス目標、 設計、その両者に密接に関係するサポート要 求を明確にし、?要求サポートを獲得し、? システム運用フェーズに必要とするサポート を最小コストで提供するのに必要なマネジメ ントと技術活動のための、秩序だった、統一 された反復されるアプローチである」 この定義は図3に示されているように、「シ ステム」およびその全体にわたるメンテナン スとサポートのインフラに関係する。
さらに 過去の経験から、サポータビリティ設計を重視して、システムの設計・開発プロセス の初期におけるロジスティクスに対応するこ とが欠かせないことは明らかである。
つまり、この定義の特徴は、システム、生 産・物流(上記で検討したSCM活動を含 む)、システムの運用と維持のためのメンテ ナンスサポート、システムリタイアメントな どの設計、つまり全体ライフサイクルのアプ ローチを重要視している点である。
ここまでに見てきたように、コマーシャル および防衛関連アプローチの両方に、認め られる全ての活動が含まれている(図1〜 3参照)。
となると、「ロジスティクスとは、調達、流 通、システム維持のメンテナンスサポートへ のライフサイクルアプローチであると定義で きる。
それには、支援性を配慮したシステム の企画や設計、消費者へのシステムの生産 と流通、計画された運用ライフサイクルを 通したシステムに対する持続的メンテナンス とサポート、さらに廃棄処分ないし他の利 用目的のためのリサイクルされるシステムや コンポネントに対するサポートなどを含む」 ということになる。
この定義は(私自身にとっても)好まし いもので、全体ライフサイクルの面からシス テムを取り扱おうとしており、また次の章で も取り上げるコマーシャル、防衛の双方の 活動範囲にも対処できる。
デポ/生産者メンテナンス ・詳細メンテナンス ・オーバーホール ・測定 ・製造 ・供給支援 ・要員 ・工場でのテスト ・道具 固定施設 現地メンテナンス ・使用現場における改良保全と予防保全 ・供給支援(重要なアイテム) ・システムテスト機器(組込み型) ・要員(ロースキル) ・運用環境 中間拠点メンテナンス ・改良保全/予防保全 (サブシステムレベル) ・供給支援 ・試験支援機器 ・要員(中程度のスキル) ・フィールド修理施設 コンポネント 供給者 図3 システムのメンテナンスと支援のインフラストラクチュア 出典:B.S.Blanchard & W.J.Fabrycky, “ Systems Engineering and Analysis” 3rd Ed. Prentice Hall, NJ, 1998, Figure 3.5 運用サイト 航空機 施設 船 メンテナンスフロー 供給フロー JANUARY 2002 80 システムライフサイクルで捉える 上記のように、様々なロジスティクス活動 をシステムライフサイクルの中でとらえるこ とが適切である。
冒頭で紹介した図(前号の 図)には、システムの主要ミッションに関わ る関連要素、それに付随するライフサイクル フェーズ、生産能力、メンテナンスとサポー ト能力、廃棄処分/リサイクル能力など、全 体ライフサイクルの基本要素が図示されてい る。
図4では、これらが活動の「流れ」として図示した。
第四図は、要件の初期定義とシステム企画 の早い段階のフェーズ(ブロック1)から始 まり、システム/製品設計活動(ブロック2)、 生産/構築活動(ブロック3、4)、流通と 倉庫管理活動(ブロック6)、システム運用 関連活動(ブロック7)に至る活動のフォワ ードフローの図である。
本質的に、ブロック2で はロジスティクスとサポート を考慮に入れた設計に関連 する活動の重要性について、 ブロック3、4、6、7で はコマーシャル関連ロジス ティクス活動の意義が示さ れている。
荷役、輸送、倉 庫管理、流通に関する機能 は、システムや製品の初期 生産のサポートだけでなく 再供給に求められる要求に も活用できる。
同時に、システムメンテ ナンスサポート(ブロック5、 7、8)に関係する様々な 機能や、システム撤去、リ サイクル、処分(非常に重 要であるがこの図には示さ れていない)に関する機能 を含むバックワード(逆の) 活動のフローも存在する。
ここでの私の目的は、システムライフサイ クル全体ならびに、それらの各段階における 重要なロジスティクス活動を示すことである。
その中には過去に「防衛」ロジスティクス、 「コマーシャル」ロジスティクスないし「ビジ ネス」ロジスティクスとして知られたものが 組み合わされ含まれている。
不幸にも我々は、これらの様々な活動を全 体システムの観点や全体ライフサイクルの流 れから、あるいは全体統合化を基にして捉え てこなかった。
最近、コマーシャルと防衛ロ ジスティクス活動の統合を目指したいくつか のアプローチ(SCMやそれと同等のアプロ ーチ)が見られるが、多くはまだこれらの活動が「分断化」して行なわれている。
もし我々が次のステップにむけて前進し、 より効率的な、費用対効果のよいロジスティ クスアプローチを行なおうとするならば、図 4で示された活動の全体の流れを単一の実態 として、長期間の脈絡で捉えることから始め るべきである。
加えて、我々はグローバル化アプローチ、 世界規模でのアプローチを企画すべきである。
多くの企業は競争力維持のための努力を続け ながら、原材料やコンポネントの新しい供給 源、生産・流通活動の新拠点、必要な持続 システムメンテナンスサポート活動を代行し てくれる企業を求めている。
経済のグローバル化により、企業はロジス ティクス活動を行う最適な場を世界に求める 図4 システムの運用とメンテナンスの流れ 計 画 システム/製品の 設計と開発 試験と評価 資材、コンポネント、 機器の供給者 生産/建設 在庫品倉庫 ・マテリアルフロ ーと製品流通 ・ロジスティクス 支援機能 運用現場 システム/製品運用 (消費者使用) ロジスティクス支援 (オンサイトメンテナンス) 中間段階の ロジスティクス支援 ロジスティクス支援 (オーバーホール修理) メンテナンスのために 戻るアイテムの流れ 流通と供給 1 2 3 4 5 6 7 8 工場における ロジスティクス支援 ・原材料/部品 ・生産/プロセス オペレーション ・検査と試験 ・修理とやり直し ・完成品 供給 供給 補充供給 出典:B.S.Blanchard & W.J.Fabrycky, “ Systems Engineering and Analysis” 3rd Ed. Prentice Hall, NJ, 1998, Figure 81 JANUARY 2002 SOLE東京支部フォーラム報告 SOLE東京支部では毎月「フォー ラム」を開催し、ロジスティクス技術、 マネジメントに関する会員相互の情報 交換に努めている。
昨年十一月の例会は新しいシリーズ の第一回目であり、参加者の自己紹介 や当フォーラムへの期待が各人から表 明された。
新シリーズの内容が紹介さ れた後、日本能率協会コンサルティン グの太田大作取締役開発本部長の「ロ ジスティクス動向」と題した講演を行 った。
次回十二月の例会では「欧州の ロジスティクス動向」についてベルギ ー・フランダース政府企業誘致局の方 からの情報提供が予定されている。
このフォーラムはSOLE東京支部 会員を対象としたもだのが、特定月の フォーラムのみの参加も可能。
ご希望 の方は事務局までお問合せください。
な お、SOLE東京支部についてのお問 合せ、ご意見などはsole_consult @jmac.co.jp まで。
Q1 マーケティングミックスとは次のどれを指すか? a.製品、販売促進、支払い、場所 b.製品、生産、価格、場所 c.製品、販売促進、価格、場所 d.製品、生産、支払い、場所 Q2 輸送モード別に遂行度合い(ディペンダビリティ)のラ ンクをつけると、高い順に言うと次のどれか? a.航空、ハイウェイ、鉄道、水運、パイプライン b.水運、鉄道、ハイウェイ、航空、パイプライン c.パイプライン、ハイウェイ、鉄道、水運、航空 d.ハイウェイ、航空、鉄道、水運、パイプライン 前月号でご紹介したCPL模擬試験問題は「流通と顧客支 援」からの出題でした。
いかがでしたか。
Q1の正解は「c」。
徳永豊編集の『詳解マーケティング辞 典』(同文館一九八九年)によると、「マーケティングミックス とは、マーケティング諸手段(要素)を一定の戦略目標達成 のために、最も効果的に組合わせることを言う。
マッカーシー (MacCarthy, E. J)は、マーケティング諸手段のうち特に重要 なものとして次の4つを挙げている。
すなわち、Product(製 品)、Place(場所)、Promotion(販売促進)、Price(価格) である。
マッカーシーは、このマーケティング諸手段のそれぞ れの頭文字をとって4Pと名づけている」 (お詫び:前月号の出題において「d 製品、生産、価格、 場所」となっていましたが、「d 製品、生産、支払い、場所」 の誤りでした。
お詫びして訂正させていただきます) 解答表によればQ2の正解は「c」。
ディペンダビリティと は広義のアベイラビリティで遂行性などと訳されている言葉。
一番確実な方法を問われていると考えると、航空機はスピード は一番だが気象条件などで飛ばないことがある。
水運は大量に 輸送できるというメリットを持つが、スピードが遅く気象条件 などに左右されやすい。
鉄道、ハイウェイを比べると、ハイウ ェイすなわちトラックの方が道路の選択が利くため有利。
パイ プラインは破壊されない限り決められた区間は一番確実にスピ ーディに輸送することが可能。
第10回 CPLの試験問題に挑戦 今回は第1領域「システムマネジメント」からの問題です。
Q1 ロジスティクス支援の主要要素は次のどれが適切か? a.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・荷役・保 管・輸送、要員と訓練、施設、データ、コンピュータ資 源 b.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・荷役・保管・ 輸送、要員と訓練、施設、コンピュータ資源 c.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・保管・輸送、 要員と訓練、データ、コンピュータ資源 d.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・保管・輸送、 要員と訓練、施設、データ、コンピュータ資源 CPL(Certified Professional Logistician)の試験問題に挑戦 前回のおさらい ※今回の設問の答えと解説は、本誌2002年2月号の当コーナーでお読みいただけます Q2 データ通信システムの説明として適切なものはどれか? a.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高速で行うことを本来の目的とした機械群である。
b.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高信頼度で行うことを本来の目的とした機械群で ある。
c.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高信頼度で行うことを本来の目的とした人と機械 の組合せである。
d.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高速で行うことを本来の目的とした人と機械の組 合せである。
であろう。
さらに、最近の防衛関連の活動で は確実に世界規模でのロジスティクス体勢が 要求されている。
要するに、ロジスティクス への要求はかなり高まっており、今後は統括 化された国際的なかかわりが、さらに求めら れてくるであろう。
前 回 に 続 い て 、 今 号 で も 「 SOLEtech 」の新シリーズから小論文を紹介 する。
著者はバージニア工科大学名誉教授の ブランチャード教授(Ben S. Blanchard, CPL, Fellow, Professor-Emeritus, Virginia Tech )、原題は「Logistics in The Context of The System Life Cycle 」である。
先月号では、システム、システムエンジニ アリング、システムライフサイクル、システ ムエンジニアリングプロセスに関する基本定 義から始めて、主としてメンテナンスとロジ スティクス支援インフラが、そのシステムが 狙っている機能(ミッション)を充分に果た すための主要要素であることを強調した。
今回は再度、ロジスティクスに関する基本 的な定義を見直し、あらためてライフサイク ルの観点から取り上げてみたい(本誌十二月 号七八頁に掲載した図2)。
お気づきのよう に、システム設計・開発、構築もしくは製造、 システム運用・支援、システム廃棄・リサイ クル・処分などの各段階においてロジスティ クス独自の活動が存在する。
CLMによるロジスティクスの定義 SOLEのウェブサイトにある「文献一 覧」項目のセクション?A〞には、「ロジス ティクス、ロジスティクスエンジニアリング、 統合ロジスティクス支援(ILS)」に関す る三八の参照文献が掲載されている。
これら は文献のサンプルを示しているのみならず、 それらを参照することで定義や重要分野にお けるこれまでの変化を見出せる情報源である。
いずれにしろ、次の考察のためにいくつか定 義を追加しようと思う。
第10回 システムライフサイクルにおける ロジスティクス 全体システムのライフサイクル基本要素(本誌2001年12月号に掲載した図を再掲) JANUARY 2002 78 コマーシャルセクター(商業分野)では、 ロジスティクスを次のように定義している。
「ロジスティクスとは、顧客要求を満たすた めに、原材料・仕掛在庫・完成品・関連情 報の産出地から消費地への効率的かつ経済的 なフローおよび保管を計画し、実施し、管理 するプロセスである」 この定義はロジスティクス管理協議会(C LM)によってなされたものだが、はじめは 供給元から消費者にいたる資材フローに関わる?ビジネス〞の側面に対処され、また図1 に示したように、生産活動や製造環境下での 小コンポーネントや消耗品にも主として適用 されている。
しかし、この定義自体は「システム」およ び製品設計・メンテナンスサポート問題には 対処していないため、ライフサイクルの全て ではないことに注意する必要がある。
サプライチェーン・マネジメント ここ数年の間、「サプライチェーン・マネ ジメント(SCM)」の旗の下に幅広いアプ ローチを展開している分野が注目を浴びてい る。
「サプライチェーン」とは原材料段階からエ ンドユーザーにいたる物の流れに関するすべ ての活動を包含し、原材料生産から生産、卸、 小売に従事する種々の企業を含む。
さらに輸 送、荷役、倉庫、情報処理に従事する全ての タイプの組織を含む。
サプライチェーン全て にわたって存在する機能には、原材料入手、 調達、生産、スケジューリング、製造、オー ダー処理、在庫管理、倉庫管理、顧客サービ スを含む。
サプライチェーン・マネジメントは、消費 者の満足を「最大」にし、運用コストを「最 小」にすることを目標として、産出地から消 費地に至る企業間の製品、情報、キャッシュ の流れを統合化する。
このサプライチェー ン・マネジメントのコンセプトは最新のもの で、多数の企業がチャネルパートナーとのビ ジネスプロセスの統合を試みている。
図2は この統合化を図示したものであり、図1で描 いたことをさらに拡大するアプローチを示し ている。
図2を作成したコイル氏は、「ロジスティ クスとは、従来、企業間の製品の物理的な流 れを管理する責任を負うものであった。
輸送 や倉庫に関わる活動は、物が継続的、安定的 図1 生産プロセスにおけるロジスティクス活動 ・需要予測 ・注文処理 ・調達 ・在庫管理 ・輸送/フロー ・情報フロー ・生産計画 ・購買 ・マテハン ・在庫管理 ・包装/出荷 ・情報フロー 物的流通 出典:B.S.Blanchard“ Logistics Engineering and Management” 5th Ed. Prentice Hall, NJ, 1998, Figure 6.1 生産/建設 倉庫 No.1 倉庫 No.2 倉庫 No.3 倉庫 No.4 供給者A 供給者B 供給者C 供給者D 生産 プロセス フロー 工場 ロジスティクス 支援 運用拠点 運用拠点 運用拠点 運用拠点 物的供給 製 造 ・需要予測 ・注文処理 ・在庫管理 ・輸送/運輸 ・顧客サービス ・情報フロー 需要予測 購買 要求計画 生産計画 製造在庫 倉庫 マテリアルハンドリング 工業包装 完成品在庫 流通計画 注文処理 輸送 顧客サービス 戦略計画 情報技術 マーケティング/販売 財務 資材管理 物的流通 ロジスティクス サプライチェーン マネジメント Fragmentation 1960 図2 ロジスティクスのサプライチェーンマネジメントへの発展 出典 : J.J.Coyle, et al, Transportation, 5th Ed., South-Western Publishing, Ohio, 2000, Figure 1.4 79 JANUARY 2002 に動くことを保証するために行ない、マーケ ティングや販売には取引の前後に顧客に情報 を提供する責任があった。
ここに情報技術の 発達によって、ロジスティクスには組織間の 情報フローを管理するという責任が加わった。
バーコードやEDIにより、ロジスティクス は製品の流れに関する情報を、物を動かす前、 移動中、配送後に提供できるようになった」 と、図1の示すロジスティクス活動との違い を述べている。
全体ライフサイクル・アプローチ 最近のコマーシャルセクターにおけるロジ スティクスの発展にもかかわらず、全体的な ライフサイクルベースでシステムを取り扱っ ていないために、「サプライチェーン・マネジ メント」の実現はまだ限られている。
この点 を考慮して定義を追加したいのだが、それは 最近、防衛分野で強力に推進されている「統 合ロジスティクス支援(ILS)」に関する ものだ。
この定義は次の通りである。
「ロジスティクスとは、?システムや機器の 設計にサポートを配慮し、?レディネス目標、 設計、その両者に密接に関係するサポート要 求を明確にし、?要求サポートを獲得し、? システム運用フェーズに必要とするサポート を最小コストで提供するのに必要なマネジメ ントと技術活動のための、秩序だった、統一 された反復されるアプローチである」 この定義は図3に示されているように、「シ ステム」およびその全体にわたるメンテナン スとサポートのインフラに関係する。
さらに 過去の経験から、サポータビリティ設計を重視して、システムの設計・開発プロセス の初期におけるロジスティクスに対応するこ とが欠かせないことは明らかである。
つまり、この定義の特徴は、システム、生 産・物流(上記で検討したSCM活動を含 む)、システムの運用と維持のためのメンテ ナンスサポート、システムリタイアメントな どの設計、つまり全体ライフサイクルのアプ ローチを重要視している点である。
ここまでに見てきたように、コマーシャル および防衛関連アプローチの両方に、認め られる全ての活動が含まれている(図1〜 3参照)。
となると、「ロジスティクスとは、調達、流 通、システム維持のメンテナンスサポートへ のライフサイクルアプローチであると定義で きる。
それには、支援性を配慮したシステム の企画や設計、消費者へのシステムの生産 と流通、計画された運用ライフサイクルを 通したシステムに対する持続的メンテナンス とサポート、さらに廃棄処分ないし他の利 用目的のためのリサイクルされるシステムや コンポネントに対するサポートなどを含む」 ということになる。
この定義は(私自身にとっても)好まし いもので、全体ライフサイクルの面からシス テムを取り扱おうとしており、また次の章で も取り上げるコマーシャル、防衛の双方の 活動範囲にも対処できる。
デポ/生産者メンテナンス ・詳細メンテナンス ・オーバーホール ・測定 ・製造 ・供給支援 ・要員 ・工場でのテスト ・道具 固定施設 現地メンテナンス ・使用現場における改良保全と予防保全 ・供給支援(重要なアイテム) ・システムテスト機器(組込み型) ・要員(ロースキル) ・運用環境 中間拠点メンテナンス ・改良保全/予防保全 (サブシステムレベル) ・供給支援 ・試験支援機器 ・要員(中程度のスキル) ・フィールド修理施設 コンポネント 供給者 図3 システムのメンテナンスと支援のインフラストラクチュア 出典:B.S.Blanchard & W.J.Fabrycky, “ Systems Engineering and Analysis” 3rd Ed. Prentice Hall, NJ, 1998, Figure 3.5 運用サイト 航空機 施設 船 メンテナンスフロー 供給フロー JANUARY 2002 80 システムライフサイクルで捉える 上記のように、様々なロジスティクス活動 をシステムライフサイクルの中でとらえるこ とが適切である。
冒頭で紹介した図(前号の 図)には、システムの主要ミッションに関わ る関連要素、それに付随するライフサイクル フェーズ、生産能力、メンテナンスとサポー ト能力、廃棄処分/リサイクル能力など、全 体ライフサイクルの基本要素が図示されてい る。
図4では、これらが活動の「流れ」として図示した。
第四図は、要件の初期定義とシステム企画 の早い段階のフェーズ(ブロック1)から始 まり、システム/製品設計活動(ブロック2)、 生産/構築活動(ブロック3、4)、流通と 倉庫管理活動(ブロック6)、システム運用 関連活動(ブロック7)に至る活動のフォワ ードフローの図である。
本質的に、ブロック2で はロジスティクスとサポート を考慮に入れた設計に関連 する活動の重要性について、 ブロック3、4、6、7で はコマーシャル関連ロジス ティクス活動の意義が示さ れている。
荷役、輸送、倉 庫管理、流通に関する機能 は、システムや製品の初期 生産のサポートだけでなく 再供給に求められる要求に も活用できる。
同時に、システムメンテ ナンスサポート(ブロック5、 7、8)に関係する様々な 機能や、システム撤去、リ サイクル、処分(非常に重 要であるがこの図には示さ れていない)に関する機能 を含むバックワード(逆の) 活動のフローも存在する。
ここでの私の目的は、システムライフサイ クル全体ならびに、それらの各段階における 重要なロジスティクス活動を示すことである。
その中には過去に「防衛」ロジスティクス、 「コマーシャル」ロジスティクスないし「ビジ ネス」ロジスティクスとして知られたものが 組み合わされ含まれている。
不幸にも我々は、これらの様々な活動を全 体システムの観点や全体ライフサイクルの流 れから、あるいは全体統合化を基にして捉え てこなかった。
最近、コマーシャルと防衛ロ ジスティクス活動の統合を目指したいくつか のアプローチ(SCMやそれと同等のアプロ ーチ)が見られるが、多くはまだこれらの活動が「分断化」して行なわれている。
もし我々が次のステップにむけて前進し、 より効率的な、費用対効果のよいロジスティ クスアプローチを行なおうとするならば、図 4で示された活動の全体の流れを単一の実態 として、長期間の脈絡で捉えることから始め るべきである。
加えて、我々はグローバル化アプローチ、 世界規模でのアプローチを企画すべきである。
多くの企業は競争力維持のための努力を続け ながら、原材料やコンポネントの新しい供給 源、生産・流通活動の新拠点、必要な持続 システムメンテナンスサポート活動を代行し てくれる企業を求めている。
経済のグローバル化により、企業はロジス ティクス活動を行う最適な場を世界に求める 図4 システムの運用とメンテナンスの流れ 計 画 システム/製品の 設計と開発 試験と評価 資材、コンポネント、 機器の供給者 生産/建設 在庫品倉庫 ・マテリアルフロ ーと製品流通 ・ロジスティクス 支援機能 運用現場 システム/製品運用 (消費者使用) ロジスティクス支援 (オンサイトメンテナンス) 中間段階の ロジスティクス支援 ロジスティクス支援 (オーバーホール修理) メンテナンスのために 戻るアイテムの流れ 流通と供給 1 2 3 4 5 6 7 8 工場における ロジスティクス支援 ・原材料/部品 ・生産/プロセス オペレーション ・検査と試験 ・修理とやり直し ・完成品 供給 供給 補充供給 出典:B.S.Blanchard & W.J.Fabrycky, “ Systems Engineering and Analysis” 3rd Ed. Prentice Hall, NJ, 1998, Figure 81 JANUARY 2002 SOLE東京支部フォーラム報告 SOLE東京支部では毎月「フォー ラム」を開催し、ロジスティクス技術、 マネジメントに関する会員相互の情報 交換に努めている。
昨年十一月の例会は新しいシリーズ の第一回目であり、参加者の自己紹介 や当フォーラムへの期待が各人から表 明された。
新シリーズの内容が紹介さ れた後、日本能率協会コンサルティン グの太田大作取締役開発本部長の「ロ ジスティクス動向」と題した講演を行 った。
次回十二月の例会では「欧州の ロジスティクス動向」についてベルギ ー・フランダース政府企業誘致局の方 からの情報提供が予定されている。
このフォーラムはSOLE東京支部 会員を対象としたもだのが、特定月の フォーラムのみの参加も可能。
ご希望 の方は事務局までお問合せください。
な お、SOLE東京支部についてのお問 合せ、ご意見などはsole_consult @jmac.co.jp まで。
Q1 マーケティングミックスとは次のどれを指すか? a.製品、販売促進、支払い、場所 b.製品、生産、価格、場所 c.製品、販売促進、価格、場所 d.製品、生産、支払い、場所 Q2 輸送モード別に遂行度合い(ディペンダビリティ)のラ ンクをつけると、高い順に言うと次のどれか? a.航空、ハイウェイ、鉄道、水運、パイプライン b.水運、鉄道、ハイウェイ、航空、パイプライン c.パイプライン、ハイウェイ、鉄道、水運、航空 d.ハイウェイ、航空、鉄道、水運、パイプライン 前月号でご紹介したCPL模擬試験問題は「流通と顧客支 援」からの出題でした。
いかがでしたか。
Q1の正解は「c」。
徳永豊編集の『詳解マーケティング辞 典』(同文館一九八九年)によると、「マーケティングミックス とは、マーケティング諸手段(要素)を一定の戦略目標達成 のために、最も効果的に組合わせることを言う。
マッカーシー (MacCarthy, E. J)は、マーケティング諸手段のうち特に重要 なものとして次の4つを挙げている。
すなわち、Product(製 品)、Place(場所)、Promotion(販売促進)、Price(価格) である。
マッカーシーは、このマーケティング諸手段のそれぞ れの頭文字をとって4Pと名づけている」 (お詫び:前月号の出題において「d 製品、生産、価格、 場所」となっていましたが、「d 製品、生産、支払い、場所」 の誤りでした。
お詫びして訂正させていただきます) 解答表によればQ2の正解は「c」。
ディペンダビリティと は広義のアベイラビリティで遂行性などと訳されている言葉。
一番確実な方法を問われていると考えると、航空機はスピード は一番だが気象条件などで飛ばないことがある。
水運は大量に 輸送できるというメリットを持つが、スピードが遅く気象条件 などに左右されやすい。
鉄道、ハイウェイを比べると、ハイウ ェイすなわちトラックの方が道路の選択が利くため有利。
パイ プラインは破壊されない限り決められた区間は一番確実にスピ ーディに輸送することが可能。
第10回 CPLの試験問題に挑戦 今回は第1領域「システムマネジメント」からの問題です。
Q1 ロジスティクス支援の主要要素は次のどれが適切か? a.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・荷役・保 管・輸送、要員と訓練、施設、データ、コンピュータ資 源 b.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・荷役・保管・ 輸送、要員と訓練、施設、コンピュータ資源 c.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・保管・輸送、 要員と訓練、データ、コンピュータ資源 d.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・保管・輸送、 要員と訓練、施設、データ、コンピュータ資源 CPL(Certified Professional Logistician)の試験問題に挑戦 前回のおさらい ※今回の設問の答えと解説は、本誌2002年2月号の当コーナーでお読みいただけます Q2 データ通信システムの説明として適切なものはどれか? a.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高速で行うことを本来の目的とした機械群である。
b.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高信頼度で行うことを本来の目的とした機械群で ある。
c.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高信頼度で行うことを本来の目的とした人と機械 の組合せである。
d.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交 換を高速で行うことを本来の目的とした人と機械の組 合せである。
であろう。
さらに、最近の防衛関連の活動で は確実に世界規模でのロジスティクス体勢が 要求されている。
要するに、ロジスティクス への要求はかなり高まっており、今後は統括 化された国際的なかかわりが、さらに求めら れてくるであろう。
