2005年1月号
CLM報告

RFIDの将来性

JANUARY 2005 54ICタグはスパイチ プ現在 米国のロジステ クス業界でホ トな話題の一つがRFID ICタグ である ICタグはロジステ クスコストの大幅削減につながる夢のツ ルであるとして その普及に大きな期待を寄せている関係者が少なくない しかしその一方で ICタグの可能性に否定的な意見があるのも事実 1技術面での標準化が進んでいない 2導入コストが高すぎる 3導入による効果が要求するレベルに達していない 4導入実績に乏しい 5使用する電波帯の割り当てが決ま ていない などがその背景にある 一般消費者の反応がいいとは言えない ICタグはプライバシ を侵害する スパイチ プ で悪魔の象徴である という極端な見方もある 実際 製品へのICタグの貼付を試みた あるアパレルメ カ やカミソリメ カ は不買運動に見舞われた ICタグは必ずしも好意的に受け止められているわけではない とはいえ 産業界ではICタグの導入が徐々に進められている も とも熱心なのは小売業だ 例えば 世界最大手の米ウ ルマ トは二〇〇五年一月 サプライヤ のト プ一〇〇社を対象にICタグの貼付を義務付ける 同社は二〇〇六年末までにすべてのサプライヤ にICタグの貼付を求める計画だという 主要な小売業の取り組みは以下の通り ●独メトログル プ二〇〇四年十一月にケ スやパレ トにICタグの貼付を開始●英テスコ二〇〇四年九月にサプライヤ のト プ一〇〇社を対象にケ ス単位でのICタグ貼付をスタ ト 二〇〇六年からすべてのサプライヤ に貼付を義務付ける●米タ ゲ ト二〇〇五年春をめどにICタグの導入実験を開始 二〇〇七年春までにパレ ト ケ ス単位での貼付を義務付ける●米アルバ トソンズ二〇〇五年四月 サプライヤ のト プ一〇〇社を対象に パレ トおよびカ トン単位での貼付による実証実験を開始する小売業が実用化に前向きなのはICタグが様々な領域でコスト削減や業務効率化に役立つと判断しているからだ 例えば ICタグは万引きなRFIDの将来性アクセンチ アジ セフ・トボルスキ アソシエイトパ トナ RFID ICタグ 導入の動きが本格化してきた 米ウ ルマ トをはじめとする有力小売業が実証実験を繰り返している 普及の足かせとされてきたタグの値段は下落したのか システムに関連する技術の開発は予定通りに進んでいるのか 専門家がICタグの現状を解説してくれた 講義テ マ 55 JANUARY 2005ど盗難 シ リンケ ジ の防止にとても効果的だという ICタグを貼付した商品をレジを経由せず外部に持ち出そうとすると 出口の読み取り機 リ ダ がアラ ムを発する 小売り各社はそんな仕組みを構築して盗難防止を図ろうとしている 長年 欧米の小売業は盗難率の改善が一向に進まないことに頭を悩ませてきた 製造段階での盗難率は売上高の一%を占める さらに小売り段階になると 盗難率が実に収入の二%に達するという 盗難による商品ロスを減らすことは利益率向上のための課題の一つとされてきた ICタグは物流センタ でも活躍する 従来は作業員が商品のバ コ ドを一つひとつハンデ タ ミナルで読み取 ていたが ICタグを導入すれば 複数のタグを一度で読み取ることが可能になる ICタグによ て荷受け 検品などの作業の簡略化が進めば 物流センタ の運営コストを大幅に削減できると期待している 一般に物流センタ 運営費の八九%は労務費が占めると言われている ICタグの導入で現場の作業生産性が高まれば当然 センタ で働く作業員の数を大幅に削減できる ICタグは労務費比率の引き下げに結びつく 普及のネ クはタグの値段このように様々な効果が期待されているICタグだが 現状ではまだテスト導入の域を出ていない 普及のネ クにな ているのはタグそのもののコストだ 現在 タグの値段は機能にもよるが 一個当たり五〇セントから高いもので一ドルを超えてしまう 印刷のみでほとんどコストが掛からないバ コ ドに比べ コスト負担が大きい ICタグのコストをめぐる議論はまさに タマゴが先か 鶏が先か である 普及・利用が進み 大量生産が可能になればタグの一個当たりの単価が下がる しかし現状ではタグの値段が高いため 導入に二の足を踏んでいる事業者も少なくない 事業者が様子見を続ければタグの価格は下がらない そしてタグの値段が下がらないため 導入が進まないという悪循環に陥る も とも小売業を中心に導入が検討されるようになり タグの低価格化は少しずつではあるが 着実に進んでいる このまま導入が拡が ていけば コスト負担を感じないレベルにまでタグの価格が下がるのは確実である ある調査機関によると タグの単価が五セント以下になれば すべての商品にICタグが貼付されるようになると予想されている コスト吸収力を考えると ICタグは付加価値の高い 価格の高い 商品 例えば家電やアパレル 医薬品などの分野から導入が始まりそうだ その後 タグの値段が徐々に下が ていくことで 食品や飲料など廉価な商品への貼付も可能にな ていく そして最終的には全ての商品にタグが貼付されるようになる ICタグの普及のスピ ドは業界によ て大きな差がある 例えば 偽造品の流通や偽造品に1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 2000 2001 2002  1。
791。
911。
885% 48% 1。
951。
831。
871。
771。
721。
691。
801。
701。
55  1。
60  1。
65  1。
70  1。
75  1。
80  1。
85  1。
90  1。
95  2。
00●米国の流通業の売上金額に占めるシュリンケージの割合 シュリンケージの割合(%) 出典:フロリダ大学『2002 National Retail Security Survey』 本誌2004年5月号から流用 従業員による窃盗 万引き 管理および 書類上のミス 取引業者の ごまかし 15% 32%  JANUARY 2005 56よる医療事故の発生に頭を悩ませている医薬品の分野は比較的早い時期にICタグの普及が始まると見られている 二〇〇四年度には医薬品メ カ 卸 ドラ グストアなどで実証実験がスタ ト 二〇〇五年度になると パレ ト単位 ケ ス単位 パ ケ ジ単位で一部の商品にICタグを貼付する企業が現れ 二〇〇六年度にはほとんどの商品に貼付されるようになる そして二〇〇七年度には全ての商品への貼付が完了する見通しだという 実際 医薬品の分野ではフ イザ やノバルテ スとい た医薬品メ カ や CVSなどのドラ グチ ンが参加する業界横断的なICタグ実験がスタ トしている 実験は1実際の商品にケ ス単位 もしくはアイテム単位でタグを貼付 2通常時と同じサプライチ ン上でその商品を動かす 3生産拠点や物流センタ 店舗などに読み取り機を設置 4商品の安全性がどのくらい高ま たのか 物流センタ での作業生産性がどれだけ改善されたのか などICタグ導入の効果を測定する とい た内容だ 他産業に先駆けて実証実験を続けてきた小売業では本格導入に踏み切る企業も出始めてきた 英国のマ クス&スペンサ は二〇〇四年度から 店舗納品に使用するプラスチ クトレイ約三五〇万個 ド リ 車四〇万台にICタグを貼付 物流センタ での出荷前検品に役立てている ド リ 車に載せられたトレイを リ ダ 読み取り 機能を有するゲ ト 門 にくぐらせて まとめて検品する仕組みである これまで同社ではトレイのバ コ ドを一つひとつ読み取 て出荷前検品を行 ていた これをICタグに置き換え 複数のトレイをまとめて一度に検品する体制に改めたことで 読み取り作業に掛かる時間を八三%削減することに成功した タグの購入やシステム構築に多額費用を投じているが こうしたコスト削減効果によ て投資を三年で回収できる見通しだという ICタグを支えるシステムICタグの実用化に向けて各種技術の開発や標準化がどれだけ進んでいるのか ICタグの標準化団体 EPCグロ バル が取り組んでいるICタグの運用を支える各種システムの開発状況を報告しておこう 1ナンバリングシステム EANとUCCのル ルに準拠してデ タを標準化2タグおよびリ ダ 無線インタ フ ス仕様は UHFジ ネレ シ ン2 を採用する方向に3適合性およびパフ マンスの試験 二〇〇四年八月に相互運用に関する実験を実施4プログラミング言語 国際標準マネジメントプロセス GSMP が規定する仕様に合うかたちでEPCが活用して《独メトロのICタグ実験》独メトロの「フューチャーストア」では自動レジやスマートシェルフ(ICタグを貼付した商品の陳列棚)の導入などICタグ技術の活用を積極化している 57 JANUARY 2005いる言語を利用することを提案中5トレ ニングおよびインプリメンテ シ ン 二〇〇四年に実施されたパイロ トインプリメンテ シ ンに基づき トレ ニングやインプリメンテ シ ンの方法を開発中6デ タ交換 EPCのル ルに基づいてビジネスプロセスを定義する7ネ トワ クの枠組み EPCグロ バルがデザインしたモデルを採用 提案認証は二〇〇四年九月に実施8デ タメタモデル EPCグロ バルが構築するネ トワ ク内で使用するEPCデ タの構造を二〇〇四年度末までに固める9ミドルウエア EPCグロ バルのネ トワ ク内で使用する各種アプリケ シ ンや プログラミング インタ フ スについて詳細を詰めている段階10ONS ObjectNamingService EPCの管理番号に反応する情報を蓄積しているサ バまでのル トはすでに構築済み サ バの運営先も決定しているICタグは避けて通れない技術開発や運用ル ルの策定などICタグを運用するための環境は徐々に整備されつつある 本格的な普及が始まるのは時間の問題だ 多くの企業が導入を前向きに検討しており その流れは止まりそうにない 現在 普及の足かせとな ているタグのコストの問題もすぐに解消される 近い将来 ICタグがどんな企業にと ても避けては通れないツ ルになるのは確実だ ICタグの技術はとても複雑である それをマスタ するまでには時間が掛かる 新たな投資も必要となる 導入を検討する企業は ライバル企業の動向や技術的な進歩の度合いを見ながら 三 五年とい た長いスパンで導入計画を立案していくべきである ICタグがサプライチ ン上で幅広く利用されるようになれば そこに組み込まれている企業は大きな利益を得ることになるだろう ※このレポ トは二〇〇四年一〇月に開かれた米CLM年次総会での講義内容を本誌編集部がまとめたものです CLMは二〇〇五年一月に組織の名称をCSCMP CouncilofSupplyChainManagementProfessionals に変更しました 店舗納品に使用するプラスチックトレイ約350万個、ドーリー車40万台にICタグを貼付。
センターの出荷前検品の効率化を図っているHMILabel TagPallet《マークス&スペンサーのICタグ実験》URL : http://www。
epcglobalinc。
org/ICタグ標準化団体「EPCグローバル」のホームページ

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