ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
2024年版トラック実勢運賃調査 ダウンロード版 7月1日発行
よくある質問
詳細はこちら
トップ > LOGI-BIZ編集室 > やさしいLOGI-BIZ用語解説 > アウトソーシングと外注の違いは?

アウトソーシングと外注の違いは?

アウトソーシングと外注の違いは?


 社内で処理していた仕事を、社外に任せるようにすることを最近ではアウトソーシングと呼んでいるそうですが、そのメリットとデメリットを教えて下さい。欧米で急拡大していると聞いて、気になっています。

 アウトソーシングは通常、「外部委託」と訳されます。その意味は文字通り、社内の仕事を外部に委託することです。考えようによっては集団社会で「分業」が始まった大昔にまで歴史をさかのぼることのできる、とても古い概念です。しかし、それが今日のビジネスでは重要なキーワードの一つになっています。

 安く済むから、社内でやると割が合わないから下請けに出すーーというように、これまでの「外注」では、何よりコスト面が重視されていました。これに対して、アウトソーシングでは、社外の専門家の能力を活用することで、身内だけで業務を行うより大きな成果を得ることに最大の狙いが置かれています。

 アウトソーシングを有効活用することで急成長を成し遂げたシスコシステムズという会社があります。86年にアメリカで設立された比較的歴史の浅い情報関連機器メーカーですが、今では日本を含めた世界55カ国に200カ所以上の拠点を持つ業界屈指の有力企業として広く知られています。

 シスコでは、注文の過半数を社員の手を一切使わずに処理しています。注文の大部分はインターネット経由で自動的に入ってきます。顧客が自分で入力した注文情報は、そのままシスコが製造を委託している協力工場に送られます。協力工場ではその製品を協力物流会社に手渡し、そのまま協力物流会社が顧客に納品するわけです。

 一般にシスコはメーカーに分類されていますが、実際に商品を製造しているのは協力工場であり、顧客に商品を届けているのは協力物流会社です。シスコ自身は一体、何をしているのかといえば、顧客のニーズを分析して新たな商品を生み出すための商品開発、そして人手がかからず、自動的にビジネスを運営できる事業モデルの開発に特化しているのです。

 社内でやるより上手くやってくれる専門家が外部にいるなら、彼らの力を利用する。そによって社内のマンパワーを、自分の会社の核になる業務に集中させる。それがアウトソーシングの基本です。コスト削減を最大の目的とした「外注」とは、全くスタンスが異なっているのです。

 その傾向が最も顕著に現れているのが、情報システムの分野です。日本でもここ数年、大手企業を中心に社内の情報システム部門の業務をアウトソーシングに切り替えるケースが相次いでいます。情報技術の革新のスピードに、社内スタッフの能力育成が追いつかない。それが最大の理由になっています。

 アウトソーシングの担い手をアウトソーサーと呼びます。近年、情報技術を始めとした様々な業務分野で有力なアウトソーサーが登場してきました。これによって、従来なら社内の人間でないと処理できなかった業務でも外部に投げられるようになってきました。

 単純な製造加工や輸送など、仕事の内容が明確で部外者にも任せやすい機能だけでなく、注文処理やクレームへの対応、人事や総務経理、ひいては中長期の経営戦略立案に至るまで、もはや社内のあらゆる業務がアウトソーシングの対象になっているといっても、過言ではありません。

 ただし、アウトソーシングには大きなリスクも伴います。本来ならアウトソーシングすべきでない、事業の核になる業務(コア・コンピタンス)を誤って外部化すれば、自社の存在意義が足元から崩れてしまいます。つまり、アウトソーシングすべき業務と社内に残すべき業務の切り分けが、何よりまず問題になります。

 さらに、業務の委託先となるアウトソーサーは、時には自分の会社に代わって顧客と直接やりとりすることもあるほど、重要な役割を担うことになります。今までの下請けを選ぶような安易さでアウトソーサーを選択すれば、思わぬ落とし穴にもはまりかねません。自社のパートナーとして本当にふさわしい相手なのか。アウトソーサーの業務遂行能力や料金だけでなく、企業カルチャーに至るまで冷静に見極める必要があります。

 アウトソーシングを導入した後のフォローも重要です。アウトソーシングの課題の一つは、いったん契約を結んでしまうと業務改善に向けた動機付けが難しくなることにあります。アウトソーサーにとって、改善活動による業務の効率化は、そのまま収入の減少を意味する場合が多いからです。

 そのため改善で業務効率が上がった場合には、そこで生み出されたコストメリットをアウトソーサーと分け合う「利益配分の仕組み」をあらかじめ契約にうたっておくケースも少なくありません。これによってアウトソーサーに改善への動機付けを与えます。同時に、委託した業務のパフォーマンスを常にチェックし、定期的に他のアウトソーサーとの比較を行うなど、アメと鞭を上手く使い分けるのです。

 経営スピードがますます重視されている今日のビジネス環境にあって、アウトソーシングの活用は有効な手段です。しかし、いくら便利で手っ取り早いからといって、安易に業務を他人に“丸投げ”すれば、必ずしっぺ返しがあります。アウトソーサーとのパートナーシップを尊重しつつも、管理の手綱は常に握っておく必要があるのです。(2000/12執筆)


  • 特定商取引法に基づく表示
  • プライバシーポリシー
  • 利用規約