2026-03 No.300

2026年3月号

特集取適法で物流を革新する

解説

14

政府の「本気度」を見逃すな

 荷主と物流事業者の間や、物流事業者同士の取引関係是正を図る政府の姿勢は年々厳しさを増している。運賃や料金への価格転嫁が円滑に進んでいないためだ。「特定運送委託」を規制対象に加えた改正下請法(中小受託取引適正化法、取適法)もその一環だ。政府の「本気度」を見逃していては、自らの事業の持続可能性を損ないかねない。

第1部

18

受託側に負担押し付ける商慣行は変わるか
中小企業庁「取引Gメン」特別座談会

 中小企業庁は2017年1月から、業務委託取引の状況を中小受託事業者からヒアリングする取引調査員「取引Gメン」を配置している。昨年実施した運送事業者からのヒアリングを担当したGメン3人に、中小運送事業者が置かれている取引環境の実態について、座談会形式で語ってもらった。

第2部 提言

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「取適法を機に荷主は管理体制の再点検を」

Interview  船井総研サプライチェーンコンサルティング 田代 三紀子 執行役員

 荷主と物流事業者間の運送委託業務が中小受託取引適正化法(取適法)の対象となった。独占禁止法の物流特殊指定と異なり、発注書面の交付が義務化されるほか、支払期限については60日以内が求められる。荷主企業は委託している運送業務の内容を再点検するとともに、取適法の禁止該当項目が発生している場合は改善を急ぐ必要がある。

第3部 ポイント解説

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取適法など対応で過去最大規模の改訂
国交省トラック適正取引ガイドライン

 トラック適正取引ガイドラインが昨年12月に改訂された。中小受託取引適正化法(取適法)や改正貨物自動車運送事業法などに対応した過去最大の改訂となる。荷主企業は自社の業界の取引適正化ガイドラインに対応した上で、トラック運送関連についてはトラック適正取引ガイドラインを意識した取引を行う必要があるため、その内容を一定程度把握しておくことが重要になる。

第4部 調査結果から透ける事業者の本音

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東京商工リサーチ

法改正は歓迎も収益増への期待薄く

 ほぼ半数の運輸事業者が中小受託取引適正化法(取適法)を「知っており、影響を精査済み」と回答し、その割合は製造業に次いで高い──。東京商工リサーチの調査結果からは運輸業界で法対応が進みつつある状況がうかがわれた。その半面、収益への好影響を期待する向きは少ない。法改正に直面する事業者の本音が透けて見える。

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ハコベル

立場や企業規模で異なる対応度合い

 中小受託取引適正化法(取適法)や改正物流関連二法は相互補完性の強い内容となっているが、どの法律や要求事項に対し、企業の対応がどの程度進んでいるのかを俯瞰するのは難しい。改正法に絡んで網羅的な物流支援サービスを展開しているハコベルの対応からは、荷主や元請運送事業者らの悩みや、立場ごとに留意すべき点が浮かび上がってきた。

第5部 運送事業者を支援する

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AZ-COM丸和ホールディングス

配送ネットワーク基盤支える経営サポート

 協力運送事業者が加盟する会員制の「AZ-COMネットワーク」を2016年に立ち上げ、物流コスト軽減などの支援メニューを提供するほか、これを基盤とする配送網の強みを生かし、荷主も巻き込んだ取引環境の改善を進める。個々の事業者が経営を軌道に乗せて初めて、ネットワークが社会インフラとしての価値を生む。

第6部 トラック運送業界の課題を展望する

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「多重下請構造は変化の時期を迎える」

Interview  流通経済大学 流通情報学部長 矢野裕児 教授

 日本の運送業界は多段階の下請構造が構築され、実運送事業者が収受する運賃の低下や管理の複雑化といった問題が発生している。是正に向けて改正貨物自動車運送事業法を含むトラック適正化二法などが成立。委託回数制限や書面交付義務の対象拡大などによって、トラック業界のそうした多重下請構造は変化の時期を迎える。

第7部 海外論文

34

輸配送の下請委託に伴う課題と保護政策

“Outsourcing the last mile:Should regulation be strictly focused on the urban segment?”
フランス ギュスターブ・エッフェル大学 Petronille Reme-Harnay

 道路貨物輸送分野において、下請け企業へのアウトソーシングはどのような課題を引き起こしているのだろうか。委託側と受託側の力関係は、均等か不均等か。不利な立場に置かれやすい企業には、どのような保護政策が展開されているのか。フランスの宅配便セクターを例に考察する。

300号特別企画

40

区切りの号で振り返るニッポンの物流

 本誌がスタートした2001年4月から25年。日本の物流業界は3PLの浸透や自動化・精進化の加速などで大きく変貌した。本誌が追ったその時々のトピックから歩みを総括した。物流はこの先、どこまで進化するのか。

Key Person

4

「サプライチェーン全体の成長考える契機に」

公正取引委員会 企業取引課 柴山豊樹 課長

 長きにわたるデフレ経済下で定着した商慣行が、足元のコスト上昇局面における大企業と中小事業者の取引関係に深刻な弊害を及ぼしている。立場の弱い中小事業者に負担が押し付けられる構造を放置しては、サプライチェーン全体の成長は程遠い。法整備や制度設計で適正取引を加速させ、日本経済の持続可能性を蝕む“病巣”にメスを入れ続ける。

Case Studies

46

ビームスホールディングス〈物流拠点〉

拡張移転したセンターに先進マテハンを導入
WMSも刷新し東西2拠点体制で国内をカバー

50

トクヤマ&グリッド〈物流DX〉

工場から全国40拠点超にセメントを海上輸送
AIで配船計画作成を自動化し業務負荷軽減

Columns

54

物流企業の値段《第209回》

 米澤正祥 大和証券 シニアアナリスト

センコーグループホールディングス

主要3分野を軸に物流事業の成長が継続
積極的なM&Aで拡大するも課題も残る

56

高度物流人材のためのリスキリング講座《第24回》

人事労務の基礎知識(2)
労働時間・安全衛生

 講師 梶田 ひかる

61

フィジカルインターネット通信《第43回》

協調領域から始まるドイツの物流デジタル化

 野村総合研究所 水谷禎志 エキスパートコンサルタント

62

海外トレンド報告

《欧米編》美術品物流の今──最新技術から戦争による窮状まで
《アジア編》カタールのGWC、国家戦略にらみ美術品物流に注力
《アフリカ編》ケニアの新国際港、2025年貨物量は前年比10倍増

66

NEWS ROOM

国分とヤマトがパートナーシップ協定

74

湯浅和夫の物流コンサル道場《第286回》〜温故知新編 第167回〜

「一時代画す貨物自動車運送事業法改正」

78

物流指標を読む《第197回》

青切符の導入で自転車事故は減少するか

 NX総合研究所 佐藤信洋

80

国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告

中小企業のDX推進事例
─東邦電子のケース─

84

佐高信のメディア批評

オッサン政治家・森喜朗の後継者
今は“トランプのペット”高市を懸念する

Information

CLIP BOARD

44

  • 船井総研サプライチェーンコンサルティングがセミナーで2026年の時流など議論
  • ヤマトHD・櫻井次期社長が会見で決意表明

45

  • オープンロジが「AI梱包予測」を独自開発

53

  • JILS・大橋会長が年頭会見で物流統括管理者の設置義務化受け企業支援表明
  • JUIDA・鈴木代表理事が2026年度のドローン普及活動方針を発表

65

  • 日本パレット協会・二村会長が改正物効法の実効性確保へ荷主支援表明
  • フィジカルインターネットセンターが企業の共同物流対応進捗表す新指標開発

73

  • 日本郵便の不適切点呼で行政処分受けた郵便局が全体の6割に到達

DATA BANK

85

  • 国土交通月例経済(国土交通省)
  • デカルト・データマイン 海上コンテナ輸送量実績調査
  • 賃貸物流施設マーケット動向(2025年第4四半期)
    シービーアールイー 首都圏は既存物件堅調で空室率低下続く

90

主要記事索引

94

編集後記

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広告索引

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