2025-08★

2025年8月号

特集異分野連携の進め方

第1部 現場リポート:いかに手を組むべきか

12

多様な事業者の連携が“食糧基地”支える
「北海道の地方発の貨物に関する物流実態の把握に係る調査報告書」より

経済産業省 北海道経済産業局

 「2024年問題」などによる物流の担い手不足は、“日本の食糧基地”にも暗い影を落としつつある。農林水産関連の荷主が多い北海道の物流は季節波動が大きく、運送事業者は片荷を余儀なくされがちだ。同業者同士の連携では限界がある。デジタル技術活用などで多種多様な事業者の参画機会を創出し、業種の枠を超えた共同輸配送網を構築する必要がある。

第2部 人知と技術のタッグで壁を乗り越える

18

長瀬産業

化学品特化型のAIマッチングサービスを展開

 化学品業界を主な対象とする会員制の共同物流マッチングサービスを展開している。システムは日本パレットレンタルと連携して構築。化学品業界の幅広い荷主企業と物流企業が参加する。マッチング事業の開始を機に独自の物流イベントを定期開催するなど、化学品サプライチェーンの課題解決に向けた各種サービスの展開を加速させている。

20

Hacobu

業界横断の「物流ビッグデータ」活用が始まった

 創業から10年にわたり、トラック予約受付や車両動態管理などのサービス提供を通じて業界横断的に集積してきた物流のビッグデータを使わない手はない。そうした決意から、業界の垣根を超えて共同輸配送を検討する場を主催。膨大な情報を基に参加企業が最適な候補を検索できる専用システムも開発した。年内の実例創出を目指す。

第3部 インタビュー

22

日清食品
深井雅裕 常務取締役事業統括本部長兼Well-being推進部長

「『水平』と『垂直』の両方向で企業間連携を推進」

 異業種メーカー同士の水平連携から始まった改革はサプライチェーン上の川上と川下に位置する企業による垂直連携へと取り組みの幅を拡大している。調達物流と販売物流を統合した新たな物流の枠組みの整備も推進。複数のアライアンスをクロスさせていくことで、サプライチェーン全体の最適化に結びつけてく。

第4部 逆境を強みに変える

24

朝日新聞社

超速リードタイム活用した独自混載便

 深夜から早朝に朝刊を届ける輸送網などを活用し、新聞をベースカーゴとする混載便サービスに乗り出した。夜間に車両で運ぶ輸配送網は今後、供給の先細りが予想される。印刷拠点から販売店まで約3時間という短いリードタイムも前面に押し出し、需要の掘り起こしにつなげる。

第5部 ケーススタディ

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DNPロジスティクス × 王子ネピア・王子物流

「重量勝ち」と「容積勝ち」の絶妙混載で積載パレ倍増

 長距離便の確保に苦戦していた2社が福島工場から東京への混載輸送を実現させた。重量型と容積型という製品特性の違いを活かし満載に近づけることで、積載数は従来の16パレットから最大32パレットに増加。年間約60台のトラック削減を見込んでいる。今後は戻り便で原材料を積んでいくラウンド輸送の構築を検討している。

28

マルコシ・シーガル × 花咲運輸

水産品運送業とスーパーが“片荷”補完を実現

 北海道の札幌圏から根室まで食品を運んでいたスーパーと、根室から札幌圏までの水産品輸送を手掛けていた運送事業者。地元経済の担い手同士が連携し、互いに積年の課題だった“片荷”の解消につなげた。事前に決めた配車計画に配送スケジュールを合わせる取り組みも奏功。車両積載率は平均約9割まで高まった。

30

流通経済研究所

農産物と日用雑貨でデータ連携共同物流

 農産物と日用雑貨を往復でマッチングさせる異業種共同輸送の実証実験を行った。農産物と日用雑貨業界それぞれのデータ基盤を連携させることで、適切な組み合わせを算出。東京から宮崎に向かう復路を分割してルートを構築し、複数の日用雑貨メーカーの製品を輸送した。九州域内輸送では中継拠点の運用によって輸送ルートの複線化を実現している。

32

NEC × 横河電機 × 三井倉庫サプライチェーンソリューション

メーカーと輸配送会社の協働が共配PFに結実

 NECが開発している「共同輸配送プラットフォーム」が実用段階に入ってきた。構想当初から、使い手となるメーカーや物流会社と協業し、業種や取引関係にとらわれず、複数の荷主企業・物流事業者が相互連携できるN対N型のプラットフォームを目指したことが特徴だった。協業メンバーの横河電機と三井倉庫サプライチェーンは東京から東海への製品配送を集約、積載率を70%超まで向上させた。

第6部 枠を超えて広がる「次世代協働」

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TRAFFIC × ANA × JAL

航空輸送の犯罪利用を国際連携で水際阻止

 闇市場で3兆円と世界第4位の規模を持つのが、野生生物の違法取引だ。武器の供給から密猟、輸出入、販売にまたがる「闇の異分野連携」が強大化しており、空港の水際対策でも、税関・検疫などの法執行機関だけでは対処困難となりつつある。犯罪組織への資金流入や、致死性感染症の国内侵入にも結び付くことから、NGOとANAやJALといったエアラインが水際対策で連携する動きが世界的に始まっている。

36

ヘルスケアシステムズ × 花王

先進輸送技術で病気防ぐ検査のハードルを下げた

 皮脂に含まれるRNAには、皮膚の健康状態の先触れとなる情報が搭載されている。一般生活者が日常的に皮脂RNAの検査を受け、病気になる前の肌ケアに役立てられるよう、花王の皮脂RNA解析技術と、ヘルスケアシステムズの郵送検査ノウハウを結び付けて、皮脂RNA郵送検査サービスを開発した。検査を受ける生活者のすそ野が広がったことで、次の製品開発に寄与し得る新たな知見も得られ始めている。

38

日本郵船 × フィリピンTDG

外航船員の課題解決へ電子通貨事業参入

  航海中の外航船員への給与支払いは、寄港先国への送金や船上での金銭管理に伴うコスト、業務負荷、安全性が大きな課題となってきた。そこで日本郵船は、世界最大の外航船員輩出国フィリピンで、船員人材サービス大手TDGと組み、船員が給与を電子通貨で受け取れるフィンテック事業を立ち上げた。商社や大手行なども参画して電子通貨で利用できるサービスが拡充、2021年の提供開始から4年足らずで黒字化している。

40

T2 × JR貨物

自動運転トラックと鉄道が幹線輸送を変革する

  T2が国内で初めて、自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を開始した。まずは有事に備えてドライバーが乗り込む形で走行して知見を重ね、2027年には無人化した「レベル4」への移行を目指す。貨物鉄道と連携する「モーダルコンビネーション」で幹線輸送力を拡充し、災害があっても止まらない物流を実現することも視野に入れる。

第7部 海外論文

42

共同物流に関する先行研究・議論の集約

“Shared Logistics─Literature Review”
ポーランド グダニスク大学 Maria Matusiewicz、Dorota Ksiazkiewicz

 複雑化する物流業務を効率化するため、新たな可能性として共同物流が登場した。だが、サービス開発などを共同化するのか、雇用を共同化するのか、コストを分担するのか、ビジネスプロセスによって「共同」の概念は変わる。そこで共同物流に関して先行する研究論文をレビューすることで、どのような研究・議論がなされ、どのような成果が得られているのか一望できるようにする。

New Series

48

〈第2特集〉激震・郵便点呼不正《第1回》

公開資料が示す問題の深刻さ

 点呼の不正常態化が明らかになり、事業許可取り消しの行政処分を受けた日本郵便。同社の社内調査結果や国土交通省の監査結果を見ると、経営層と現場の両方が機能不全を抱えていたという深刻な実態が浮かび上がる。当事者は処方箋を見つけられるのか。

Key Person

2

「非公開化は物流企業変革の有力な選択肢」

KKRジャパン 宮内秀聡 プライベート・エクイティ ディレクター

 日本の物流業界は再編や事業変革の動きが活発化している。世界有数のプライベートエクイティ(PE)ファンドとして多数の企業投資に携わってきた経験から、物流企業にとっては株式市場の動向に左右されず、大胆に経営改革を進めることが可能な株式の非公開化が有力な選択肢の一つだとみている。

Case Studies

58

亀田製菓〈物流戦略〉

直近3年間で売上高物流費比率が大きく改善
商品パッケージの見直しや物流共同化が奏功

62

エア・ウォーター〈低温物流〉

自社G製品と顧客商品に対応の物流機能拡充
千葉の最新センターで冷凍自動倉庫を活用

Columns

50

《特別リポート》
現地調査報告:米ProMAT・独LogiMAT
世界の物流デジタル化はどこまで来たか Ⅲ

NX総合研究所 リサーチ&コンサルティングユニット3 磯村誠二

 世界中の物流テクノロジー開発の有力企業らが集結する「ProMAT(米シカゴ)」、「LogiMAT(独シュトゥットガルト)」の両国際物流展示会をまわり、約100社にヒアリングとアンケート調査を実施した。今回で第3回目となる本調査では、過去8年間と比較したベンダー意識の変化や、今後の自律型AI活用の可能性、将来におけるデジタル物流の行方などもレビューする。

66

物流企業の値段《特別編》

2025年3月期
物流企業決算ランキング

売上高は増加に転ずるも営業減益は継続

70

高度物流人材のためのリスキリング講座《第17回》

マーケティングの基礎知識(4)
チャネル政策

 講師 梶田 ひかる

77

フィジカルインターネット通信《第36回》

国境を越える学び ─第11回国際PI会議より

 野村総合研究所 水谷禎志 エキスパートコンサルタント

78

海外トレンド報告

《欧米編》兵站が生死分けた南極探検・元スコット隊輸送船を海底で初撮影
《アジア編》上海の復旦大学付属腫瘤医院、手術器具をドローンで緊急調達
《アフリカ編》エチオピアと英国、マルチモーダルなどで連携協定

82

NEWS ROOM

流経大がリカレント教育のSCMプロ人材育成プログラム

90

湯浅和夫の物流コンサル道場《第279回》〜温故知新編 第160回〜

「トラック事業適正化関連法」成立

94

物流指標を読む《第190回》

ヤマト専用機による輸送量増加に期待

 NX総合研究所 佐藤信洋

96

国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告

システムエンジニアリングの基本
《第1回》全体概要

100

佐高信のメディア批評

ラサール出馬にみるテレビの政権追従
権力に飼いならされた空虚な“お笑い”

Information

CLIP BOARD

65

  • 南日本運輸倉庫など合弁のDENBA DISSが独自の鮮度保持技術を展開

81

  • 日本パレット協会・二村会長がレンタルパレット普及促進へ決意表明
  • 成田空港会社・藤井社長が就任会見で「第2の開港」実施へ抱負

89

  • 物流連・長澤新会長が就任会見で認知度向上や機能強化などに意欲
  • パナコネクトがロボット導入期間を最大半減の制御システムを製造業や物流業に提供へ

99

  • ヤマト運輸がEV導入などの施策進捗を公表
  • 停電時に倉庫から医療機器へ給電目指す「電源ドナー協会」が発足

DATA BANK

102

  • 国土交通月例経済(国土交通省)
  • デカルト・データマイン 海上コンテナ輸送量実績調査

106

主要記事索引

110

編集後記

111

広告索引

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