2026-04 No.301

2026年4月号

特集「26年の壁」を越える《理念編》

解説

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物流効率化先送りの選択肢は取り得ない

 物流取引に対する規制強化の動きは止まらない。発荷主に加え、着荷主も物流効率化の責任がより強く問われる。折しも米国とイスラエルによるイラン攻撃で中東情勢が一気に緊迫化し、エネルギー価格上昇などで日本の物流にも強烈な逆風が吹き始めた。行動を起こすことがさらに不可欠な局面になった。

第1部 試練を成長に変えるための基礎知識

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【識者寄稿】
荷主が知っておくべき物流政策転換の歴史

日本物流資格士会 顧問 長谷川 雅行

 荷主企業にとっての「物流の2026年問題」が今年から始まる。取適法における特定運送委託取引の追加と、新物効法の荷主義務の強化への対応がそれに相当する。物流効率化を促す中小物流法が05年に物効法へと代わり、今回の新物効法では支援から規制へと内容が変容した。荷主企業は新たに課せられた責務への対応を本格化し、2026年問題を乗り越える必要がある。

20

【識者解説】「法改正の全容を荷主も把握する必要がある」

Interview  流通経済大学 流通情報学部 大島弘明 教授

 荷主に対する規制的措置が盛り込まれた改正物流効率化法(新物効法)の施行が本格的に始まる。特定荷主は荷待ち・荷役時間の短縮、積載効率の向上といった物流効率化に関する中長期計画の提出と報告、そして計画の推進を担う物流統括管理者の選任が求められる。荷主企業はこれに加えて、改正貨物自動車運送事業法における荷主関連事項も押さえておく必要がある。

第2部 最前線の政策担当に聞く

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「荷主責任に光を当て、物流を成長領域へ」

Interview  経済産業省 物流企画室 平林孝之 室長

 「2024年問題」などを背景に、物流の持続可能性が大きく揺らいでいる。劣悪なドライバーの就労環境や低い生産性──“経済の血流”を取り巻く諸課題を解決に導く鍵は、荷主企業の変革が握っている。CLOを中心に物流を経営課題の軸に据えることで、手付かずだった成長へのフロンティアが切り拓かれる。

第3部 CLOの決意と展望

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SUBARU
村田眞一 執行役員 物流本部長

「門外漢の気付き生かし物流を経営課題に」

 製造部門や営業部門などに分散されていた物流機能を統合した「物流本部」のトップとして、物流コストを部門横断で可視化するとともに、物流領域における他社との連携協議の矢面に立つ。物流の門外漢としての立ち位置はむしろ強みの一つだ。固定観念に縛られない物流領域の経営課題化を進め、リスクを避けがちな社内風土に変化を促していく。

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アルプスアルパイン
山上 浩 常務執行役員

「シームレスSCM推進の旗振り役となる」

 不確実な市場環境に対応できるSCMを実現すべく、調達から販売までのデータをシームレスにつなぐ物流体制の構築へと踏み出す。生産現場で磨き上げたカイゼンのノウハウを活用し、自社だけでなく物流全体を取り巻く課題の解決に向けて何ができるかを、視野に入れ続ける。

第4部 実態調査から深層を読み解く

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日本ロジスティクスシステム協会(JILS)

会員アンケートに見る荷主の意識の経年変化

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が毎年実施している会員アンケートでは、ロジスティクスやSCM、物流に関する課題意識や担当部門の業務、経営層の捉え方などを調べており、荷主企業や物流企業の傾向の経年変化を観察できる。物流関連で改正法の施行が相次ぐ中、見えてきた傾向を探る。

30

朝日大学大学院グローバルロジスティクス研究会

実運送体制管理簿や荷待ち削減の対応を調査

 朝日大学大学院グローバルロジスティクス研究会は2月、運送会社を対象とする実運送体制管理簿作成状況のアンケート調査結果を発表した。法解釈や事務負担の大きさに現場が苦慮する様子が浮き彫りになった。前年には全国の荷主企業に荷待ち削減の調査を実施した。研究会の事前予想と異なる回答結果などを基に、発表資料を深掘りする。

第5部

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湯浅和夫の物流コンサル道場 特別編
《第287回》〜温故知新編 第168回〜

「物流史上最大の転換期の到来」

 改正物流効率化法が4月1日に完全施行され、一定規模以上の荷主企業などへの「物流統括管理者」選任義務化をはじめ、物流の取引適正化や効率化促進のための規制強化がスタートした。28年に始まる「適正原価」の制度も荷主に新たな負担を強いる。本連載の温故知新編が17年目に突入した今は、物流の世界にこれまでにない景色が広がる。大先生も感慨深そうだ。

第6部 トピック

38

「中継輸送」は救世主になり得るのか

 長距離のトラック輸送を効率化する「中継輸送」を導入する動きが運送事業者や荷主企業の間で広がっている。政府も新たに法改正で税制優遇などを講じてドライバーの交代やトレーラーヘッドの交換に必要な中継拠点の整備をさらに促進しようと動き始めた。物流の持続可能性を高める救世主となり得るのか。

第7部 海外論文

40

プラットフォーマーの物流雇用事情への影響

“The platform effect:How Amazon changed work in logistics in Germany,  the United States and the United Kingdom”
ドイツ 公共政策大学院 ヘルティスクール教授 Anke Hasselほか

 プラットフォーム企業が輸配送コストを削減するため、下請け・独立請負業者への委託という形を採用してきたことは、事業展開する国々における非正規労働化を招いている。しかし米国、英国、ドイツを比較すると、非正規労働化が顕著な米英に対し、ドイツは限定的だ。その差を分けるものは何か。アマゾンの施策と各国の事業環境の違いから考察する。

弊誌創刊者 故・大矢昌浩を偲んで

46

~徒手空拳の雑誌編集者を長年支えてくださった方々のお言葉より~

Key Person

2

「『品質を選ぶ』が合理性持つ競争ルールへ」

立教大学 首藤若菜 経済学部教授

 トラック運送業者の運賃や待遇を一律で改善しようとする改正物流関連法は、規制緩和と競争促進で経済成長を目指した従来路線からの転換なのか。サービス提供側の高付加価値化への支援ではなく、顧客(荷主)側に負担増を課すことで解決を図る手法は、別の不公正を生む恐れはないのか。労働問題の専門家に見解を聞いた。

Case Studies

52

パナソニックホールディングス〈物流拠点〉

京都で大規模センターを稼働し9拠点を集約
グループの物流をPEXが事業横断で一元管理

56

JR東日本〈輸送改革〉

定時性・スピードが強みの新幹線物流
需要増で「荷物専用」編成の運行開始

Columns

60

物流企業の値段《第210回》

 姫野良太 JPモルガン証券 エグゼクティブディレクター

商船三井

市況享受型と安定収益型の構成を最適化
経営計画達成の牽引役はエネルギー事業

62

高度物流人材のためのリスキリング講座《第25回》

人事労務の基礎知識(3)
人事考課・人材育成

 講師 梶田 ひかる

70

フィジカルインターネット通信《第44回》

上海で開催、第1回アジア太平洋PI会議

 野村総合研究所 水谷禎志 エキスパートコンサルタント

71

海外トレンド報告

《欧米編》金の600倍高額ヘリウム3、NASAが月面採掘社に出資
《アジア編》東方航空物流、国際物流や医療物流を強化へ
《アフリカ編》Ziplineとルワンダ政府、医療ドローン空輸拡充へ協定

74

NEWS ROOM

アークランズとカインズが近畿と東海で店舗共同配送

80

物流指標を読む《第198回》

トラック事業者数減少の背景に24年問題

 NX総合研究所 佐藤信洋

82

国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告

【前編】ILSとPMの関係についての考察

86

佐高信のメディア批評

40年に及ぶ「長い長い闘い」の末の解散命令
自民党に入り込んだ統一教会を再度糾弾する

Information

CLIP BOARD

59

  • ANAグループが空港領域に自動搬送システムなど先進技術導入

79

  • キリングループロジスティクスが2026年の事業方針を説明

85

  • Pパレ共同使用会が不正利用抑止へ位置情報把握・管理システムを本格活用
  • 「引っ越し難民」回避へT2と大手2社が家財の長距離輸送自動化で実証開始

DATA BANK

87

  • 国土交通月例経済(国土交通省)
  • デカルト・データマイン 海上コンテナ輸送量実績調査
  • 物流施設の賃貸マーケットに関する調査
    一五不動産情報サービス 東京圏は新規需要底堅く空室率低下が継続

92

主要記事索引

96

編集後記

97

広告索引

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