ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年9号
特集
物流拠点の潰し方 3PLと手を組み資産リストラを支援

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2002 26 3PLはノンアセット型へシフトする ――ビジネスモデルを説明してください。
「当社の主要顧客は3PL会社です。
3PLに代わっ て当社が物流センターを建物し、彼らにリースする。
さらに3PLが荷主に代わって物流センターを運営す るというかたちです。
我々が世界に所有するスペース のうち二五%を3PLにリースしています。
地域によ って3PLのシェアは異なります。
米国で3PLにリ ースしているのは全スペースの一五%以下に過ぎませ ん。
これに対してヨーロッパでは五〇%近くのスペー スが3PL向けです。
残りはロジスティクス部門を持 つメーカーや小売り業者です。
例えばGMとは直接、 一〇万坪の契約を結んでいます」 ――プロロジス自身が倉庫のオペレーションまで担う ケースもあるのですか。
「それはしません。
我々は3PLではありません。
も ちろん3PLは、とても有望なビジネスです。
しかし、 我々は顧客と競合するようなことはしない。
当社がロ ジスティクス機能や3PL機能、倉庫サービスを提供 するということはあり得ません。
それでは顧客との関 係も長くは続かないでしょう」 ――3PLは九〇年代以降に台頭した新しい業態で す。
プロロジスも3PLと歩調を合わせて成長してき たと考えて良いのですか。
「その通りです。
我々のビジネスは九四年に上場し て以降、劇的に成長しました。
当時から現在までの成 長率は三〇〇〇%に上っています」 ――3PLには自らアセット(資産)を持つところも あります。
プロロジスのパートナーになるのは、ノン アセット型の3PLだけということになりますね。
「そうです。
ただし欧米のほとんどの3PL業者は ノンアセット型のビジネスの方が、収益性が高いと判 断しています。
また欧米市場における当社の顧客には 既に日本通運などの日本の3PLや、NEC、三菱 電機といった企業も多数含まれています」 ――今後は日本にもノンアセット系の3PLが増えて くるとお考えですか。
「私に言えるのは、米国と欧州市場においては、い ずれも主要な3PLの全てがノンアセット型に切り替 えたか、もしくは切り替えようとしているという事実 です。
欧米の株式市場ではノンアセット型3PLの株 価はアセット型の三〜四倍の値を付けています。
もち ろん成長率もアセット型を上回っています」 ――これまでの事業化調査から、日本市場をどう評価 していますか。
「何よりチャンスが大きいということを学びました。
ロジスティクス市場が大きく変化しようとしている。
当社はその手助けをしたいと考えています。
とくに今 年に入って日本市場へのフォーカスを強めています。
この先二四カ月から三六カ月間は、日本は当社にとっ て一番伸び率の高い市場になるでしょう。
私自身も今 は日本市場にフォーカスしています。
私の役割は顧客 リレーションシップと、ビジネスを構築するために最 適なチームとプロセスを組み立てることです」 ――日本の不動産マーケットは欧米に比べてかなり特 殊だと思います。
欧米のビジネスモデルがそのまま日 本でも通用しますか。
「日本はマーケット規模が大きく特別な市場である ことは事実です。
そしてもちろんビジネスモデルは地 域独自のニーズにあったものでなければなりません。
しかし、日本の顧客の求めていることは世界の他の地 域とそれほど大きくは違わない。
ニーズは基本的に似 通っています」 「3PLと手を組み資産リストラを支援」 ロジスティクス向け不動産開発の世界最大手、プロロ ジスが日本市場に本格的に参入した。
向こう3年間で 1400億円の施設を購入する計画だ。
同社にとって当面、 日本は世界で最も成長性の高い市場になるという。
プロロジスジェフリー・H・シュワルツ社長 Interview 27 SEPTEMBER 2002 特集 ――不動産だけでなくロジスティクス分野でも、日本 には物流子会社という特殊な存在があります。
「日本の物流子会社は当社にとって重要なターゲッ トです。
具体的な検討も始まっています。
より多くの 企業から、物流子会社に関する相談を受けるようにな っています。
この先二四カ月の間にさらにその数が増 えることを望んでいます。
物流子会社の何社かとは実 際に取引をすることになるでしょう」 ――日本の物流子会社問題に対して、どういうソリュ ーションが提供できるのでしょう。
「我々は顧客の持つ資産を買うことができます。
そ の時点で顧客はロジスティクス機能を3PLなどにア ウトソースすることができるようになります。
その顧 客にとっては資産が現金になり、コア・ビジネスに特 化できるというメリットがあります」 ――物流子会社を持つ親会社が相談に来るわけですね。
「時には物流子会社が直接、相談に来られることも あります。
物流子会社も不要な資産がなければ、親会 社にとってもっと魅力的になります。
親会社自身では そうした発想を持っていない場合もある」 当社は永遠に日本にとどまる ――購入した土地は、そのまま所有するのですか。
「そうです。
既存の建物を買うこともあります。
自 社のセンターを抱えている荷主から、そのセンターを 買って同じ会社にリースバックすることもあります」 ――リースバックの場合の契約期間は。
「五年から二〇年まで。
ケース・バイ・ケースです。
ロケーションによっても違いますし、顧客ニーズによ っても変化します。
そのロケーションを長い間離れな いと分かっている企業に対しては長期の契約になりま す。
一方で、フレキシビリティを求めて五年契約にす る企業もある」 ――契約が切れたら、土地は売却するのですか。
「そのテナントが契約を更新してくれることが望ま しいのですが、そうでなければ他のテナントにリース することになります。
売却はしません。
実際、九四年 の時点で我々の所有していた施設の総面積は二〇万 坪でした。
今は七〇〇万坪にまで増えています。
これ は日本に限らず、多くの国に関して言えることですが、 非常に優れたロジスティクス施設はそれほど簡単には 手に入りません。
ですから我々は自分で開発し、それ を持ち続けるのです」 「しかも日本は世界で第二位の経済大国であり、既 に我々の顧客の多くがアジア、特に日本に進出してい ます。
顧客をグローバルにサポートするために、我々 は永遠に日本でビジネスしていくつもりです。
当社に は、そうしなければならない重要な責任があります」 ――日本での事業の見通しを教えてください。
「シンガポールの政府と組んでファンドを設立しました。
この先、三六カ月の間の総資金力は約一四〇 〇億円に上ります」 ――プロロジスの「強み」とは。
「倉庫とロジスティクス施設に特化することは、当社 独自のビジネスプランでした。
今やその分野で当社は 世界最大手です。
とりわけ顧客のグローバルなニーズ に対応できることが当社の『強み』になっています。
例えば当社の顧客の一つ、日本郵船に対しては一二 以上の拠点を提供しています。
UPSには一〇拠点、 フェデックスには一五拠点です。
他のどの会社も当社 のようには、顧客ニーズに対応することはできません。
この分野でグローバルなプラットフォームを持ってい るのは当社だけです」

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