ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年11号
ARC
ロジスティクス管理ソフトウェア市場年率十二%の成長予測

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

63 NOVEMBER 2002 ロジスティクス管理ソフトウェア市場は、I T関連プロジェクト投資の世界的な停滞にも関 わらず成長を続けている。
最新のARC報告書 「ロジスティクス管理の世界市場調査(Logistics Management Worldwide Outlook )」においてA RCアドバイザリーグループは、二〇〇一年に 一六億ドルだった同市場のソフトウェア、サー ビスおよびトランザクションベースの売上全体が、 二〇〇六年には二九億ドルに達し、同期間の平 均年成長率(CAGR)は十二・一%になると 予測している。
ロジスティクス管理アプリケーション ロジスティクス管理ソフトウェア市場は、倉 庫管理(WMS)、輸送管理(TMS)、サプラ イチェーンプロセス管理(SCPM)のカテゴ リーから構成される。
このうちWMS市場は成 熟化が進む厳しい環境にあり、市場規模はマイ ナス成長となっている。
TMS市場は活発な成 長を続けている(一九九八年から二〇〇一年ま で年率一九・七%で成長)。
また新興のSCPM 市場は非常に急速に成長している(前年比三四% 以上の成長)。
以下の本調査レポートでは、ロジ スティクス管理市場に影響を与える五つの主要 動向と、それに基づいた戦略を分析する。
値下げ圧力は増大するも市場は成長 現在の経済環境の中、多くのサプライチェー ンおよびエンタープライズソフトウェア企業が、 価格圧力の増大、販売サイクルの長期化、企業の 新規プロジェクトのリスクに対する意欲低下な どを報告している。
企業はROI(投資回収率) の改善が極めて確実なときにのみ購入まで進む。
ロジスティクス管理市場もまた、これらの圧力を 受けている。
ある大手のWMS企業は、売上は約二五%減 少するが、販売量は今年も昨年と同様の水準を 保つと予測している。
別のTMSサプライヤー は極端な安売りでコンペティターが「仕事を買 ロジスティクス管理ソフトウェア市場 年率十二%の成長予測 このコーナーでは米国の大手調査会社、A RCアドバイザリーグループの市場調査報 告書を紹介する。
今回は、ロジスティクス 管理ソフトウェア市場と、サプライチェーン プロセスマネジメント市場の動向に関する二 つのレポートを取りあげる。
NOVEMBER 2002 64 ARCアドバイザリーグループから発行され た最新の市場調査レポート「サプライチェーン プロセス管理世界市場動向(Supply Chain Process Management Worldwide Market Outlook )」によれば、サプライチェーンプロセス 市場は二〇〇〇年から二〇〇一年にかけて、ド っている」と表現する。
重要なことは、これら の圧力にも関わらずこの市場が成長を続けてい るということである。
ARCのエンタープライズ部門ダイレクター で、本レポートの著者Steve Banker によれば、 「このような厳しい経済環境の中でこの市場が成 長を続けることができたことは、これらソリュー ションを提供することの価値が高まっているこ との明らかな証拠である」と述べている。
現在 の経済状況は、短期の回収と、より低価格のソ リューションを提供している企業に有利に働い ている。
「集中化」対「分散化」の意志決定 企業が垂直統合型の組織から高度に分散化し、 アウトソース型のサプライチェーンへ移行し続 けるのに従い、サプライチェーン管理システムを 構築した原理に疑問がもたれるようになってい る。
特に、長期計画において優先される変更に 対し、迅速かつ知的な反応が必要なとき、集中 化した指令と管理の有効性は破綻する。
計画システムはバッチ指向であり、さまざま なアプリケーションやサプライチェーン・パート サプライチェーンプロセスマネジメント市場 二〇〇一年八三%成長 ナーから「リアルタイム」でのインプットが要求 される場合、予定外のイベントが起こった状況 で再計画をたてることは難しくなる。
この環境 では、小さな例外処理でさえ解決に非常に長い 時間がかかる。
そして、他の未解決の例外と組み合わされると、カスケード効果が起こり短時 間では実行不可能な計画となる。
要するに、分 散化した意志決定と実行こそが今日のビジネス 環境の、分散化し、時間に敏感な特性に対応す るスケーラブルなアプローチであるといえる。
サプライチェーンイベント管理ソリューション は分散化の意志決定用プラットフォームとして 適切に機能する。
ITに関する各種の文献はま すます従来の集中化された指令・管理システム における問題を強調し、知能的な分散化システ ムの開発必要性に焦点を当てている。
サプライ チェーン管理の大手サプライヤーは、SCPM がより良い適応型計画・実行プロセスを通して、 既存のSCMソリューションの価値を高めるた めに利用できると強調している。
しかし、サプ ライチェーン実行のサプライヤーは、分散化の 意志決定を取り巻く考えに注意を払い始めるべ きである。
(二〇〇二年九月) 65 NOVEMBER 2002 ラスティックに成長し、対前年比八三%の成長 を達成した。
さらに本レポートは、今後五年間、 同市場は累積年平均五三%で成長し、二〇〇一 年には一億七〇〇〇万ドルであった市場が二〇 〇六年末には一四億二一〇〇万ドルを超えるだ ろうと予測している。
サプライチェーンプロセス管理 サプライチェーンプロセス管理(SCPM)と は、リアルタイムベースで問題を特定し、素早 く問題を解決するために使用されるソリューシ ョンだ。
例えば、あるアプリケーションは拡張さ れたサプライチェーンをモニターし、イベント発 生(例えば、サプライヤーでの出荷遅延発生な ど)やキー特性指標(KPI)の警告(例えば、 ディストリビューションセンターでのフルフィル メント処理の遅れなど)を提供し、そのサプライ チェーンに同期を促す。
SCPMはまた、サプライチェーン計画(S CP)とサプライチェーン実行(SCE)間の ギャップにも橋をかける。
警告はEメール、電 話、ポケットベルなどで行われる。
SCPMは 二種類のサブ・アプリケーション、イベント警 告を行うサプライチェーンイベント管理(SC EM)と、イベントデータを総合し、KPI警 告を提供するサプライチェーン特性管理から構 成されている。
本レポートの著者でサプライチェーン・ソリ ューション・ダイレクターであるSteve Banker は「これらソリューションの組み合わせによりサ プライチェーンマネージャーは、関係するサプラ イチェーンに影響するキーイベントや動向に対 し、信頼性の高い可視性を提供することができ る」と言う。
市場規模の急拡大を予測 ARCがRichmond Events ( The Logistics & e-Supply Chain Forum のホスト)と共同で行 ったエンドユーザー調査によると、より良いサプ ライチェーンの可視性がとりわけ必要とされて いることが分かる。
自社とその主要サプライヤ ー間の可視性が十分であると考えたサプライチ ェーンマネージャーはわずか六%にとどまった。
本市場のポテンシャルは非常に大きく、未だ ほとんど未開拓である。
また、SCPM関連の 種々価値提案は非常に説得力があり、同市場が 対前年比八三%の伸びをみせたことも驚くには 値しない。
ARCは前回調査で本市場の非常に高い成長 を予測したが、今回の調査結果はその予測をさ らに上回っていることを示している。
この更新 調査および予測は、注意深く分析したユーザー の動向をその基礎としている。
ARCは、二〇 〇六年までの今後五年間、同市場は累積年平均 五三%で成長すると予測しており、この成長は 既存ソリューションへの新たな価値提案により 促進されるだろう。
事実、大手のサプライチェ ーンやエンタープライズ関連サプライヤーたちが SCPMソリューションを提供しはじめており、 SCPMはより大きなソリューションに組み込 まれてきている。
(二〇〇二年六月) 2001 170.0 244.7 370.9 565.5 883.0 1,421.6 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 2002 2003 2004 2005 2006 年平均成長率53%(予測) (百万ドル) (年) 2002 ARC Advisory Group SCPMソフトウエアとサービスの総出荷量

購読案内広告案内