ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年12号
FOCUS
総務省の信書便法ガイドラインに反論宅配大手三社のパブリックコメント

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

DECEMBER 2002 50 つまり非信書の配送を取り込むこと で、独占市場の切り崩しを図ってき た。
そこで争点となったのが信書と非 信書の線引きの問題だ。
宅配便に同 梱された添え状、クレジットカード、 地域振興券、そしてダイレクトメー ルなどが、信書と非信書を分けるグ レーゾーンにあるものとして、これ まで論争のやり玉に挙がってきた。
これらの文書を非信書と判断した宅 配業者が荷主企業から配送を受託。
それに対して郵政が郵便法違反を通 達するという形の攻防が繰り返され てきたのである。
このうち「貨物に添付する無封の 添え状又は送り状」は郵便法に適用 除外として明記されることで既に法 的な決着がついている。
そして今回、 総務省が発表したガイドラインの原 案で、クレジットカード類について も非信書扱いされることが決定した。
しかし、民間企業の「メール便」事 業に最も大きな影響を与えると目さ れているダイレクトメールが、原案 では信書として定義されている。
同原案には「基本的な考え方」と して「同一内容で大量にされた文書を個々の受取人に対して送付する場 合であっても、内容となる文書が特 定の受取人に対して意志を表示し、 また事実を通知するものであれば信 書に該当する」と表記されている。
これを文字通りとれば、ダイレク トメールだけでなくチラシやカタロ グであっても信書に該当する。
いず れも「同一内容で大量にされた文書」 であり、「意志の表示」はともかく、 少なくとも「事実を通知」するもの だからだ。
しかし、チラシやカタログまで信 書扱いしてしまうと、その対象は余 りにも大きく拡がってしまう。
メー ル便だけでなく、新聞の折り込み広 告やポスティングまで郵便法で取り 締まる必要が出てくる。
それだけ世 論の反発は大きくなる。
さらにカタ ログについては、郵政自身が電話帳 類の配送を民間物流業者に委託して いる。
カタログを信書扱いすれば、 自分で自分の首を絞めることにもな りかねない。
そこで同原案では「専ら街頭にお ける配布や新聞折り込みを前提とし て作成されるチラシのような場合に は、それが差し出される場合にも特 定の受取人に対し意志を表示し、又 は事実を通知するという実態を伴わ ない」という判断の下、信書の対象 からチラシを外している。
同様にカタログも「利用者一般に 対して発行されるものであることか ら、そこに記載された文書は広く一 般に意志を表示し、又は事実を知ら せるものであり、特定の受取人に対 するものではないので、信書には該 当しない」としている。
ダイレクト メールは特定の人向け文書だが、チ ラシやカタログはそうではないとい う理屈だ。
これまで国が郵便事業を独占してきた根拠は、大きく二つに集約され る。
一つは「ユニバーサルサービス」 の確保だ。
その意味を同原案は「信 書の送達は、国民の基本的通信手段 であり、その役務をあまねく公平に 提供する必要がある」と説明してい る。
そしてもう一つの根拠が「憲法 第二一条が保証するところによる信 書の秘密の確保」だ。
しかし民間事業者が宅配事業によ って「ユニバーサルサービス」と FOCUS ダイレクトメールは「信書」に該当する。
従って信書便事業の許可を 持たない民間事業者はダイレクトメールを配送してはならない――。
総 務省は物流業者の「メール便」を事実上、郵便市場から排除する法律案 を一〇月に発表した。
ヤマト運輸、佐川急便、日本通運の三社をはじめ とした民間宅配便業者は、これに強く反発している。
総務省の信書便法ガイドラインに反論 宅配大手三社のパブリックコメント KEY WORD 郵政民営化 ダイレクトメールは信書 チラシ・カタログは非信書 一〇月二一日、総務省は「信書便 法(民間事業者による信書の送達に 関する法律)」のガイドラインとな る「信書に該当する文書に関する指 針(案)」を発表した。
郵便法第五 条に基づき、行政が民間企業による 送達を禁じてきた「信書」とは一体、 何を指すのか。
それを省令として明 文化したものだ。
旧郵政省時代から、国の郵政事業 と民間の宅配便事業者は、信書の定 義を巡って激しく争ってきた。
市場 の独占を維持したい郵政に対し、ヤ マト運輸を始めとする民間宅配便業 者は郵便法の対象とはならない文書、 51 DECEMBER 2002 「秘密保持」を確保できることを証 明した今日、独占の根拠は崩れてい る。
事実、今年七月に公布された 「信書便法」は、民間事業者に信書 の扱いを解禁し、「利用者の選択の 機会を拡大する」ことが目的だった。
ところが郵政公社とそれを管轄す る総務省は、信書便法で定める新規 参入のハードルをできる限り高く設 定し、なおかつ許認可権を自らが握 ることで従来の独占を維持しようと している。
今回、公表されたガイド ラインの原案にも、そうした行政側 の思惑が明確に反映されている。
「事実の通知」に 信書の解釈を拡大 同原案に対するパブリックコメン トとして、ヤマト運輸は「信書の範 囲が最大限に拡大されている点と解 釈が恣意的である点から賛成できな い」と真っ向から反対意見を表面し ている。
そもそも郵政公社の監督官 庁となる総務省が、信書・非信書を 解釈すること自体、ヤマトにとって は看過できない問題だ。
実際、同社は「過去に、信書を恣 意的に拡大解釈した旧郵政省から、 執拗な営業妨害を受けた」。
「今後、 総務省と郵政公社は分離されるとは いえ、旧郵政省時代は久しく一体で あり、同根とも言える関係にある。
その当事者である総務省が、郵政公 社と民間企業との今後の競争状況に 大きく影響する、信書と非信書の区 分のような重要な問題を、一方的に 判断・解釈することは、信頼性や公 共性の観点から多いに疑問が残る」 と訴えている。
同様に佐川急便も「行政側の一方 的な解釈により信書か否かを判断し ている」「信書の範囲について、行 政による法的な根拠に基づかない解 釈が多分に入り込んでいる」と同原 案に疑問を呈している。
そして「行 政による法的な根拠に基づかない解 釈」の例として、同原案には信書の 定義として新たに「事実の通知」と いう概念が適用されている点を指摘 する。
「これまでの判例・学説において は、信書とは『特定の人に対し自己 の意志の伝達を媒介すべき文書』 (大判明治四〇年九月二六日刑録一 三輯一〇〇二頁)、『特定人から特定 人に宛てた意志を伝達する文書』 (注釈刑法[3]二五五頁、前田雅秀 「刑法各論講義」一一三頁等)とさ れており、『事実を通知する』文書 まで含まれていなかった」(同社意見書)というのである。
このほか、日本通運、日本経済団 体連合会、東京路線トラック協議会 など、五〇以上もの事業者・団体が、 「パブリックコメント」として同原 案への意見書を提出した模様だ。
そ の内容としては、信書の範囲は必要 最小限にとどめるべきであり、「基 本的には、一般国民の意志疎通に利 用される種類の文書(例えば定型の 封書、葉書等)に限定すべきである」 (経団連)という意見が大勢を占め ているようだ。
一方、あえて口を閉ざしている物 流関係団体も少なくない。
多くのメ ール便事業者を会員に抱える日本路 線トラック連盟では、今回のガイド ラインに対する意見提出を見送って いる。
特積み業者の多くは、かねて から郵政事業の下請けとして荷物の 幹線輸送等の仕事を受託している。
「いわばお客様の立場にある郵政に 対して、出入り業者が直接、口出し するのは憚られる。
議論の結果、各 社で個別対応することになった」と 同連盟の関係者は打ち明ける。
外資系国際宅配業者も今のところ 静観の構えだ。
UPS、フェデック ス、TNTなど、日本市場に進出し ている外資系国際宅配業者で組織す る「Japan Express Association (J EA)」では同原案に対してのコメ ントを避けている。
これらの外資系国際宅配業者が主 要貨物としてきたビジネス文書は、 今回の原案を待つまでもなく、明ら かに信書に該当する。
しかし、過去 の信書便論争で外資系国際宅配業者 がやり玉に挙がったことはない。
こ のまま黙認してもらえるのなら今、 事を荒立てるのは得策ではないとい う判断が働いているようだ。
総務省では十一月八日にパブリッ クコメントの受付を締め切り、十一 月中にも総務省としての見解を発表 する予定だという。
経団連等の主張 するように、信書の対象が個人から 送付される封書や葉書だけに限られ てしまえば、郵便市場の独占は事実 上、崩壊する。
パブリックコメント がどれだけ実際の省令に反映される のか。
コメントを寄せた民間企業は 固唾を呑んで総務省側の対応を見守 っている。
(大矢昌浩) 日本最大の規模を誇る新東京郵便局。
1日2100万通を処 理している DECEMBER 2002 52 FOCUS 総務省発表『信書に該当する文書に関する指針(案)』全文 1 目的 この指針は、民間事業者による信書の送達事業の許可制度を実施するに当たり、許可を要する民間事業者の範囲を明らかにするために、 郵便法(昭和22 年法律第165号)第5条第2項及び民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第1項に規定され た信書の定義に基づき、信書の考え方を明らかにするとともに、信書に該当する文書を分かりやすく示すことを目的とする。
2 基本的な考え方 (1)信書の送達は、国民の基本的通信手段であり、その役務を全国あまねく公平に提供する必要がある。
また、信書の送達に当たっては、 憲法第21条で保障するところにより信書の秘密が確保されなければならない。
このようなことから、郵便法及び民間事業者による信書 の送達に関する法律においては、取扱中に係る信書の秘密は侵してはならない等の規定を設け、信書の送達を保護しているものである。
(2)「信書」とは、「特定の受取人に対して、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されている。
ア「特定の受取人」とは、差出人がその意思の表示又は事実の通知を受ける者として特に定めた者のことである。
文書自体に受取人 が記載されている場合には、差出人が「特定の受取人」にあてたことが明らかであるが、その記載がないものであっても、受取 人が記載されていない手紙文などのようにその内容から受取人が省かれていることが分かる場合には、包装に記載されたあて名 によって受取人が具体的になることから、「特定の受取人」にあてたものとなる。
また、受取人は、民法上の自然人、法人に限定 されるものでなく、法人格のない団体や組合等も含まれ、一人であっても複数人であっても具体的に定まっていればよい。
イ「意思を表示し、又は事実を通知する」とは、差出人の考えや思いを表し、又は現実に起こり若しくは存在する事柄を伝えること である。
一般的に、個人がその意思を表示し、又は事実を通知する文書を特定の受取人に送付する場合は、その文書が信書に該 当することは明らかであるが、同一内容で大量に作成された文書を個々の受取人に対して送付する場合であっても、内容となる 文書が特定の受取人に対して意思を表示し、又は事実を通知するものであれば、信書に該当する。
ウ「文書」とは、文字、記号、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物のことである。
文 書の記載手段は、筆書に限られず、印章、タイプライター、印刷機、コピー機、プリンター等によるものでもよく、また、文書 を記載する素材は、紙のほか木片、プラスチック、ビニール等有体物であればよい。
3 信書に該当する文書の例 (1)書状 書状は、考えや用件などの意思を表示し、又は事実を通知する文書であるので、差出人からその内容を伝えたい特定の受取人に送付 する場合は、信書に該当する。
(2)請求書の類 請求書は、代金を請求するという意思を表示する文書であるので、請求者から請求を受ける者に送付する場合は、信書に該当する。
(類例)納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、承諾書 (3)会議招集通知の類 会議招集通知は、会議への出席を要請するという意思を表示する文書であるので、会議の招集者から会議の出席者に送付する場合は、 信書に該当する。
(類例)結婚式等の招待状、業務を報告する文書 (4)許可書の類 許可書は、許可するという意思を表示する文書であるので、許可をする者から許可を受ける者に送付する場合は、信書に該当する。
(類例)免許証、認定書、表彰状 (5)証明書の類 証明書は、ある事項が真実であることや間違いがないことの事実を通知する文書であるので、交付者から請求者に送付する場合は、 信書に該当する。
(類例)印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し (6)ダイレクトメール ア 商品などの広告を内容として同一内容の文書を多数の受取人にあてて差し出す形態をとるいわゆるダイレクトメールについては、 その差出人が特定の受取人を選別し、その者に対して商品の購入等を勧誘する文書を送付する場合には、一般的に特定の受取人 に対して意思を表示し、又は事実を通知する文書となるので、信書に該当する。
イ しかしながら、例えばその内容が公然あるいは公開たりうる事実のみであり、専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提とし て作成されるチラシのような場合には、それが差し出される場合にも特定の受取人に対し意思を表示し、又は事実を通知すると いう実態を伴わないことから、信書には該当しない。
53 DECEMBER 2002 4 信書に該当しない文書の例 (1)書籍の類 書籍は、広く一般に対して発行されるものであることから、そこに記載された文書は広く一般に対して意思を表示し、又は事実を知 らせるものであり、特定の受取人に対するものではないので、信書には該当しない。
(類例)新聞、雑誌、会報、会誌 (2)カタログ ここにいう「カタログ」とは、必要なときに商品を選択して注文するためのもので、系統的に編纂された商品、申込方法、商品の広 告等が印刷された商品紹介集(一般的には冊子としたもの)である。
カタログは、利用者一般に対して発行されるものであることか ら、そこに記載された文書は広く一般に対して意思を表示し、又は事実を知らせるものであり、特定の受取人に対するものではない ので、信書には該当しない。
(3)小切手の類 小切手は、流通性を有する証券であって、そこに記載された文書は、証券が流通する際に必要とされる事項を記載したものであり、 特定の受取人に対して意思を表示し、又は事実を通知する文書ではないので、信書には該当しない。
(類例)手形、株券 (4)プリペイドカードの類 プリペイドカードは、金銭の支払手段として使用するために発行されるものであり、そこに記載された文書は、一般的にはそれを使 用する際に必要となる注意事項であることから、特定の受取人に対して意思を表示し、又は事実を通知するものではないので、信書 には該当しない。
(類例)商品券、図書券 (5)乗車券の類 乗車券は、鉄道やバスなどの交通機関に乗るために発行されるものであり、そこに記載された文書は、一般的には乗車する際に必要 となる注意事項であることから、受取人に対して意思を表示し、又は事実を通知するものではないので、信書には該当しない。
(類例)航空券、定期券、入場券 (6)クレジットカードの類 クレジットカードは、金銭の支払手段としての機能を有する物であるので、そこの記載文が物と密接に関連している場合には、信書 には該当しない。
(類例)キャッシュカード、ローンカード 5 添え状・送り状 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならないが、貨物に添 付する無封の添え状又は送り状は、この限りでないこととされている(郵便法第5条第3項)。
(1)この規定は、添え状・送り状が受取人や運送営業者にとって貨物の点検等を行う場合に有益な文書であり、貨物を送付する際に添付さ れることが必要と認められることから設けられたものである。
したがって、添え状・送り状は、貨物という送付の主体があって、その送 付に関する事項が記載された文書が従として添えられる場合に限られるものである。
(2)「添え状」とは、送付される貨物の目録や性質、使用方法等を説明する文書及び当該貨物の送付と密接に関連した次に掲げる簡単な通 信文で当該貨物に従として添えられるもののことである。
ア貨物の送付に関して添えられるその処理に関する簡単な通信文 イ貨物の送付目的を示す簡単な通信文 ウ貨物の授受又は代金に関する簡単な通信文 エ貨物の送付に関して添えられるあいさつのための簡単な通信文 オその他貨物に従として添えられる簡単な通信文であって、上記アからエまでに掲げる事項に類するもの (3)「送り状」とは、貨物を送付したことを通知する案内書のことであり、具体的には、送付される貨物の種類、重量、容積、荷造りの種類、 個数、記号、代価、受取人並びに差出人の住所及び氏名等当該貨物の送付に関する事項が必要に応じて記載されたもののことである。
6 その他 本指針で掲げた信書に該当する文書等の例は、現状での具体的な事例を踏まえたものであるが、今後の信書の利用状況に応じて、これを見 直し、新たな例の追加等を行うものとする。
DECEMBER 2002 54 FOCUS 総務省原案に対する 各社・団体のパブリックコメント 1. はじめに 当社は、「信書便法」が成立する本年七月以前より、同法の許可事業者には ならない旨を表明しており、その意思に変化はない。
同法は、国家による事業の独占を維持しつつ、一部の民間企業を囲い込むと いう、いわば民間を官業化する法律であり、国民の利便性を向上させるという 規制緩和の理念に逆行するものだからである。
そもそも、信書の送達事業が国家の独占とされた背景には、ネットワークの 構築・維持に巨額の投資が必要であり、民間企業が未成熟で、効率的かつ可及 的速やかにネットワークを整備するためには国家事業として取り組まざるを得 なかったという歴史的実態があった。
しかし、ネットワークが高度に発達した現代においては、国家による独占をで きるかぎり排除し、民間にできることは民間に任せ、規制を緩和すべきである。
当社は、郵便事業の規制緩和、民間参入とは、信書の国家独占の撤廃(郵便 法第五条の撤廃)あるいは独占領域の縮小にほかならないことを主張してきた。
そして、郵便法第五条の撤廃が実現しないのであれば、利用者の誰もが納得で きる形で、信書の定義を明文化すべきであると主張してきた。
2. 信書の定義とその範囲について 先般、郵便法の改正により、第五条第二項に信書の定義が明記されたが、法 律上の定義は、事柄の性質上、抽象的・概括的に留まるため、実務運用上、信 書・非信書のボーダーラインを引くのは難しく、信書の範囲が不当に拡大解釈 ヤマト運輸 されるおそれがある。
当該指針(案)は、そうした危険を防ぐべく、信書・非信書の区分を具体的 に例示する目的で提示されたものと理解する。
しかし、当社は、信書の範囲が最大限に拡大されている点と解釈が恣意的で ある点から、当該指針(案)には賛成できない。
3. 当該指針(案)の信頼性・公正性について 当該指針(案)に記載されている解釈の大部分は、旧郵政省時代の事務通達や 解説書に記載されていた内容をそのまま踏襲しており、民間企業と競争状態にあ った郵便事業の当時の事業主体が一方的に判断・解釈した内容そのものである。
今後、総務省と郵政公社は分離されるとはいえ、旧郵政省時代は久しく一体 であり、同根とも言える関係にある。
その当事者である総務省が、郵政公社と 民間企業との今後の競争状況に大きく影響する、信書と非信書の区分のような 重要な問題を、一方的に判断・解釈することは、信頼性や公正性の観点から大 いに疑問が残る。
というのも、当社は、過去に、クレジットカード、地域振興券、商品の広告 を目的としたダイレクトメールなどの配送をめぐって、信書を恣意的に拡大解 釈した旧郵政省から、執拗な営業妨害を受けたからである。
4. 信書に該当する文書の例について 当社は、信書とは、常識に照らして、はがき・手紙の類のみと判断している。
当該指針(案)では、その他多くの文書を信書に該当するとしているが、特 に、「ダイレクトメール」と「紙以外の有体物」については、次の理由から信 書にあたらない物品として、特に言及しておくことにする。
(1) ダイレクトメール ダイレクトメールは本来、利用者がその営業目的に沿って利用する、商品 などの広告・宣伝手段のひとつに過ぎず、文書の内容そのものは、不特定多 数人を対象として作成された文書であるため、信書ではない。
しかし、当該指針(案)では、「商品などの広告を内容として」、不特定多 数人を対象として作成された「同一内容の文書」であっても、「その差出人 が特定の受取人を選別」して送付する場合には信書に該当するとしている。
本来信書ではない文書が、あて名をつけて送付すると信書に変身するとい 55 DECEMBER 2002 う恣意的な解釈は到底受け入れられない。
(2) 紙以外の有体物 「二 基本的な考え方」において、「文書を記載する素材は、紙のほか木 片、プラスチック、ビニール等有体物であればよい」とされているが、これ では、文書ファイルがインストールされたフロッピーディスクやCD-ROM までが信書と解釈されかねない。
これらは、パソコンなどで処理をしなければ、文書ファイルがインストール されているか否か判別できず、運送契約の際に信書であるか否か識別できない。
よって、このような恣意的な解釈は到底受け入れられない。
5. 総括 信書・非信書の区別を判断する場合には、信頼性と公正性を保つべく、公正 取引委員会のような中立的な第三者機関が、郵政公社・民間企業・利用者の意 見を充分聴取したうえで、利用者の便宜を最優先に考慮して決めるべきである。
また、第三者機関が判断する場合にも、社会の意識・慣行が変化しているこ とやネットワークが発達していることにも配慮したうえで、利用者の立場にた って、誰が見ても分かりやすく、多様な解釈の余地がないよう、信書の範囲は 必要最小限(「はがき・手紙の類」など)に留めるべきである。
なぜなら、自由な競争環境のもとで、多数の民間企業が創意と工夫をこらし てサービス開発競争を展開することこそ、利用者にとって選択肢が増え、結果 として利便性が向上することにつながるからである。
このことは、宅急便の開始以来、利用者の要望を満たすことを第一に考え、 創意と工夫をこらし、ライバルと切磋琢磨してサービス競争を展開してきた結 果、利用者の利便性が飛躍的に向上し、市場全体も拡大したという過去の事実 から明らかである。
よって、利用者の利便性を向上させるという規制緩和の理念を真に実現する ために、当該指針(案)が撤回され、中立な第三者機関を中心に、広く関係者 の意見を聴取しながら、利用者にとって確保されるべき必要最小限の信書の範 囲が提示されることを強く主張する。
「信書に該当する文書に関する指針(案)」の中の「三信書に該当する文書の例」 及び「四 信書に該当しない文書の例」に関する当社の意見は下記のとおりです。
記 1 信書の定義について 民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に 関する法律第三条によって改正される郵便法第五条第二項の「信書」の定義の うち、「事実を通知する」文書とある部分については、これまでの判例・通説 における「信書」の概念を拡張したものといえます。
もともと、「信書」の概念は、刑法第一三三条の信書開封罪における「信書」 がその基本でありますが、これまでの判例・学説においては、信書とは「特定 の人に対し自己の意思の伝達を媒介すべき文書」(大判明治四〇年九月二六日 刑録十三輯一〇〇二頁)、「特定人から特定人に宛てた意思を伝達する文書」 (注釈刑法﹇三﹈二五五頁、前田雅英「刑法各論講義」一一三頁等)とされて おり、「事実を通知する」文書までもが含まれるものではなかったはずであり ます。
ところで、この度の改正で信書の定義づけをするにつき、「これまでの 判例によって確立されてきた信書に関する概念を法律上明文化したものです。
」 とされておりますが、定義において「事実を通知する」文書までも含めるのは 概念の拡張であるといえます。
ただ、既に定義規定が明文化されてしまった以上、これに拘束されることを 余儀なくされていくわけでありますが、既に述べたように「信書」の概念が拡 張されていること、信書開封罪が信書の秘密の保護を目的とするものであるこ と、郵便法は公共サービスの公平な提供とともに信書の秘密の保護をも目的と していること、郵便法第五条第二項違反には三年以下の懲役又は一〇〇万円以 下の罰金という重い刑罰が科されていること(郵便法第七六条)、を考えます と、信書の定義においていうところの「事実を通知する」の「事実」は、上記 趣旨に沿って限定的に解釈をされるべきであります。
したがいまして、「事実」 とは、あらゆる事実を指すものではなく、それを開封すれば特定人の秘密が公 にさらされるような事実、第三者の披見から守られるべき秘密を含む事実に限 佐川急便 DECEMBER 2002 56 FOCUS られると解釈するのが相当であります。
指針(案)においては、このような限定がなされることなく事実を通知する 文書イコール信書とされており、問題があります。
とりわけ、ダイレクトメー ルについては、他人に開示されてプライバシーが侵害されることなど通常考え られないにもかかわらず、信書に含まれるとされており妥当ではありません。
2 ダイレクトメールについて 指針(案)においては、ダイレクトメールは原則として信書に該当するが、 場合により信書には該当しないと定めています。
しかし、このような定め方に は問題があります。
そもそも、指針を定めることになったのは、郵便法におけ る信書の範囲に曖昧さが残るため、これを明確にするためでした。
しかしながら、指針によっても信書にあたるかどうか明確にならないのであ れば、一体何のために指針を定めるのでしょうか。
また、指針(案)では、ダイレクトメールについては原則として信書にあたる としている一方、カタログについては信書にあたらないと明確に述べています。
しかしながらダイレクトメールとカタログの違いについては何ら述べられており ません。
ある文書がダイレクトメールにあたるのか或いはカタログにあたるのか 明確に区別できないことが多いことを考えると、このような指針(案)では、信 書か否か判断がつかない場合が多く出てきます。
もし指針として示したいという のであれば、カタログが信書ではないとする以上、ダイレクトメールも信書では ないとするのが筋ではないでしょうか。
既に述べたように、ダイレクトメールは 他人に開示されることによってプライバシーが侵害されることは考えられないこ とから考えても、やはり信書には含まれないとすべきであります。
3 内容の不明確さについて 指針(案)を見ておりますと、旧郵政省時代から信書だとしていたものを信 書ではないと従来の取り扱いを変更する一方で、市場拡大が見込まれるものに ついては信書に該当するなどとしています。
また、信書に当たるとする理由・ 当たらないとする理由の中には、内容が不明確なものや(例えばクレジットカ ード)、信書にあたるのかあたらないのかはっきりしないもの(例えばダイレ クトメール)も散見されます。
これでは、行政側の一方的解釈により信書か否かを判断していると言われて も仕方がないのではないでしょうか。
また、曖昧な理由付けをすることは、将 来的に紛争を生じさせるもととなるのではないでしょうか。
これでは、指針を 定める意味が全くありません。
このように、指針(案)には、行政の一方的な解釈が介在し、今後このよう な運用がなされることで紛争が生じる恐れが多分にあるので、問題があります。
4 まとめ 指針(案)においては、信書の範囲について、行政による法的な根拠に基づ かない解釈が多分に入り込んでおり、問題があります。
行政が何らかの目的の 為に意図的に市場に介入することは、利用者を規制し利便性を著しく低下させ ます。
のみならず、民間事業者が鋭意努力して開拓した分野に規制がかけられ ることにより、経済成長にブレーキがかかることにもなりかねません。
さらに、 指針が何らかの目的のために意図的に運用されることで、今後、紛争を生じさ せる恐れが多分にあります。
本来、郵政民営化の骨子はこのような規制強化で はなかったはずであり、大きくその趣旨が変化していることに落胆いたしてお ります。
指針が「自己目的化」され、規制緩和の流れに逆行して規制の強化に用いら れることのないよう、また、あくまでも利用者の視点に立った指針が作成され るよう、強く要望いたします。
クレジットカード類やDMの一部が非信書扱いとなり、請求書の類、会議召 集通知の類、許可書・証明書等の類が、発行者から送付する以外は、信書に該 当しない文書の例として示されるなど、従来の信書定義の幅が弾力的、現実的 となり、まだ課題が残されているが、一定の前進があったと言える。
ただし、通信の秘密に対する国民の意識の変化や、インターネット等の通信 手段の進展、メール便の利用実態等を踏まえた社会通念からは、まだ乖離して 日本通運 57 DECEMBER 2002 いる部分もあり、個々に見直しを行っていくべき点もあると考える。
たとえば、 ? 添え状・送り状がなぜ無封でなければならないのか ? DMの中でチラシのような場合とはどのような内容を指すのか、それ以外 とどのように区別するのか ? 公になっている会議の招集文書が信書になるのか ? 書籍と会議召集通知が同梱された場合の扱いはどのようになるのか ? 会報・会誌が広く一般に対して発行されるものと解釈すると、DMの定義 と矛盾が生じないのか などの問題点を、これから個別の事象毎に解釈を積み重ねていく必要がある と考えている。
通信の秘密を守るという本来の法の精神に照らし合わせると、今次、郵便法 で記された「差出人の意思を表示し、または事実を通知する」という信書の定 義は、抽象的であり、解釈次第では信書の範囲をいかようにも決め、適用され る可能性があるように思われる。
したがって、例示された文書のみならず、今後の新しい輸送商品についても、 個別に十分検討し、これからも時代の趨勢や、国民意識の変化に即して、随時、 柔軟に信書定義が見直されるべきであると考える。
日本経団連では、本年一〇月一五日に政府関係先に建議した「二〇〇二年度 日本経団連規制改革要望」において、産業競争力強化と経済活性化に向けて重 点的に取組むべき課題として「官製市場の改革による民業の拡大」を取上げ、 公的な主体が独占的に行っている公共事業、公共サービス等の分野(いわゆる 「官製市場」)については、「民間で出来るものは民間に委ねる」との原則を徹 底するとともに、民間の創意工夫の発揮と競争を通じて、コスト削減とサービ (社)日本経済団体連合会 行政改革推進委員会規制改革推進部 スの質の向上を図るべきである旨を指摘した。
国が独占してきた「信書」の市 場は、まさにこの「官製市場」の典型であり、今般、パブリックコメント手続 きに付された「信書に該当する文書に関する指針(案)」等に関し、上記の観 点から、以下の通り意見を申し上げたい。
(信書の「基本的な考え方」について) 今般の指針(案)に示されている「基本的な考え方」においては、「信書の 送達は、国民の基本的通信手段であり、その任務を全国あまねく公平に提供す る必要がある。
また、信書の送達に当たっては、憲法第二一条で保障するとこ ろにより信書の秘密が確保されなければならない」とされている。
かかる観点 を踏まえた上で、「信書」市場の改革を推進するためには、ユニバーサルサー ビスの対象とすべき「信書」の範囲は、「国民の基本的通信手段」を確保する 上での必要最小限に留めるべきであり、基本的には、一般国民の意思疎通に利 用される種類の文書(例えば定型の封書、葉書等)に限定すべきである。
また、 「信書の秘密の確保」を必要とするのであれば、受信者が不特定多数の文書・ 情報や、発信者及び受信者が秘匿を意図しない文書・情報については、「信書」 と分類して秘密保護を行う必要はない。
(「信書に該当する文書の例」について) 例えば、今般の指針(案)では、基本的には「信書に該当する」とされてい るダイレクト・メールについては、その内容は宣伝広告を目的としたものであ り、全国あまねく、均一にサービスを保証しなければならない必要不可欠の通 信文書とは思えない。
そもそも、ダイレクト・メールは、事業者が営業機会の 最大化を目的として不特定多数に送付する性質のものであり、事業者がダイレ クト・メールの送付に際し特定の受取人を選別するのは、専らコストとの対比 における有効性の観点から部数を限定するマーケティングの一手段に過ぎない。
従って、少なくともダイレクト・メールについては、すべて「信書に該当しな い文書」に分類すべきである。
(「民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則(案)」等について) なお、同じくパブリックコメント手続きに付された「民間事業者による信書 の送達に関する法律施行規則(案)」についても、民間の創意工夫の発揮と競 DECEMBER 2002 58 FOCUS 争を通じたコスト削減とサービスの質の向上を図るという観点から、懸念され る点が散見される。
例えば、一般信書便事業者の「信書便差出箱以外の信書便 物の引受けの方法の変更」や、特定信書便事業者の「特定信書便役務の種類や 提供区域等の増加」が認可不要の軽微な変更とされておらず、民間事業者にと っては、新しいサービスや新商品を迅速に市場に投入できなくなる惧れがある。
そもそも、信書便法において、事業計画等の変更を認可制とし、しかも拒否 処分や不利益処分の際ならともかく、認可等の受益処分の際にも審議会への付 議を義務付けたことは疑問である(一方、日本郵政公社法では、公社が出資に よって実質的に事業拡大する際には、審議会付議が義務付けられていない)。
これら法律事項も含め、信書便法関連の規制については、二〇〇三年四月十 日以降の競争の進展状況を踏まえつつ、必要に応じて、適切な機会を捉えて意 見を申し述べることとしたい。
1. はじめに 東京路線トラック協議会は、旧道路運送法が施行された翌年の昭和二八年一 月、東京都内に事業所を置く特別積み合わせ貨物運送事業者が集まり、効率化輸 送、安全運行、環境問題など、事業の適正化を推進することで業界の社会的地位 向上に寄与する目的で設立した任意の業界団体です。
以来五〇年、トラック事業 の歴史として、その時々に問題になった環状七号線沿線の騒音・排ガス問題、中 央区横山町の問屋街周辺の交通渋滞緩和、吉祥寺駅前周辺地区の駐車対策など繁 華街地区における物流効率化や駐車問題を活動テーマに取り上げて、地域住民・ 警察・国土交通省(旧運輸省)と提携しながら、トラック事業者の立場から環境 対策やTDMに取り組み、その都度成果を残して今日に至っております。
特別積み合わせ貨物運送事業者(路線事業者ともいう)とは、集配車で集荷 した生活物資や宅配荷物などをトラック・ターミナルに集め、お客様ご指定の お届け先別に仕分けて全国各地のトラック・ターミナルへ大型定期運行車で輸 東京路線トラック協議会 送し、倉庫や商店または個人宅などにお届けしているネットワーク物流事業者 であります。
今回の「信書に該当する文書に関する指針(案)(以下指針案という)」にお いて、信書に該当する文書の例に示されたダイレクトメール(以下DMという) は、約半数の会員企業である四〇社が取り扱っております。
特に地域内で物流 ネットワークを展開する会員企業やデパート荷物の配送を担当する会員企業は、 DMが信書として取り扱われることによって計り知れない影響を受けることか ら、定義の解釈と信書に該当する文書の例に対する意見を取りまとめ、業界団 体の立場から、DMを信書に該当する文書の例から外して頂くことを強く要望 する意見を提出することになりました。
2. 基本的な考え方に対する意見 郵便法第五条は、信書の定義を「特定の受取人に対して、差出人の意思を表 示し、又は事実を通知する文書」と明記していますが、指針案は、同一内容で 大量印刷したものであっても特定の受取人に送付する文書は信書であるとの解 釈を示しています。
しかもその解釈を、営業活動として発送するDMにまで広 げて信書と解釈するのは、行き過ぎた拡大解釈であると考えます。
インターネ ットの普及など、高度に発達した情報化社会の現代にあって、情報の種類も伝 達方法も多様化しています。
どのような情報を、どのような方法で送るかは、 送る側(差出人)の選択に任せるべきであると考えます。
DMなど宛名表記の ある印刷物を取り扱う物流会社もまた、情報化社会に対応する厳しい企業情報 管理の競争を行なって社内環境を整備しており、その結果、発送依頼のお客様 に信頼されて今日に至っております。
DMのように宛名表記のある印刷物すべてが信書であるかのような解釈にな れば、信書送達事業のハードルが高すぎて一般信書便事業者になることが出来 ない大多数の物流会社は多くの荷物を失うことになります。
その一方で、事業 収入の落ち込みから、ディーゼル車排ガス規制やNO2削減などの環境対策や 従業員の安定雇用などに大きな影を落とすことになります。
従って、定義の解 釈は、差出人が信書であると意思表示した文書に限定するなど狭義の解釈に止 め、会員企業四〇社を始め多くの物流会社がDMの取り扱いを継続することが 59 DECEMBER 2002 出来る明確な考え方に見なおして頂けることを切望します。
3. DMの取り扱いに対する意見 通販会社など流通事業者は、DMの配送と消費者が注文する商品の配送を同 じ物流会社に任せることで、商品取り扱いのサービス品質向上と物流コスト削 減のメリットを取り、私たち物流会社はe-ビジネスの追い風に応えた効果的・ 効率的なDM配送を工夫することで通販市場という新たな物流の恩恵を受け、 貨物取扱量を維持してきました。
DM配送は、貨物取扱量を押し上げるカンフ ル剤的な効果を発揮してトラック事業者を活性化させていると言っても過言で はありません。
特に、地域内で事業展開する中小の会員企業にとってのDM配 送は、物流を引き出す大切な戦略商品でもあります。
そこには、会員企業を始 め多くの物流会社が、郵便事業のすきまにあったDM配送を新たなビジネスチ ャンスと捉えて商品化したことであり、ノウハウを積み上げて今日の巨大なD M市場へ育て上げたことにあります。
一方、指針案は、顧客リストで受取人を選別し、商品の購入等を勧誘するD Mは信書に該当すると解釈しています。
その一方で、チラシやカタログは信書 に該当しないと説明していますが、実務の現場には解り難い曖昧さが残ります。
民間事業者が貨物掘り起こしの戦略商品として育ててきたDM市場を独占する 口実のようにも理解できます。
そこで、DMを信書と解釈することに対して、 DM配送を取り扱っている会員企業四〇社から取りまとめた意見を紹介します。
(同じ内容の意見は掲載を省略しました) (1) 特定地域のDM配送だからこそ取り扱いの有無は収支に大きく影響する (2) DM配送は集配と運行の双方で取り扱っており 収支・利益に大きく影響する (3) DMが取り扱えなくなれば大幅な収入減になり 配送拠点の統廃合が必要となる (4) DM配送の専用輸送ネットワーク、施設、従業員を 閉鎖・縮小することになる (5) 投資・蓄積してきたDM配送ノウハウが無駄になり 収支にも悪影響を及ぼす (6) DM配送のために設備投資しており大きな損害が発生する (7) DM取り扱いの有無は社員の解雇など雇用維持に直接的な悪影響を与える (8) DMが信書になれば輸送品の開発が出来なくなり 営業範囲を縮小させられる (9) 時代に適合した解釈としてDMもカタログも同じ取り扱いにすべきである (10) DMの解釈はカタログや新聞折込とどんな違いがあるのか理解できない (11) 百貨店配送の事業にとってDM配送は 閑散期対策として不可欠な仕事である (12) DMと注文商品の配送をセットの業務にしているので 従業員の仕事が半減する (13) 百貨店にとってDMは荷物そのものであり信書と考えていない (14) 消費者はDM配送と注文商品の配送が同じ運送会社だから安心している (15) DMが信書の扱いになれば荷主側のコストアップになりその影響を受ける (16) 書状と役所から出る証明書以外は信書に該当しない文書にして欲しい DMが信書と解釈された場合に生じる経営上の問題点や窮状を訴える会員企 業四〇社の生の声を上記一六項目に集約しました。
中小の会員企業が訴える窮 状に耳を傾け、貨物掘り起こしの戦略商品として、会員企業を始めとする多く の物流会社が育て拡大してきたDM市場を、今までどおり物流会社の競争市場 に据え置かれることを切望して、信書に該当する文書にDMを入れない解釈へ の変更を強くお願いする次第であります。
DECEMBER 2002 60 十一月、日立物流は「イオン九州 RDC」を稼働させた。
今年七月稼 働の「イオン兵庫RDC」に続き、 日立物流がイオン向けに提供する二 つ目の拠点となる。
九州RDCの基 本的な構造は兵庫の施設と同じだが、 いくつかの点では新たな工夫を施し ている。
九州RDCは他の拠点に比べて取 扱規模が小さいため、店舗仕分けを 担う高速自動仕分け機(クロスドッ ク入荷用四シュート、出荷用四三シ ュート)のシュートを、左右から中 心に向けて配置してスペース効率を 高めた。
この高速自動仕分け機には、日本 で初めてCCDカメラ方式のバーコ ードリーダー(伊データロジック社 製)を採用。
これによって従来のレ ーザー方式のリーダーに比べて、印 刷状況の悪いバーコードの読み取り 精度を改善した。
かつてCCDカメラ方式のリーダ ーはコンベヤ速度をかなり遅くしな ければ使えなかった。
だが最近のI Tの革新で、性能とコストパフォー マンスの双方が飛躍的に向上したこ とで、バーコードスキャナーへの適 用が可能になった。
今回、マテハンパートナーを務めたトーヨーカネツ では、同方式が今後の主流になるこ とを見込んでいるという。
また、九州RDCではバーコード の読み取り時に、荷物の縦・横・高 さを瞬時に測定できるようにして、 荷物の形状の情報を後工程の作業管 理に役立てようとしている。
施設内 のマテハンを制御し、在庫管理をす るためのWMS(倉庫管理システム) には、日立製の「HITLUSTE R」を採用した。
相次いで大型物流拠点を稼働 イオンの物流改革を牽引してきた 同社物流統括部の高橋富士夫部長は 「流通外資にくらべて日本の小売業 者の最も弱いのは物流。
当社は二〇 〇四年度までに、これを抜本的に見 直していく」と強調する。
現在、日本の小売業界では、イオ ンとイトーヨーカ堂の二社が勝ち組 と目されている。
ただし、この二社 の流通戦略は大きく異なる。
窓口問 屋制を敷くヨーカ堂がマーチャンダ イジング(商品化計画)と店頭の販 売力で勝負しようとしているのに対 し、イオンはメーカーとの直接取引 も厭わずサプライチェーン全体の効 率化によって収益力を高めようとし FOCUS イオンの物流改革が進行している。
昨年六月に仙台RDCを立 ち上げたのを皮切りに、今年は五センターを稼働。
その一つ日立 物流の「イオン九州RDC」が十一月にお披露目した。
日本史上 最大規模の3PLプロジェクトが着々と実行に移されている。
こ れに伴い荷主企業と3PLのリスク共有も拡大している。
日立物流のイオン九州RDCが稼働 イオンとの拡大するリスク共有 KEY WORD 3PL イオン九州RDCの内覧会で、イオンの高橋富士夫物流 統括部長(右から2人目)、日立物流の山本博巳専務 (同3人目)らが記者会見を開いた 全44本のシュートを持つ高速自動仕分け機。
スペース効率を高めるためにシュートを左 右から咬み合わせるように配置している 11月1日から正式稼働したイオン九 州RDC(延床面積18,676平米)。
鳥栖ICから車で10分の場所で日立 物流が約30億円(土地・建物・マ テハン含む)を投資した 61 DECEMBER 2002 ている。
イオンがこうした戦略を実現する ためには、中間流通を卸に依存して いた過去の体制から脱却する必要が あった。
そのために同社は約五年前 から物流プロジェクトに取り組んで きた。
卸の中間流通機能を代替でき る物流ネットワークを3PLパート ナー(日立物流、福山通運、日本ト ランスシティ、センコー、ニチレイ、 日本水産)と組んで構築しようとし てきたのである。
具体的には従来、全国に一二〇カ 所以上あったイオングループの物流 拠点を、二〇〇四年度中に一九カ所 三九施設へと集約する。
三九施設の 大半は新設で、立地や施設設計こそ イオンが担当するが、実際の投資と 現場オペレーションは3PL事業者 が担う。
物流業者サイドの投資総額 は約九〇〇億円。
日本の物流史上、 最大の3PL案件と言えるだろう (本誌二〇〇一年七月号参照)。
運命共同体としての3PL 計画通り二〇〇四年に物流ネット ワークが完成すれば、イオンは日本 の有力小売りチェーンとして初めて 中間流通業者に依存しないサプライ チェーンを手にすることになる。
そ のうえで回転率の高い商品を中心に メーカーとの直接取引を拡大して、 これまで中間流通に落ちていたリベ ートなどを自社の収益向上に活用す ることを狙っている。
すでに二〇〇一年に仙台、二〇〇 二年には兵庫、関東、中部、静岡、 九州で物流拠点を稼働した。
来年三 月には今回の物流構想の肝ともいう べき大型拠点、大阪NDCを立ち上 げる。
日立物流が運営を担うこの施 設は、低回転率の商品在庫を全国で 唯一引き受け、各地の物流センター を経由して全国に供給する役目を担 う。
延べ床面積八万五六四五平米と いう規模は、全国で最大級の物流拠 点でもある。
日立物流はイオンの3PLパート ナーのうち、ドライグロサリーの分 野で最大の役割を担うことになる。
すでに全国で八カ所の施設を担当す ることが決まっており、前述の兵庫 と九州を稼働済みだ。
日立物流のイ オン案件向け投資は、昨年から二〇 〇四年までの三カ年でおよそ三〇〇 億円。
それだけに二〇〇五年度以降 は、イオン向けだけで年間二〇〇億 円以上という大幅な売上増を期待し てもいる。
その一方で、日立物流にとって主 力の日立グループ向け業務は縮小傾 向にある。
このため日立物流の外販 比率は上昇傾向にあり、二〇〇二年 度の下期には総売上高の六〇・四% を占める計画だ。
なかでも同社が 「システム物流」と呼ぶ3PL事業 は、毎年二桁の伸び率で成長し続け る見込みだ。
ただしイオン向けの案件は、日立 物流にとって最大のリスク要因でも ある。
万一、想定している生産性を 達成できなければ、売り上げだけは 確保できるが、同社全体の収益を大 幅に悪化させることになりかねない。
その意味でも来年三月に稼働予定の 大阪NDCが、イオンと日立物流の 双方にとってカギになる案件と言え そうだ。
( 岡山宏之 ) イオン物流改革構想 全国施設一覧表 札 幌 青 森 秋 田 盛 岡 仙 台 信 州 新 潟 北 陸 北関東 関 東 沼 津 静 岡 中 部 京 都 大 阪 兵 庫 広 島 四 国 九 州 沖 縄 岩手県玉山村 宮城県岩沼市 新潟県豊栄市 石川県鶴来町 千葉県市川市 静岡県掛川市 三重県四日市市 京都府大山崎町 兵庫県龍野市 香川県宇多津町 佐賀県鳥栖市 面積(m2) 敷地 延床 19,140 19,186 56,783 22,760 58,654 40,461 34,565 16,942 27,603 23,304 16,529 64,220 10,689 35,740 85,645 18,277 8,903 18,480 取扱高 (億円) 512 238 405 278 565 304 493 534 507 1,149 2,002 399 235 645 1,303 836 445 1,668 1,135 893 545 1,002 443 277 146 稼働予定 2004年5月 2003年5月 2003年7月 2003年11月 2001年6月 2004年7月 2003年8月 2003年10月 2004年1月 常温2002年11月 生鮮2004年11月 2002年11月 常温2002年11月 生鮮2004年9月 2004年3月 2003年3月 2002年7月 2004年7月 2003年1月 常温2002年11月 生鮮2004年1月 常温2003年9月 生鮮2004年4月 常温 生鮮 DC XD XD 農産 RS 水産 PC/RS 畜産 PC/RS 惣菜 PC/RS ※日立物流=日、福山通運=福、日本トランスシティ=ト、センコー=セ、ニチレイ=ニ、フードサプライジャスコ=F) 注1)「面積」が記載の施設は既に稼働かまたは現在建設中の施設 注2)「取扱高」は仕入原価ベース。
また、マイカル分含む 所在地 施 設 福 福 ニ ニ ニ ニ ニ 福 福 福 福 福 ニ ニ ニ ニ ニ セ セ ニ ニ ニ ニ ニ 日 ニ ニ ニ ニ 日  日 日 日 福 ニ ニ ニ ニ ニ 福 福 福 F F 検討中 ト ニ ニ ニ ト ト  ト F F F F ニ ニ ニ ニ ニ 日 日 日 日 日 日 日 F F 日 ニ ニ ニ 日 日 日 F F F F 福 福 福 F F F F る。
同法の施行によって来年の一〇 月以降、対策地域内では、規制値を クリアできない車両の車検は通らな くなる。
さらに国による「自動車NO X ・ PM法」とは別に、一都三県(東京、 埼玉、千葉、神奈川)でも条例によ る「ディーゼル車規制」を進めてい る。
こちらは主にPMの排出抑制を 主眼とするもので、同じく来年一〇 月から施行される。
しかも東京都の 条例では、来年一〇月の規制強化は ?新短期規制〞に過ぎず、二年後の 二〇〇五年に新たに?新長期規制 (規制値未定)〞を導入することま で決まっている。
DECEMBER 2002 62 「東京都のやり方は許せない」 一〇月三〇日から開催された「第 三六回東京モーターショー二〇〇二 (商用車)」で、トラックメーカー各 社が最も重点を置いていたのが環境 対応だった。
現在、さまざまなかた ちで進められている環境規制の強化 は、トラックユーザーの買い換え需 要を喚起する可能性が高い。
長らく 供給過剰の状態が続いている国内ト ラック市場にとっては、久々の?特 需〞となることが期待されている。
逆に物流事業者の立場では、来年 一〇月から施行される「自動車NO X ・PM法」への対応はきわめて切 実な問題だ。
「自動車NO X 法」(一 九九二年)を強化したこの法律は、 文字通りNO X にくわえてSPM (浮遊粒子状物質)対策を狙ってい FOCUS 物流事業者にとって環境対策はもはや避けられない課題だ。
来 年一〇月から施行される「自動車NO X ・PM法」や「ディーゼル 車規制」などの大気汚染対策と、今後強化されることが必至の地 球温暖化防止対策の両方をにらんで対策を講じる必要がある。
環 境対策とコスト削減を両立し、これを対外的に上手くアピールでき た事業者だけが強いブランド力を手にすることになる。
来年一〇月の規制強化に向けて 加速する物流事業者の低公害車導入 KEY WORD 環境対策 幕張メッセで開催された「第36回東京モーター ショー2002(商用車)」 環境重視をアピールするトラックメーカー各社 いすゞ自動車「エルフKRドライバン」平成15年 規制をいちはやくクリアしている 日野自動車「デュトロCNG低公害冷凍車」CNG 車としては初めて発電冷凍機を採用 三菱自動車「キャンターCNG(参考出品)」大手 トラック4社はすべてCNGを陳列した 日産ディーゼル「コンドルMKキャパシターハイ ブリットトラック」CNGと共に期待が大きい 63 DECEMBER 2002 これまで営業トラックをはじめと する商用車には、燃費の良さからデ ィーゼル車が使われてきた。
熱効率 の高いディーゼル車はCO 2 (二酸 化炭素)の排出量が相対的に少なく、 地球温暖化の防止にも有効だ。
その 反面、NO X とPMの排出量が多い ため、都市部を中心に住民に健康被 害をもたらす元凶として問題視され 続けてきた。
九九年に石原慎太郎東京都知事が、 ペットボトルに入った黒いススを振 りかざして「ディーゼル車NO作戦」 を提唱した頃から、商用ディーゼル 車への風当たりは一気に厳しくなっ た。
その後、東京都は、全日本トラ ック協会などと論争を繰り広げるこ とになるのだが、結果として議論は 平行線のまま規制強化だけが進めら れてしまった。
全日本トラック協会では、「トラ ック事業者は国の規制に対応してき たに過ぎない。
それを東京都はディ ーゼル車の悪い面ばかりを指摘し、 当初はトラック事業者を吊し上げる ような真似すらした。
こうしたやり 方は決して許されるべきではない」 と憤りを隠さない。
当面の有効対策はCNG車 しかし、現実に規制の強化が決ま ってしまった以上、物流事業者は対 応せざるを得ない。
国や地方自治体 の規制内容の違いや、将来的な規制 強化までを見越して対応することが 求められている。
当面の排ガス規制 の強化をクリアするだけでなく、将 来的な課題である地球温暖化ガスの 排出抑制にも対応していく必要があ る。
もっとも物流事業者がとりうる選 択肢は限られている。
?今回の環境 規制を契機に一気に車両を買い替え る、?猶予期間が残されている限り 現在の車両を使用する、?当面の対 策として後付けのDPF(粒子状物 質減少装置)を装着する――。
いず れにしても環境対策のための出費が 避けられない以上、可能であれば一 気に抜本的な対策を講じることが望 ましい。
すでに物流事業者のなかには、環 境規制に積極的に対応することで、 企業姿勢を社会にアピールし、営業 力の強化につなげようとする企業も 出てきた。
環境規制の強化を、一気 に自社の強みに転換してしまおうという戦略である。
こうした事業者にとって現在、最 も有力な選択肢となっているのが天 然ガス自動車(CNG車)の導入だ。
低公害車と言えば一昔前にはLPG 車や電気自動車が話題になったが、 東京モーターショーの出展内容から も明らかな通り、最近ではほとんど 聞かなくなった。
乗用車部門で支持 を集めているハイブリッドについて も、商用車の開発状況は芳しくない。
その点、CNG車については、イン フラ整備も急ピッチで進められてお り、確実に市場に定着しつつある。
CNG車は導入時の助成制度が充 実しているという面も大きい。
現在、 全ト協が手掛けている「低公害車導 入促進助成金制度」では、国(国土 交通省)とNEDO(新エネルギ ー・産業技術総合開発機構)とトラ ック協会が、通常のディーゼル車に 比べて割高なCNG車を購入する会 員事業者に対して、費用の一部を助 成している。
昨年度、トラック協会は約二〇〇 〇台程度のCNG車が導入できる補 助金を用意した。
これが非常に好評 で、年度はじめの四月から七月の三 カ月間だけで使い切ってしまった。
そこで今年度は約三四〇〇台程度の 枠を用意して臨んだが、現状ではま だ一五〇〇〜二〇〇〇台分程度の枠 が残っているという。
先着順のため 必ず利用できる保証はないが、対策 を迫られている事業者にとっては検 討に値する制度と言えるだろう。
( 岡山宏之 ) 東京都が公表している2003年10月以降の 「ディーゼル車規制対象チェック表」 ディーゼル車ですか? 1、2、4、6、8ナンバーですか? ※8ナンバー車で乗用車タイプをベースにしたものは「いいえ」 5、7ナンバー車で乗合自動車(バス、マイクロバス)は「はい」 ★記号なし、U-、W-、S-、P-、N-、K-、KA-、KB-、KC- ★KE-、KF-、KG-、KJ-、KK-、KL-、HA-、HB-、HC-、HE-、HF-、HM- ★KR-、KS-、HZ-、HY-、その他 型式は何ですか? (自動車検査証〈車検証〉の『型式』欄に記載) 判 定 ?規制対象外です ?規制対象外です ?規制対象です※→15年10月から都内走行できません ?規制対象です※→17年4月以降に規制強化された場合、  都内での走行ができなくなります ※??新車登録から7年間は都内走行できます ?規制対象外です はい はい いいえ いいえ ? ? ? ? ?

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