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APRIL 2001 84
SCMをテーマとする国際的な研究団体、
SCC(Supply Chain Council
)ではサプラ
イチェーンを記述するためのツールとして
「
S
C
O
R
(
Supply Chain Operations
Reference-Model
)」を開発し、その普及活
動を進めています。 文系の人にはちょっとと
っつき難いかも知れませんが、このコーナー
ではできる限り易しくSCORを紹介してい
きたいと思います。 その手始めとして、今回
はSCCジャパンの会長を務める毛利博士に
SCCとSCORについて、素朴な質問をぶ
つけてみました。
――毛利さんがSCMに携わるようになった
きっかけは。
「平成七年ごろに当社(日立製作所)のパ
ソコンを対象としたサプライチェーンを構築
したのが最初でした。 当時はサプライチェー
ンという言葉がそれほど普及していなかった
ので実際には『トータル・ロジスティクス』
と呼んでいましたね。 途中からサプライチェ
ーンと呼ぶようになりました」
――パソコンとなるとデルコンピュータやコ
ンパックコンピュータの台頭が、プロジェク
トの引き金だったのですか。
「そうですね。 ただしデルよりも、当時は主
にコンパックを想定していました。 当社も見
込み生産でパソコンを作っていましたので、
いかに在庫を最小にして、どう市場に対応していくか考えていったわけです」
――SCC自体との関わりは?
「最初から会社としてはメンバーだったので
すが、私自身はSCCの活動のなかの「SC
OR」のワーキンググループに参加するよう
になったのが深くアクセスするようになった
きっかけでした」
――SCORというのは、「Source
」「Make
」
「
Deliver
」「Plan
」という四つの要素のつなが
りとしてサプライチェーンを表すやり方のこ
とですよね。 なぜSCORに興味を持ったの
ですか。
「サプライチェーンを記述するツールが必要
だと感じていたからです。 従来、情報システ
ム分野で使われていた汎用的な記述ツールで
は、どうもサプライチェーンに馴染まない。
第1回
「SCORで
サプライチェーンを描いてみよう」
SCCジャパン会長
毛利峻治
日立製作所生産技術研究所主管研究員 博士
インタビュー
85 APRIL 2001
もう少しサプライチェーン向きのツールはな
いかと探していたところSCORに出会った
んです。
そのため最初、私は単なる記述ツールとし
てSCORをとらえていました。 ところが、
調べてみるとSCORは記述ツールというよ
り、サプライチェーンを設計するためのツー
ルであることがだんだんと分かってきた」
――正直なところSCORは、よく理解でき
ません。 確かに、できあがったものをいきなり見せ
られてしまうと、単なるオペレーションの羅
列にしか見えないかも知れませんね。 ところ
が実際にSCORを使って、具体的なサプラ
イチェーンのプロセスを記述していくと、そ
れだけで何がボトルネックになっているか気
付くんです。 皆さん、ご自
分の会社のプロセスという
のを理解しているようでい
て、実はあまり理解してい
ない。 ところがプロセスを描
き出すだけで、どうすべき
かすぐに分かる」
――描くだけでですか。
「仕事のプロセスに問題が
あると皆、漠然とは感じて
いても、それをはっきりと認
識できている場合は少ない
と思います。 実際に描くこ
とで、それがはっきりみえて
くる」
――病気の原因を患者自身
が知るだけで症状が治って
しまうという精神分析の認
知療法みたいですね。
「そう。 似ていますね。 し
かも仕事のやり方というの
は一通りではない。 部署に
よっても、人によっても違
う。 そのままでは議論さえできません。 実際、
私が当社のパソコンのサプライチェーンを整
理してみた時も、当時SCORというものを
知らなかったため、自分なりに記述した結果、
私にしか意味のないものになってしまった。
そこで指しているプロセス一つひとつの指し
ている内容やレベルが、説明されてないと他
の人には分からないわけです。 議論の土台に
なるという点だけでも、SCORのようなツ
ールは有効です」
――実際には企業のなかの、どのような立場
にいる人がSCORを使うと便利なのですか。
「SCMを担当する人、それからBPR(ビ
ジネス・プロセス・リエンジニアリング)を
担当する人ですね」――ITの専門家のためのツールではない
と?
「違いますね。 ITというよりマネジメント、
オペレーションに責任を持つ人が使うべきツ
ールだと思います。 実際、SCORは今のと
ころITの導入まではカバーしていないんで
す。 それよりもサプライチェーンをどうやっ
て設計したらいいのかという点に狙いがある」
――SCORを学ぶにはどこから手をつけれ
ば良いのでしょう。
「SCCが発行しているSCORの日本語
マニュアルがあります。 それが一つ。 もう一
つはSCCで年に数回、ワークショップセミ
ナーを開いています。 ここに出席してもらう
のが一番の近道だと思います。 ただし、これ
は会員でないと参加できない。 ですからまず
IDSシェアー・ジャパン、アイネス、青山学院大学、アクセンチュア、朝日アーサーアンダーセン、旭化
成工業、アスペンテックジャパン、ERP研究推進フォーラム、出光石油化学、伊藤忠テクノサイエンス、
INAX、インフォメーション・テクノロジー・ソリューション、インターサーブ、A.T.カーニー、NEC、
エヌ・ケー・エクサ、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、SAPジャパン、エムオーエアシステム、
沖電気工業、O. P. Q、オリンパス光学工業、関西経営システム協会、キヤノン、キュー・エー・ディー・
ジャパン、クラステクノロジ、経営資源システム研究所、KPMGコンサルティング、サン・マイクロシス
テムズ、CRC総合研究所、シーエーシー、静岡大学情報学部、システムソフトウェアアソシエイツジャパ
ンリミテッド、システムプラザ、シンガポール松下電子部品、新日鉄情報通信システム、スターリングコ
マース、住商情報システム、住友重機械工業、住友商事、積水化学工業、セイコー、セイコーアイテック、
西濃運輸、センコー、竹中工務店、中小企業診断協会東京支部、中部電力、デロイトトーマツコンサルテ
ィング、電通国際情報サービス、店舗システム協会、東京工業大学、東芝、東北大学、東洋情報システム、
東洋ビジネスエンジニアリング、東レシステムセンター、凸版印刷、トーマツコンサルティング、日揮、
NIXシステム研究所、日産自動車、日商岩井、日本アイ・ビー・エム、日本インターシステムズ、日本
NCR、日本オラクル、日本ジェイ・ディ・エドワーズ、日本情報処理開発協会、日本総合研究所、日本能
率協会コンサルティング、日本ビジネスクリエイト、日本ヒューレット・パッカード、日本ユニシス、日
本リーバ、ネットワークダイナミクスコンサルティング、野村総合研究所、バーンジャパン、日立製作所、
日立東北ソフトウェア、PRTM、ビジネスコンサルタント、富士通、富士通エフ・アイ・ピー、富士通総
研、富士電機、プライスウォーターハウスコンサルタント、ブラザー工業、ヘッドストロング・ジャパン、
法政大学工学部、本田技術研究所、マイクロソフト、松下電器産業、マニュジスティックスジャパン、丸
紅、三井情報開発、三井物産、三菱商事、三菱総合研究所、ヤマハ、ユニシアジェックス、横浜商科大学、
ヨドバシカメラ、YKK、リコーエレメックス、早稲田大学理工学部経営システム工学科
(50音順、2000年12月26日時点)
SCC日本支部参加企業
APRIL 2001 86
日本人インストラクターによる
SCORワークショップ開催のお知らせ
SCCの会員になって頂く(笑)」
――SCCに参加している人たちっていうの
は、何がモチベーションになっているのでし
ょう。 やはり専門家としてのキャリアプラン
を意識されているのでしょうか。
「私自身の場合はキャリアプランというより、
広く情報を入手したいというのと、自分自身
の経験を含めてサプライチェーンというもの
を、もっと会員の方にも広く知ってもらいた
いという気持ちがあります。 啓蒙というと偉
そうかも知れませんが」
――インターネットの普及によって生まれた
「ネチズン」という新しい市民モデルが少し前
に話題になりましたが、それに近いボランテ
ィア的な意識がある。
「ありますね」
――毛利さんは博士号を持った学者でもある
わけですが、SCCの場合は従来の学会とは
少し毛色が違いそうですね。
「SCCのような団体は、何かをやりたい
という動機や志を持っている人が立場を超え
て集まっています。 しかも、上下関係がまっ
たくない。 それだけ自由で、楽しんで活動で
きていると思います」
――これから、このコーナーではSCORの
紹介をはじめSCCの活動を報告していきま
す。 よろしくご指導下さい。
「SCORだけでなく、海外の事例や論文、
またSCCのカンファレンスなども適宜、紹
介していきたい考えています」
――いいですね。 それやっていきましょう。
《SCORワークショップ》
◆目的 SCORの内容理解と使用方法体得
◆プログラム内容
―― SCOR Overview
―― SOCR内容構成、メトリクス、ベストプラクティス
―― SCOR使用によるサプライチェーンマッピング方法
―― ケーススタディーに基づくSCOR使用ガイド
―― チームセッション
―― Q & A
―― SCOR最新バージョン4.0日本語のご紹介
◆インストラクター
大石 高至 (日本電気株式会社 情報システム本部企画マネージャーSCC日本支部ボードメンバーバイスチェアマン)
伊藤 武志 (株式会社ネットワークダイナミクスコンサルティング
パフォーマンスマネジメントチームシニアコンサルタント)
三枝 利彰 (株式会社日本ビジネスクリエイトSCM業務推進本部 コンサルタント)
◆日 程 2001年4月25日(水)・26日(木)10:00〜17:00 =2日間コース
◆場 所 日本電気株式会社内
(予定) (JR田町駅又は、地下鉄三田線・浅草線三田駅下車徒歩3分)
◆募集人数 合計20名
◆参加費1名様 10万円
◆参加条件 SCCメンバーであること
(ワークショップはSCC会員を対象に行われている活動なので、非会員でワークショップに参加希望の方は、SCC
に入会して戴くことが前提となります)
◆お問い合わせ先 SCC日本支部 筬島(おさじま)
Tel : 03-5419-5488 Mail to : k.osajima@jbc-con.co.jp
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