ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2001年5号
メディア批評
タブーに挑戦し続ける『噂の真相』公権力から目の敵にされる理由

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

81 MAY 2001 三月二七日付けの『朝日新聞』「論壇」欄に 文芸春秋社長の白石勝が「個人情報の保護に 関する法律」という?怪しい法律〞に危惧を 表明している。
たとえば松本サリン事件の河野義行に対し てはメディアに行き過ぎがあった。
しかし、 河野など「私人」にだけでなく、「公人」をも 保護するこの法律が成立したら、政治家や官 僚のスキャンダルは封じ込められてしまうだ ろう。
白石は「放送機関、新聞社、通信社その他 の報道機関」だけでなく、出版社も対象外に せよ、と主張している。
白石の指摘する如く、「出版ジャーナリズム は月刊誌、週刊誌を問わず政治家、官僚、公 権力の疑惑、不正に対して果敢に挑戦してき た」から、意図的にこれを規制したいのに違 いない。
検察庁高官のスキャンダルをはじめ、「公権 力の疑惑、不正」を先頭に立って追及してき たのは『噂の真相』である。
四月号はその二 十二周年記念号で、二〇〇〇年版の十大ニュ ースが載っている。
同誌は二〇〇〇年の六月号で「森喜朗?総 理失格〞の人間性の証明」と題したスクープ を放った。
森が学生時代に売春等取締条例で 検挙歴があることをスッパ抜いたのである。
これに対し森は同誌を名誉毀損で民事提訴 した。
しかし、同誌は森が検挙された際の事件番号や指紋番号といった決定的証拠を裁判 所に提示し、裁判所が警視庁への「調査嘱託」 を求めるに至った。
ところが森は、いや、警視庁はこれを拒否 してしまった。
つまり、森は絶好の「無実」 の証明の機会を自ら放棄したのである。
とい うことは、明らかにクロということになる。
同誌には別の裁判で 弁護団長の主尋問を受 ける岡留安則編集長の 発言が引いてある。
同 誌のような雑誌が、い ま、この国にいかに少 ないか。
また、?怪し い法律〞が同誌などをターゲットにしている ことが、いかに明白かが、このヤリトリを読 むとよくわかる。
弁護人 次々に『噂の真相』はスクープを とばし、大手メディアに追随されてますが。
岡留 最近は九九年五月号、東京高検検事 長、則定衛氏の女性スキャンダルです。
発売 前日に朝日新聞が社会面トップ五段抜きで扱 い、各紙も後追い、発売直後辞任を表明しま した。
弁護人 また昨年は森喜朗現首相の売春疑 惑報道を行って、話題を呼びましたが。
岡留 民事で提訴されましたが独自スクー プで、裏付けをとったもので自信があります。
国会でも取り上げられました。
犯歴照会を裁 判所が決定しても、警視庁は拒否したため、 名誉毀損で対抗告訴をし現在併合審理中で すが、三月六日の公判で結審、判決予定です。
(中略) 弁護人 タブーに挑戦するなかでも、最大 なのは皇室タブーだと思いますが。
岡留 国民の知る権利として、雅子妃の懐 妊問題などを取り上げていますが、過去も印 刷屋を潰されたり、広告がなくなったりしま した。
昨年も私自身が全治四〇日間の傷害を 負わされるという具体的な右翼の暴力を受け たほど、大きなタブーになっています。
同誌四月号の巻頭レポートは「?断末魔〞 自民党の悪あがきの言論統制逆襲劇」。
「島田 雅彦の天皇制タブー小説をめぐる評判」とい うレポートもある。
作家の大岡昇平はこの雑誌を愛読していた。
しかし、司馬遼太郎やその読者は『噂の真相』 を毛嫌いする。
そこに、司馬の歴史小説が紙 芝居で、大岡のそれと、まったく迫力が違う 理由がある。
相田みつをを加えてもいいが、この国の多 数を占める司馬遼ファンは、キレイゴトがお 好きで、スキャンダルが嫌いなのである。
だが、ドロドロした腐敗を除去しなければ、 ビジョンも何も語れないではないか。
?怪しい 法律〞には断固反対だが、『噂の真相』はそれ が施行されても追及をやめないだろう。
佐高信 経済評論家 タブーに挑戦し続ける『噂の真相』 公権力から目の敵にされる理由

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