ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年5号
特集
物流&IT アマゾンジャパン──ローカル化

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MAY 2001 54 宅配大手のアマゾン争奪戦 アマゾンドットコム(米アマゾン)が日 本に進出するという噂は、三年以上前か ら絶えなかった。
実際、九八年六月に来 日した同社のジェフ・ベゾスCEOはヤ マト運輸の書籍販売子会社、ブックサー ビスに対して買収を打診。
これを断られる と今度はアマゾン主導の提携話まで持ち 出してきたという。
しかし交渉は決裂し、 その後しばらくアマゾンの日本進出をめぐる話題は陰を潜めていた。
当時のアマゾンは、まさに時代の寵児 だった。
九八年末のeクリスマスで爆発 的に売り上げを伸ばし、同社の株価はそ の二年前の数十倍という高水準にあった。
世界中でニューエコノミーの到来が喧伝 され、米ナスダックの総合指数は九九年 度を通じてほぼ倍増。
天井知らずの上昇 を続けていた。
日本もネットバブルの真っ最中だった。
ビジネスモデルに問題のあるネットベンチ ャーでも、インターネット関連企業でさえ あれば株価は軒並み急騰した。
世界中で 沸き返るネットベンチャーの象徴が、アマ ゾンドットコムだった。
そのため九九年の秋口に、またアマゾン が日本進出の機会を伺っているという噂 が広がると関係者は色めき立った。
日本 の物流業者に対して正式なアプローチが あったわけではない。
にもかかわず、抜群 物流の自前主義を日本では変更  日通をパートナーに外部委託を実施 2000年11月に日本上陸を果たしたアマゾンドッ トコム。
その裏舞台では一年以上前から、大手宅 配業者によるアプローチ合戦が繰り広げられてい た。
採算度外視とも思える苛烈なアマゾン争奪戦 を制したのは、日本通運のペリカン・アロー本部 だった。
アマゾンジャパン ──ローカル化 うという狙いも加わり、宅配各社の争奪 戦には拍車がかかった。
年が明けて二〇〇〇年に入ると、にわ かにアマゾン側の動きが慌ただしくなった。
日本進出のためにスタッフの拡充が進め られたのである。
二月一日には現在、アマ ゾンジャパンの社長を務めている長谷川純 一氏が正式に合流し、それまでアマゾンの 代理人をしていた担当者は去っていった。
日本戦略を担当していた米国人スタッフ の顔ぶれも入れ替わった。
これが先行していた佐川にとっては誤算 だった。
アマゾンを去っていったスタッフ のなかには、それまで佐川が営業窓口とし ていた日本人担当者と、すでに訪日して 佐川物流センター(SRC)の見学まで していた米国人スタッフが含まれていた。
半年かけて培ってきた人脈を失ったことに より、同社が確保していたアドバンテージ は一気に消滅してしまった。
日本では庫内作業まで外注 その佐川に代わって攻勢を強めたのが 日通だった。
同社は当時、eビジネス向 けの営業を強化しており、アマゾンとの取 引は喉から手が出るほど欲しい案件だっ た。
さらにグローバルロジスティクス戦略 を強化するという会社の方針もあったため、 ほどなく全社的な営業ターゲットとしてア マゾンに臨む姿勢を明確にした。
「まずはシアトル支店を通して接触を続 55 MAY 2001 の知名度を誇るアマゾンのブランドを求め て、日本の大手宅配業者はこぞって猛ア タックを開始した。
先陣を切ったのは佐川急便だった。
当 時、アマゾンの代理人をしていた日本人 担当者を通じてラブコールを送り続けた。
九九年の年末近くには、先行した佐川を 追うようにヤマト運輸と日本通運も本格 参戦した。
日通でアマゾン争奪戦の先頭に立って きたペリカン・アロー本部の秋山正樹次 長は、「アマゾンとの取引実績がわずかに あったシアトル支店を通じて、アプローチ していました。
しかし、当時はアマゾンが 本当に日本に進出するのかすら確信を持 てない状況でした」と振り返る。
折しも日本の宅配マーケットではメール 便(投げ込み宅配)市場が急成長してい たこともあって、書籍を顧客に送り届ける ための配送コストをめぐる争いは熾烈を極 めた。
将来的な物量拡大への期待と、ア マゾンのブランドイメージを借りてネット ビジネスへの侵攻を産業界に印象付けよ けました。
そして我々がアマゾンのサプラ イチェーンのなかに入れば、彼らが自前で 物流を管理するのと同じくらい高い生産 性を発揮できると アピールしたんで す。
いわゆる提案 営業ですよ」と秋 山次長は説明する。
二〇〇〇年のゴ ールデンウィーク が明けると、日通 の秋山次長はeロ ジスティクス部の 担当者とともに渡 米しアマゾンを訪 れた。
現地でシア トル支店の担当者 と合流。
ここで初 めてアマゾンジャ パンへの社長就任 が決まっていた長 谷川氏と会った。
当時のことをア マゾンジャパンの 長 谷 川 社 長 は 、 「物流コンペにつ いては基本的に守 秘義務契約のなか でやっていますの で詳しくは話せま せん」と多くを語 第3部ネットビジネスの物流戦略 出版社 消費者 (顧客) 海外(洋書) 取次3社 米国シアトル 海外 メーン・データベース 発注 クレジットカード会社 在庫情報 発注 在庫確認 在庫情報 発注 入荷 08:00前 1便ー11:00発 2便ー15:00発 最終便ー19:30発 返品(原則として送料は顧客負担) 大阪屋負担 国内 国内(和書) 取次1社 アマゾン・ロジスティクス 千葉県市川市 日本通運 アマゾン市川DC 日本通運 新砂ターミナル 大阪屋(IBC) ネット専用倉庫 大阪屋(KBC) 通常倉庫 日通航空 アマゾン・ジャパンのサプライチェーン アマゾンジャパンの長谷川純一 社長 MAY 2001 56 ろうとはしない。
ただし「日本の書籍流通のマージンは 世界的にみても特に低い。
生産性を向上 させることでいかに利益を出すかが我々の 課題です。
その意味でロジスティクスをは じめとするオペレーションの効率を上げ、 最適な在庫を保つ必要がある。
顧客の利 便性や品揃えに直結するロジスティクスは 非常に重視しています」と説明する。
結局、日通の秋山次長は合計三回、渡 米することになる。
五月の第一回目に続 いて、初夏に二回目の渡米を果たした。
八 月には正式な受注を決め、三回目の渡米 は契約事項の詳細をつめる旅となった。
秋 山次長は言う。
「受注の決め手は低コストの仕組みでし ょう。
今回、あえて我々は倉庫内の管理 と配送費を一本化した提案しか出しませ んでした。
サプライチェーン全体に関与で きなくては、アマゾンの望む高い生産性は 実現できないと考えたからです。
提示され た物量別の五つのシナリオに対して、それ ぞれ洋書の輸入から庫内管理、そして顧 客配送までのすべてを請け負うことを前提 に一日当たりのコストを算出しました」 すでに欧米で広く業務展開をしている アマゾンだが、これまで物流センターの管 理については自前主義を貫いてきた。
もち ろん倉庫にはリース物件も利用するし、配 送はUPSなどの宅配業者に任せている。
だが庫内作業については、3PL先進国 の米国でも自前だった。
各地にアマゾンロ ジスティクスというオペレーション子会社 を設立し、小売業者としてのアマゾンとは 明確に役割を分担している。
世界中で自社倉庫を運営しているアマ ゾンには、「一定の物量を処理するための 明確なコスト基準がある」(日通の秋山次 長)。
このため自前より安上がりで、効率 がいいと判断しなければアウトソーシング はあり得ない。
日通はそのアマゾンに対し て倉庫作業まで含む外部委託の提案を行 い、受注に成功した。
アマゾンジャパン・ロジスティクス 日通はペリカン便の首都圏の主力拠点 である「新砂ターミナル」の利用を軸に、 いくつか付近の倉庫を活用するオペレーシ ョン案を提示した。
各施設ごとに使用条 件は異なり、その中から条件に合う物件 をアマゾンに選択させた。
そして二〇〇〇 年八月、アマゾンの日本での物流拠点は 市川塩浜物流センター(千葉県市川市)に 決まった。
実は同センターのオーナーは、日用雑貨 品メーカー大手のユニ・チャームである。
この施設は、九六年にユニ・チャームが約 五六億円を投じて稼働させた最新物流セ ンターだったが、同社が日通への物流アウ トソーシングを進める過程で不要になって いた。
そこで日通がここを営業倉庫として 賃借し、丸ごとアマゾンのために利用した のである。
二階建てのセンターの面積は約一五〇 〇〇平方メートル。
現在はこのうち一階 部分だけを使って書籍を管理している。
こ こだけで約一〇〇万冊の書籍を保管する 能力がある。
現状の在庫冊数は未公表だ が、ざっと見渡したところ書棚の埋まり具 合は全体の半分程度といったところか。
こ のうち六割が洋書で、残り四割が和書に なっている。
センター全体の半分にあたる二階のス ペースはいまだに空いたままだ。
将来の事 業拡張に備えて、あえて膨大なスペースを 遊ばせている。
日通側では「その分の賃料 はきちんといただいています」(日通の秋 山次長)という。
そうまでしてスペースを 確保している理由を、アマゾンの長谷川 社長は次のように説明する。
「書籍販売からスタートした米アマゾン のプラットフォームは、音楽CDとかビデ オ、PCソフトウエアなども扱えるように 拡張してきました。
こうしたメディア系の 商品はシナジー効果を生みやすく、あるア 100万冊の保管が可能な 市川塩浜物流センター 日本通運の秋山正樹次長 57 MAY 2001 ーチストのCDが出れば、同じアーチスト の書籍も売れるといったクロスセリングが 可能です。
その際に配送コストを最小化 するためには一カ所の倉庫から出した方が いい」 アマゾンジャパンの従業員は現在、約 一四〇人を数える。
このうちオペレーショ ン業務に携わっているのは約二五人。
全 員がアマゾンジャパンのオペレーション子 会社、アマゾンジャパン・ロジスティクス に出向という雇用形態をとっている。
こう してオペレーション部門を別会社化する管 理手法は、世界中のアマゾンに共通して いるビジネスモデルである。
「アマゾンロジスティクスは将来、アマ ゾンジャパン以外の業務を請け負う可能 性があります。
例えば、同じサイト上でパ ートナーと一つの店舗を共同運営するよ うな場合、物流はすべてアマゾンロジステ ィクスに委託するということです。
もっと も、現状では一〇〇%アマゾンジャパンの 業務だけですがね」(長谷川社長) 現在、このオペレーション部門のトップ を務めているが、瀧井聡オペレーションズ ディレクターである。
大手自動車メーカー で長年、サービスパーツと保守部品の物 流を手掛けた後、大手コンサルティングフ ァームに転職。
二〇〇〇年七月にアマゾ ンジャパンに入社した。
アマゾンジャパンのオペレーション部門 (アマゾンロジスティクス)は、サプライ チェーン(SC)、トランスポーテーショ ン(TP)、ディストリビューションセン ター(DC)の三部門からなる。
在庫管理を担うSCでは、取次との情 報管理や書籍在庫の補充・発注を手掛け ている。
TPは輸送管理、つまり日通の 配送部門との折衝窓口である。
そしてD Cに所属する社員が、市川塩浜物流セン ターでの作業管理などのマネジメント業務 を行っている。
パート作業員の派遣こそ日 通に委託しているものの、センター内のマ ネジメント的な業務はほとんどアマゾンが 手掛けている。
センターにはこの他、日通の事務員と マネジメントが約一〇人常勤している。
作 業員は全部で七〇〜八〇人を登録済みだ が、シフト制の勤務形態になっているため、 庫内で作業している人数は通常二〇〜三 〇人程度だという。
アマゾンの海外の拠 点ではこうしたパート作業員もアマゾンが 雇っており、日本法人ならではの形態に なっている。
瀧井ディレクターは、「稼働前のシナリ オでは、実はかなり生産性を低く見積も っていました。
しかし、庫内オペレーショ ン業務の生産性は我々が考えていたより 高かった。
これは大阪屋をはじめとする取 次のクオリティが高かったことと、日通の 作業員の学習能力の高さの結果です」と 説明する。
庫内作業に独自のノウハウ センターのマテハン構成は意外なほどシ ンプルだ。
大規模な自動化機器は一切、導 入していない。
一見して目立つのは、一〇 〇万冊の保管が可能な書棚と、ピッキン グなどに使う移動用ワゴンだけ。
あとは作 業エリアごとにパソコンや梱包などに使う 専用機材が置いてある程度だ。
実は、こうしたシンプルな機材とバーコ ード管理を組み合わせた管理手法に、ア マゾンの運用ノウハウが凝縮されている。
なかでも特徴的なのが「フリーロケーショ ンによる在庫管理」と「すべての作業工 程を貫く情報システムの一貫性」だ。
い ずれも作業負担を減らして効率を高める と同時に、全体をムダなく管理するための 工夫だ。
センターに入荷される書籍は洋書と和 書に大別され、両方とも午前八時までに 着荷する。
全ての在庫はISBNコード ( International Standard Book Number ) で管理する。
このコードはほとんどの書籍 についている固有の数字で、標準規格と 第3部ネットビジネスの物流戦略 アマゾンジャパンの瀧井聡オペ レーションズディレクター 1冊ずつISBNコードを 読んで入荷チェック MAY 2001 58 して国際的に通用するものだ。
入荷した 書籍は梱包を解き、一冊ずつISBNコ ードをスキャニングして入荷検品を行う。
検品を完了した本は移動用ワゴンに積 み込まれ、棚入れの担当者によって書棚 へと運ばれる。
あらかじめ?大枠〞を指定 された棚に行くと、担当者は一冊ずつ、本 と書棚の双方をハンディ端末でスキャニン グしながら棚入れ作業を進める。
書棚は 一〇センチ間隔程度に細かく区切られて いる。
間仕切りごとに一つひとつバーコー ドがついているため、これにより何という タイトルの本が、どの棚のどの間仕切りに あるか全て単品管理できる。
棚入れの場所は?大枠〞では決められ るが、どの段のどの箇所に入れるかは当時 者が適当に判断している。
つまり「フリー ロケーション」である。
ここで特筆すべき は、棚入れすべき場所を?大枠〞で決め るという運用法だ。
どの間仕切りに入れ るのかという判断を実際の担当者に任せ ることで棚入 れ作業の効率 化を実現して いる。
アマゾンの センターでは、 こうしたセン ター全体の作 業の進捗管理 を「コレータ ー」と呼ばれ る担当者が行 っている。
作 業の段取りを 決め、イレギ ュラーや見込 み違いが発生 すれば作業手 順の組み替え などを行う。
こうした業務管理や指示の数々をパソコ ン上で、つまりシステム上でできる点が同 社の蓄積してきたノウハウなのである。
貨物追跡用バーコードで一貫管理 同社のセンター運営で、もう一つ特徴 的なのが「すべての作業工程を貫く情報 システムの一貫性」である。
前述の作業 を経て棚入れされた本は、次に注文に応 じてピッキングされる。
この際、あらかじ め作業者は「ピッキングスリップ」と呼ぶ 書類を渡される。
ピッキングスリップは 「納品書と領収書」も兼ねており、この用 紙でピッキングの指示から顧客配送まで すべてを管理している。
ピッキング担当者はスリップに基づいて、 書棚から本を集める。
棚出しの際の作業 はハンディ端末で本と棚の双方をスキャニ ングするだけ。
間違った本を棚出ししよう とすれば、棚をスキャニングする際にアラ ームが出る。
棚出しした本を移動ワゴンに 積む際の順番は適当でいい。
スリップには、誰が、い つ、いくらの何という本を 注文し、届け先がどこかと いった情報が明記されてい る。
さらに、このピッキン グスリップの右上部分には、 日通の貨物追跡用バーコ ードが印字されている。
詳 しくは後述するが、配送の ためのバーコードを全作業 工程を通じて有効活用す ることによるメリットは極めて大きい。
ピッキング作業を終えた本は、スリップ を挟み込んだ状態で移動用ワゴンに積み 込み、次の作業工程へと進む。
一冊だけ で出荷する本については、そのまま梱包エ リアへ。
また、顧客が複数冊を同時に依 頼している場合は、積み合わせるためのエ リアで顧客ごとに一緒にした上で梱包エ リアへと向かう。
梱包エリアでの作業もシンプルだ。
本と いうほぼ標準化された商品を梱包するた めに、アマゾンは過去五年間にわたって試 行錯誤を繰り返してきた。
作業負担を軽 くし、物流効率を高め、顧客にとっても 都合がいいもの――。
現在利用している梱 包材にはそうした蓄積が凝縮されている。
梱包作業者は、本の間にはさまれたピ ッキングスリップを見て、本のタイトルを 確認しながら封入する。
同時にあらかじめ 棚入れの基本はフリーロケーション センター作業の進捗管理を担うコレーター アマゾンの納品書(=ピッキングスリップ) ※右上の波線の部分に貨物追跡バーコード のシールがある 59 MAY 2001 スリップに添付してあるシール状の貨物追 跡用バーコードを剥がし、梱包材の所定 の位置に添付する。
この時点で内容物を 識別するための情報は、貨物追跡用バー コードしかなくなるわけだ。
梱包作業を終えた荷物は、出荷エリア へと向かう。
一冊単位の注文と、複数冊 の注文はそれぞれ別のラインを流され、ウ エイトチェッカー(計量器)に乗せられる。
ここで貨物追跡用のバーコードをスキャニ ングすると、あらかじめデータベースに計 上されている本と梱包材を合計した重量 と、実際の重量の違いをチェックできる。
本のタイトルが何であろうと、物理的につ じつまが合わなければアラームを出す仕組 みだ。
重量チェックで問題がなければ、横にあ るラベルプリンターで、日通が仕分け業務 に使うためのラベルが印字される。
これを 外箱に貼れば出荷作業は完了。
ラインの末 端で待ちかまえている日通の担当者が貨物 追跡用バーコードをスキャニングした時点 で、荷物の管理責任はアマゾンから日通へ と移る。
日通の作業者は、これを全国のブ ロック単位程度におおまかにカゴ車に積み 分けて、出荷に備える。
二次元バーコードを導入した日通 センター発の出荷便は、一日三便(発 時間一一時、一五時三〇分、一九時三〇 分)。
車で三〇分ほどの距離にある日通の 新砂ターミナルに横持ちし、ここで全国向 けに仕分ける。
アマゾンの瀧井ディレクタ ーは「一五時三〇分までに出荷した商品 は、都内二三区内については結果的に当 日配送となっています。
今後、当日配送 を戦略的に増やすかどうかは未定ですが ね」と現状を説明する。
一連の仕組みは、日通の新砂ターミナ ルでの仕分け作業の効率まで配慮したも のだ。
アマゾンのセンターを出る時点で、 二次元バーコード(マキシコード、通称U PSコード)付きのラベルがほぼ決まった 位置に添付されている。
これを機械が自 動的に読みとることで、まったく人手を介 さない超高速の仕分け作業が可能だ。
しかも、アマゾンのセンターから出荷す る時点で、すべての発送データを伝送する ため、あらかじめ新砂ターミナルで作業準 備を整えることができる。
実際、日通がい ま進めているペリカン便情報システムの刷 新では、この二次元バーコードの活用方 法が一つのポイントになると目されている。
アマゾンの物流管理システムは、末端 の作業をより高次なレベルで俯瞰的にコ ントロールしている点に特徴がある。
セン ター内の作業進捗を管理するコレーター の存在もその一例だし、センター内作業 の最初から日通の貨物追跡用バーコード 利用していることも、サプライチェーン全 体を効率化する上で大きな武器になって いる。
さらには、こうした各国でのノウハウを すべてシアトルのデータベースで一元管理 できる情報インフラが整っている。
各拠点 での試行錯誤を米国本社のノウハウとし て吸い上げ、また逆に米国本社で練り上 げたベストプラクティスを各国の現場にフ ィードバックできる仕組みがある。
そのた めにアマゾンは技術的バックボーンを常に 最先端のものに置き換えてきた。
最近の報道を見る限り、アマゾンとい う会社がどこまで赤字経営のまま拡大路 線を突っ走れるかは雲行きが怪しくなって きた。
しかし、彼らのマーケティング力を はじめとする仕組みが優れていることは明 らかだ。
同様にそれを支える物流の工夫 も極めて高いレベルにある。
(岡山宏之) 第3部ネットビジネスの物流戦略 アマゾンの配送に使われている日 通の二次元バーコード付き送り状 ウエイトチェッカーで内容物を再確認

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