ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年10号
SCC報告
SCM設計とSCOR

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

OCTOBER 2001 66 短期集中連載の最後となる第三回目は、S CORのレファレンスモデルとしての意義と 課題について述べる。
地理マップ、スレッド ダイヤグラム、スイムチャート等についての 議論は、実際にワークショップを受けた方で ないと理解できないと思われるので、別の機 会に譲る。
また、これまでの連載を読み、あ る程度のSCORの知識が読者側にあること を前提とした。
これを補うには、SCORの ディクショナリー(注1)や解説を参考にし て読んでいただきたい(注2、3)。
1. SCORでの SCM設計のステップ 1―1 
咤達錬劼離譽戰襪硲咤達誉澤 図1に示すように、SCORではSCMの 設計ステップに合わせて、SCORのレベル を層別している。
レベル1では、分析やSC Mのパフォーマンス、SCMのスコープを決 定する。
レベル2では、モノの流れを可視化 する。
レベル3では、情報や業務の流れを可 視化する。
レベル4以降は各プロジェクトご とにシステムの実装を目的としてプロセスを 記述する。
このように、SCM設計に限定し て、階層的に各レベルで何を設計・決定すべ きかを明確に定めている点がSCORの特徴 である。
以下、ここでは標準化されているレベル3 までについて議論する。
参考のために各レベ ルのプロセス一覧を表1に示す。
これらのレ ベルのうち、レベル2とレベル3は使用され 第7回 SCM設計とSCOR サプライチェーンカウンシル日本支部 チェアマン 毛利峻治(日立製作所 生産技術研究所) これまでサプライチェーン設計の方法論は各社によって バラバラだった。
そのため他社や過去の取り組み成果を蓄 積し、再利用することが難しかった。
SCORを活用する ことで、それが可能になる。
国籍を問わず、SCMの成果 を利用し、広く普及させることができるという。
短期集中連載〔第三部〕 SCORワークショップ・エグゼクティブサマリー レベル1 競争条件の 分析 レベル2 サプライチェ ーンの再構築 レベル3 業務/システム の施策具体化 レベル4 ビジネスプロ セスの定義 レベル5 システムの 実装 図1 
咤達錬劼砲茲覯革ステップ 決定項目 SCMのスコープ SCMパフォーマンス評価 (レベル1の12項目) 全体の可視化、定量化 SC全体の地理マップ SC全体のプロセス設計 (26のプロセスで記述) モノの流れの可視化 現状プロセス(As-Is) プロセス改革案 (To Be Process Design) 情報・業務の流れの可視化 業務プロセスのタスク分解 効果算定 マスタ計画(基本、拡張) 機能・分掌の可視化 システム詳細設計 効率の良いワークフロー の可視化 SCスコアカード作成 (ベンチマーキング) SWOT分析 ギャップ分析 構造問題の摘出 非接続(disconnect)解析 重複(ムダ)、不足 ボトルネック解析 業務問題の摘出 改革目標のプロセス への配分 効率・品質メトリクス 業務プロセスモデル (業務名レベル) 業務手順とパッケージ 機能との対応 (アクティビティ毎) 新業務フロー 競争力強化目標設定 目標のランク分け 議論の際にレベル2  以下を論じない 拠点(製販在)配置 生産・物流方式 組織、意思決定項目 業務ルール 業務仕様 タイムチャート ツール選択 ビジネスプロセス ビジネスデータ ビジネスルール 実施組織、分掌 アクティビティ 処理プロシージャ 対応 SCORレベル 記述目的 記述内容 67 OCTOBER 2001 ES1 SOURCEビジネス ルールの管理 ES2 サプライヤ パフォーマンスの評価 ES3 SOURCEデータ の維持 ES4 プロダクト在庫の 管理 ES5 設備資産の 管理 ES6 プロダクト受入管理 ES7 サプライヤネット ワークの管理 ES8 輸出入要件 の管理 ES9 サプライヤ 契約の管理 EM1 MAKEビジネス ルールの管理 EM2 生産のパフォー マンス管理 EM3 MAKE情報の 管理 EM4 仕掛品(WIP) の管理 EM5 MAKE設備と 施設の管理 EM6 輸送管理(WIP) EM7 製造ネット ワークの管理 EM8 MAKE規制 遵守の管理 ED1 DELIVERビジネス ルールの管理 ED2 納入パフォー マンスの評価 ED3 DELIVER情報 の管理 ED4 完成品在庫の管理 ED5 DELIVER資産 の管理 ED6 輸送管理 ED7 製品ライフ サイクル管理 ED8 輸出入要件の管理 ED9 顧客からの 返品管理 P1-4 サプライチェーン 計画の確立と通知 P3-1 製造要件の特定、 優先順位付け、 及び集約 P3-2 製造リソースの 特定、評価、 及び集約 P3-3 製造要件と製造 リソースのバランス 度合いの把握 P3-4 生産計画の確立 P4-1 納入要件の特定、 優先順位付、 及び集約 P4-2 納入リソースの 特定、評価、及び 集約 P4-3 納入リソースと納入 要件のバランス 度合いの把握 P4-4 納入計画の確立 表1 SCORプロセス一覧 P1-1 サプライチェーン 全体の要件の特定、 優先順位付け、 及び集約 P1-2 サプライチェーン 全体のリソースの 特定、評価、及び 集約 P1-3 サプライチェーン 全体の要件とリソ ースのバランス度 合いの把握 EP1 Planビジネスルール 管理 EP2 サプライチェーンの パフォーマンス管理 EP3 PLANデータの 収集と管理 EP4 統合サプライチェーン 全体の在庫管理 EP5 統合サプライチェーン 資産の管理 EP6 統合されたサプライ チェーン輸送の管理 EP7 計画編成の管理 EP8 PLAN規制要件と 遵守の管理 EP9 サプライチェーンの 各計画と財務計画 との統合 P2-1 プロダクト要件の 特定優先順位付け、 及び集約 P2-2 プロダクトリソース の特定、評価、及び 集約 P2-3 プロダクト要件と 資材リソースのバラ ンス度合いの把握 P1-4 調達計画の確立 P1 サプライチェーン計画 P2 Source P3 Make計画 P4 Deliver計画 ED EP ES EM PLAN Source Make Deliver S1 Source見込 生産プロダクト S1-1 プロダクト納入の スケジューリング S1-2 プロダクトの受領 S1-3 プロダクトの承認 S1-4 プロダクトの移送 S1-5 サプライヤへの 支払承認 S2 Source受注 生産プロダクト S2-1 プロダクト納入日程 のスケジューリング S2-2 プロダクトの 受領 S2-3 プロダクトの 承認 S2-4 プロダクトの 移送 S2-5 サプライヤへの 支払承認 S3 Source受注設計 生産プロダクト S3-1 サプライソース の識別 S3-2 サプライヤの 最終選定と交渉 S3-3 プロダクト納入の スケジューリング S3-4 プロダクトの 受領 S3-5 プロダクトの 承認 S3-6 プロダクトの 移送 S3-7 サプライヤへの 支払承認 M1 見込生産 M1-1 製造 スケジューリング M1-2 資材/ 仕掛品の搬入 M1-3 製造とテスト M1-4 梱包 M1-5 完成品仮置 M1-6 完成品のDeliver プロセスへの移管 M2 受注生産 M2-1 製造 スケジューリング M2-2 資材/ 仕掛品の搬入 M2-3 製造とテスト M2-4 梱包 M2-5 完成品仮置 M2-6 完成品のDeliver プロセスへの移管 M3 受注設計生産 M3-1 製品設計の 最終確定 M3-2 製造 スケジューリング M3-3 資材/ 仕掛品の投入 M3-4 製造とテスト M3-5 梱包 M3-6 完成品の仮置 M3-7 完成品のDeliver プロセスへの移管 (V4に無し) D1 Deliver 見込 生産プロダクト D1-1 引合と見積 D1-2 オーダの受領、 入力と確認 D1-3 在庫引当と 納入日の設定 D1-4 オーダの集約 D1-5 積載の計画策定 D1-6 出荷ルート D1-7 輸送業者の選択と 出荷料金の値決め D1-8 倉庫での 製品受領 D1-9 出荷プロダクトの ピッキング D1-10 車載、出荷書類 作成、与信検証、 プロダクト出荷 D1-11 顧客先でのプロダ クト受領と確認 D1-12 プロダクトの据付 D1-13 請求書発行 (V4に無し) D2 Deliver 受注 生産プロダクト D2-1 引合と見積 D2-2 オーダの受領、 入力と確認 D2-3 在庫引当と 納入日の設定 D2-4 オーダの集約 D2-5 積載の計画策定 D2-6 出荷ルート D2-7 輸送業者の選択と 出荷料金の値決め D2-8 出荷プロダクト のピッキング D2-9 車載、出荷書類 作成、与信検証、 プロダクト出荷 D2-10 顧客先でのプロ ダクト受領と確認 D2-11 プロダクトの テストと据付 D1-12 請求書発行 (V4に無し) D3 Deliver 受注 設計プロダクト D3-1 提案依頼(RFP)/ 見積依頼(RFQ) の入手と回答 D3-2 契約の交渉と成立 D3-3 オーダ入力、 リソースの確保、 プログラム開始 D3-4 据付日程の設定 D3-5 積載と出荷の 計画策定 D3-6 ルート決定と 輸送業者選択 D3-7 出荷プロダクト のピッキング D3-8 車載、出荷書類 作成、与信検証、 プロダクト出荷 D3-9 顧客先での プロダクトの 受領と確認 D3-10 プロダクトの テストと据付 D3-11 請求と 支払い受領 OCTOBER 2001 68 ているプロセスカテゴリー名(例:P1サプ ライチェーン計画、M1Make 見込生産)や プロセス要素名(例:P1. 1サプライチェ ーン全体の要件の特定、優先順位付け、及び 集約、M1. 1製造スケジューリング)にな じみがあり、また図表の書き方もスレッドダ イヤグラム、スイムチャートとして定型化さ れており、比較的理解しやすい。
しかし、レベル1はPlan,Source,Make, Deliver,Return (SCOR 
孱粥 0)の五 つのマネジメントプロセスが定義され、さら に十二個のメトリクスが定義されているのみ である。
メトリクスにはSCCの定義もあり、 その使用法も大まかには理解できるものの、 マネジメントプロセスをどう使用すればよい のかについては明確な規定がない。
しかし、 レベル1は実は、レベル2、レベル3に劣ら ず非常に重要なステップであると思っている。
以下、それについて示す。
1―2 SCM設計の手順とレベル1の意義 SCM設計の手順については、これまでに いろいろと報告されているが、およそ以下の 五段階の手順に集約できる。
手順1:SCMの正しい理解、プロジェクト の進め方のコンセンサス、体制作り 手順2:環境分析:自社・他社競争力、商 品の特徴と市場の性格、ベンチマー キング、SCM改革の意義の共通 認識 手順3: As ― Is 分析:現在のプロ セス調査(物流、商流、 金流)とボトルネック 解析 手順4: To ― Be プロセス設計:機 能分析、機能・分掌分 析 手順5:システム実装:機能・パ ッケージ対 応 これらの五段階の手順を何度 も繰り返し、継続的最適化を行 うわけである。
この手順は、レ ベルの概念が明確には出ていな いので、レベル・バイ・レベル で深く掘り下げて行くというや り方は明確ではないが、ほぼS CORのレベル2、3が手順3、 4に対応していると考えていい だろう。
これによれば、レベル1は、S CMプロジェクト編成に始まり、 ビジネス環境の分析を行うレベ ルであるといえる。
そのためには、 ヒヤリングや質問票により物流 調査、製造プロセス調査、業務 フロー調査、財務状況等の調査 を行う必要がある。
それらをまとめて「SC M改革の基本方針」を作成し、SCM改革の 意義(グランドデザイン)を確立する。
こうした際、実際のSCMプロジェクトで は、ややもすると詳細なレベル2以下の議論 が出てきて、収拾がつかなくなることがある。
それをSCORではレベル1で検討を行うこ とを明確にすることによって、首尾一貫した 図2 サプライチェーン統合の例(SCORレベル2のスレッドダイヤグラム(BPR設計)) 旧SC (AS-IS) 問題点  P1重複 計画非共有 間接配送 主サプライヤ 新SC (To-Be) P1連携 計画共有 直送化 P1 P2 P3 P2 M2 S1 M1 P1 P4 D1 D1 D2 P2 P2 P1 P3 S1 M2 D2 P2 P4 S2 M1 P4 D1 S1 P2 P1 D1 P4 S2 S2 その他 サプライヤ P3 P4 PLAN EP Planイネーブル P1 サプライチェーン計画 P2 Source計画 P3 Make計画 P4 Deliver計画 S2 Source受注生産 SOURCE ES Sourceイネーブル S1 Source見込生産材 S2 Source受注生産 S3 Source受注設計資材 MAKE EM Makeイネーブル M1 Make見込生産 M2 Make受注生産 M3 Make受注設計生産 DERIVER D0 Dreliverインフラ D1 Dreliver見込生産製品 D2 Dreliver受注生産製品 D3 Dreliver受注生産製品 サプライヤ メーカー(自企業) サプライヤ 顧 客 69 OCTOBER 2001 「SCMの目的のみの議論」ができるように している。
また「SCMの構成は五つのマネジメント プロセスで理解せよ」としていることも特徴 であろう。
これは、議論を五つに分類して実 施することを示唆している。
例えばミーティ ングの始めに「本日はSource について議論し よう」というだけで、議論が集約できるので 大きな意義がある。
調査の項目についても、 調査のまとめについても同じようにまとめて 行うことを示唆している。
レベル1メトリクスは目標の定量化に寄与 するし、マネジメント・プロセスは調査・議 論のまとめ方に寄与する。
使用するパッケー ジは同じでも、実際にできあがるシステムは 良くも悪くもなる。
要は、最初の方向付け、 グランドデザインが重要である。
これを効率 よく・漏れなく行うために、レベル1の存在 は大きな意味を持つ。
しかし、これを一律に 定式化することには難しさがある。
今後のS CORによるSCM設計方法論の一つの課題 であろう。
1―3 レベル2 レベル2では、計画系(Plan )の対象であ る五つマネジメントプロセス(Plan,Source, Make,Deliver,Return )を、対象ごとに Source 計画の様に細分化し、また、実行系 ( Source,Make,Deliver,Return )では、生産 方式の違いにより「見込」「受注」「受注設 計」の三つの方式に細分化する。
この細分化はサプライチェーンの問題点を 抽出するには粗すぎるきらいはある。
同じP 1で表す計画系でも、実際の業務の詳細は相 当違うものである。
しかし、レベル3以降の 業務の細かな違いにとらわれずに、大鉈を振 るって、「ここのP1とあそこのP1は重複 している」といったサプライチェーン構造を 大きく変革するには妥当な「粗さ」であると いえる。
レベル2の事例を図2に示す。
この図を見 ればレベル2のもう一つの意義が分かる。
す なわち、このレベルの用語は生産の専門家で なくても理解できる。
投資判断をする経営幹 部にもよく理解される。
専門家でなくても、 サプライチェーンがどう変わるかが一目で理 解できる複雑さであるといえる。
しかし、詳細業務を無視したレベル2での 抽象化は、粗すぎることも事実である。
たと えば、ある製造工程を一律に「見込生産」と は言えないかもしれない。
これに対処するに は工程を、細分化していき、三つの生産方式 で記述できるくらいに分ければよい。
これは一つの事業所内でも複数のサプライ チェーンが存在することを明確に認識するの で都合がよい。
すなわち、商品の系列による 生産方式の細かな違い、同じ商品でも顧客に よる違い、販売ルートによる違いなどにより 発生するサプライチェーンの違いについて記 述すれば、全体を一つにするような記述では なくなるし、また、場合によってはなぜサプ ライチェーンを別々に分けねばならないのか の議論にも発展する。
1―4 レベル3 「 As ― Is 」を記述することはとくに重要だ。
業務プロセスは、実際に、それを実行するも のにとって見えているようで、実は見えてい ないことが多い。
複数部署にまたがる業務の 流れ全体を把握している人はいない。
また人 によって仕事の仕方が違う、特急、不良時に は別のプロセスが必要など正確な記述が難し い。
ボトルネック解析も難しくなる。
通常は 何でもないプロセスが、特急が発生すると急 にボトルネックになったりする。
業務プロセスの記述には時間が掛かる。
日 本においては日常行われている作業を改めて記述し、分析することに対して、無駄な作業 をしているととられがちである。
しかし、業 務プロセスを一度書き下すことで、議論をす る土台ができる。
「確かにこうしている、しか しこうした方が更に良い」といった議論がで きるようになるわけである。
情報共有の目的 は、共有した情報をベースにお互いに意見を 言って、最適な解を得ることであり、これを 可能にすることが「 As ― Is 」を記述する意味 である。
問題となるプロセスだけに絞り込ん でも「 As ― Is 」プロセスは書くべきである。
2. レファレンスモデルの意義 2―1 標準言語(オントロジー) SCMの範囲はサプライヤーのサプライヤ OCTOBER 2001 70 ーから、ユーザーのユーザーまでに及ぶ。
S CM改革に参加するプレイヤーは数多く、参 加各社によって文化も用語も違う。
SCMを 議論するには用語を定義した共通言語が欠か せない事はすぐに理解できる。
共通言語を持つメリットはそれだけではな い。
参加企業の使用している用語とは違う標 準用語を用いることで、「客観的立場」での 議論ができるのである。
自分たちの普段使用 している用語と違い、細かいニュアンスには とらわれないで、議論できる。
ただし、これは危険な面も持ち合わせてい る。
すなわち、各企業とも業務として行って いることは、大体同じでも、商品の性格、業 務上で抱える問題は違う。
SCORでは各社 で同じプロセス名称で表現されるものも、 個々のオペレーションの重みが違う。
それを フラットに書き下したレファレンスモデルで 議論することの限界はある。
また、どうしても表面的な議論になりがち である。
そのため、SCORでは共通化でき るレベルがどこまでかを慎重に決め、レベル 3のプロセス要素を定義している。
また、プ ロセス要素名も汎用化して一般的用語を用い ている工夫が見られる。
現在、SCORではレベル3までしか規定 していない。
そこまでで複数企業や部署間で の改革のコンセンサスを得て、共通のプロセ ス設計をしたら、それから以降は各企業や各 部署の言葉で、ニュアンスと重みを付けて翻 訳することにしている。
2―2 記号化 SCORのもう一つの特徴は、階層化され た記号化表現である。
アイコンがコンピュー タ操作をわかりやすく、かつ簡便化している ように、記号化されたシンボルはプロセス設 計をわかりやすく、容易にする。
図2のよう P2 Source 計画 P3 Make 計画 P4 Deliver 計画 P4 Returnr 計画 表2 ビジネスモデリングツール比較 ・米国SCCが提唱(1997)しているサ プライチェーン設計ツール ・V4が公開(米国ではV5) ・プロセスとメトリクスを併記 ・PMGによるベンチマーキングが可能 ・計画、調達、製造、納入、回収よりなる ・レベル3までが標準、それ以下は個別 ・As-Isの現状記述とギャップ分析によ るTo-Beの理想記述ができる。
 (但し、理想システム策定法は無い) ・業務のボックス毎にサイクルタイム、 コスト、品質等や特性が付与 ・入出力情報の関連(V4で改善)や条 件(同期化)が記述できない ・現状SCCメンバのみへの公開  (メンバフィー:2000$/年) ・SCMに的を絞り、各レベルで何を記 述し、何を決定するかを明確に規定 ・ザールランド大学(独)シェアー教授 が提唱(1992) ・1998.2にIDSジャパンが設立 ・ビジネスモデルの分析、記述ツール ・ビジネスプロセスを要求定義、仕様設 計、構築記述にわけ、ビューを組織、 データ、制御、機能に分けて記述 ・上記3プロセスと4ビューを12個のマ トリクス(ARISハウス)で表現 ・SAP/R3のIMGとのリンク可能 ・SCOR表現が可能(EasySCOR) ・標準業界モデルは1件約1M¥機械業 界、プラントエンジニアリング、消費 財流通、製紙業界、貿易・商業、自動 車部品、公共・電力・ガス、什器・家 具、化学、通販、県庁・市役所、保険、 SCOR ・米国D.T.ロスが提唱(1970年代)  (当時SADTと呼ばれた) ・海軍のICAMプロジェクトで使用  (ICAM-Definition:1985) ・アクティブビティボックスに対する入力 、出力、コントロール、メカニズム(実 行組織等)で記述する ・IDEF0:機能記述  IDEF1:情報関連図  IDEF1X:RDBの論理設計要情報関連図  IDEF2:動的シミュレーション  IDEF3:業務プロセスの時間的フロー  IDEF4:オブジェクト指向設計図式  IDEF5:オントロジー獲得構造図 ・一般ユーザ:IDEF3でのプロセス記述 システム分析者:IDEF0,IDEF1,IDEF4 システム開発者:IDEF1X,IDEF1,IDEF4 ・自然言語での記述で親しみやすい ・階層的記述をするが、各階層で何を記  述するかが決められていない(汎用的記 述ツールであるため) http://www.supply-chain.gr.jp/ http://www.ids-scheer.co.jp/ http://www.idef.com/ 要件 仕様設計 構築記述 要求定義 仕様設計 構築記述 コントロール 入力 出力 計  画 調達 回収 回収 製造 納入 P1サプライチェーン全体計画 EPイネーブル計画 計画 要件定義 仕様設計 構築記述 要件定義 仕様設計 構築記述 要件定義 仕様設計 構築記述 メカニズム アクティビティ SCOR ARIS IDEF しかし、決定項目が決められているので、 それにない項目が出てくると難しくなる。
た とえば、「在庫を最小にかつ納入リードタイ ムを最短にするためのプロセスはどうあるべ きか」というサプライチェーンではごく当た り前のことがSCORでは記述しにくい。
こ れは工夫次第なのであるが、この様な例題の 手順等の開発は今後の課題であろう。
3―2 コラボレーション SCORのプロセスは一企業内の流れのよ うに書いてあるが、これは別に各プロセス要 素が同一企業にあることを強制はしていない。
従って、共同して調達をするようなケースで は、「P2 ―1」は自社で行い、「P2―3」は サプライヤーで行い、「P2 ―4」は両者で行 うようなプロセスにすればよい。
しかし、こ のためにはイネーブル(すなわちデータの共 有方式等)に少し工夫がいる。
この課題は、 文献 (4) で詳細に議論されている。
3―3 他の記述ツール 今回はSCORのプロセスに集中して議論 した。
その他の代表的プロセス記述ツールに ついては、比較表のみを表2に示すことで、 詳細は省略する。
4. おわりに 今回はSCORのプロセスについてSCM 設計にどう使用するかという立場で解説した。
71 OCTOBER 2001 に、簡素化されたサプライチェーンの記述を 可能にし、わかりやすさを増加させる。
プロセス設計はこれで十分に簡便化できる が、各種チャートについてはまだ記号化が十 分ではない。
特に物流(地理マップ)やスイ ムチャートでは、記号化の基準を決める等の 工夫の余地があるが、今回はこれ以上は触れ ない。
2―3 レファレンス レファレンスモデルとしての性格上、SC M設計における業務プロセスのすべての考慮 事項が記述されている。
従って、設計時にこ れを参照すれば、種々の項目を漏れなく検討 することができる。
しかし、SCORはあくまでもレファレン スモデルであり、参照して利用できるところ を利用すればよいものである。
無理にモデル を解釈して実業務フローに適用することは避 けなければならない。
あくまでサプライチェ ーンの最適化が目的であるのだから、現実に ジャストフィットするシステムにしなければ 意味がない。
これはメトリクスやベストプラクティスも 同様である。
現状で数値をとれないメトリク スに固執する必要はない。
ベストプラクティ スについては、さらに考慮がいる。
すなわち、 SCORでのベストプラクティスはプロセス ベンチマーキング(業界、業種を問わず、そ のプロセスをベストに実施しているところと のベンチマーキング)としてのベストプラク ティスが多く、その記述もD1の「VMI ( Vender Managed Inventry: サプライヤーの管理責任下で納品先に置く在庫)」のよう にそれ自身が大きなSCMの課題であること もある。
SCORにおけるベストプラクティ スの処理は今後、さらに洗練される必要があ る項目である。
3. 記述ツールとしてのSCOR 3―1 記述性 SCORは本来、サプライチェーンの設計 ツールであり、システムの記述ツールではな い。
システムの実装までをSCORが連続的 にサポートしているわけではない。
しかし、記 述ツールとしてSCORを見た時、そこには いくつかの有効な特徴がある。
サプライチェ ーンを階層的に記述する際に、SCORでは レベルを規定し、そこでの決定項目(すなわ ち記述の留意点)を定めていることである。
これを定めないでサプライチェーンを記述 していくと、意味のあるのは最終レベルのア クティビティの流れだけになってしまう。
い くつかのアクティビティのボックスを集めて、 名称を付けるのであれば、階層はいくつにで もできるし、統一された階層の表現ではなく なってしまう。
この階層では、これを記述す る(すなわちこれを決める)というトップダ ウンの明確な指針なしで記述してしまうから である。
SCORを用いることで、こうした 事態を避けられる。
OCTOBER 2001 72 このような標準言語を用いる利点は、 (1)わかりやすい記述ツール (2)効率の良いコミュニケーション(情報 共有・情報伝達)ツール であることは述べたが、 (3)標準されたものであるため、情報蓄積 のツールにもなる。
今まで、個別の方法論で作られてきたサプ ライチェーンが、SCORを利用すれば国籍 を問わず結果の利用が可能になる。
また、S CORを基に作られた方法論は、すぐに普及 できる。
実は、これが一番大きな利点であろ う。
これを蓄積、普及して行くことがサプラ イチェーンカウンシル日本支部の一つの任務 でもあると思っている。
SCORは今も進化しており、開発・設 計のプロセスもシンガポール支部で研究され ている。
これらは全て会員企業のボランティ ア活動であり、自主的に参加することで会 員にも大きな成果が戻る。
本誌の読者にも 是非サプライチェーンカウンシルへの参加と 自 主 的 な 活 動 を お 願 い し た い 。
(http://www.supply-chain.gr.jp 、参加費二 〇〇〇USドル/年) なおSCOR以外にもプロセス記述のた めのツールは既に色々あり、SCCではそれ らを調査したが、今回その詳細はすべて省 略せざるを得なかった。
調査にご協力いただ いた方にはお詫び申し上げる。
以下に文献 をあげておくので、それを読まれることを薦 める。
注/参考文献 (1) サプライチェーン・オペレーションズ・レファレン スモデル SCOR第4版:サプライチェーンカ ウンシル日本支部(2001) (会員にのみ販売) (2) 北風道彦:SCOR入門編:SCM Research Review Vol.1 1998 Autumn P.77-83(1998) (3) ケイト・フィックル(大石高至訳): SCORの概 要紹介:SCM Research Review 1999 Vol.3 Winter P.18-34(1999) (4) Michelle Lohse, Jeffrey Ranch : Linking CPFR to SCOR Imation ユ s Experience : Supply Chain Management Review July/August 2001 P.56- 62(2001) (5) 研野和人、柏崎孝史、谷岡雄一:仕事の流れの記 述法IDEF( 上 )( 中 )( 下 ): 日経メカニカルNo.430 P . 7 8 〜 8 3 ( 1 9 9 4 . 6 . 1 ) 、 N o . 4 3 1 P . 8 6 〜 91(1994.6.27) 、 No.432 P.98 〜 195(1994.7.11) (6) 特集 ビジネスプロセスの分析手法:オペレーショ ンズ・リサーチ V o l . 4 2 , N 0 . 4 P . 1 8 1 - 209(1997.4) (7) 特集:ビジネス・プロセス・イノベーション:経営 システムVol.6,No.4P.293-330(1996.12) (8) 小特集「エンタプライズモデリングとAI技術」: 人工知能学会誌 VOL.13,No.6 P.862-895 (1998.11) (9) T.J.Williams,P.Bernus,J.brosvic,D.Chen, G.Doumeingts,L.Nemes,J.L.Nevins,,B.Vallespir, J.Vlietstra, D.Zoetekouw: Architectures for integrating manufacturing activities and enterprises: COMPUTERS IN INDUSTRY 24 P.11-39(1994) (10) 益満 環、安田一彦:ビジネスプロセス・モデリン グ・ツールの現状:オペレーションズ・リサーチ Vol.45 No.4 P.173-178(2000.4) (文献 (11) のダイ ジェスト版) (11) 益満環、安田一彦:ビジネス・モデリング・ツー ルの分類:東北大学 研究年報「経済学」 Vol.61,N0.3 P.155-168(1999.11) (12) ARIS EasySCOR4.0 : http//www.ids-scheer. co.jp/products/aris_easyscor/index.html (13) SCOR Wizaed : http//www.mi-servicesgroup. com (SCOR Version5.0 用のツール) (14) ビジネスプロセス・モデリングツール 16製品を 4種に分類 現場視点で評価を下す:ソリューシ ョンIT No.148 P.68-77(2001.8) (15) SI現場で活躍するXupper:ソリューショ ンIT No.142 P.89-95(2001.1)

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