ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年6号
SOLE
SOLE報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

79 JUNE 2005 整備業務はP-3C(哨戒)、US-1A(救難)、YS-11(輸送)など7機 種を対象に実施されている。
整備作業、品質検査から得られたデー タは、不具合通知(UR)、品質保証(QA)情報としてデータベー ス化されて関係者によって共有化されている。
4 現場見学の様子 まず、P-3Cの機体整備の現場に案内されたが、格納庫でちょうど エンジンの取り外し作業を行っていた。
P-3Cはターボプロップエン ジンを4基搭載しているが、そのひとつをクレーンで吊り上げながら、 機体から取り外し、地面にゆっくりと降ろしていた。
むかしのレシ プロエンジンの時代は油まみれで非常に汚れる作業だったそうだが、 いまはターボプロップエンジンであり、きれいな作業環境にあると のことであった。
その間、外の滑走路にはひっきりなしに各種の飛行機が離着陸し ていた。
米軍の戦闘機も混じっていた(現在の厚木基地は米海軍と の共用使用中)。
ヘリコプターの整備場では救難救助用のヘリコプター(UH-60J) や哨戒機(SH-60J)などの整備が行われていた。
ここではヘリコプ ターのレーダー、操縦装置、エンジンなどについて細かい説明をし ていただいた。
タイヤの整備場ではタイヤの探傷検査のデモンストレーションを 見せていただいた。
さらにエンジンの試験場では新旧の試験機器の 説明を受けた。
資材保管庫は自動倉庫でスタッカークレーンが4基あ る。
ちょうど1基が稼動しており、部品の取り出し中であった。
ミリタリーの最大の特徴は「自己完結性」であるが、ロジスティ クスについても「自己完結型」で行われており、それは航空機エン ジン、電子機器、機体、武器など高度な専門性が要求される整備を ベースに、超音波による非破壊探傷検査のような科学的手法の採用、 機体整備に必要な板金加工、場合によっては必要工具をも製作する ための工作機械などを有している。
しかも限られた予算の中で、「創 意工夫」を凝らして行われているのが見て取れた。
最後に基地の反対側にある資料館に案内されたが、そこには当基 地開設時の様子から終戦時の様子を写した写真、その後のいろいろ な活動にかかわる物品が展示されていた。
5 おわりに 自衛隊の施設を見学して感じるのは、どの施設も決して真新しい ものではないが、いつもきれいに整備されており、説明も動作もき びきびとしていることである。
今回の見学に際しても、説明してく れた方々は、皆さんそれぞれの資料を作成し、歯切れよく解説して くれたのが大変、印象的であった。
フォーラムシリーズ第7回目は5月18日に、ロジスティクス施設の 見学ということで、オリンパスロジテックを見学した。
その内容は 次月号で報告する。
第8回は6月18日にロジスティクス技術の研究と して「RFID」の2回目を開催する予定。
このフォーラムは年間計画に基づいて運営しているが、単月のみ の参加も可能。
1回の参加費は6,000円となるため、ご希望の方は下 記の事務局まで(sole_consult@jmac.co.jp)。
SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE東京支部フォーラムの報告 SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティク ス技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、 議論を行い、会員相互の啓発に努めている。
今回はシリーズ第6回と して4月13日に行われたロジスティクス施設見学「海上自衛隊・厚 木基地」について紹介する。
*       *       * 1 はじめに(見学会の趣旨) ロジスティクスは伝統的に「補給」と「整備」と言われている。
補給の中心は物流機能、整備は製品支援機能であるが、わが国のコ マーシャルロジスティクスの世界では前者が中心で、後者について はあまり語られない。
今回はロジスティクスの原点であるミリタリ ーロジスティクスの現場、それも整備を中心としたロジスティクス の現場を見学するために、海上自衛隊補給本部のお骨折りで海上自 衛隊・厚木航空基地にある第4整備補給隊を訪問した。
2 厚木航空基地 厚木航空基地は1941年に帝都防衛海軍基地として発足したが、 1945年8月の終戦とともに米軍に接収された。
ダグラス・マッカーサ ー元帥がコーンパイプをくわえて基地に降り立ったその地である。
我々が訪問した4月中旬には、すでに桜の盛りを過ぎていたが、基地 の入り口の桜の木の傍らにマッカーサー元帥の立像があり、そのこ とを思い出させてくれた。
1971年に厚木航空基地分遣隊が編成されて以来、各航空隊が順次 厚木航空基地に移転し、現在では航空集団司令部が置かれている。
パンフレットによれば、航空集団は「7個の航空群を基幹とし、5個 の直轄部隊から編成された主に固定翼および回転翼作戦用航空機約 190機を運用し、海上交通の保護、監視、民生協力(災害派遣等) 航空救難などの任務」を行っている。
厚木航空基地には航空集団のうちの第4航空群が展開しており、 最新鋭のP-3Cを擁して、太平洋および日本海の周辺海域の防衛に従 事している。
今回、我々が訪問したのは第4航空群に所属する第4整 備補給隊である。
3 組織体制と整備業務 第4整備補給隊は航空機の発動機、機体、電子機器、武器などの 整備作業を主たる任務としており、組織としては本部、航空機整備 隊、電子整備隊、武器整備隊、検査隊、補給隊などがあり、約500 人で構成されている。
整備は整備統制班が作成する整備計画に基づいて行われるが、計 画整備と計画外整備に分けられる。
そのために航空機の現状、飛行 状況、整備能力、整備施設、資材の在庫状況などを随時把握してい る。
整備資材については部隊の在庫状況をオンラインで検索できる ようになっている。
資材の供給は通常補給請求手続きで行われ、運 用上、緊急性の高い場合は緊急請求手続きに基づいて行われている。
整備の具体的作業については、海自内で定められた整備基準に基 づいて段階的に行われており、軽微な部品交換などは航空隊が手掛 け、部品の分解または取り外しを必要とする航空機の検査・試験・ 故障探求および部品交換などは整備補給隊で、これを超える定期修 理は製造会社が実施している。

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