ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年10号
特集
ヤマト・佐川二強時代 ユーザーが評価する宅配大手各社の実力

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

ドライバーの印象 ドライバー の印象 時間の正確さ 時間の 正確さ トラブル発生時の対応 トラブル 発生時の対応 トラブル発生の頻度 トラブル 発生の頻度 融通がきく 融通がきく ヤマト運輸 佐川急便 日本通運 郵政 ヤマト運輸 佐川急便 日本通運 郵政 6.8 6.6 6.3 5.9 7.0 6.1 6.2 6.0 6.5 5.6 6.0 5.7 7.2 6.2 6.6 6.9 6.1 6.0 5.4 3.2 5.0 6.0 7.0 ヤマト運輸 51% 佐川急便 16% 日本通運 14% 郵便局 13% 西濃運輸 4% 福山通運 1% フットワークエクスプレス 1% 不在時の対応が優れている宅配事業者は? 料金 スピード 利用しやすさ トラブルの少なさ ドライバーの対応 メニューの充実 営業所の電話対応 貨物追跡システム ブランドイメージ その他 カード支払い 0% 20% 40% 60% 47% 45% 38% 33% 31% 12% 11% 4% 3% 1% 80% 75% 宅配便選択基準は?(優先事項を3つ選択) OCTOBER 2001 32 このほど本誌は、インターネット調査システム「レ ディネット・モニター」と共同で宅配便ブランド調査 を実施した。
日頃、勤務先や自宅で宅配便を利用し ているOL一〇〇人を対象に、ヤマト運輸、佐川急 便、日本通運、郵便局のサービスを評価してもらった。
結果はヤマトの圧勝だった。
「ドライバーの印象」 「集配時間の正確さ」「トラブル発生時の対応」「トラ ブル発生の頻度」「融通が利くか」という五項目を各 一〇満点で採点してもらったところ、すべての項目で ヤマトはトップに立った。
「好きな宅配便ブランド は?」という質問でも四七人の支持を集め、二位の佐 川急便に大差をつけた。
一方、ヤマトを追う二位グループの評価については、 取扱個数における日通と佐川の逆転現象を、一般ユ ーザーのブランド評価の点からも裏付ける結果となっ た。
長らくヤマト追撃の最右翼だった日通は、多くの 項目で佐川の後塵を拝した。
「好きな宅配便ブランド」 では佐川の二五人に対し、日通の得票は一四人。
郵 便局の一三人と同水準の評価だった。
今回の調査ではOL一〇〇人への調査とは別に、「B to C」分野で宅配便のヘビーユーザーとなっている大 手の通販業者にも話しを聞いた。
近年、これらの大手 通販業者の委託先としてはヤマト、佐川、日通への上 位集中が進んでいる。
彼らは大手宅配業者の提供するサービスには概ね満 足しているものの物足りなさも感じている。
企業ユー ザーは、情報システムの高度化はもちろん、従来の宅 配業者にはなかった柔軟なサービスを求め始めている。
しかし、宅配ネットワークの完成度を高めるほど、サ ービスの柔軟性は制約を受ける。
この矛盾をどう解決 するかが「B to C」市場における競争ポイントといえ そうだ。
特集 ヤマト・佐川二強時代 ユーザーが評価する宅配大手各社の実力 Report 第2部 《アンケート調査の方法》 2001年9月上旬にインターネット調査システム「レディネ ット・モニター」によるアンケートを実施した。
まず最初に勤 務先もしくは自宅で宅配便(ヤマト、佐川、日通、郵政の4事 業者)を頻繁に利用しているOL100人を抽出。
この100人 を対象に調査を行った。
回答者の平均年齢は31.1歳。
※10点満点で評価 33 OCTOBER 2001 当社は従来、お客さんとフェイストゥー フェイスで接することで販売を伸ばそうと いう戦略をとっていたため、配送業務の自 社化を進めてきました。
その結果、現状で は商品配送の六割を物流子会社の千趣運 輸でまかなっています。
しかし、ここにき てそうした方向性を見直すことを検討して います。
宅配業者のサービスが自社配送と 遜色ないレベルにまで高まってきたのが方 針転換の主な理由です。
例えば、配達時間帯指定サービス。
千 趣運輸では現在、三つの時間帯を用意し ていますが、すでに宅配業者は六段階が主 流になりつつある。
お客さんのニーズが今 後、一時間以内、三〇分以内と進んでい くことを想定すると子会社には対応できな くなります。
ただ宅配業者に配送をすべて丸投げす るつもりはありません。
価格決定権を奪わ れ、首根っこを押さえつけられてしまいま すから。
地域事情を見ながら徐々に外注 化を進めていきます。
スピードやサービスメニューこそ宅配業 者より劣りますが、品質やマナーという意 味では千趣運輸のほうが現状でも優れてい ます。
実際、自社配送している地域のほう がクレームの件数は圧倒的に少ない。
宅配 業者に任せているエリアでは、禁止してい る「置き配」や「近所預 け」がまだまだあります。
こうしたメリット、デメリ ットを考えると、自社化と 外注化の比率をどこで線引きするかは難し い判断になります。
宅配業者を選ぶ際の一番の条件はコス トですが、最近のコンペでは特に情報シス テム力を重視するようにしています。
お客 さん、とりわけネット通販関係のお客さん は当社に高いレベルの貨物情報を要求し てきます。
商品の現在位置、配達予定時 間、配達完了時間、訪問回数などの情報 をリアルタイムでフィードバックしてもら えるシステムを求めています。
現状では、こうしたニーズに対応できる のは佐川だけしかいません。
カタログ配送 を一部委託している日通と、商品配送を お願いしているヤマトの貨物追跡システム は、ともに現段階ではバッチ処理。
一歩遅 れているという印象を受けています。
もっ とも現在、両社は次世代システムに移行 中と聞いてはいますがね。
末端配送を自社ドライバーがやってい るかどうかも、宅配業者を選ぶ際の条件 の一つです。
下請けを使っている業者は どうしても途中で情報が分断されてしま う。
かつて家具などの嵩モノの配送を福 山通運に委託していましたが、地域によ って情報が途絶えてしまうことがあったた め、現在では佐川急便への切り替えを進 めています。
(談) 商品配送の約6割を、43 の地域作業会社を傘下に持 つ物流子会社・千趣運輸が 担当。
残り4割を佐川、ヤマ トなどに委託している。
メー ンの外注先は佐川で、東北、 四国以外の地域をカバーし ている。
年間3 0 0 0 〜 3500万冊のカタログの配 送比率は千趣運輸4割、佐 川3割、ヤマトと日通が3割。
商品の発送個数は年間約 2300万個。
九一年頃、日本全国をすべて日通に一任 していた時期があります。
そのときの日通の やり方は、当社の物流センターで梱包・出 荷したものを、一つの箱に入れ直しすという もの。
日通が箱詰めをするところで作業時間 がかかるため、配送リードタイムが一〇日近 くかかてっていた。
これが、どうしても改善 できませんでした。
そこで九五年ぐらいに、全国を一〇数の 地域に分割して、エリア内でナンバーワンの宅配業者と付き合う地域別管理に移行しま した。
松岡満、日通、トナミ運輸、西濃運 輸、フットワークなどに任せていました。
互 いに競っていただく狙いもあったため、料金 体系はバラバラでした。
しかし、この体制に も問題があった。
物流品質にばらつきがあり、 情報システムの全国展開が難しかったのです。
何とかして一本化する必要がありました。
問題を解決するため、九九年初めに物流 コンペを開きました。
カタログ配送から大物 商品までを全てを任せることを条件に、いく らになるかというものです。
日通、ヤマト、 佐川、西濃、福山通運、フットワークの六 社が応札してくれました。
結果としてヤマトを選びました。
料金的に はヤマトより安い会社が二、三社あったので すが、現場の連中は圧倒的にヤマトがいいと 主張する。
今は亡くなった会長も『通販のサ ービスのベースはやっ ぱり宅配なんや。
だか ら少々高くてもいい』 と言う。
それでヤマト に委託することを決めました。
現在のヤマトの配送品質には、宅配の部 分では、ほぼ満足しています。
実際、お客様 から寄せられるクレームの件数はヤマトに一 任してから半減しています。
現状では宅配業 者を変えることは考えられませんね。
経営陣 はなんと言うか分かりませんが、少なくても 僕自身はコンペを開くつもりはありません。
ただ大型商品の扱いについては、ヤマトさ んの方から何か言ってくるかもしれませんが ね(笑)。
なにせ有富社長もニッセン以外で は大物はやらないと言っているぐらいですか ら。
この分野での苦労は大変なものだと思い ますよ。
それにしても宅配便の文化というのは面白 い。
佐川の場合は一人のお客さんが荷物を 三つ出せば、まとめて管理している。
これに 対してヤマトの管理はあくまでも一客一個。
一伝票で一個です。
だから一客三個口の荷 物が出てくると一つだけ忘れちゃうことがあ る。
我々は小口割れと呼んでいるんですが、 ヤマトさんのシステムはこれをまったく想定 していなかったんですね。
だから業務委託を 開始した九九年にはトラブルが多発しました。
最近はだいぶ減ってきましたが、まだ時々忘 れますよ。
ヤマトさんは大きくなったのはい いけれど恐竜になってしまった部分がありま すね。
柔軟性のなさは気になります。
(談) 宅配便の年間個数は約 1500万個。
日通に一括委 託していた時代、地域別に8 社の宅配業者を使い分けるエ リア別管理の時代を経て、 99年にカタログ、大型、小 物のすべての宅配をヤマトに 一任した。
契約期間は99年 10月からの3カ年。
品質に は満足しており宅配部分では ヤマト以外は考えられない状 況。
ただし大型商品の配送品 質には不満がある。
ニッセン 藤井博 商品調達部 取締役本部長 「ヤマト一任も大型商品の扱いに難あり」 千趣会 猪田義広 常務取締役 「自社配送を宅配便にシフトする」 OCTOBER 2001 34 特集 ヤマト・佐川二強時代 ヤマト運輸 「どの配達員さんも親切でキビキビしている。
営 業所の電話対応も良い」(30歳、埼玉県)、「ほ とんど不在票投函後に荷物を受け取るが、ヤマ トは細かい時間帯で届けてくれる。
ほかの会社は 2種類(午前/午後)の時間帯しかない」(31 歳、千葉県)、「再配達の受付がオペレーターだけ でなく、自動受付やインターネット受付があって 充実している」(24歳、東京都)、「ネットオーク ションで頻繁に利用しているが一番気持ちのよい 対応をしてくれる」(43歳、東京都)、「取扱店 がどこにでもあるし、往復割引とか時間指定とか お客の立場になってサービスを開発してくれる」 (38歳、神奈川県) 佐川急便 「元気がよくて挨拶がしっかりできる」(54歳、 埼玉県)、「無理なお願いでも対応してくれる。
融 通がきく」(28歳、千葉県)、「少しの量でもい やな顔ひとつしない」(45歳、千葉県)、「いつも ドライバーが走っていて一生懸命に配達している のを見かける」(32歳、神奈川県)、「仕事が速 いというイメージがある。
勤めている会社にも出 入りしているが何のトラブルもないし、対応もよ い」(38歳、兵庫県) 日本通運 「一番丁寧に荷物を運んでくれるしプロ意識の高 い会社だと思う」(28歳、東京都)、「正確だし、 親しみやすい気がする」(29歳、京都府)、「すご く良くもないが悪くもなく、安定していると思 う」(27歳、大阪府) 郵便局 「一番馴染みがある」(32歳、千葉県)、「意外に も日曜日でも集配してくれるし、信頼もできる」 (29歳、東京都)、「小さなものであれば料金が 安いし、安心感がある」(35歳、東京都) 宅配便にまつわるエピソード ●会社でA社に時間外集荷を頼んだとき、勝手に 日付指定にされた上、特別扱いの荷物(通常 料金の3倍以上)に変更されていた(29歳、 東京都) ●不在の場合は近隣に配達できるシステムがあれ ばいいなと思う。
あらかじめ2つの宛先が記入 できるようなサービスがあれば便利(38歳、 兵庫県) ●営業所やドライバーに宅配ボックスを使うよう 当社が宅配便を大々的に利用しはじめ たのは約一〇年前です。
「アズユーライク」 というカタログギフトをスタートしたのが きっかけです。
これはカタログの中から好 きな商品を選べるギフトで、いまでこそ多 くの百貨店などが扱っていますが一番最初 に始めたのは同社です。
このカタログギフ トと中元・歳暮を合わせると年間約六〇 〇万個の宅配荷物を扱っています。
当社 のセンターから発送する商品が年間五〇〇万個、メーカーに依頼して直接発送しても らう商品が一〇〇万個あります。
通常の通販事業と我々の事業の最大の 違いは、商品の発送依頼者と荷受け人が 違う点です。
ギフトですからね。
そのため 配送時のドライバーの態度が重要なポイン トになります。
宅配業者さんには我々のパ ートナーとして商品を届けてもらう必要が あります。
現在、郵便、佐川、ヤマトの三 社を使い分けていて、それぞれの物量は佐 川五割、ヤマト三割、郵便二割。
宅配業 者さんにはそれぞれ強味と弱味があるため 荷姿や地域によって使い分けています。
複 数の宅配業者を使い分ける理由としては、 競い合ってもらうという意味も大きい。
配 送品質は競争原理のなかで改善していた だくしかありませんからね。
もっとも、一〇年前にスタートしたとき は郵便だけを利 用していました。
その後すぐに西濃 運輸とか、福山 通運を宅配事業者として利用し始めたの ですが、この二社は宅配事業というサービ スを持ってはいるものの、あくまでも商流 の一環としてやっているためでしょうか。
少し弱い部分がありました。
そこで五年ぐ らい前に佐川に宅配の一部を委託しまし た。
当時の彼らは明確にヤマトを追随する 姿勢を打ち出していたため、スタート段階 から情報システムなどを整備していて安心 感がありました。
さらに今年の中元からは ヤマトも使い始めたため、郵便の扱いはが くっと減っています。
現在、全国規模の宅配業者というのは、 基本的には当社と付き合いのある三社に 日通を加えた四社しかいません。
それ以外 のところは今後、宅配業者としては非常に 厳しい状況になっていくとみています。
た だし地域限定であれば、ずっと安い運賃で 受けてくれる地場の運送業者がたくさんい ます。
単に届けるだけなら一個一〇〇円代 で宅配してくれる業者だっている。
きちっ と信頼関係を築けるのであれば、そういう 業者を使った方がいいんです。
ですから 「サラダ館」などの店舗から先の配送業務を、本部がまとめて特定の宅配業者に委 託するつもりはありません。
必ずしも全国 規模の宅配業者を使うことだけがメリット になるとは限りません。
(談) 宅配便の利用は年間約 600万個。
このうち9割強 がカタログギフト「アズユー ライク」で残りは中元・歳 暮。
現在は郵便、佐川、ヤ マトの3社を使い分けている。
宅配の発送拠点は全国1カ所 でセンター内作業は子会社 のシャディ物流。
今年10月、 栃木に新・宅配センターを 稼働し段階的に荷物を移管 する。
移動にともない宅配 業者も見直す予定。
シャディ 井原章善 生産本部商品調達部 部長 「配送品質は競争原理で改善する」 たびたび依頼しているのに、不在票が投函さ れていると腹立たしい。
仕事から帰宅し、待 ち遠しい荷物の到着をチェックすると不在票。
ゲンナリする(29歳、東京都) ●クール便で届いた荷物が宅配ボックスに入って いた。
営業所にクレームを入れると「フリー のドライバーだったものですから」と言われた。
フリーか社員かはユーザーには関係ない(30 歳、千葉県) ●ドライバーがヘビースモーカーの人が多いよう で、いつも荷物に臭いがついているのが気に なる。
開封すれば大丈夫なのだが、梱包材を そのまま放置しておくと臭いが残ってしまう (29歳、大阪府) ●不在時にガスメーターの戸を勝手に開けて、そ こに荷物を置いて帰られた。
それに対するメ モもなく夜遅くにようやく電話がかかってき た(30歳、大阪府) ●会社宛の荷物やお中元などを、同じビルのフロ アにある別の会社に預けていく運送会社がた まにある。
相手に企業秘密が漏れたりすると 大変なことになるのでは(36歳、大阪府) ●B社のドライバーに部屋に荷物を持ってきても らった際、しつこくナンパされた。
かなり嫌だ ったし、家を知られてて怖かったので、その 後は利用しないようにした(28歳、東京都) ●C社でお酒を送ったときに見事に全部割れた。
その際知人と話題になったのが、「集配センタ ーのバイト」をやった経験のある人は、必ず 「荷物を投げてた」と言っているという話。
み んな大事な荷物なのに悲しいことだ(29、東 京都) ヤマト運輸 47% 佐川急便 25% 日本通運 14% 郵便局 13% 西濃運輸 1% 好きな宅配ブランド OL100人に聞きました――好きな宅配便―― 35 OCTOBER 2001 地域別に宅配業者を使い分けています。
いくつか理由がありますが、地域によって 宅配業者ごとに得手不得手があるためで す。
当社は時期によって、一日に何万冊 というカタログを全国に配ります。
一社だ けではとても処理しきれません。
エリアご とに事業者を使い分けることで、競争原理 を働かせると同時に、リスクを分散すると いう面もあります。
一部の例外はありますが、基本的にはエ リアごとに、カタログと商品の配送をセッ トでお願いしています。
カタログをきちん と配れば、あとで商品配送も発生するとい う仕組みにすることで配送品質を維持する 狙いです。
とくにヤマトには、『カタログ 配送の部分は当社にとって固定費。
商品 配送についてはそんなに安くなくていいか ら、カタログの配送料は安くしてくれない か』といった具合に交渉しています。
ヤマトや日通のように全国ネットワーク を持っている宅配業者さんとの関係は、ど うしても「この地域は御社にすべて任せる から当社と一緒に取り組んでくれ」といっ たものになります。
このため当社は、特定 の地域で強い宅配業者と組む道も模索し ています。
今春までフットワークにお願いしていた 関西の二府四県を、いまはJTPロジス ティックスに任せています。
ここに出資している姫路合 同を経由して、百貨店の配送ネットワークを利用して いるんです。
百貨店配送は歴史的に宅配業務に慣れ ているし、コストが安く、品質は高いとい う特徴がある。
かつてのフットワークほど の安値は出てきませんが、ヤマトなどでは は決して受けない値段で運んでくれます。
ただ特定の地域以外は弱いという問題が ある。
JTPロジはこれをネットワークし ようとしていますので、当社としてはこう した事業者をもっと利用していきたいと考 えています。
もう一つ、郵政にも注目しています。
ま だ公社化とか民営化の議論の行方がどう なるのか分かりませんが、コスト面ではす でに相当いい線まできています。
当社程度 の物量でも、一括して出せば二〇〇円代 の後半で配送できる。
いろいろな割引制度 を上手く組み合わせれば、現状でもそこま でくるんです。
ただ部分的に東京都だけを やってくれというのはダメだし、カタログ と商品を一緒に頼むから安くしてくれとい う交渉もできません。
最終的には全国三社ぐらいに集約した いと考えています。
当社の物量では、ある 程度のボリュームを一社に残そうとすれば、 全国三社体制ぐらいが適当なのかなと思 っています。
いずれにしても、全国を一社 に任せるつもりはありません。
(談) 宅配便の利用は年間約 300万個。
90年代に入り 個人向け通販事業を本格化 してから増大した。
現在は ヤマト、佐川、日通、福通、 名鉄、松岡満、JTPロジ スティックスなどを地域ごと に使いわけている。
物流ノ ウハウを事業化しようとい う意識が強く、配送業務以 外は自社センターで内製化 している。
現場管理は物流 子会社の「ムトウ流通セン ター」。
ムトウ 渥美典雄 物流部 次長 「将来は全国を三社程度に任せたい」 当社は従来、百貨店の配送ルートを利用 してきました。
一九八〇年に当社の物流部 を発足したときにパートナーに選んだのが当 時、三越の百貨店配送ルートの神奈川県を 担当してたケイヒン配送です。
その後、徐々 に家具リビング系の大型商品の扱いが増えて きたため、八六年には日本運送(現軽貨急 配CS)とも組みました。
長らくこの二社体 制だったのですが、最近では百貨店ルートに 綻びが出始めています。
当社は他の通販業者とは違い自社倉庫を 持っていません。
そのため配送業者の選択肢 が少なく、相対的にコストが高いと感じてい ました。
最近ではあえて競合状態を作るよう にしています。
また、当社のサービスにとって代金引き換 え配送は欠かせない要素です。
他の通販業 者では料金後払いが中心なのに対し、当社 の場合はスタートしたときから約七割のお客 様が代引きを利用しています。
そのため配送 業者の選択も、どこが一番強いのか、安いの かという以前に、代引きをできるかどうかが 重要なポイントだったんです。
逆に言えば、それができなかったために宅 配業者に仕事を回せなかった。
その後、大手 が代引きサービスを始めましたが、どうして も百貨店ルートに比べると手数料が高い。
我々の料金の二倍から三倍近くなってしまう。
ただ大手宅配業者にはクール便や時間帯指 定などの高付加価値配送もあります。
この部 分で組もうという話になって、九九年にヤマ トと提携をスタートしたんです。
さらに昨年八月には日通とも家具商材の分 野で取引をスタートしました。
日通に頼むこ とによって代引きなどのコストは高くなるの ですが、当社の配送センターを経由せずにメ ーカーから直送するためペイできるという判 断です。
これにより従来は二〜三週間だった リードタイムを最短四日に短縮しました。
佐川からのアプローチもあります。
しかし、 なかなか折り合いがつかない。
我々が委託し たいのは基本的に大物なんですが、佐川は一 七〇センチぐらいまでの荷物を扱いたがり、ツ ーマンや付帯業務も難しいという。
いっその こと小物を回してしまおうかという考えもあ って、今も話はしています。
当社としては不在返品を減らすために、宅 配業者に『お届け前TEL』というのをやっ てもらいたい。
しかし、大手事業者はスピー ド重視のためにできないという。
彼らの事情 も分かりますが、これは通販業界では当然の サービスです。
大手ができないというのであれば、こうしたサービスを提供できることが 宅配事業者としての差別化要因になるはず です。
もっとも、ここで発生するコストをど う負担するかは我々の課題ですがね。
(談) 年間の宅配個数は450 万個弱。
個数ベースでケ イヒン配送が65%、日通 が18%、残りは軽貨急配 CS(旧フットワークデ リバリーサービス)とヤ マトに委託している。
過 去に一度、物流子会社を 持って物流の内製化を図 ったが採算が合わず断念。
現在では通販事業者には 珍しくすべての物流実務 を外注している。
佐川と の付き合いも検討中。
フジサンケイリビングサービス 山手英幸 物流本部物流一部 部長 「百貨店のルートの錠びで宅配便シフト」

購読案内広告案内