ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年11号
SOLE
「年次国際ロジスティクス会議」報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2001 72 ロ ジ ス テ ィ ク ス 学 会 ( SOLE-The International Society of Logistics )は毎年 八月、「年次国際ロジスティクス会議と展示」 を米国で開催している。
昨年はニューオリン ズ、今年はフロリダ州オーランドのディズニ ーワールドが会場になった。
SOLE東京支 部の一員として会議に参加した日本能率協会 コンサルティングの伝田晴久氏に、会場の模 様を報告してもらった。
米国での年次会議にツアー参加 二〇〇一年八月一四日、午前七時三〇分。
前の晩遅くにディズニーワールド内のホテル にチェックインし、眠い目をこすりながら早 朝のプレゼンテーションに出席していた我々 は、のっけからビックリするような映像で目 を覚まさせられた。
巨大なスクリーンのなかで戦闘機が金属音 を響かせて舞い、戦車が轟音を立てて疾走す る。
ひとしきり近代兵器を使った訓練と戦闘 のデモンストレーション映像を見せられたあ と、よく通る声が会場に響き渡った。
「このような軍の活動は簡単なものではない。
その裏側には複雑なロジスティクスの存在が ある。
ロジスティクスの複雑な活動を統合す るためには、テクノロジーを取り入れていか ねばならない」 こうして「第三六回年次国際ロジスティク ス会議・展示会(36th Annual International Logistics Conference & Exhibition 2001 )」 が始まった。
今年度の会議の日程は八月一四日(火)〜 一六日(木)の三日間。
毎日、まず午前中に プレナリーセッション(全体会議)が設けら れ、これに続いて五つのトラックに分かれて のテクニカルセッションが用意されていた。
会議への参加者は約四〇〇人。
米国以外から も日本、イギリス、フランス、ドイツ、ギリ シャ、台湾、シンガポール、韓国など世界十 数カ国から参加していた。
初日のプレナリーセッションは「ミリタリ ー」が中心で、二日目は「産業界」が中心。
そして最終日は「コミュニティが求めるロジ スティクス」と、三日間それぞれに異なるテ ーマを掲げていた。
プレナリーセッションに続くテクニカルセ ッションでも、ロジスティクスマネジメント、 データマネジメント、電子商取引、サプライ チェーン、コスト分析、輸送、環境、航空宇 宙、防衛など多岐にわたるトラックが設けら れ、それぞれの会場で論文発表やパネルディ スカッションが行われていた。
会議と同時に開催された展示会では、航空 機メーカー、ロジスティクス専門会社、軍関 係の機関など三〇を越す企業・団体が出展。
展示内容は多彩で、ロジスティクス分析ソフ 第8回 「年次国際ロジスティクス会議」報告 73 NOVEMBER 2001 トウェア(LSA)、ウエアラブルコンピュー ター、ディスプレイ、IETM(電子マニュ アル)など。
各所で行われているデモンスト レーションを興味深げに覗き込む人達の姿が 印象的だった。
米軍のロジスティクス改革 冒頭、我々を、迫力のあるビデオで目覚め させてくたペンタゴンのジョン・マクダフィ ー中将は、米軍のロジスティクス改革のスケ ジュールを次のように説明した。
まず初年度にロジスティクスプロセスを最 適化し、「顧客の待ち時間(CWT)」をモニ タリングしながら最短にする。
二年目は正確 な納入時間を約束することで顧客の信頼を獲 得する。
三〜四年目にかけてデータを共有できる環境を整備し、全体資産の可視化(TA V)を図る。
さらに五年後には、全軍が同時 に同じ情報を共有し、同時に行動が起こせる ようなウェブベースのロジスティクス情報シ ステムを完成させる。
そして最後にマクダフ ィー中将は、この改革の目的は「兵士を効率 的に支援すること」であると結んだ。
今回の国際ロジスティクス会議で、いろい ろな人が異口同音に強調していたのが、この 「顧客の待ち時間(CWT)」と「トータルア セットビジビリティ(TAV)」、「兵士の支 援」といった言葉だった。
ここで言う「顧客の待ち時間(CWT)」 とは、納入リードタイムあるいはタイムラグ といった意味なのだろうが、あえて「顧客」 という表現を使っている点が興味深い。
リー ドタイムといった従来の言葉からは、やはり 供給側の視点に立っている印象を受ける。
し かし、「顧客」(すなわち「兵士」)という言 葉を使うことで、受け取る側からの要求であ ることが容易に理解できるようになった。
「トータルアセットビジビリティ(TAV)」 については、別のスピーカーも、陸海空の三 軍が共同で物品管理を行う必要性を説き、そ のためには情報を統合しなければならないと 主張していた。
現在の軍の情報システムは旧 いものの寄せ集めであり、ロジスティクスの ビジネスプロセスを統一し、ロジスティクス チェーン・マネジメントの構築に挑戦してい るのだという。
三つ目の「兵士の支援」については海兵隊 員が次のような話をしていた。
海兵隊は普通 の軍隊とは性格が異なる。
敵対関係にある地 域に強制的に進入していく海兵隊への支援は 海上の船から行われる。
従ってロジスティク スも他の軍とは異なるが、ロジスティクスの ゴールが「兵士の支援」であることは同じ。
我々のビジョンは「顧客の待ち時間」を短縮 し、「トータルアセットビジビリティ」を高め ることである。
そのために民間のベストプラ クティスを取り入れ、アカデミーのアイデア を活用し、産学のサポートによってビジョン を実現していく。
これらの用語は先月号の当コーナーで紹介した論文「米国防総省のロジスティクス」の 中でも盛んに使用されていたものだった。
(本 誌一〇月号七三ページ参照) チャンスを迎えた産業界 産業界からは、DoD時代にはCALSを 積極的に推進し、現在はハネウェルの副社長 を務めるJ. F. フィリップ氏が登場し、次 のような話をしていた。
現在、我々の世界はデジタル化の方向に向 かっている。
デジタル化に対応してプロセス をデザインし直すことが求められており、私 企業は大きなチャンスを迎えているといえる。
軍と産業界のパートナーシップが大切だ。
企 業と企業、軍と企業を結合し、データを統合 化することで情報の共有化が可能になる。
I NOVEMBER 2001 74 Tがサプライチェーンをサポートし、リード タイムを短縮することにより、コストを低減 し、利益を生み出すことになる。
新しい技術の導入を試みて失敗するケース は少なくないが、その原因は、導入する技術 が未成熟な場合、旧いやり方に対する郷愁が 捨てられない、新しいやり方に対する抵抗が 強い――などさまざまだ。
反発する人、推進 する人、何もしない人がおり、こうした人達 が一緒になって導入に取り組んでも、結局は 自分のやり方に戻してしまう。
新しいやり方 が成功する確率は低い。
また、上層部の理解が足りないために失敗 するケースもある。
すでにでき上がってしま った組織では、新しい技術の導入はなかなか 受け入れられない。
新しい仕事には、それに ふさわしい人材を当てるべきである。
ロジスティクス教育 最終日に行われた?ドクターK〞ことジェ ドミール・ネチェビッチ教授(エクスター大 学)の講演、「ロジスティクス教育によるシ ステム効果性の向上」も大変、興味深いもの だった。
Knezevic 博士の名前の発音が難し いためか皆がドクターKと呼ぶ博士は、次の ような話をした。
ボーイング、エアバス、フォードといった 企業は、飛行機や自動車という機能創出シス テムを設計・製造し、JAL、FedEx、 UAなどがそれらを導入し運用システムを提 供している。
しかし、そのシステムを実際に 利用するのは旅客であり、運転手であり、兵 士である。
システムが効果を発揮するかどうかは、そのシステムを運用した時に初めて分 かるため、設計どおりにシステム効果が発揮 されるのではなく、多分に「運」に左右され ているのが実情である。
実際、航空機事故の 調査結果によれば、人間に起因する事故は八 〇・五%に及び、機械的故障は八・五%、気 象による故障は四・五%に過ぎない。
人間に よる事故が圧倒的に多い。
「運」に任せるのではなく、「知識(ナレッ ジ)」に基づくべきである。
そのためには「シ ステム・イフェクティブネスの科学」が必要 だ。
神ならぬ人間がつくったモノの将来の結 果をどのようにして見通すか。
一九一六年から一九九一年まで、ボーイン グには飛行機を飛ばす専門家として「チーフ パイロット」はいたが、整備の専門家である 「チーフメカニツク」は存在しなかった。
九一 年になって初めて「チーフメカニック」が誕 生し、整備の立場から設計上の問題点を指摘 するようになった。
B ―777では初めてメカニックの目がく わえられた結果、設計の段階で、高すぎる位 置に設けてあった給油口が明らかになった。
これは給油作業者に八フィート(二メートル 四四センチ)の背丈を要求するものだった。
ボーイングのチーフメカニックは素晴らしい 能力を発揮している。
このような人材を生み 出すにはどうしたらよいのだろうか。
必要な知識の七〇〜八〇%を有する人材を 生み出すことが、 教育によって可 能となる。
その場 合、専門分野ご との特異な言葉 だけを使っていて はダメだ。
同じ言 語 で 情 報 交 換 (コミュニケーシ ョン)しなければ ならず、そのため には「知識(ナ レッジ)」が欠かせない。
日本の女子大生による論文発表 今回の大会では日本からの論文発表があり、 しかも女子大学生ということで注目を集めた。
発表者は神戸商船大学博士前期課程商船学 研究科輸送情報システム工学専攻流通拠点 計画研究室の斎藤摩里さん。
論 文 のテーマは?A Basic Study on Maritime Green Logistics System of Used Household Appliances by Numerical Simulation 〞(数値シミュレーションによる 使用済み家電製品の海上輸送システムの比較 検討)というもの。
発表はもちろん英語でなさ れたが、大変落ち着いて、かつユーモアを交 えた発表で好評を博していた。
発表終了後、 何人かの専門家が彼女を取り巻き、いろいろ な質疑応答を行っていた。
今回の国際ロジスティクス学会では、SO 75 NOVEMBER 2001 SOLE東京支部フォーラム報告 SOLE東京支部では毎月「フォーラ ム」を開催し、ロジスティクス技術、マネ ジメントに関する会員相互の情報交換に努 めている。
九月のフォーラムでは、米国で 開催されたSOLE2001(「年次国際 ロジスティクス会議」と展示)に参加した 支部のメンバーから報告を聞いた。
これで 今年度のフォーラムは終了したが、十一月 から新しい企画をスタートする予定。
SOLE東京支部についてのお問合せ、 ご意見などはsole_consult@jmac.co.jp まで。
Q1 保全概念(メンテナンスコンセプト)の内容に関する次 の記述のうち正しいのはどれか? a.保全に関する期待水準、全般的な修理方針、保全に関す る組織責任、主要なロジスティクス支援要素、保全環境 に関する効果性要求 b.保全に関する期待水準、全般的な修理方針、保全に関す る組織責任、主要なロジスティクス支援要素、システム サポートに関する効果性要求、保全のための特殊な道具 や試験機器 c.保全に関する期待水準、全般的な修理方針、保全に関す る組織責任、保全施設、システムサポートに関する効果 性要求、保全のための特殊な道具と試験機器 d.保全に関する期待水準、全般的な修理方針、保全に関す る組織責任、主要なロジスティクス支援要素、システム サポートならびに保全環境に関する効果性要求 Q2 システムにおける人間的要素を検討する時、考慮すべ き事項は次のどれか? a.人間の感覚器官、人体測定的、生理学的、心理学的要素 b.人間の感覚器官、環境的、生理学的、心理学的要素 c.人間の感覚器官、人体測定的、生理学的、物理的要素 d.人間の感覚器官、人体測定的、安全、心理学的要素 前月号でご紹介したCPL模擬試験問題は「システム設計 と開発」の領域からの出題でした。
いかがでしたか? Q1の正解は、解答表によると「d」。
ロジスティクスは製 品支援サービスと言い換えることができるが、対象とする製品 の種類によって支援の焦点は変わる。
いわゆる消費財は顧客 の手元に製品を届ける物流サービスが中心だが、複雑な構造 を持つロングライフな製品、例えば自動車、船、航空機などは、 使用しているうちに故障したり、性能が劣化するため、物流サ ービスもさることながら、保全サービスが極めて重要。
「d」は、 こうした必要要件にバランスよく触れているので正解。
Q2の正解は「a」。
bの環境的や、cの物理的、dの安全 などは、決して無視できる要素ではない。
しかし、人間の直接 的要素ではないためいずれも不正解。
第8回 
達丕未了邯殻簑蠅膨戦 今回は第3領域「取得と製品支援」からの問題です。
Q1 クリティカルパス分析ネットワークにおけるクリテ ィカルパスについての記述で正しいのはどれか? a.クリィティカルパスは連続的な相互に関連するイベン トの連鎖が消費する時間の最大値として定義される。
b. クリィティカルパスはプロジェクトが完了する最短期 間として定義される。
c.クリィティカルパスは連続的な相互に関連するイベン トの連鎖であって、おのおののイベントには余裕時間 がない。
d. a.、b.、c.のいずれも正しい。
CPL(Certified Professional Logistician)の試験問題に挑戦 前回のおさらい ※今回の設問の答えと解説は、本誌12月号の当コーナーでお読みいただけます Q2 商業界で在庫計算の単位として一般的に用いられ る関連用語は次のうちのどれか? a.SKU b.EOQ c.JIT d.SKUL LE東京支部が本部から表彰されるという嬉 しい一幕もあった。
我々の支部は過去三回 (八八年、九二年、九四年)にわたって国際 優秀ニュースレター賞を受賞したことがある が、今回は支部活動に与えられるアウォード ( International Chapter Award )を受賞する ことになり大変、名誉なことと思う。
SOL E東京支部が設立されたのは七八年であり、 小規模ながら二〇年にわたって活動を続けて きたことが評価されたのであろう。
表彰はプレジデントランチェオンの場で行 われた。
松本賢治支部長がSOLE東京支部 を代表して壇上に立ち、アントニー・トロバ ート会長より直接、盾を手渡され、大きな拍 手を受けた。
受賞の後、いろいろな国の人々 が松本氏を取り囲み祝意を表してくれ、特に アジアの国の人々はともに喜んでくれた。

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