ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年11号
デジロジ
WMS日本市場の10年

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2001 70 ERPの普及が転機に 本誌 エクゼの創業が九一年ですから今年 で正味一〇年が経過したことになります。
こ れを機に、日本のWMS市場の一〇年を振 り返ってもらいたいと思います。
田中 そもそもエクゼという会社は物流の 「実行系」の機能を担うシステムハウスとし て誕生しました。
それを今年の一〇月にフレ ームワークスという社名に換えたのは、市場 環境が大きく変わり、当社の仕事の中味も 変わってきたことが理由の一つです。
本誌 一〇年前と比べて、WMSを取り巻 く環境がいつ、どう変わったのですか。
田中 ERPが日本企業に普及し始めた九 五年ぐらいがターニングポイントになりまし た。
それまでは、当社の仕事も倉庫管理シ ステムに新しい技術を採り入れることが中心 になっていた。
WMSと自動倉庫との連携 や無線システムの構築、シミュレーション、 新しいコンピュータ言語の活用など、やった ことのないことをドンドンやってみようとい う時期でした。
九五年ぐらいになると、そうした技術が社 内に蓄積されてきたのと同時に、パソコンの プラットフォームがWindows に集約されて きた。
「Word 」や「Excel 」のように業務シ ステムもパッケージで処理できるのではない かという風潮が生まれてきました。
本誌 
釘劭个その典型ですね。
田中 そうです。
ERPのような大型のパ 田中純夫フレームワークス(旧エクゼ) 社長 WMS日本市場の10年 第8回  日本のWMS(倉庫管理システム)市場は、米国系大手EXEテクノロジー ズの「エクシード」、そしてエクゼの「ネクサス」という2つの商品を軸に展 開してきた。
実際、両社はここ数年、倍々ゲームで日本市場における業績を 伸ばしている。
その一方の雄であるエクゼが今年10月、フレームワークスへ 社名変更すると同時に、新たな事業展開に入った。
本連載の執筆者である同 社の田中社長に、日本市場におけるWMSの10年を振り返ってもらった。
ッケージの実績が出てきて、企業の基幹業 務でさえパッケージ化できるということにな った。
WMSを扱う当社も、九五年以降は パッケージとして完成度の高いものにしてい くという取り組みをずっと続けてきました。
本誌 しかし、エクゼのWMSは九五年以 前からパッケージだったわけですよね。
田中 もちろんパッケージとしてのコアな設 計はありましたが、実際には手を入れなけれ ばならない部分がかなりあった。
NEC、富 士通、IBMといったコンピューターのハー ドによって、機能は同じでも違うプログラム を組む必要がありました。
少なくとも今のよ うな環境ではなかった。
本誌 となるとWMSメーカーといっても九 五年ぐらいまでビジネスは、実態としてシス テム・インテグレーションに近かった? 田中 しかも当社の場合、会社の規模も小 さかった。
創業時には私を含めて三人しかい ませんでしたからね。
実際にはシステム・イ ンテグレーションといっても、自分でプログ ラムを組むのはもちろん、建設途中の倉庫に 入ってケーブルを引いて、ハンダごてを手に 自動倉庫と電気的な接続をやったり、オー トバックスによく自分でネジを買いに行った りしていました(笑)。
本誌 それがERPの登場をきっかけに環 境が変わったわけですね。
田中 それ以前は、とくに物流会社などは 「ウチの会社のやり方は特殊だからパッケー ジなんて使えない」と取り付くシマもない感 71 NOVEMBER 2001 ソリューションを準備しておく。
本誌 今後はサービスにシフトするというこ とですか。
田中 九七〜八年頃から、そうした準備を進 めてきました。
その結果、お陰様で昨年は全 体の一割以上をコンサルティング・フィーと して売り上げました。
当社の収入のうち純粋 な工業製品としてのパッケージ販売の比重 は今後も下がっていくと思います。
もはやパ ッケージの販売自体は当社が自分でやるの ではなく、パートナーに任せる形で構わない。
本誌 「物流システム屋」ではなくなる? 田中 今後も当社の立脚点が物流のエクゼ キューション(実行)、「必ず動かす」という ところにあるのは変わりません。
全てのビジ ネスは物流に帰着しています。
ただし、物流 が全ての起点になっているわけではない。
製造や販売を含めたビジネスのフレームワーク 全体から物流のニーズは生まれている。
これ に対して当社は、物流という観点から、全 体のフレームワークを作るお手伝いをしてい きます。
もともと物流というのは、そういう仕事だ と思う。
物流業というのは、単体では存在 しない。
製造業、流通業のビジネスがあっ て初めて物流業が動くわけです。
であれば、 依頼が来てからサービスを用意するのでは 遅い。
一歩先に準備を進めておく必要があ る。
物流業とは、常に顧客の先回りをして おかなくてはならない商売なのではないでし ょうか。
した。
パッケージソフトが工業製品になると いうことは、高性能・低料金で誰にでも使 えるものになるということです。
そうなった時にどこで差がでるのかといえば、一つは 「使い方」です。
そこで何より重要になるのはマーケティン グです。
完成されたパッケージを売るだけで なく、顧客のところに出向いて提案し、今の 当社の機能になければ、いったん開発に回し て機能を拡張する。
さらに自社製品でカバ ーできない部分については、他社製品と組み 合わせて「使い方」を提供する。
パッケージソフトの限界 もう一つは導入です。
業務ソフトもパッケ ージ化が進んだとはいえ、CD一枚インスト ールしたら、すぐに動かせるということには ならない。
適用率が高いものでも現実には八 〜九割で、一〜二割はカスタマイズが残る。
いくら完成度を高めても業務パッケージには 限界があります。
パッケージというのは常に過去のシステム を形にしたものです。
過去に例のない、全く 新しいことには対応できない。
パッケージは 必要だし有効であっても万能ではない。
しか も、新しいビジネスモデルは毎日のように誕 生している。
パッケージではカバーできない 新しいニーズが毎日生まれているわけです。
これに対して、いち早くソリューションを提 供していくところに当社は照準を合わせる。
マーケットの変化を他社よりも早くとらえて、 じでしたけれど、認識が変わってきた。
本誌 その結果、WMS市場はどうなった のですか。
田中 「パッケージは使える」と判断されて 実際に売れはじめてくると、当然参入が増 えて、競合が激しくなってくる。
発売当初は 値段も高く、機能満載の商品が出てくるの だけれど、そのうちユーザー側が機能に馴染 んでくる。
するとコモディティ化が起こる。
つまり買い手市場になって、最終的にはコス ト競争になる。
WMSも遠からず家電やパソコンなどのハ ードウェアと同じことになるはずです。
パッ ケージソフトが成熟した工業製品となって価 格競争に陥ってしまうわけです。
本誌 それは避けたいでしょう。
価格競争に 陥れば、どこかでコスト倒れになってしまう。
田中 それを避けるための選択肢の一つは、 最初に安い値段で大量の製品を市場に流し、 とにかくシェアをとってしまう。
そして、そ の分野のスタンダードの地位を確立した後で、 価格を上げていくというやり方です。
実際、 インターネットのプロバイダーの競争などは、 そうした傾向になっています。
しかし、この やり方は企業の体力と知名度がないとでき ない。
それでは、当社のような独立系のベン チャー企業はどうすればいいのかと、必死に 考えました。
本誌 で、どう結論されたのですか。
田中 パッケージソフトの販売や開発は当 社のコアにはならないと考えるようになりま

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