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1 FEBRUARY 2006
KEYPERSON
特積みはムダばかり
――今回の「物流企業番付」ではラ
ンキング上位のほとんどは物流子会
社です。
「物流子会社の多くは親会社の物流
を一括で請け負い、自分たちは管理
するだけ。 マージンを抜いて運送や
センター運営などの実務は下請け業
者に任せる。 売り上げがそこそこあ
って、少ない人数で会社を動かして
いるから利益が大きい。 上位にラン
クインするのは当然の結果だ」
――特積みは成績が良くない。
「路線(特積み)は売り上げ規模こ
そ大
きいものの、たくさんの従業員
を抱えているからフォワーダー型の物
流業より利益率が低くなりがちだ。 こ
れは特積みというネットワーク型の
商売の宿命なのかもしれない。 ただ
ら。 集荷のドライバーたちは自分の
担当するエリアでその日にどの程度
の貨物が集まりそうなのか、頭の中
でちゃんと予測できている。 管理職
はドライバーたちの声を吸い上げよ
うとせず、ただ『荷物を取ってこい』
と指示する。 だから適切な配車がで
きない」
「集荷の途中で、たとえば今日は大
阪方面に向かう荷物がどのくらい集
まりそうなのかといった情報をドライ
バーに報告してもらったり、あるいは
自分で聞いたりすればいい。 コミュ
ニケーションが取れていれば、ムダな
トラックを走らせないで済む。 特積
みの支店や営業所は集めた貨物を右
から左に流し
ているだけ。 目的地に
到着する時間に遅れないように幹線
車を出発させることばかり気にして
いる」
――近鉄物流を買収して特積み事業
に参入しました。 それによってハマキ
ョウ全体の利益率が低下するのでは
ないかと懸念されています。
「買収後にハマキョウの勉強会など
に参加してもらったことで、近物の
社員たちのコスト意識は短期間でガ
ラリと変わった。 営業所の看板やト
ラックの塗装を近鉄物流から近物レ
ックスに変更するのに一億円強の費
用が掛かったが、それでも近物は黒
字決算を達成した。 この調子でいけ
ば、近物
は常に少なくても五%台の
営業利益率を叩き出せる。 将来は株
式上場も視野に入れている」
――特積みは儲からないという業界
の通説はウソですか?
「近物を引き受けた時から、それを
証明することがハマキョウの使命だ
と思っている。 そもそもヤマトの小倉
さん(故・小倉昌男ヤマト運輸元会長)が、特積みが儲かることを立証
しているではないか。 ヤマトの『宅急
便』は本来の特積みとはモデルが少
し異なるという反論を聞く。 それな
らウチが代わりに証明してみせる。 も
し公約どおりに営業利益率五%超を
達成したら、『今ま
での特積み会社の
経営者たちはいったい何をやってき
たんだ』という議論になるだろう。 も
う言い訳ができなくなるね」
し、二〜三%台の営業利益率を合格
点とするのは間違っている。 特積み
はムダが多すぎる。 ムダをなくせば、
特積みはもっと儲かるビジネスだ」
――どんなムダですか?
「まず幹線輸送の積載率。 一〇個や
二〇個しか荷物が集まらないのに平
気でトラックを一台仕立てている。 ト
ラックを常に満載の状態で走らせる
ことは運送屋として儲けるための鉄
則だ。 営業体制にも問題がある。 売
上至上主義でコスト意識はゼロ。 運
賃を下げてでも量を追いかける。 だ
から利益が出ない」
――特積みの場合、荷台がほとんど
埋まらない状態でも
トラックを走ら
せなければならない。 区域とは違っ
た難しさがあるのでは?
「そういう事態を招くのは現場との
コミュニケーションが不足しているか
THEME
ハマキョウレックス
大須賀正孝 社長
「特積みが儲かることを証明する」
本誌がまとめた物流企業ランキング(八頁特集記事参照)の上位に
は物流子会社や港湾運送業者、そして3PLが名を連ねている。 戦後の
物流業界を常にリードしてきた特別積み合わせ業者たちの影は薄い。 特
積みは儲からない――。 そんな業界の通説にハマキョウレックスの大須
賀社長は異を唱える。
(聞き手・刈屋大輔)
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