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FEBRUARY 2006 102
<LSEの基本思想>
このLSEを実現するには、これまでのソリューション企業とは異なる
企業の能力、価値観、そして人材が必要である。 すなわち、限られた領
域と方法を前提とすることなく、多方面から事象をとらえ、真の問題を
認識し、その解決を推進する能力が必要となる。 それらをまとめると次
のようになる。
<LSEに必要な能力>
(ア)エンジニアリングをベースとした設備に関する知識とエンジニアリ
ングコンサルティング能力
(イ)顧客の立場で問題を解決する能力(特定製品に頼らず、マルチベン
ダーで、費用、技術、実現性のバランスのある提案をする能力)
(ウ)提案事項をソフト面、ハード面から具現化する能力
(エ)プロジェクトマネジメント能力
石井氏からは、LSEを実践した事例として、「RAM/LCCシミュレー
ションモデルによるスペアパーツ在庫管理の検討と、それに基づく倉庫
新設プロジェクト」、および「大手メーカー系企業における生産・物流シ
ステムの再構築プロジェクト」の紹介があった。
3 ディスカッションの内容
石井氏の問題提起およびLSEの紹介に対し、フォーラム参加者の間で
次に示すような活発な意見交換があった。
?ソリューションビジネスの現状と課題について
システム開発費用の多くは人件費であり、通常それは人月を基本に決
まっている。 短絡的に言えば、派遣企業などから何人集められるかでベ
ンダー企業の業績が決まることになりかねない。 すなわち、ベンダーは
提供する価値ではなく人月を基本とした経営を重視し、自らのソリュー
ション能力向上への動機付けを削ぐ構造になっている。 この構造を変え
るには、ソリューションビジネスにおける分りやすい成果物・効果の価
値の表現・明確化が課題である。
分業化したソリューションビジネスのあり方を、結果に責任の持てる
横断的な形に転換することの必要性は理解できる。 しかし、経営コンサ
ルティング、プロフェッショナルサービスなど、それぞれの役割、必要
な能力、人材は異なっている。 ビジネスとして横断的なソリューション
の提供は、人材確保の面からも難しいだろう。
?LSEについて
LSEはエンジニアリングを基本と考えているが、企業の課題解決には
経営からの観点が重要である。 LSEにおいても経営コンサルティングの
視点を重視する必要があるだろう。
企業におけるソリューション導入では、そのフェーズによりそれぞれ
異なる役割がある。 分業ではない横断的なソリューションの提供といっ
ても、各フェーズにおける期待と役割を考えた上で、責任の一貫性を含
めた議論をおこなう必要がある。
プロジェクトマネジメントについて、現状ではプロジェクト管理技術
を重視する傾向がある。
新しいフォーラムシリーズ第4回目は、2006年2月16日に、「グローバル
SCM構築とその秘訣―SCMの構築に終わりがあるか―」と題して、レ
クソル株式会社の宮口孝治代表取締役にお話いただく。
フォーラムは年間計画に基づいて運営しているが、単月のみの参加も
可能。 1回の参加費は6,000円。 ご希望の方は事務局までお問い合わせく
ださい。 (SOLE Japan 事務局:sole-j-office@cpost.plala.or.jp)。
SOLE報告
The International Society of Logistics
次回フォーラムのお知らせ
SOLE日本支部フォーラムの報告
SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティクス
技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、議論
を行い、会員相互の啓発に努めている。
今回は、シリーズ第2回として開催した、「ロジスティクス技術の研
究」をテーマとする文教大学の石井信明助教授による講演と、その後
のディスカッションの内容を紹介する。
1 ロジスティクス技術の研究と役立つソリューション
冒頭、講演者である石井氏から、ロジスティクス技術を活用して企
業の問題解決を行うソリューションビジネス(特に業務プロセス改善、
情報システム導入による問題解決)の現状と、ビジネスの業態とその
課題について、次のような解説がなされた。
多くの企業では、業務のプロセス改善、あるいは情報システムの導
入による経営課題解決への期待が大きい。 しかし実際のところ、それ
らのプロジェクトは失敗することが多い。 失敗の理由はケースにより
さまざまであるが、技術面よりも、技術導入を行う企業のプロジェク
トマネジメント、あるいは関係者間の意識レベルの相違に起因する失
敗が多い。
また、ソリューションを提供するベンダー企業は、経営コンサルテ
ィング企業、SI企業など、それぞれの得意分野に特化した分業体制に
なっており、結果として、責任の所在が分散化していることにも問題
の一端がある。
企業の問題解決を業務プロセスの改善、あるいは情報システム導入
により行うには、現状の分業化したソリューションビジネスのあり方
を横断的な形に転換し、結果に責任を持てるあり方にする必要がある。
また、技術導入を行う企業側においては、単にベンダー発の新しいコ
ンセプトの提案に飛びつくのではなく、自社の実力と将来像を冷静に
見つめた上で、身の丈に合った技術の導入をおこなう必要がある。
2 LSE(ロジスティクス・システムズ・エンジニアリング)の紹介
これらの課題を鑑みたソリューションビジネスの一つのあり方とし
て、石井氏から「LSE」の紹介があった。
下図(LSEの基本思想)に示すようにLSEでは、生産設備、物流設
備などのエンジニアリング技術、管理技術、および情報技術の適用を
考えることで、企業の競争力を向上させることを考えている。 また、企
業へのソリューション提供の姿勢としてLSEでは、「これまで個々に扱
われることの多かったさまざまな基盤技術をバランスよく活用するこ
とで解決策を導き出し、さらに、それを一貫した思想と責任の下で具
現化する」ことに重点を置いている。 すなわち、ソリューションの分
業体制から一貫体制に転換する姿勢を強調している。
JIT
T0C
SCM
ERP
インターネット
変種変量生産
ロジスティクス
マスプロダクトシステム
融合による新たな価値の創造
情報技術
管理技術
エンジニアリング
技術
企業価値・競争力・社会貢献
年代
LSEの基本思想
LSE
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