ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年2号
特集
物流企業番付 平成18年版 トランコム

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

FEBRUARY 2006 18 水屋業はまだまだ伸びる ――ここ数年、売り上げの急拡大が続いています。
「財務体質が健全で、利益もきちんと出せる。
どち らかといえば、従来は『規模は小さくても強い会社』 を目指してきました。
しかし九〇年代後半に入ってか ら方向転換し、規模の拡大に走ることにしました。
理 由は簡単です。
ある程度の拠点や車両、サービスメニ ューを用意しておかないと物流を一括で任せたいとい うお客さんのニーズに応えられない環境になってきた からです。
規模の拡大を追求すると、どうしてもサー ビスの質が疎かになりがちですが、しばらくはそれで も構わない。
まずは規模 の拡大に重点を置き、質の向 上は後追いしていくしかないというスタンスで、ここ 数年は事業を展開してきました」 ――好調の要因は? 「よく『急成長の秘訣は?』といった質問を受ける のですが、この事業がうまくいったからとか、そうい う感覚はありませんね。
伸びている会社というのは従 業員が常にやる気に満ち溢れている。
結局、会社とい うのはそこで働く人で決まる。
会社の価値観とか目標 をきちんと明示し、それに向かって従業員が頑張る。
頑張って評価されれば、仕事に対するやり甲斐が生 ま れて、また頑張る。
若い従業員たちを中心にそういう 組織というか、職場風土が出来上がったことが業績の 伸長につながっているのではないでしょうか」 ――とくに空トラックと貨物をマッチングして手数料 収入を得る「物流情報サービス事業」が好調です。
売 上高全体の約五割を占めるまでに成長しました。
「この事業はいわゆる?水屋業〞で、物流業界の中 では昔から色々と批判を受けているビジネスです。
実 運送を伴わず、トラックや荷物を融通するだけでマー ジンを抜いて儲けているというイメージがあるからで しょう。
しかし、このビジネスが消えることなく、当 社でもこの事業の収入が三年で三倍近く拡大して いる のは物流マーケットに?水屋業〞に対する需要があり、 しかも利用することで荷主側とトラック運送会社側の 双方にメリットがあるからにほかなりません。
受け入 れられなければ、自然と淘汰されていくはずです」 ――「物流情報」はどのくらいまで伸びそうですか? 「水屋業の市場規模はせいぜい一〇〇〇億〜二〇〇〇 億円程度と弾いています。
ただし、やり方次第でこの マーケットは規模を拡大させることが可能だと見てい ます。
例えば、あるメーカーから、得意先への配送で 利用するトラックの管理を当社に委ねてもらう。
当社 はメーカーの出荷波動に合わせてトラックを用意する。
これまでメーカーは空トラックが見つからない場合、 高い運賃を提示してでもトラックを確保 する必要があ りましたが、当社が安定的にトラックを供給すれば、 無駄なコストが発生しなくて済むようになります。
こ うした仕事を増やしていけば、水屋のマーケットはま だまだ拡がっていく。
今後はマーケットを自分たちで 作っていく必要があると考えています」 ――求車と求貨の情報をマッチングする「情報センタ ー」を全国各地に相次いで開設しています。
しかし、 電話やファクス、インターネットといった通信手段を 用いてマッチングするなら、センターは一カ所だけで 済むのではないでしょうか。
「わざわざ各地に拠点を設けて、そこに従業員を配 置しているのは、お客さんとの信頼関係を築くためで す。
お客さんというのは当社のサービスを利用して く れているトラック運送会社約九〇〇〇社の配車マンた ち。
一方、従業員というのはマッチング作業を行うア ジャスターたちを指します。
当社の従業員は何か問題 空トラックと貨物をマッチングする求車求 貨事業の収入が倍々ゲームで伸びている。
3 PL事業も好調だ。
かつては「共同配送のト ランコム」として知られていた同社の事業構 造はわずか数年で大きく変化し、現在では物 流業界で有数の高収益企業として注目を浴び るようになった。
(聞き手・刈屋大輔) 注目企業トップが語る強さの秘訣 トランコム ――求車求貨事業が3年で3倍に 総合4位 総合7位 総合11位 総合15位 清水正久 社長 「お客さんの顔を見ない ビジネスは失敗する」 19 FEBRUARY 2006 があったらすぐに現場まで足を運んで、お客さんに 色々とアドバイスする。
そうした細かいやり取りを通 じて信頼関係が生まれて、初めてお客さんはトラック や荷物を提供してくれるようになるものです」 「インタビューだって話を聞くだけなら電話で済ま すことができます。
それをわざわざ対面で行うのは相 手の表情などから微妙なニュアンスを感じ取るためで すよね。
水屋の仕事に限らず、ビジネスというのはす べて同じです。
顔が見えない相手と商売するのは不安 です。
そのことを理解せずに電話やネットでのやり取 りだけで付き合おうとすると必ず失敗します」 トランコムの名を捨ててもいい ――センター運営の受託などを柱とする「ロジスティ クスマネジメント事業」も伸びています。
「他社に比べて優れている点を挙げるとすれば、情 報システムの構築力と現場の運営能力の高さでしょう か。
ただし、3PLに強い日立物流さんやハマキョウ レックスさんだって、このくらいのことはしっかりと できているわけですから、強みとは言えないかもしれ ない。
むしろ当社の3PL事業はまだ発展途上の段階 にある。
机上の空論でセンターの仕組みづくりを進め ていたり、料金の見積りが甘かったり、現場のムダを 見落としていたり、課題は山積しています」 ――3PL事業でのターゲットは? 「小売りや卸といった川下 分野の物流はすでに高度 化されているうえに、受注をめぐる同業他社との競争 が激しい。
これに対して、メーカー物流など川上の領 域には開拓の余地があると見ています。
メーカーサイ ドの物流改革が本格化するのはこれからでしょうから。
対象業種は絞っていません」 ――実質無借金経営が続いており、財務基盤は盤石 です。
今後の投資先は? 「これまでは規模の拡大という大号令の下、各事業 部がそれぞれ必要に応じて拠点の新設などを進めてき ました。
エリアにはこだわってこなかったのですが、今 後は関東と関西の二大経済圏を中心に資本を投下し ていく計画 です。
お客さんから引き合いがあった時に、 『中部はできますが、関東と関西は手薄で対応できま せん』では話になりませんから」 「ただし闇雲に拠点を建てていくつもりはありませ ん。
お客さんの要請に応じて、当社が新たにセンター を用意するというパターンもできるだけ避けたい。
当 社が建てたセンターを長期にわたって利用してくれる 保証はありませんからね。
お客さんのためではなく、 自分たちがビジネスを展開していくうえで本当に必要 な拠点だけを用意していくつもりです」 ――M&A(企業の合併・買収)は? 「物流業界には当社も含めて中途半端な規模の会社 が 多すぎる。
M&Aで一つになるのか、それとも業務提携というかたちで手を組むのか。
いずれにしても、そ うした合従連衡の動きが進むことはこの業界にとって プラスだと思いますよ。
これまで動きがなかったのは、 将来に対する切迫感というか、危機感が希薄な経営 者がこの業界には多いせいかもしれません」 「会社がおかしくなってから動いても手遅れです。
し かし現実にはおかしくなってから『会社を買収してほ しい』と依頼してくる案件がほとんどです。
慈善事業 じゃないのですから、おかしくなった会社を引き受け るわけがない。
一足す一が三とか四になるようなM& Aなら前向きに検討していくつもりです。
会社が強 く なって従業員や株主が幸せになれるのなら、私個人と してはトランコムという看板を捨てても構わないと思 っています」 特集 《平成18年版》 売上規模 100 80 60 40 20 0 利益伸び率 利益規模 売上高 伸び率 1人当たり 収益 累積 【業績】トランコム 利益率 【企業概要】 (単位:百万円) 売上高(単独) 利益 解 説 本社所在地 名古屋市 設 立 1959年(89年にアイコーシステ ム輸送、アイコー倉庫、中部物 流サービスを合併し、トランコム に商号変更) 資本金 10億8004万円 主要株主 ラネット、日本マスター信託口、 日本トラスティ信託口、武部宏 営業種目 トラック運送、求車求貨事業、物 流センター運営事業など 主要販売先 ユニ・チャーム、昭和冷蔵、スズ ケン、東海コープ事業連合など 車両台数 約700台 水屋&3PLで売上高1000億円へ  
坑闇代は家電や食品メーカー向けの共 同配送事業を収益の柱としてきたが、200 0年以降は求車求貨の「物流情報サービ ス事業」と3PLの「ロジスティクスマネジメ ント事業」が好業績を支えてきた。
直近(2 005年3月期)の事業構成は「貨物運送」 が20%、「物流情報」が47%、「ロジステ ィクス」が28%。
ROAは7%、ROEは16% で業界平均を大きく上回る水準を確保して いる。
 今後も「物流情報」と「ロジスティクス」 を軸に事業拡大を目指す。
投資は求貨求 車のマッチングセンターの開設(現在は全 国15カ所)や、関東・関西圏での物流セン ター建設が中心となる。
中長期的な経営 目標として売上高1000億円、営業利益60 億円の達成を掲げている。
03.03 22,350 649 04.03 29,500 797 05.03 37,662 1,072

購読案内広告案内