ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年4号
進化のゆくえ
曲がり角のコンビニエンスストア

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2006 58 商業統計によると、日本全体のコンビニエン スストアの総売上高は約七・三兆円(二〇〇四 年)だった。
小売業の総売上高は一二八兆円だ ったから、コンビニは全小売りの五・七%を占 めていることになる。
二〇〇五年のシェアは 六%程度に上昇したものと推測される。
二〇〇一年からの三年間で、コンビニの総売 上高は四四三〇億円増加した。
これに対して、 小売業の総売上高は約八・七兆円減少しており、 消費不況が続くなかでコンビニが健闘している ことが分かる(図1)。
この業界は?システム小売業〞と言われるほ ど、ITや物流などの仕組みが重要なカギを握 っている。
成長のためには高度なシステム構築 小売業界で高まる存在感 小規模零細店の近代化モデルとして急成長し てきたコンビニエンスストアは、いま転換期に ある。
フランチャイズ本部の業績には以前の力 強さがない。
一店舗当たりの平均売上高(日 販)も伸び悩んでいる。
FCオーナーの不満は 本部の高収益構造へと向かい、取引先からも悲 鳴が聞こえはじめた。
このような問題を包含しつつも、コンビニが すでに欠かせないライフラインになっているこ とも事実だ。
多くの人たちにとってコンビニは、 なければ生活に支障をきたすほど重要な役割を 担うまでになっている。
が不可欠なだけに、スーパーマーケット などのように多くの 中堅企業がひしめく 業界構造にはなって いない。
極めて少数 の企業によ る競争と なっている。
とりわけセブン ― イレブン・ジャパン、 ローソン、ファミリ ーマートの上位三社 への集中が進んでい る。
三社の合計売上 プリモ・リサーチ・ジャパン 鈴木孝之 代表  第19回 曲がり角のコンビニエンスストアフランチャイズビジネスの手本とされてきたコンビニエンスストア の経営が曲がり角を迎えている。
チェーン本部の高収益構造が続く裏 側で、収入の低下にあえぐ店舗や取引先の不満がつのっている。
強さ に隠されて見えづらくなっている変化を、最大手のセブンイレブンの 状況を中心に解説する。
図1 小売業界におけるシェア&業界内シェア (単位:10億円) (注)商業統計より作成 ※セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート コンビニエンスストア 業界売上店舗数 総小売売上 コンビニのシェア(%) A÷B コンビニ上位3社※売上計 上位3社のシェア(%) A B C 2001年 2002年 2003年 2004年 6,846 6,980 7,096 7,289 36,113 37,083 37,691 38,621 136,808 131,413 128,871 128,092 5.0 5.3 5.5 5.7 4,168 4,299 4,439 4,585 62.4 62.8 63.6 64.6 59 APRIL 2006 高がコンビニ全体に占める割合は、着実に上昇 傾向にある。
二〇〇四年度は六四・六%だった のが、二〇〇五年度には六五%に達した模様だ。
小売業界全体を見渡したときの存在感も高ま る一方だ。
コンビニの売り上げを示す数字は二 種類ある。
「会社四季報」などに載っている「営 業収入」は、直営店の売上高に、フランチャイ ジー(加盟店)からのロイヤリティ収入を加え たものだ。
利益率や経費率などを算出するとき には、この数字を分母にする。
もう一つの数字は全店売上高だ。
これは他の 小売業と同様の基準 で算出する数字で、当然の ことながら「営業収入」よりずっと大きくなる。
この全店売上高を見ると、セブンイレブンの約 二兆四四〇〇億円は、イオン(単体)やイトー ヨーカ堂をはるかに上回る日本最大の小売業で あることが分かる。
コンビニ業界で二位のロー ソンもダイエーより大きいし、三位のファミリ ーマートも西友やユニーより大きい( 図2 )。
コンビニの一つひとつの店舗は小さいが、チ ェーン全体の売 上 高 は 大 き い 。
いわば小売業界の ?小さな巨人〞 とでも表現すれ ばイメージしや す い だ ろ う か 。
さらにコンビニ の取扱アイテム 数が約三〇〇〇 しかないことも 重要なポイントだ。
このアイテ ム数はスーパー マーケットや総 合量販店の十分の一 程度に過ぎず、コンビニの 単品販売力の強大さを端的に示している。
時代とともにシフトする中心客層 日本フランチャイズチェーン協会の調査によ ると、コンビニで扱っている商品群のうち二〇 〇五年に構成比が最も大きかったのは日配食品 で、全体の三五・五%を占めた。
続いて加工食 品三二・八%、非食品二六・三%、サービス 五・四%となっている。
これを一九九九年と比べると、最大部門の日 配食品の構成比が微増なのに対し、加工食品は 二・八ポイントも低下している。
その一方で、 非食品とサービスの構成比が高まっており、と くにサービスは一・七ポイント上昇している ( 図3 )。
ここでいうサービスとは、料金収納業 務やATM関連、コピー、宅配便の取扱などだ。
顧客ニーズの変化 に応じてサービス領域のビジ ネスを積極的に取り込んできた結果といえる。
コンビニの商品構成の変化を、最大手のセブ ンイレブンで見てみよう( 図4 )。
前掲の分類 とは少し異なるが、取扱商品の変遷を垣間見ら れるはずだ。
二〇〇一年二月期からの五年間で、 加工食品とファーストフードの構成比が低下し、 その一方で日配食品と非食品の構成比が高まっ ている。
なかでも非食品が一・一ポイント上昇 している点に注目したい。
ここには各種サービ スと雑誌が含まれているのだが、セブンイレブ ンが日本最大の売上規模を誇る書 店であること は、関係者の間では有名な話だ。
このような商品構成の変化は、来店客層の変 化と表裏一体の関係にある。
セブンイレブンの 年齢別客層は過去一〇年余りで大きく変化して きた。
九三年二月期には二〇 才台の客層が圧倒的に多く全 体の三六%を占めていた。
こ れに二〇才未満が二十二%と 続き、三〇才未満だけで全体の五八%にも達していた。
こ の当時のコンビニの中心客層 は大半が若年層だった。
これに対して、十二年後 の二〇〇五年二月期には、 最大の来店客層はやはり二 〇才台の二九%だが、これ セブンイレブン (イオン) ( イトーヨーカ堂) ローソン (ダイエー) フ ァミリーマート (西友) (ユニー) サークルKサンクス ( ライフコーポレーション) (イズミ) ミニストップ デイリーヤマザキ エ ーエムピーエム セ イコーマート ポプラ スリーエフ 順位 1 − − 2 − 3 − − 4 − − 5 6 7 8 9 10 2,440,853 (1,830,282) (1,473,583) 1,329,077 (1,308,149) 998,491 ※(731,848) (713,826) 700,094 (386,732) (349,083) 252,708 245,337 175,000 151,594 125,475 110,131 図2 コンビニ全店売上高ランキング ※04年12月期 会社名 2005年2月期売上高 (単位:百万円) 31.5 32.1 31.3 30.8 30.9 30.3 30.2 30.3 29.9 29.3 12.5 12.5 12.8 13.0 13.0 25.7 25.2 25.6 26.3 26.8 図4 セブンの商品別売上構成比 加工食品 ファーストフード 日配食品 非食品 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 (%) ) 図3 コンビニ業界の商品別売上構成の推移 日配食品 加工食品 非食品 サービス 年 構成比 増減 構成比 増減 構成比 増減 構成比 増減 資料:日本フランチャイズチェーン協会 (%) 1999 35.4 +5.6 35.6 +1.4 25.3 +11.8 3.7 +9.1 2000 35.8 +3.5 34.5 +3.1 25.4 +5.8 4.3 +9.0 2001 35.1 +1.7 34.7 +2.6 25.3 +2.6 4.8 +7.5 2002 35.4 +2.2 34.3 +0.0 25.2 +3.0 5.2 +4.2 2003 35.7 +2.0 33.5 ▲0.4 25.7 +4.5 5.2 ▲0.4 2004 35.1 +1.6 33.8 +3.8 25.8 +5.8 5.4 +0.7 2005 35.5 +2.2 32.8 ▲2.0 26.3 +3.9 5.4 +1.9 「増減」は販売額の前期比 APRIL 2006 60 金収納業務は今後、さらに拡大していくと見ら れている。
セブンイレブンにおけるATMの導入状況は、二〇〇五年二月期で全体の約八九%の九六五 二店となっている。
ローソンも四四%で導入済 みだ。
最終的にはほぼ全店に導入するであろう ことを考えると、銀行の窓口業務がかなりコン ビニにシフトしつつあることが分かる。
このことはコンビニの銀行事業への進出の可 能性を示唆している。
実際、セブンイレブンは すでにセブン銀行(旧アイワイバンク)を設立 済みだ。
当面は決裁に限定して業務を手掛ける が、今後の事業展開が注目されるところだ。
セブンの高収益体質と企業間格差 現在、コンビニチェーンで上場している企業 は七社あるが、最大手のセブンイレブンの一強 構造がますます顕著になっている。
二〇〇五年 二月期の決算では、下位企業の不安定な業績が 目立った( 図7 )。
全店売上高または営業総収 入を見ると、期中に合併したサークルKサンク スを除けば、いずれも一桁の伸び率となってお り、もはや一時期のような拡大期は過ぎている ことが分かる。
本業の実力をあらわす営業利益の伸び率も同 様だ。
ところどころに二桁の成長率も見られる ものの、これは前期の落ち込みか らの回復や合 併といった特殊要因による。
すでに巨大化して いるセブンイレブンが一桁成長なのは納得でき るが、他のチェーンも含めたコンビニ業界全体 に続くのは三〇才台と五〇才 以上だ。
二〇才未満の客層の 比率は、もはや十三%に過ぎ ない。
セブンイレブンの中心 客層は、この一〇年余りで若 者から中高年層へと大きくシ フトしてきた ( 図5 )。
この変化はまさに、平均年 齢が上昇している日本の人口 構成と一致する。
つまりセブ ンイレブンは、人口動態に応 じて客層をシフトしてきたの である。
品揃えの工夫や、A TMや料金収納業務などに代 表されるサービス業務を拡大 してきた結果、いまやコンビ ニは中高年を含む幅広い年齢 層の人たちが利用するように なっている。
なかでも料金収納業務は、 セブンイレブンの客層拡大に 大きく貢献した。
取扱件数、 取扱金額とも一貫して二桁増 が続いており、二〇〇五年二 月期の取扱金額は一・七兆円 弱( 図6 )。
こ の 巨 額 の 金 の 流れは、過去には銀行や郵便 局を経由していたものが、セ ブンイレブンの店頭へと移っ たものだ。
コンビニによる料 が低成長時代に突入していることを、しっかり と認識しておく必要があるだろう。
各社の業績を検討していて否応なく目につく のは、セブンイレブンの存在感の大きさだ。
同 社の全店売上高はローソンとファミリーマート の合計より大きい。
純利益にいたっては、ロー ソンを含む六社合計の二倍近くを一社だけで叩 き出している。
セブンイレブンの単体の営業利 益九二九億円は、日本国内の小売業のなかでも 取扱件数(千件) 前期比増(%) 取扱金額(百万円) 前期比増(%) 図6 セブンイレブン料金収納業務の推移 98/2 99/2 00/2 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 54,353 69,501 86,068 104,517 125,712 144,429 166,994 195,525 ー +27.9 +23.8 +21.4 +19.8 +14.9 +15.6 +17.1 396,993 503,053 640,451 809,588 990,130 1,154,119 1,390,474 1,681,775 ー +26.7 +27.3 +26.4 +21.8 +16.6 +20.5 +20.9 20歳未満 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50歳以上 図5 セブン年齢層別・来店客数の構成比 22 22 15 13 36 35 34 29 18 18 22 22 12 12 12 14 12 13 17 22 93/2 97/2 01/2 05/2 (%) 2,440,853 1,329,077 998,491 700,094 252,708 125,475 110,131 +4.2 +3.4 +4.6 +45.7 +2.8 ▲ 2.9 ▲ 1.3 467,233 239,534 173,370 134,843 53,717 56,547 28,701 +4.9 +3.6 +6.7 +45.1 +0.8 +0.7 ▲ 6.5 174,365 42,220 28,646 18,834 7,848 3,116 1,690 +4.5 +11.0 +5.1 +34.2 +7.2 +0.3 +19.7 176,070 42,237 29,883 18,069 8,347 3,035 1,778 +4.2 +12.2 +5.8 +43.2 +7.3 ▲ 5.3 +26.6 92,891 20,585 12,961 9,627 3,712 1,025 707 +1.5 +8.2 ▲ 5.5 +58.2 +6.3 ▲ 15.4 − 図7 上場コンビニエンスストア 2005年2月期業績 (単位:百万円) 単体 単  体 連  結 全店売上高 前期比増減(%) 営業総収入 前期比増減(%) 営業利益 前期比増減(%) 経常利益 前期比増減(%) 純利益 前期比増減(%) 連結 営業総収入 前期比増減(%) 営業利益 前期比増減(%) 経常利益 前期比増減(%) 純利益 前期比増減(%) 502,516 254,395 252,900 176,843 101,827 71,891 28,764 +6.0 +3.6 +10.4 +4.3 +27.3 +0.8 ▲ 6.5 170,729 42,941 30,868 24,384 7,154 2,781 1,734 +3.0 +12.7 +6.1 +8.7 +0.2 ▲ 3.8 +18.0 178,208 42,322 31,736 23,625 7,552 2,864 1,823 +4.8 +15.8 +5.2 +19.9 +0.9 ▲ 4.6 +24.9 96,330 20,435 12,623 12,654 2,693 1,273 720 +3.4 +10.0 ▲ 8.4 +65.4 ▲ 12.2 +18.0 − セブンイレブン ローソン ファミリーマート サークルK サンクス ミニストップ ポプラ スリーエフ 61 APRIL 2006 トップだ。
営業利益が他社に比べて大きいのは、利益率 が圧倒的に高いためだ( 図8 )。
まず、売上総 利益率(粗利率)は、ローソンもファミリーマ ートも二八%に達していないのに、セブンイレ ブンは三〇・七%と最も高い(二〇〇五年二月 期)。
営業総利益率から販管費(経費)率を差 し引いた営業利益率も三七・三%で、ローソン やファミリーマートの二倍を超える水準。
純利 益率もローソンやファミリーマートより約十二 ポイントも高い。
次にセブンイレブンの高利益率構造の原点で ある、売上総利益率の推移に目を移してみよう。
九五年二月期に二九 ・六%だったのが、二〇〇 五年二月期には三〇・七%まで一〇年間で一・ 一ポイント改善している。
これを部門別に見ると、また別の姿が見えて くる。
同じ一〇年間で、セブンイレブンの加工 食品の売上総利益率は四・九ポイント、ファー ストフードは一・一ポイント、そして日配食品 は四・〇ポイント改善している。
加工食品と日 配食品の数値が大幅に改善しているのに、なぜ 全体としては一・一ポイントの改善幅にとどま っているのかという疑問がわく。
その答は非食品部門にある。
この部門の売上 総利益率は過去一〇年間で、二五・三%から 二一・八%まで三・五ポイントも下落している。
これが加工 食品や日配食品の改善の成果を食っ てしまい、全体としては一〇年間で一・一ポイ ントという穏やかな改善になっている。
言い換 えると、セブンイレブンの非食品部門を除く粗 利益率は、大幅に改善している。
では、なぜセブンイレブンは、全体の粗利益 率を低下させる非食品部門を拡大してきたのだ ろうか。
それは、料金収納業務やATMなどは、 粗利益率こそ低いが、客層の拡大につながるか らだ。
実際、サービス業務の拡大によって、同 社が中高年層の取り込みに成功してきたのは先 に述べた通りだ。
増収幅と店舗数にみる変化の兆し 繰り返しになるが、コンビニという業態は既 に成熟期に入っている。
過去二五年にわたるセ ブンイレブンの全店売上高の推移を見ていくと、 そのことを実感できる。
八〇年代初めには毎期、全店売上高を四、五 〇〇億円ずつ拡大し、この拡大幅は年を追うご とに大きくなっていった。
最も売り上げを伸ば したのは九一年二月期で、一五〇〇億円以上を 拡大。
つまり、この一年間だけで中堅スーパー マーケットのヤオコーの年商を上回るほど成長 したことになる。
結果として、セブンイレブンの全店売上高は 二五年間で約二二倍に膨れあがった。
それでも 成長率となると、二桁成長を記録したのは九三 年二月期が最 後になった。
以降は母数が大きく なったこともあり一桁成長に減速し ている。
ここで言うコンビニチェーンの全 店売上高には、新店の売り上げも含まれている。
あえて既存店売上だけ の推移を見てみると、コンビニを取 り巻く環境の変化をさらに実感でき る(図9)。
日本フランチャイズチ ェーン協会の調査によると、九八年 から二〇〇五年までの七年間で既存 店売上が前年を上回ったのは一九九 九年のみ。
それ以外は前年割れした。
現状では、既存店売上の減少傾向が 単  体 連  結 セブンイレブン ローソン ファミリーマート サークルK サンクス ミニストップ ポプラ スリーエフ 30.6 80.4 42.9 37.5 37.9 20.5 − 76.5 41.6 34.9 35.9 19.6 30.7 81.0 43.7 37.3 37.7 19.9 − 76.2 42.2 34.0 35.5 19.2 27.2 79.3 62.8 16.5 16.3 8.2 26.8 79.6 64.1 15.5 14.9 7.6 27.6 80.7 63.1 17.6 17.6 8.6 27.4 81.6 64.7 16.9 16.6 8.0 27.9 85.1 68.3 16.8 17.4 8.4 19.8 69.5 56.8 12.7 13.2 6.0 27.9 83.7 67.3 16.5 17.2 7.5 18.5 66.6 54.4 12.2 12.5 5.0 24.2 71.6 56.5 15.1 13.6 6.6 23.9 68.4 55.6 12.8 11.3 4.9 23.9 73.0 59.0 14.0 13.4 7.1 23.8 72.3 58.9 13.4 12.8 6.8 25.8 68.2 54.5 13.7 14.6 6.6 − 50.9 41.9 9.0 9.4 3.8 25.8 70.0 55.4 14.6 15.5 6.9 − 45.5 38.5 7.0 7.4 2.6 16.2 28.3 22.8 5.5 5.7 2.2 18.1 27.1 23.1 4.0 4.2 1.5 17.6 29.0 23.5 5.5 5.4 1.8 18.7 27.5 23.6 3.9 4.0 1.8 26.3 57.3 52.7 4.6 4.6 ▲1.7 26.3 57.4 52.6 4.8 4.7 ▲1.7 26.1 60.7 54.8 5.9 6.2 2.5 26.1 60.8 54.8 6.0 6.3 2.5 売上総利益率 営業総利益率 販管費率 営業利益率 経常利益率 純利益率 売上総利益率 営業総利益率 販管費率 営業利益率 経常利益率 純利益率 図8 上場コンビニ7社の利益率・経費率 (%) 04/2 05/2 04/2 05/2 04/2 05/2 04/2 05/2 04/2 05/2 04/2 05/2 04/2 05/2 図9 コンビニ業界全体の既存店売上伸長率  資料:日本フランチャイズ協会 ▲ 0.9 +0.8 ▲ 1.0 ▲ 1.7 ▲ 1.8 ▲ 2.1 ▲ 0.7 ▲ 2.2 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 (対前期比%) APRIL 2006 62 大きい。
ローソンの二〇〇三年二月期は、閉店 数が出店数を上回ったため一○九店の減少とな った。
同様にファミリーマートも、二〇〇二年二月期に大きく減速している。
こうした変動は 不採算店舗の閉鎖に伴って発生している。
セブ ンイレブンが安定しているのは、ローソンやフ ァミリーマートに比べて不採算店が少ないため で、店舗の販売力の差がこのような数字となっ てあらわれているのである。
店舗の純増数を出店と閉店に分解すると、そ うした実態がよく分かる( 図 11 )。
この場合の 閉店数には、フランチャイズ契約の満了に伴う ものも含まれているが、セブンイレブンの閉店 数は 、おおむね三〇〇店前後で安定している。
これに対して、ローソンは三社の中で毎期とも 一番閉店数が多い。
ファミリーマートは二〇〇 二年二月期の閉店数が多かったために、この期 の極度の落ち込みが理解できる。
閉店数のピークからは、不採算店の処理に取 り組んだ時期がうかがえる。
あえて順番をつけ ると、ファミリーマートの二〇〇二年二月期が 最も早く、次いでローソンの二〇〇三年二月期。
そして最も遅いのがセブンイレブンの二〇〇五 年二月期となっている。
ただし、二〇〇五年二 月期の閉店数が三社揃って増加していることか らは、不採算店の処理がまだ残っているのでは という懸念が生じ、気にな る点ではある。
いずれにしても、今後も過去五年間のように セブンイレブンの店舗の純増が突出する状態が 続けば、コンビニにとって最大の武器である店 長期化している。
これをセブンイレブン、ローソン、ファミリ ーマートの個別企業で見ても、ファミリーマー トが二〇〇五年にプラスになった以外は、マイ ナスが並んでいる。
ファミリーマートの場合も、 前年の大幅な落ち込みからの回復でプラスにな ってはいるものの、トレンドが減収傾向にある のは同じだ( 図 10 )。
次にセブンイレブンの国内店舗数の推移を、 同じく八〇年以降の二五年間について見ていく。
二〇〇五年二月期の店舗数は一万八二六店で、 この二五年間で店舗数は約一 四倍に増えた。
最 初の三年間の増加ペースは二〇〇店舗程度だっ たのが、八三年二月期からは毎期三〇〇店台の 増加となり、九三年二月期からは四〇〇店台、 そして二〇〇三年二月期からは五、六〇〇店台 と段階的に増加幅を拡大してきた。
これをローソンやファミリーマ ートの店舗増と比較すると、セブ ンイレブンの店舗数の伸びが突出 していることが分かる。
直近五年 間だけをみても、セブンイレブン の増加数は後続二社より一貫して 多く、その一方で閉店数が少ない。
ローソンとファミリーマートの店 舗の純増数を合計しても、セブン イレブン一社の純増数に及ばない。
さらにセブンイレブンの店舗増 加が 安定しているのに対し、ロー ソンとファミリーマートは変動が 舗数でローソンやファミリーマートとの格差は 拡大する一方ということになる。
そうなればセ ブンイレブンの一強構造は、ますます決定的に ならざるをえない。
この状況に歯止めをかけるには、もはやローソンやファミリーマートを軸 とする統合以外には手がないかもしれない。
続いて、セブンイレブンの期末店舗数を、契 約形態(タイプ)別に分類してみる( 図 12 )。
こ の推移をみると、オーナーが店舗物件を持って フランチャイズ店に加盟する店舗(Aタイプ) の構成比が低下傾向にあることが分かる。
セブンイレブンのフランチャイズ店は、当初、 商店を経営する人たちを対象としていた。
これ がAタイプと呼ばれる店舗のベースになった。
二 〇〇一年二月期には全体の店舗数の六一% だったのが、二〇〇五年二月期には四九%に減 っている。
この四年間でAタイプの店舗数はわ 図10 上位3社の既存店売上伸長率の推移 2002 2003 2004 2005 セブンイレブン ローソン ファミリーマート ▲1.3 ▲0.2 ▲0.6 ▲0.7 ▲1.6 ▲1.9 ▲2.5 ▲0.3 ▲1.2 ▲0.5 ▲2.9 +1.2 (対前期比%) 図11 大手3社の出店・開店数の推移 セブンイレブン純増数 ローソン純増数 ファミリーマート純増数 ※出店501+合併164=665 02/2 03/2 04/2 05/2 458 630 613 523 +730 +930 +904 +904 ▲272 ▲300 ▲291 ▲381 51 ▲109 196 256 +601 +502 +625 +711 ▲550 ▲611 ▲429 ▲455 12 306 177 224 +515 ※+665 +456 +532 ▲503 ▲359 ▲279 ▲308 出 店 閉 店 出 店 閉 店 出 店 閉 店 5,222 5,211 5,213 5,237 5,249 (61%) (58%) (54%) (51%) (49%) 2,979 3,384 3,768 4,316 4,799 148 189 312 285 255 253 276 397 465 523 8,602 9,060 9,690 10,303 10,826 図12 セブンイレブン契約形態別店舗数の推移(国内) 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 Aタイプ (構成比) Cタイプ 経営委託 直営店 合 計 (注)Aタイプ:FCオーナーが店舗物件を用意 Cタイプ:セブンイレブン本部が店舗物件を用意 63 APRIL 2006 ずか二七店しか増えていない。
同時期に全体の店舗数が二二二四店増えたこ とを考えると、最近のセブンイレブンは本部が 物件を用意する店舗(Cタイプ)ばかりを増や していることが分かる。
実際、Cタイプの構成 比は二五%から四四%へと上昇している。
聞こえてくるタメ息と悲鳴 コンビニの実力を評価するときの最も重要な 指標は、店舗当たりの平均日販の推移だ。
現在 の平均日販はセブンイレブンが最も大きく、ロ ーソンとファミリーマートは、それぞれセブン イレブンの七六%と七四%という水準にある。
もっとも近年は、セブンイレブンの日販の減少 傾向に歯止めがかからない。
他方、セブンに少 しでも近づきたいローソンとファミリーマート も伸び悩んでいる( 図 13 )。
それでも長期的にみると、セブンイレブンの 日販は八〇年二月期の四 三万六〇〇〇円から、二 〇〇五年二月期の六三万 九〇〇〇円へと四半世紀 で一・五倍近くに拡大し ている。
最も伸び幅の大 きかった九一 年二月期に は、前期比六万五〇〇〇 円も増えた。
セブンイレ ブンの日販のピークは九 三年二月期の六八万二〇 〇〇円で、これと比較す ると二〇〇五年二月期は四万三〇〇〇円低く なっている。
セブンイレブンの日販の拡大は、九三年二月 期をピークに減速し、二〇〇〇年以降は減少傾向に転じた。
業界を代表する企業のこうした変 化は、コンビニ業界全体が曲がり角に差し掛か ったことを早くも示唆していたといえる。
現在、コンビニを取り巻く経営環境はさらに 様変わりしつつある。
その一つは、店舗数の増 加による競争の激化と、平均日販の減少傾向が 止まら ないことに起因している。
もう一つは、 新たな競争要因として、生鮮コンビニなどの新 業態が求められているという事情がある。
このような変化の背景には、高齢化によって 消費の主役が若者から中高年にシフトし、新業 態に対する都市生活者のニーズが増大している ことがある。
また、上質志向を強める消費の新 しい潮流も見逃せない。
転換期のコンビニが取り組むべき課題はいく つかあろう。
都市生活者向け生鮮コンビニの業 態確立は、最も重要な課題といえる。
調剤薬局 を併設したドラッグストアとコンビニの結合業 態への期待も大きい。
健康志向型、女性向けの コンビニも注目される。
コンビニの本部は、消 費の変化に対応するために、これらの新業態の 開発に取り組む必要がある。
フランチャイズビジネスでは、加盟店の収入 が減少傾向をたどりはじめたとき、それまでは 表面化しなかった多くの問題が顕在化すること が多い。
平均日販の減少が、FCオーナーの収 入の減少に直結するからだ。
最近、コンビニ関係者のうち、二つの方角か らタメ息と悲鳴が聞こえてくるようになってい る。
一カ所はFCオーナーから、もう一カ所は ベンダーと呼ばれる取引先からだ。
その声は 年々、大きくなっているように筆者には感じら れる。
以前から一部に渦巻いていた単なる不満 としては、もはや片付けられないレベルになり つつあるようにみえる。
FCオーナーや取引先の目には、自らの厳し い状況に比べて、本部の高収益構造がバランス を欠いているように映っている。
パートナーシ ップを前提とするFCビジネスにとって、この ような声の増加は望ましい話ではない。
コンビ ニ業界の盟主であるセブンイレブンのFC契約 は日本のフランチャイズビジネスの手本にもな ってきた。
いま改めて、関係者の声にきちんと 耳を傾けることを求められている。
661 656 647 639 ▲ 14 ▲ 5 ▲ 9 ▲ 8 489 489 484 488 +3 ±0 ▲ 5 +4 471 474 464 473 − +3 ▲10 +9 図13 店舗当り平均日販の推移 セブンイレブン 増 減 ローソン 増 減 ファミリーマート 増 減 02/2 03/2 04/2 05/2 (単位:千円) (すずき・たかゆき)東京外国語大学卒業。
一九六八年 西友入社。
店長、シカゴ駐在事務所長などを経て、八九 年バークレーズ証券に入社しアナリストに転身。
九〇年 メリルリンチ証券入社。
小売業界担当アナリストとして 日経アナリストランキングで総合部門第二位が二回、小 売部門第一位が三回と常に上位にランクインし、調査部 のファーストバイスプレデント、シニアアナリストを最 後に二〇〇三年に独立。
現在はプリモ・リサーチ・ジャ パン代表。
著書に『イオングループの大変革』(日本実業 出版社)ほか。
週刊誌などでの執筆多数。

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