ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年5号
SOLE
SOLE日本支部フォーラムの報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MAY 2006 88 加工・検品・仕分け・出荷といった物流拠点機能をSRCに集約して一 括受託することにより、横持ちの削減が図られ、日々の業務における輸 送回数は減少する。
これによって環境への負荷をすくなくすることが可 能であるため、グリーン物流のモデル事業にもなっている。
5. ロジスティクス・バリュー 物流受託ビジネスの特徴は、お客様のビジネスに合わせて、実にきめ 細かく設計された庫内業務にある。
例えば、アパレルの製造小売業 (SPA)から受託している業務では、店舗からの返品商品を検査・修理 し、次回の再出荷(次のシーズン)までの保管と、再出荷の際の値札付 け・タグ付け、アイロン掛けなどの細かい流通加工を、高い精度で行っ ている。
このようなファッション製品の返品物流業務は、取り扱い品目 が多く、また時期によって流通加工作業や保管量の変動が大きい。
さら に、一品ごとに独自の細かい作業が要求されるため、センター作業の管 理は難しい。
こうした作業と保管管理を支えているのが、携帯端末を活用した独自 開発の情報支援システム(S‐WMS: Standard Warehouse Management System)である。
S‐WMSでは、受託実績のある複数の庫内 業務をもとに、WMSとして求められる管理要件を網羅した500以上の業 務モジュールを構築している。
これらを組み合わせることにより、お客 様ごとの要請に応じてカスタマイズできるWMSだ。
これによって佐川 物流サービスは、単なる庫内作業の受託ではなく、流通加工を中心にお 客様のロジスティクスを最適化するソリューションを提供している。
6. 柔軟性の高いセンター運営 センターを見学した印象として、ハード中心の過度の自動化を回避し て、人的な作業を中心とする極めて柔軟性の高いセンター運営がなされ ていることを感じた。
しかし、それを支えている情報システムと作業方 法には現場の知恵がふんだんに取り入れられており、非常によく練りこ まれたシステムになっていた。
こうしたロジスティクスセンター・システムの進化を担っているのは、 現場の専任スタッフと質の高いパートである。
パートの活用においては、 現場の業務を共通要素で分類し、作業者の経験が活かされるようなきめ 細かい要員配置が行われており、作業者の技能が高められる仕組みとな っている。
このような質の高い労働力の確保と育成がビジネスの基盤に あることは間違いない。
7. さらなる方針 今後は、センターの日常業務をこなす過程で得られる詳細な作業デー タや保管・出荷データを自在に分析して、お客様の経営に活かせる情報 提供をさらに進めていく方針だという。
これによってお客様のロジステ ィクス戦略との連携を強めて業務受託を拡大し、SGホールディングス全 体のビジネスの拡大に貢献していくことを目標としている。
8. 見学を終えて ロジスティクスは、通り一遍の原則的な仕組みだけでは機能しないケ ースが多い。
業務の実態に即して、現場の知恵を活かす、競争力のある 3PLの一つの典型を見ることができた。
2006年5月度のフォーラムは5月17日に、電子タグ(RFID)研究の第 3段として、「メディカル市場・加工食品市場の電子タグ利用の取り組 み」について、社団法人日本自動認識システム協会・医療自動認識委 員会の白石裕雄委員長の講演を予定している。
このフォーラムは年間計画に基づいて運営しているが、単月のみの参 加も可能。
1回の参加費は6,000円。
ご希望の方は事務局までお問い合わ せください。
(SOLE Japan 事務局:sole-j-office@cpost.plala.or.jp) SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE日本支部フォーラムの報告 SOLE日本支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティクス 技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、議論 を行い、会員相互の啓発に努めている。
シリーズ第5回として開催した3月のフォーラムは、3PL現場に焦点 を当て、佐川物流サービスの3PLセンターである東京SRC(Sagawa Ryutsu Center)を見学した。
今回はその概要を紹介する。
1. 会社概要 佐川物流サービスは、佐川急便を中核とするSGホールディングス (2006年3月に持株会社へ移行)の国内法人の1社。
全国に57カ所(約 22万坪)の拠点と、従業員790人(平成18年3月現在)を抱えている。
平成18年度の売上高は664億円を予定していて、単体売上高の規模で は業界の中堅に位置する。
自前プラス賃貸の物流センターを中核にし たレベルの高い流通加工サービスや、パフォーマンスの優れたWMS機 能をお客様に提供している、評価の高い企業である。
2. CLPコンセプト  「はい!! 何でもやります。
すべてSRCが解決します。
365日、24 時間!」 佐川物流サービスは?お客様の経営的視点から、お客様に最適なロ ジスティクス・ソリューションを提供″をCLP(コントラクト・ロジ スティクス・プロバイダー)としてのコンセプトとしている。
これはお 客様の業種・業態・要望に合わせて、拠点設計・業務代行・WMS構 築を行うことによって、「ワンストップ・ロジスティクス」サービスを 提供することを意図したものだ。
「ワンストップ・ロジスティクス」は、(1)オペレーション(センター運 営一括受託、人材派遣など)、(2)リソース(センター設計・建築、ス ペース提供、グリーン物流など)、(3)バリュー(WMS、輸配送支援、 資材提供、コンサルティングなど)──という3つの柱からなる。
3. ロジスティクス・オペレーション TC型(通過型)、DC型(在庫保有型)、加工型(流通加工型)の3 つのセンターモデル機能で、お客様1社ごとに最適な業務設計・業務 コントロールを提供する。
訪問した「東京SRC」の場合は、2階から上 が在庫保管と流通加工スペースになっており、1階は佐川急便の配送 ターミナルになっている。
上階のスペースはお客様ごとに割り付けら れており、パソコンや携帯電話のパーツ、衣料品、靴などのファッシ ョン製品、医療品機器、通信販売など、実に多様な業種・業態の物 流・商品管理業務を受託している。
4. ロジスティクス・リソース [ロジスティクス・インフラ支援]:佐川物流サービスの拠点配置の 特徴は、複数の物流拠点を一定のエリアに集約的に配置する、いわば 「ドミナント型配置」にある。
例えば、今回見学した東京SRCの周辺には、勝島営業所、大井SRC、 大井南営業所、八潮営業所があり、新たに大田区東海に平和島営業所 (約1万坪)も新設した。
多様な受託業務をこうした物流拠点に取り込 むことによって、センターの稼働率を平準化するとともに、フロアー 間・拠点間でパート労働力の融通を図っているのである。
これらの3PLセンターと佐川急便の特積みトラック輸配送ネットワ ークを組み合わせることにより、柔軟でスピーディーかつ効率的なロ ジスティクス・サービスを実現している。
また、グループ会社の佐川 グローバルエクスプレスと連携して、東アジア中心にこうした拠点網 のグローバル展開を図りつつある。
[グリーン物流]:お客様ごとに、集荷・保管・ピッキング・流通

購読案内広告案内