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JULY 2005 70
■3PLの管理には専任者が必要
業務委託先との関係(リレーションシ
ップ)を管理するのは容易なことではな
い。 リレーションシップ成立までのプロ
セスにおいては、契約、手続き、人材な
ど全ての準備を整え、なおかつ期待する
事項や議論を要する項目を特定しなけれ
ばならない。 時には当初想定していた利
害や目標が変化してしまうこともある。
そうなると必然的に摩擦が生じ、その対
応を迫られることになる。 意見の相違点
がそれほど見られない場合でも、業務委
託先の管理には、専任の担当者を必要と
する。
アウトソーシングの障害
アウトソーシング・コンサルティング
会社のエベレスト・グループは、これま
で多くの企業でプロバイダーとの関係改
善に寄与してきた。 その経験によれば、
関係を悪化させてしまう要因として、以
下のようなことが挙げられる。
●契約開始時に価格とサービスのレベル
だけを決定するにとどまり、通常含ま
れるはずの継続的な改善推進を行うメ
カニズムが決定されていない
●バイヤーとサプライヤーの企業文化が
異なることで、しばしば誤解や不信感
を生み出してしまう。 たとえ互いの企
業文化が相通じる場合でも、両社は根
本的に異なる目標を掲げており、それ
らを調和させることは時にして困難で
ある
●いかなる業務委託契約も、技術、ビジ
ネス条件、人材そのほかの関連事項に
関する特定の前提条件の元に作られる。
契約書に署名するやいなや、そうした
前提条件は変化し始めてしまう。 契約
内容をいかに事細かに定めようとも、
また契約条件がいかに自分に有利なも
のであったとしても、変動しつづける
環境の中で変化を先に見越し、それを
反映させている契約書などほとんどな
い。 このような状況では、両者もしく
はその一方が互いの関係に不満を抱か
ずにはいられない。 柔軟性を欠き、契
約期間の長い契約は、上記のような状
況を生み出しかねない
●いったん契約が成立してしまうと、両
当事者は相互関係を犠牲にしても、よ
り自分に有利な方向に進めようとする
ものである。 柔軟性に欠ける契約書の
内容は、通常はサプライヤー側にとっ
て有利なものとなる
●バイヤーは、しばしばサプライヤーと
のリレーションシップを管理する上で
必要となる時間や労力を過小評価する
傾向にある。 さらに最悪なのは、管理
責任をサプライヤー側に任せてしまう
とことである。 その結果、サプライヤ
ーは自分たちのことを優先して業務を
こなし、サービスレベルは落ちていく
であろう。 つまりこのような状況下で
は、サプライヤーの優先事項とバイヤ
ーの企業目標が一致しないのである
●通常、管理が滞ってしまう原因として
二つ考えられる。 契約交渉に関わった
チームが、その後の契約管理まではタ
ッチできない場合は少なくない。 契約
の趣旨を理解しているか定かでない新
しいチームに管理責任が転嫁されてし
まうのである
●また、以前にアウトソーシングした時
の経緯を知るバイヤー側の担当者が、サプライヤー側に転職してしまうこと
がある。 こうした突発的なことが起き
ると、リレーションシップに悪影響を
及ぼしかねない
■パートナーシップ
VS
アライアンス
「アウトソーシング・ジャーナル」の編
集長を務めるピーター・ベンダー氏によ
ると、業務委託関係論におけるパートナ
3PLのリレーションシップ管理《基礎編》
クリフォード・F・リンチ
米C・F・リンチ&アソシエーション
社長
物流アウトソーシングを上手に活用するには荷主企業側にもスキル
が必要だ。 荷主は3PLと、どのような関係を結ぶべきか。 3PLの
パフォーマンスはどうやって把握し、評価すれば良いのか。 斯界のス
ペシャリストが豊富な経験を元に解説する。
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