ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年7号
大学院体験記
どんなクラスを取ってるの?

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JULY 2006 78 どんなクラスを取ってるの? 日本 米国 2人の大学院生活も3学期目に入りました。
今回は、カリキュ ラムそのものや、現在履修している授業について情報交換。
熱 心に勉学に励む姿勢には、毎度頭が下がります。
(本誌編集部) Y さわちゃんが渡米して9カ月、私も多摩大大学院に入学して 1年3カ月が経ったね。
多摩大大学院は、現代の私塾としてより 実践的なMBA人材を輩出すべく、今年4月からカリキュラムや 授業のバリエーションが更に充実したよ。
S 確かに、大学や大学院が、ビジネス界から求められる姿に変 化していくことは大切だよね。
その意味では、OSU(オハイオ 州立大学)のMBLE(ビジネスロジスティクス工学修士課程) も昨年新設されたばかりのコースだから、新しい試みという意 味では同じだね。
ところで、カリキュラムがどう変わったの? ドメイン制の導入でダブルメジャーも可能に Y 今までは、MBA(経営戦略コース)・CRO(総合リスクマ ネジメントコース)・CLO(ロジスティクス経営コース)の3 つのコースに分かれていたの。
それが、学生の多様な問題意識 に対応するために、5つのドメイン(分野)制になったんだ。
専門をまたいでドメインを行き来できるようになって、ドメ インごとの必須単位を取得し、修士論文も認められれば、ダブ ルメジャーとして複数の修士号取得も可能になったの。
S ずいぶんフレキシブルになったんだね。
OSUのMBAでメジャ ー(専攻)があるのと一緒だね。
どんなドメインがあるの? Y 「マネジメント」、「ファイナンス・リスクマネジメント」、「マ ーケティング」、「サプライチェーンマネジメント」、「情報デザ イン・ナレッジ」の5つ。
多摩大大学院が今回取り入れたドメ イン制は、まさにMBAの専攻として位置づけられているよ(80 〜81ページ表1参照)。
さらに、講師陣も、以前にも増して多数の現役ビジネスパー ソンを客員教授として迎え、アカデミックなバックグラウンド 第8 回 Yuki Sawako Yuki Yuki Sawako 79 JULY 2006 の教授と、ビジネスのバックグラウンドの教授のバランスがよ り良くなったと思う。
S 今回ロジスティクスの分野で新しく加わった客員教授には、 どんな方がいらっしゃるの? Y 「ITロジスティクス論」担当で、日本郵船を定年退職し郵船 情報開発にご在籍の占部嘉昭先生、「SCM産業論」担当で、日 本ロジスティクスシステム協会(JILS)を経て佐川急便SCMコ ンサルタントの浜崎章洋先生、「在庫マネジメント論」担当で、 6月号に出て頂いた東京海洋大学助教授の黒川久幸先生。
S 有名なロジスティクス企業の先輩から、ビジネスの現場に密 着した話が聞けそうでいいね。
ファイナンスや統計の知識も必要 S 私は今学期も、4クラスを履修している。
ビジネス分野から ?「マネジリアル・アカウンティング・フォー・ディシジョン メイキング」と?「マッチング・サプライ・ウィズ・デマンド」 というクラスを、エンジニアリング分野から?「ウェアハウス& ファシリティデザイン(倉庫&設備設計)」と?「スタティステ ィカル・クオリティ・コントロール・マネジメント・システム (統計に基づいた品質コントロール管理システム)」というクラ スを履修しているよ(次ページ表参照)。
Y 前学期(3月号参照)とは全く違う、面白い組み合わせだね。
S うん。
?と?は、MBLEの選択科目ではなく、MBAやMAcc (会計学修士)との混合クラスなのだけれど、学部生の時に履 修した必修科目の代わりに履修しているんだ。
?のアカウンティングでは、ABC(Activity Based Costing: 活動原価計算)や、EVA(Economic Value Added:経済付加 価値)というような、ロジに関連あるトピックも出てくるよ。
ア メリカの会計ルールであるGAAP( General Accepted Accounting Principle)では義務付けされていないけれど企業が 意思決定に役立てている手法を使う。
実務経験の豊富な Professor Mulchandaniは、メトリックス(指標)やコスティン グ方法を熟知している。
Y 専門性が高そうなクラスだね。
実際にアメリカ企業で使われ るメトリックスやコスティング方法の実態を語れる先生の授業 Yuki Yuki Sawako Sawako Sawako Sawako Yuki M&L M&L M&L M&L M&L ISE ISE ISE ISE ISE ISE ISE STAT AMIS FIN FIN FIN M&L M&L MGT MGT CIVIL ISE ISE ISE ISE ISE Logistics Management Analysis and Design of Logistics Systems Logistics Decision Making Principles of Transportation Logistics Software & Technology Mathematical Programming: Linear Introduction to Discrete System Simulation Operations Research Models and Methods Warehouse & Facility Design Seminar Series Planning of Engineering Experiments Stat. Quality Control and Quality Management Applied Regression Analysis Accounting and Cost Analysis Business Finance Corporate Finance Investment Management Field Problems in Logistics Supply Chain Management Strategic Design of Ops./Logistics Systems Ops. Planning and Materials Management Network Algorithms in Transportation Systems Introduction to Applied Decision Analysis Stoch. Proc. Used in Systems Engineering I Sequencing and Scheduling Mathematical Programming: Nonlinear Integer Optimization Methods 必修科目 選択? 選択? 選択? 4 4 4 4 4 3 4 3 4 2 3 3 5 3 4 4 4 4 4 4 4 5 3 3 3 3 3 単 位 数 選択?、?、?はそれぞれ1科目を選択する。
M&L:マーケティング・ロジスティクスデパートメント ISE:産業工学デパートメント STAT:統計学デパートメント AMIS:アカウンティング・マネジメントインフォメーションシステム デパートメント FIN:ファイナンスデパートメント MBLEコースのクラス一覧(45単位) 種別 所属 タイトル JULY 2006 80 戦略的マーケティング マーケティング戦略? ビジネスモデル論? サービス・マーケティング? マーケティング・リサーチ入門 広告論? マーケティング戦略? ビジネスモデル論? サービス・マーケティング? 広告論? e‐マーケティング論 SCM戦略論 SCM概論 SCM環境経営論? SCMーIT論? SCM産業論 在庫マネジメント論 電子商取引論 ITロジスティクス論? ロジスティクス意思決定論 SCM概論 SCM環境経営論? SCMーIT論? SCM組織・人材論 ITロジスティクス論? SCMリスクマネジメント論 SCM企業論 ビジネスロジスティクス理論 MBA(マーケティング) MBA(サプライチェーンマネジメント) MBA(情報デザイン・ナレッジ) 複雑系入門 知識経営論? コンセプト・デザインの方法論 ITビジネス戦略論? ITビジネス戦略論? 情報システム論? 技術経営論? 先端技術論? 経営科学論 データ解析論 情報社会学 人事戦略論 イノベーション論 知識経営論? フューチャー・デザインの方法論 データ分析応用 情報システム論? 技術経営論? 先端技術論? データ通信工学 企業内コミュニケーション 春 秋 春 秋 春 秋 科目名 ? 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 マネジリアルアカウンティング・フォー・ディシジョンメイキング ケースメソッドのクラスで、アサインされたケース(HBS)を グループでディスカッション、計算し授業にて発表するクラス。
MBAとMAcc(Master in Accounting:会計学修士)との 混合クラス。
ディスカッション形式。
ケースにある問題を解決するために、 グループで事前に計算し結果を出し、教授にEメールで送らな ければいけない。
HBSを中心としたコースパケット 毎回の課題、期末試験 本クラスは、MBLEの選択科目ではないが、学部生の時に履 修した必修科目の代わりに履修中。
教授について:Professor Mulchandaniは、自動車業界のサプライヤーでの実務経験 を持っており、メトリックスやコスティングの方法を熟知してい る。
現在、アメリカ経済で問題になっている自動車業界のユニ オン(労働組合)の問題の話も自身の経験をもとに語ってくれ る。
科目名? 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 スタティスティカルクオリティコントロールマネジメントシステム 統計における、パレートチャーティング、ベンチマーキング、P チャート、Xbar & Rなどさまざまな技法を学ぶクラス。
シック スシグマのブラックベルト試験の準備にも応用可能。
客観性 をもって、各場面に即したメソッドを評価し、使用することを習 得する。
工学部学生との混合クラス。
レクチャー Introduction to Engineering Statistics and Six Sigma: Statistical Quality Control and Design of Experiments and Systems (Theodore T. Allen著) ファイナルプロジェクト、クイズ(毎週)、中間試験、期末試験 ファイナルプロジェクト:自己で選択した課題に対して、シック スシグマの方法である、DMAIC(Define, Measure, Analyze, Improve, Control)に従い、必要なチャートを選択しプ ロジェクトをすすめる。
最終的に$2000のセービングが達成 できるプロジェクトの必要がある。
科目名 ? 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 ウェアハウス&ファシリティデザイン MBLEのために新設されたクラス。
テキストに従い、一般的な ウェアハウスデザインやファシリティレイアウトのコンセプトに ついて学ぶ。
並行して、現実のウェアハウスを見学し、そのコ ンセプトの応用を確認し、倉庫を評価する。
また、マテハン、セ イフティ(安全)、レイアウトに精通するゲストスピーカーを呼 び、プレゼンを通して学ぶ。
レクチャー、ゲストスピーカーによるプレゼン、倉庫見学ツアー、 Microsoft Visioのラボなど Facility Planning Third Edition (James A. Tompkins, John A.White,Yayuz A. Bozer,J.M.A.Tanchoco 著), The Time, Space & Cost Guide To Better Warehouse Design Second Edition (Maida Napolitano 著), The Warehouse Management Handbook Second Edition (James Tompkins, Jerry Smith著) グループファイナルプロジェクト、倉庫見学でのクリティーク (批評)レポート、中間試験 講師について:現在Retail Venture Inc. でVice President Supply Chain を務める、Mr. John DiCecco氏が教 鞭をとる。
Retail Venture Inc.は、全米に展開するValue CityやDSW Shoe Storeなどのリテイラーを所有する会社 である。
科目名 ? 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 マッチング・サプライ・ウィズ・ディマンド 企業内やサプライチェーンにおいて、不確実な需要をマネー ジするのに、必要なオペレーションマネジメントのトピック(ニ ューズベンダーモデル、オーダーアップトゥーモデルなど)を 網羅する。
基本的に、2点間での需要、供給にミスマッチコスト 注目し、収益が全体最適となる発注量なども考察する。
MBA との混合クラス。
ディスカッション Matching Supply with Demand: An introduction to operations management Second Edition (Gerard Cachon, Christian Terwiesch著)、コースパケット(HBS) アサインメント(4回)、中間試験、期末試験 本クラスは、MBLEの選択科目ではないが、学部生の時に履修 した必修科目の代わりに履修中。
SawakoがMBLEで3学期目に履修しているクラス 81 JULY 2006 経営戦略論? 情報社会論? ヒューマンリソース論 組織文化? 中小企業論? 経営管理論? 都市・地域マネジメント論? 経営戦略論? 組織行動論 情報社会論? 組織文化? 中小企業論? 経営組織論? 経営組織論? 都市・地域マネジメント論? 経営者論 国際経営論 ファイナンス・リスクマネジメント入門 コーポレートファイナンス? コーポレートファイナンス? リスク経営戦略? ファイナンス数理? 金融・資本市場論? 法と経済? 法と経済? 統合リスクマネジメント総論? 統合リスクマネジメント総論? 会計学総論 グローバリゼーションリスク? グローバリゼーションリスク? 医療リスクマネジメント? 医療経営論? コーポレートファイナンス? コーポレートファイナンス? リスク経営戦略? ファイナンス数理? 金融・資本市場論? 法と経済? 法と経済? 統合リスクマネジメント総論? 統合リスクマネジメント総論? グローバリゼーションリスク? グローバリゼーションリスク? 医療リスクマネジメント? 医療経営論? 会計学セミナー ガバナンスリスク ドメイン郡 MBA(マネジメント) MBA(ファイナンス・リスクマネジメント) 必修科目 選択必修科目 選択科目 ※必修科目はどちらか1科目履修 表1:多摩大学大学院 経営情報学研究科 カリキュラム 春 秋 春 秋 科目名(教授名) 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 Yukiが多摩大大学院で3学期目に履修しているクラス SCM産業論(浜崎章洋) SCMを構築している様々な業界、業種ごとに、ロジスティクス 戦略を分析して、経営学的アプローチや、コンサルティングの 技法を活用しつつ、ディスカッションを通じて、その役割や特徴 を類型化しようという授業。
(企業事例:1.生産財メーカー 
押 消費財メーカー 
魁ゲ掲箒函。
粥ゾ売業 
機ナ流会社 
供ゾ 社) ケーススタディとして、毎回1つの業界を取り上げ、その業界に おける1社もしくは相対する2社が取り上げられる。
それらの 企業が題材になっている雑誌の配布記事や、HPから情報を集 め、グループプレゼンテーションを行う。
財務分析からも比較 対照をする。
プレゼン後、ディスカッションを行う形式 雑誌の企業特集の記事(日経ビジネス・LOGI-BIZ・ダイヤモ ンド・企業講演の資料・業界構造について書かれた本および該 当部分の抜粋・研究会の資料) 毎回グループプレゼンテーション、毎回400字作文の課題、期 末レポート 新設科目。
先生は、タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協 会を経て佐川急便に在籍。
他大学の客員教授も兼務している。
科目名(教授名) 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 在庫マネジメント論(黒川久幸) 決 算書から在庫マネジメントを見る/在庫の定義と役割/経 営から見た在庫マネジメントの差別化/ABC分析・在庫回転 率の演習/販売予測の演習/発注方法の演習/在庫マネジ メントのシステム構築/在庫マネジメント/シミュレーション 講義形式、計算・グラフ作成の実践形式 先生の作成したスライド 期末レポート 新設科目。
サプライチェーンドメインの中で統計的、会計的に ロジスティクスをみていく授業。
先生は東京海洋大学の助教 授でもある。
科目名(教授名) 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 科目名(教授名) 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 ロジスティクス意思決定論(大矢昌浩) ビジネスロジスティクスに関わる重要テーマ(SCM政策・ SCM会計・在庫管理・オペレーション管理・グローバルロジス ティクス・アウトソーシング・最新動向)を毎回取り上げ、ロジス ティクスマネジメントに必要な判断力と匂いに反応する力を 養う。
ディスカッション形式、ゲストスピーチ 随時資料配布 授業積極性 LOGI-BIZ編集長の授業。
日本のロジスティクス市場や環境 を、様々な角度から分析する切り口や、豊富な周辺知識には脱 帽。
授業は最新動向やニュースに敏感に反応している。
法と経済?(宇佐美洋) 経済学の視点から、法律の構造を読み解く学問「法と経済学」 の基礎を学び、制度設計の視点から「法政策学」の基礎を学ぶ。
(法政策学の技法/コースの定理/不法行為法の経済学/契 約法の経済学/財産法の経済学/私有財産の政府収用と規 制/訴訟と和解の経済学) プレゼンテーション、ディスカッション、発表者がファシリテータ 「法政策学」(平井宣雄著)、「法と経済学入門」(小林・神田著) プレゼンテーション能力、積極性 多摩大大学院研究科長。
専門はファイナンス。
国連世界食糧 計画(WFP)の企画担当官等歴任。
一橋大・青山学院大大学院 客員教授。
科目名(教授名) 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 戦略的マーケティング(嶋口充輝) 戦略的マーケティングの全体構造と役割課題を、講義と文献 で示し、各サブテーマに関する諸問題解決を、ケースメソッド によって学ぶ。
現代マーケティングに対して、組織の立場から、 適切な市場問題解決(政策立案・意思決定)ができることが目 的。
グループディスカッション、グループプレゼン、補足講義 KBS(慶応ビジネススクール)ケース  毎回ケーススタディの設問、2回グループプレゼン、期末レポ ート マーケティングのエッセンスの詰まった体系的な学習ができ る授業。
先生は慶応大学大学院教授でもある。
科目名(教授名) 概要 使用テキスト 授業形式 課題 備考 知識経営論(紺野登) 現在、企業の価値の多くは「知識」や「概念」が源泉になって いる。
そこで「知識創造理論−SECIモデル」を軸に、知識経営 の背景と理論、知識経営展開について、事例紹介、事例研究を 行う。
講義/ディスカッション形式、ゲストスピーチ 「知識経営のすすめ」(野中・紺野著)・「戦略経営論」(サロー ナー・ポドルニー他著)・先生の作成したスライド 企業研究を通じ知識経営を自分の文脈に照らして分析するレ ポートと期末プレゼンテーション 先生は、博報堂を経て、現在「コラム」代表、多摩大大学院教授。
ナレッジマネジメントに従事。
JULY 2006 82 は魅力的だね。
S ?は、問題解決法である、シックスシグマのメソッドを用い てDMAIC(Define, Measure, Analyze, Improve, Control)の 各フェーズに基づいたチャートの技術や知識を習得するクラス。
ロジスティクスに直結しているクラスは、?と?。
?のウェ アハウスデザインでは、講師である、Mr. DiCeccoが率いてき た数々のプロジェクトの体験を聞くのが大変興味深い。
トップ マネジメントにプロジェクトを提案する際に必要である、ROI (Return on Investment:投資利益率)やNPV(Net Present Value:正味現在価値)を計算したりと、ファイナンスとの関連 性も学ぶことができるんだ。
Y 新設されたクラスだけあって、いい授業だね。
私も取ってみ たい。
ファイナンスとの関連性を、計算方法と現場見学の両方 から確認できるのは素晴らしいね。
S ?の「マッチング・サプライ・ウィズ・デマンド」では、今 までの在庫理論とは一転して、需要と供給のミスマッチコスト に注目したアプローチを使い、適切な発注量を計算する方法を 勉強する。
もちろん統計の知識は不可欠で、商品の需要の動き に応じ、正規分布とポアソン分布(Sawakoメモ参照)と仮定 し、発注量のほか、売れ残りの量、販売量や収益の試算を行う。
その他、サプライチェーン上のリスクプーリング戦略や、航空 業界で使われるレベニューマネジメント(イールドマネジメン ト)などのトピックも扱うよ。
ところで、ゆきちゃんは今期4月から7月までどんな授業を取 っているの? 違った角度からモノを見る Y 私は今回、6コマの授業を履修していて、うち3コマを「マ ーケティング」、「情報デザイン・ナレッジ」、「ファイナンス・ リスクマネジメント」の各ドメインから取っているよ。
具体的には、KBS(慶応ビジネススクール)のケースを使用 してマーケティングを体系的に学習する「戦略的マーケティン グ」、いわゆるSECIモデル(Yukiメモ参照)をベースに、いろ いろな企業のケースからナレッジマネジメントの手法を学ぶ「知 識経営論」、法律を経営的アプローチで読み解き、法律をつく る時にどのような設計をしたら経済学的に最適か、法を経済学 から見る視点を磨く「法と経済?」。
S 3つとも楽しそうな授業だね。
私も聞いてみたいな。
立場を 変えて、自分がいる場所を再確認することって本当に必要。
思 Yuki Sawako Yuki Sawako Sawako SECIモデル  一橋大学大学院の野中郁次郎教授が、 知識の共有・活用により優れた業績をあ げている「知識創造企業」が、どのよう に組織的知識を生み出しているのかを説 明する為につくったモデル。
組織の中で の暗黙知と形式知のスパイラルを創り出 す知識移転のプロセスを表している。
 「共同化(Socialization)」⇒「表 出化(Externalization)」⇒「連結化 (Combination)」⇒「内面化(Internalization) 」のプロセスの中で、個 人からグループへ、グループから組織全 体へと知識が共有され、最後にはまた組 織全体で共有された形式知が個々のレベ ルで暗黙知として「内面化」される。
 ナレッジマネジメントでは、特に、こ のSECIモデルの「共同化」から「表出化」 にいたるプロセスで必要な場、つまり、 複数の個人が集まるグループ内で個人の 暗黙知が共有され、形式知化が推し進め られる場の形成が重視されている。
参考文献:野中郁次郎・竹内弘高著「知 識創造企業」(東洋経済新報社) Yukiメモ Sawakoメモ 正規分布とポアソン分布  ポアソン分布とは、あるイベントが起 こる確率が小さい時の、その出現回数の 確率分布のこと。
正規分布が、平均と標 準偏差という2つのパラメーターによっ て定められるに対し、ポアソン分布は平 均のみによって定義される。
需要が多い 際には、正規分布、需要が少ない際(例: 1日に0.29個など)にはポアソン分布 に従うと仮定して発注量を計算している。
参考文献:Gerard Cachon, Christian Terwiesch著「Matching Supply with Demand: An introduction to operations management Second Edition」(McGraw-Hill社) 83 JULY 2006 いがけないところで関連性を発見したりと、学習は尽きないよ ね。
ところで、サプライチェーンのドメインの3コマはどのよ うな授業なの? Y 1つは、「SCM産業論」。
メーカー・卸売業・小売業・物流 会社・商社等の企業事例から、SCMを取り巻く業態ごとの特 徴・他社比較・メリット・デメリット・今後の可能性等につい て、毎回グループ発表があるの。
課題は大変だけど、とても自 分の為になるよ。
何より、日本に特有の商習慣や、卸売業の発 達、3PLと物流子会社との違い等、欧米式のSCM理論では割 り切れない日本独特の文化も入ってくるので、とても面白い。
S 日本の独自の文化を踏まえたロジスティクスというのは面白 そうだね。
例えば、SCMを学ぶ上でのリレーションシップの大 切さを考える上でも、自動車業界において日系企業と米系企業 が歴史的にとってきたアプローチは全く異なるものね。
サプライチェーンにおける全体最適と部分最適の話は、MBLE でもいろいろなクラスでディスカッションした覚えがあるよ。
Y さわちゃんは、MBLEの授業には数理的な科目が多いと言っ ていたよね。
2つ目は、今期から多摩大大学院に新設された、数 理的・統計的にアプローチをする、「在庫マネジメント論」。
ロ ジスティクスにおける在庫を、統計学とファイナンス(財務) の双方から分析するクラスなんだ。
ABC分析をはじめ、移動平 均法・指数平滑法・回帰分析・数量化?類等を使用した販売 予測の立て方、正規分布表を使用した安全在庫の計算、補充 点法・ニ棚法・定期発注法・発注点法等を使用した最適発注 量の試算をしたりする授業なの。
S MBLEでは、程度の違いはあるけど、ほとんどのクラスで数 理的手法を使う。
例えば、輸送のネットワークフローで使われるリニアプログ ラミングを実際に体得し、FR(Feasible Region:実行可能領 域)や制約条件を図解することで、どの制約条件が最適解を決 定しているのか、制約条件を動かすことでどのくらい最適解が 変わるのかなどの感度分析を勉強したよ。
コンピュータがはじ き出した解のプロセスまで理解することは、最適解がいつも適 切であるとは限らない時に、特に大事だなと思った。
Y なるほど。
私も今回、在庫マネジメントの授業で統計的アプ ローチを勉強して、平均値とバラツキを見ていくこと、そこか ら解を判断する際の考慮すべきポイントを知って、興味深かっ たよ。
コンピュータで最適解を見つけるだけでなく、解に至っ た経緯と、その解に含まれない定性的な前提条件を懸念するこ Yuki Yuki Sawako Sawako Yuki 在庫論にまつわる思い出  以前、在庫研究で有名なDr.Zinn(MBLE のディレクター)と一緒に、あるプ ロジェクトに必要な文献を探したことが ある。
その時、グローバル企業である某 G社が30年前に発行した内部物流トレ ーニング資料を、古い書棚から見つけた。
2人で中身を見たら、今とほとんど変わ らない在庫理論のグラフがあって、それ を見たDr.Zinnが「在庫の理論は30年 たっても変わっていないのだよ」と言っ た。
 自分が履修したばかりの在庫理論を、 30年も前から企業が取り入れていたの だと知って驚いた覚えがある。
Sawakoメモ JULY 2006 84 とも必要なんだね。
それにしても、実際にプログラミングで体 得する授業があるのはさすがだね。
S 3つ目はどんな科目なの? Y 日本のロジスティクス市場の構造を、3PL・物流子会社・ 倉庫業・アセット系の会社・メーカー・卸売業・小売業等の 様々な位置づけから読み解く授業。
ロジスティクスアウトソー シングやロジスティクスの発想法的視点から、問題点にアプロ ーチする解決策や仕組みを感じ取る力を、最新の業界ニュース やゲストスピーチを事例に学べる「ロジスティクス意思決定論」 という授業なの。
S 実際に事例を使って学べそうな授業だね。
ところで、6コマ の授業の履修は多くて大変そうだね。
仕事も忙しいと思うけど、 大丈夫? Y うん。
多摩大大学院のカリキュラムは、今年から、平日の授 業が隔週になったの。
つまり、1カ月のうち、同じ月曜日でも 第1週目と3週目に1科目、第2週目と4週目に別の1科目になっ た関係で、履修できる科目数が増えたんだ。
課題は多くなるけれど、選択の自由が増えて素晴らしいと思 うの。
5つのドメインから各自のテーマに繋がる周辺の学問を 学んで、バックボーンにできたり、ベンチマークできたりする のが魅力。
S なるほど。
ゆきちゃんは、修士論文を書く上で、ロジスティ クスのテーマのバックボーンになる他の理論を探してると言っ ていたもんね。
今回の多摩大大学院のカリキュラム変更は、今 後ロジスティクスを中心としたMBAに進みたい人に朗報だね。
(以下、次号に続く) Yuki Sawako Yuki Sawako 日本の大学に在学中、米国ワシントン州ゴンザガ 大学、中国北京大学に短期留学。
大学卒業後、日 本通運に入社。
通関士を取得。
米国・サンフラン シスコ支店で1年間研修。
帰国後、メーカー物流 に携わる傍ら、昨年4月、多摩大学大学院経営情 報学研究科修士課程ロジスティクスコースに入学。
小林由季(こばやし・ゆき) オハイオ州立大学マーケティング・ロジスティクス 専攻を卒業後、OTEC, Inc. (米国)、フレームワ ークス(日本)で働いた経験を持つ。
フレームワー クスでは、新工場・倉庫建設プロジェクトにかか わった。
昨年9月、オハイオ州立大学大学院ビジネ スロジスティクス工学修士課程に入学。
岩田佐和子(いわた・さわこ) Sawako

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