ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2006年10号
ARC
年率8.6%の成長が期待されるSCM市場SCE分野が成長の原動力に

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

77 OCTOBER 2006 サプライチェーンマネジメント(SCM)ソ フト市場では、サプライチェーンエグゼキュー ション(SCE)系アプリケーションが成長の 原動力となるだろう。
SCMの世界市場は今後 五年間で、年平均成長率八・六%が見込まれて いる。
ARCアドバイザリーグループの最新調 査レポートによれば、二〇〇五年に五五・〇七 億ドルであった市場規模が、二〇一〇年には八 三・〇四億ドルを上回ると予測されている。
SCMアプリケーションは、倉庫管理や生産 管理のようにほぼリアルタイムに稼働する実行 系と、より長期的な計画を作成する計画系アプ リケーションの二つに分けられる。
ARCのレ ポート「サプライチェーンマネジメントの世界 市場調査(Supply Chain Management Worldwide Outlook : Market Analysis and Forecast Through 2010)」によれば、計画系 の伸びはそれほど大きくはないが、実行系での 急拡大がSCM市場全体を牽引する。
SCEソリューションには、コラボレーショ ン型生産管理、倉庫管理、輸送管理などがある。
またSCEの中でも、ロジスティクス分野より 製造アプリケーション分野の伸びが大きい。
A RCシニアアナリストTom Fiskeは次のように 述べている。
「世界中に通用する商品を持つために、大規 模工場を建設して最高のソリューションを導入 し、世界最高クラスの製造能力を達成しようと している地域からの需要増が成長に寄与してい る。
国際競争が激しくなる中で、既存の工場に は総資産利益率(ROA)を高めなければなら ないという圧力が強まっている。
より高いレベ ルのパフォーマンスを達成するため、こうした 工場では製造オペレーションを改善させるソリ ューションを導入している。
それによって柔軟 性と迅速性を増し、SCMオペレーションとの 統合が可能となる」 サプライチェーンを統合させる努力もまた、 成長に拍車をかけている。
製造工場はサプライ チェーンネットワークの中心になっており、し ばしばその全体的パフォーマンスの決定要因と なる。
コストはもちろん需要主導型の環境にお いて重要な課題ではあるが、量産化に要する期 間、適切な商品のラインナップ、市場展開への 柔軟性・適応性など、他の要因もますます重要 性を増している。
サプライチェーンの統合はソ リューション次第である。
サプライチェーンに 関係する全企業が、オペレーションの正確な情 報をリアルタイムで得ることによって、すべて のレベルでの意志決定を改善することができる のである。
サプライチェーン計画(SCP)ソフトの市 場は安定してきており、今後五年間の年平均成 長率は二・四%と、堅実な成長が見込まれる。
ARCの「サプライチェーン計画の世界市場動 向(Supply Chain Planning Worldwide Outlook : Market Forecast and Analysis Through 2010)」によれば、二〇〇五年で一 〇・五億ドルの市場が、二〇一〇年には十一・ 八億ドルを超えると予測されている。
この二年 間、SCPソリューション市場は縮小傾向が続 き、ベンダーの統合が進んだ。
ERPおよびS CPの比較的小規模なベンダーの多くが、より 問い合わせ先 ARCジャパンオフィス eメール:skuroiwa@arcweb.com Web:http://www.arcweb.com/Japan/ 二〇一〇年には十一・八億ドルに達する SCPの世界市場 年率 8.6 %の成長が期待されるSCM市場 SCE分野が成長の原動力に OCTOBER 2006 78 備の低コスト地域への移転と生産のアウトソー シング、長大化するサプライチェーン、取引パ ートナー数の増加など、グローバル化にあると 考えられる。
また、予測と補充のプロセスを改 善しようとしている小売業界からの需要も活発 である。
最新のSCPソリューションは、J2EE、 マイクロソフトの・NETやXMLのような標 準化されたアーキテクチャーを使用している。
これらのソリューションはインテグレーション や規模の拡大などが容易で、導入費用も安く済 む。
さらに、パッケージサービスが利用可能で、 開発リスクと市場投入時間を低減できる。
高い 前金と、無視しうる限界コスト構造のSOAア ップグレードのソリューションにより、ベンダ ーは「一度開発し、多数販売する(write once ‐sell many times)」市場投入のビジネスモデ ルで、中堅クラスの顧客に費用対効果が高い、 先進的なソリューションを収益性よく提供でき るようになる。
これらの標準アーキテクチャーの評判と、関 連するインテグレーションのメリットが普及す るにつれ、これらのアーキテクチャーはアプリ ケーション・インテグレーション周辺の不確実 性を緩和するようになってきている。
このよう な不確実性の低減により、ERPシステムを補 完するよう設計された、先進的なSCP機能を 提供する専門プロバイダーは、今後も生き残る ものと思われる。
倉庫管理システム(WMS)の世界市場は今 後五年間、五・三%の年平均成長率が見込まれ ている。
二〇〇五年に十一・二七億ドルであっ たが、二〇一〇年には一四・五八億ドルを超え ると予想される。
ARCの調査レポート「倉庫管理システムの 世界市場調査(Warehouse Management Systems Worldwide Outlook : Market Analysis and Forecast Through 2010)」の主 著者で、ARCのサプライチェーンマネジメン トのサービスディレクターSteve Bankerは次 のように述べている「導入サービスとメンテナ ンスの売り上げはここ一年、両者とも順調に拡 大した。
しかしながら、業界全体の売り上げは 下落傾向であった。
おそらくこれは、この業界 大規模なERPおよびSCMベンダーに買収さ れた。
「ERPベンダーが、専門ベンダーの領域を 浸食して市場シェアを伸ばしている。
これはE RPベンダーが先行して企業に採用されている という優位性、ERPベンダーの提供するSC P機能が低価格化してきたこと、そして単一ベ ンダーの総合的ソリューションによってインテ グレーションが容易になることが認識されてき たためである」 ARCのサプライチェーンマネジメントのア ナリストで、本調査の主著者であるC l i n t Reiserはそう述べる。
SCPソリューションのベンダーが注目して いるのは、自動車産業、消費者向けパッケージ 商品や、食品・飲料などの流通集約型産業から の需要増である。
その原因のひとつは、生産設 大手の買収が続き混乱するWMS市場 79 OCTOBER 2006 で起こった合併によるものと思われる」 ARCは十年にわたってWMS市場の詳細な 分析を行ってきた。
Bankerによれば「その間 にWMS市場は大きく変化した。
この変化は、 市場が高度成長期から成熟市場に移行したこと を反映している。
ERPベンダーが劇的に市場 に浸透してきたのも変化のひとつである」 WMS市場とそれを含むより大きなERP市 場の変化が、買収による合併を増加させること につながった。
買収された企業の既存顧客は、 継続的なアップグレードや新規アドオンモジュ ールの提供がされなくなる不安を抱えるかもし れない。
しかしこの種の買収に引き続いてメン テナンスなどの売り上げが増えるのは当然のこ とである。
しかし長期的には、複数のプラットフォーム をサポートしなければならないという課題が発 生し、それは製品開発投資の分散と顧客サポー トコストの増大につながる。
WMSベンダーを 買収した企業の隠れた課題は、複数のプラット フォームをひとつにまとめることである。
買収 する側の企業は、サービス指向アーキテクチャ ー(SOA)への移行を強調する傾向があり、 SOAがこの統合を可能にすると主張する。
し かしSOAでも、統合ソリューションに必要な 技術的改良の余地はまだまだ大きく、そう簡単 に達成することは難しいだろう。
複数のソリュ ーションを持つベンダーからひとつのWMSを 購入するユーザーは、そのソリューションが自 分の要求のすべてを満たすか、あるいは足りな い場合はそれを補完するオプションがあるのか どうか、よく吟味しなければならない。

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