ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年10号
SOLE
ダラス開催の年次総会に参加次世代ロジスティクスを討議

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

の技術をベースとしつつ、近い将来 の技術予想に基づく実現可能なロジ スティクスがテーマになるというこ とで、ロジスティクス関連企業はも とより、防衛関係の調達部門、大学 関係者も多数参加し、総勢三百人 を超える大規模な会議となった。
会期の三日間は、大会の三本柱 である「防衛関連」、「航空宇宙」、 「災害救助活動」にそれぞれ一日ず つ充てられた。
例年と異なり、SO LE本部に加えAIAA(米国航 空宇宙協会)も共催し、今後の宇 宙進出計画でのロジスティクスの諸 問題を扱うため、「航空宇宙」のテ ーマに一日が充てられた。
また、昨 年の総会後に発生したハリケーン、 カトリーナでのロジ活動の経験や教 訓を整理・共有しようという意図で、 「災害救助活動」のテーマに一日が 充てられる形となった。
救済活動の成否の議論はさておき、 記憶が鮮明なうちに問題を取り上げ 教訓として生かそうとする姿勢に、 アメリカ人の前向きさが感じられる。
八月一五、一六日の二日間は、会 議と並行して展示会が開催された。
ロッキードマーチンやボーイング、 レイセオンといった防衛装備関連企 業のほか、軍民を問わずロジスティ クスのノウハウを提供するソフトウ エア企業、人的資源を育成するため の大学などが、出品あるいは教育カ リキュラムの展示などを行った。
会議は、今大会のテーマである 「次世代のロジスティクス」の基調 講演で始まり、参加者はまずそこで テーマに関する認識を共有した。
そ の後の講演は、防衛・航空宇宙・ 災害救助活動の三本柱の各分野で、 プレナリーセッション(全体会議) →パネル→ペーパーセッションと展 開された( 図1)。
各日の最初に行われるプレナリー SOLE日本支部では毎月「フォ ーラム」を開催し、ロジスティクス 技術・ロジスティクスマネジメント に関する活発な意見交換・議論を行 い、会員相互の啓発に努めている。
八月のフォーラムは休会とし、米国 で開催された総会「SOLE200 6」へ日本支部の代表を送った。
三 回にわたって、会議の概要と現在注 目を集めているトピックを紹介する。
世界各国から三百人が参加 今年度の総会は、八月一五日〜 一七日の三日間、米国南部にあるテ キサス州のダラスで開催された。
ダ ラスは二十世紀初めに石油が発見さ れて以来、急速に発展を遂げた町で ある。
また、第三十五代大統領J・ F・ケネディが暗殺された地として も有名である。
今回の大会テーマは「次世代のロ ジスティクス」。
二十年先までを見 越した、ロジスティクスの諸分野で 重要になると予測されるアイデアに ついて熱い議論が交わされた。
既存 OCTOBER 2006 80 SOLE日本支部フォーラムの報告 ダラス開催の年次総会に参加 次世代ロジスティクスを討議 The International Society of Logistics 総勢300人を超える大規模な会議となった。
写真1 セッションでは、当該分野のオーソ リティー(権威)数人が登壇し、そ の日のテーマに関する最新の話題に ついて紹介しつつ意見を述べあい、 参加者がそれぞれの意見に耳を傾け、 質問があれば登壇者に投げかけると いう形で進められた。
続くパネルも同様のスタイルで進 行され、プレナリーよりも、もう少 し領域を絞った問題が議論された。
日本でもよく開催されるパネルディ スカッションの形式だ。
午後からのペーパーセッションで は、パネルよりもさらに細分化され た問題分野ごとに、研究者がスライ ドなどを使用しつつ論文を紹介する、 という学会発表形式で近未来の問 題を話し合った。
ペーパーセッショ ンでは四つの議題(トラック)が並 行し、各トラックで各々四つの論文 が討議された。
興味を引くテーマが 並列されているために、どのトラッ クのどの論文を聴こうか迷ってしま うほどだった。
朝の全体会でまずその日のテーマ 分野の概況を理解させ、次第にブレ ークダウンしながら詳細なテーマに 入っていくという進行スタイルは、 最先端の状況を専門外の一般聴講 者にも理解させ、興味を起こさせる うまい方法だなと思った。
「センス&レスポンド」 本稿では一日目のテーマである 「防衛関連」について報告し、二日 目のテーマ「航空宇宙」と三日目の テーマ「災害救助活動」及び、展示 会の様子は次号以降で報告していく。
防衛ロジスティクス関係の発表で は、車両や航空機に埋め込んだセン サーが自らの異常部位を感知 (Sense)して、制御コンピュータや GPSを介して適切な情報を適切な 担当者に発信し、判断を仰ぎ (Interpret)、対応(Respond)して もらうという、自律的かつ近未来的 なメンテナンス方法が、参加者の興 味の中心の一つであった。
コンピュ ータシステムやセンサーの小型化・高性能化、ネットワーク化されつつ あるロジスティクス情報環境がこの 技術の背景にあると思われる。
米空軍・海軍で導入が決定され ている?最後の〞有人攻撃機
- 35 (JSF)は、このようなメンテナ ンス方針のもとで設計・開発された。
機体と整備・修理・調達部門とサ プライヤーのチェーンとが情報ネッ トワークで緊密に結びつくことによ り、メンテナンスの人的な負荷が大 幅に削減される。
参考までに、?そ の次〞の攻撃機は、もはやロボット 化された無人機との認識が一般的で ある。
陸軍においても、軽装甲機動車 (LAV)での実験が始まり、車両 の運動、エンジン・駆動部の油圧・ 温度などのセンサー情報に基づいて 自律的なメンテナンスを促すシステ ムの実用化に向けた試験が進められ ている。
伝達される情報も、受け取る側そ れぞれの知識や職種に応じて工夫さ れており、例えば、LAVが右側の 二番目の車輪のブレーキパッドが磨 り減っていることを感知したら、車 81 OCTOBER 2006 個々のフェーズではなく、チェーン 全体を通してコントロールができる ようになり、輸配送システム全体で パフォーマンスを評価するようにな る。
チェーン内では各部分でタイミ ングを統一し、同じベクトルを向く ことが時間短縮の要となる。
SCMが、単に物流コストを削減 するためのロジスティクス基盤であ るという考え方から、時間の短縮に 大きく寄与し、作戦を優位に進める ために不可欠な先手を取る戦略的な ツールであるという認識に変わりつ つある。
今後の防衛関連のロジスティクス は、戦闘車両や航空機等が搭載する センサーの性能が向上し、コンピュ ータや通信システムの処理能力が高 速化することにより、半自動的にメ ンテナンス要求が担当各部門に発信 されるような、人間の眼を介さない、 負荷が極限まで軽減される方向に移 行するだろう。
その傾向を示す一例として、 Autonomic Logistics(自律的なロ ジスティクス)の表現が使われてき ていることが挙げられる。
こうした 変化に伴い、ロジスティシャンはセ ンサーからの要求に的確な判断を下 す能力が重要となり、ロジスティク スシステム全般に目を配れるような システムエンジニア的な素養を身に つける必要も生じるだろう。
また、サ プライヤーも自社内および連携する 企業のチェーンを強化し、これまで 以上に迅速に対応することが要求さ れるだろう。
日本支部長が特別功労賞を受賞 最終日の夕刻に、SOLEでの諸 活動に対する表彰を行うアウォード バンケットが催された。
この席において、伝田晴久SOLE日本支部長 に「Distinguished Service Medal 」 (特別な功労を讃えるメダル)が贈ら れた(写真左)。
このメダルは、SO LEの運営に十年以上の長期に渡り 尽力した個人に贈られるメダルであ り、SOLEが授与するメダルの中 でも極めて価値の高いものである。
伝田氏は一九七八年のSOLE日 本支部開設以来のメンバーであり、毎 年のSOLE総会への参加、そして 企業や各種団体への見学会の企画・ 実施といった日本支部活動での実績 が評価され、今回の栄誉ある受賞と なった。
受賞後にはスピーチが行われ、現 在、台湾において台湾語の習得に励 んでいること、また、将来はアジア の人々にもロジスティクス活動を広 めて行きたいという話が披露された。
スピーチ後には惜しみない拍手とス タンディングオベーションを受けた。
体知識に乏しい操縦者にはGUI (Graphical User Interface)により 視覚的に事実のみを伝え交換を促す だけであるが、整備担当者には必要 な交換部品や工具情報を、また、補 給担当者には交換部品のロット数や 調達先情報などを示す、という具合 である。
故障発生後の修理ではなく、事前 交換による予防中心のメンテナンス に重心を移し、リードタイムやダウ ン時間の短縮、稼働率向上を目指そ うという発想である。
米軍において は二〇二〇年度末までにあらゆるビ ークルでの装備完了をめざしている。
「自律的」がキーワードに 物資の調達・輸送・補給を考える とき、SCMが重要であることはい まさら言うまでもない。
コマーシャル(商業)ロジスティ クスにおけるSCM拠点は、固定的・ 継続的に運用されることが多いが、ミ リタリー(軍事)の前方拠点はダイ ナミックに変動し、同じ場所が繰り 返し利用されることが少ない。
ミリ タリーでSCMを考えるとき、必要 な資材を必要な場所にいかに早く届 けるか、時間の概念が特に重要であ る。
ネットワーク中心型のコントロー ルに移行していくことで、輸配送の OCTOBER 2006 82 Distinguished Service Medalを手にした伝田氏。
右はSOLE本部のミュラー会長。

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