ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年10号
特集
激安物流 250円宅配便に再起をかける

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

携帯電話事業のウミを出し切る ││収益の柱だった携帯販売事業から撤退し、物流ビ ジネスに特化して以降も業績低迷が続いています。
二 〇〇六年一月期まで六期連続の赤字でした。
「残念ながら赤字は今期(二〇〇七年一月期)まで続 きます。
しかし来期は黒字化できる。
単月ベースで早 ければ今年十一月に黒字転換できる見通しです」 ││これまで赤字が続いた原因は? 「携帯電話ビジネスからの撤退に伴う諸費用の発生 が大きな痛手となりました。
当社は携帯電話の販売と、 メーカー〜販売店間の物流を手掛けていたわけですが、 二〇〇二年一月期に両事業から撤退する際に必要と なった販売店や携帯電話向け倉庫の閉鎖に掛かる費 用が、これまで足を引っ張り続けてきました」 「二〇〇一年一月期の売上高は約四四億円です。
この うち物流事業(軽トラ事業)の収入は一〇億円程度 で、残りはすべて携帯関連で稼いでいました。
携帯ビ ジネスから撤退して売り上げが激減したのですが、拠 点や車両といった物流事業のインフラを維持するため のコストは固定費なので変わらない。
携帯ビジネスか ら手を引いたことによって、携帯の稼ぎで物流事業の 赤字を埋めるというモデルが続けられなくなった」 ││累損は二〇〇五年一月期に約一七億円まで拡大 しました。
「しかし昨年六月の時点で累損を解消しています。
資 本と累損を相殺して一気にきれいにしました。
それに 伴い減資に踏み切っています。
約一六億円だった資本 金は現在、九七五〇万円に減額しています」 ││よく株主たちから同意を得られましたね? 「減資に反対する株主がいなかったわけではありま せん。
しかし、株主の大半は当社が提示した再建策に 「250円宅配便に再起をかける」 軽トラベンチャーのジャパンブリッジが業績不振に喘いで いる。
累積赤字は一時、約17億円にまで膨らんだ。
しかし、 昨年6月の減資によって一気に累損を処理。
現在は1個250 円の宅配便サービスに特化して会社再建を目指している。
(聞き手・刈屋大輔) ジャパンブリッジ山崎隆社長 OCTOBER 2006 18 理解を示してくれました。
再建策の具体的な中身は 『今後は宅配便事業に経営資源を集中させる』という ものです」 ││これまで物流事業の収益を支えてきたのは、アス クル向けのカタログ・商品配送や、金型商社ミスミ向 けの簡易梱包配送といった業務でした。
携帯事業だけ でなく、こうしたビジネスからも撤退して今後は宅配 便一本に絞り込むという戦略ですか? 「大手荷主から物流を一括で受託するビジネスにつ いても今回、思い切って手を引くことにしました。
長 年にわたってお付き合いをさせてもらったミスミさん との取引も昨年いっぱいでほぼ終了しています。
今後 は二〇〇四年一月にスタートした宅配便サービス『2 50EXPRESS』に特化していくつもりです」 ││さらなる売り上げ減は免れませんね。
「ええ。
二〇〇七年一月期の売上高は前期比十二億 円減の約一四億円で落ち着きそうです。
構成比は宅 配便事業が一〇億円で、その他事業が四億円。
このうち、その他事業というのは今期前半まで一部残って いた特定顧客向け物流サービスによる収入です。
翌二 〇〇八年一月期は宅配便事業で二三億円、その他事 業で一億二〇〇〇万円を見込んでいます」 サテライトの出店でコストを抑制 ││来期には宅配便事業を倍増させる計画です。
かな り強気ですね? 「それだけ『250』には勢いがあります。
『250』 の収入は初年度が四三〇〇万円で、昨年度が三億五 〇〇〇万円。
そして今年度が九億九〇〇〇万円を予 定しています。
取引企業数は現在、約二万四〇〇〇 社で、一日に八〇〜一〇〇社ずつ新規の取引先が増 えています。
売り上げや取引先の推移を見て、『25 第1部掟破りの価格破壊を検証する ` W 19 OCTOBER 2006 0』にビジネスを一本化しようと決意しました」 ││『250』はその名の通り、運賃が一個二五〇 円とかなり割安です。
肝心の利益をきちんと確保する ことができるのでしょうか? 「二五〇円でペイさせるため、できるだけインフラ にコストを掛けないように工夫しています。
『250』 はスタートした当初、軽四(軽トラック)を活用して 集荷・配達を行っていましたが、現在ではこれを徐々 に自転車やバイク、リヤカー、台車などを使う仕組み に切り替えつつあります」 「さらに今年に入って集配拠点の配置も見直しまし た。
従来は都市部から少し離れた場所に広いスペース を確保した拠点を構えていましたが、現在はオフィス 街などに一〇〜二〇坪程度のサテライトと呼ぶ店舗を 数多く配置していくスタイルに改めています」 ││ヤマト運輸と同じ戦略ですね? 「東京では今年だけで新たに七カ所のサテライトを オープンしました。
宅配便ビジネスを展開していくう えで重くのし掛かってくるのは拠点と車両のコストで す。
これをいかに低く抑えることができるかで収益性 が決まってくる。
現在でも全国で約三〇〇台の軽トラ が動いていますが、売り上げが拡大してもその数は今 後それほど増えていかないと思います」 輸送品質の改善がカギ ││「250」のユーザーからは「確かに安いが輸送 品質は悪い」という指摘があります。
「未着に対する問い合わせが一日につき一二〇件ほ どあります。
これは一日当たりの取り扱い個数に対す る割合からすると、かなり悪い数字です。
ヤマトさん や佐川さんとは比べものにならない。
輸送品質の改善 は今後の大きなテーマです。
さらにお客さんからは 『問い合わせの電話がつながりにくい』というお叱り も受けています。
この問題については大阪の本社にコ ールセンターを集約し、そこで問い合わせを一括で処 理する体制に改めることで、きちんと対応できるよう にしました」 ││現在、「250」はサービスの対象エリアを東京、 大阪、名古屋など大都市圏に限定しています。
全国 展開のメドは? 「当面、対象エリアを広げる予定はありません。
サ テライトの数を増やして集配網の密度を上げるととも に、各都市間を結ぶ幹線輸送を太くしていくことに重 点を置くつもりです」 ││「250」の今後のターゲットは? 「とくにネット通販系の貨物と、スモールオフィス から出荷される貨物を攻めていきたい。
このうちスモ ールオフィスからの貨物には、現行では郵便や民間の メール便が利用されている書類関係も含まれます」 ││いずれも競合相手の多い分野です。
ヤマト、佐川、郵政といった大手と互角に渡り合っていけますか? 「二五〇円という価格で運んでもらえることはお客 さん、とくにスモールオフィスにとってはかなり?お 得感〞があるはずです。
出荷ボリュームのある大手は 一個当たり二五〇円に近い料金でヤマトさんや佐川さ んの宅配便サービスを利用できます。
これに対してス モールオフィスは定価もしくは定価の数%引きでの利 用を余儀なくされています。
実際、二五〇円という料 金に魅力を感じて大手から当社に切り替えてくれるお 客さんも少なくない。
もっとも、安かろう悪かろうで は、お客さんは再び大手のサービスに戻ってしまう。
約束した時間通りにきちんと荷物を届ける。
この基本 を徹底できれば、自然と取り扱い個数は増えていくは ずです」 集配インフラを軽くして収益性を高めようとしている

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