ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2007年1号
特集
物流不動産バブル 日本レップ――倉庫賃貸仲介業のノウハウを武器に

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

外資系ファンド参入で市場は一変 ――一九八〇年の創業以来、物流不動産の賃貸仲介 サービスをメーンに事業を展開してきました。
「五〇〇〜一〇〇〇坪の中小規模の物流施設を対象 にテナントをつけていく商売です。
当社がオーナー (家主)からいただく手数料は、オフィスや住居の仲 介と同じように賃料の一カ月分です。
一カ月の賃料が 一坪当たり三〇〇〇円で、一〇〇〇坪の倉庫であれ ば、仲介手数料は三〇〇万円。
これが当社の収入に なります」 「もともと日本には物流施設の賃貸仲介に特化して いる不動産会社がほとんど存在しませんでした。
そも そも物流施設には賃貸仲介のニーズそのものがなかっ たためです。
物流施設は自社で所有するのが一般的だ ったうえに、仮にスペースが空いてしまった場合でも、 『五〇〇坪分のスペースが空いちゃったんだけど、何 か入れるモノはない?』といった具合に、企業と企業 の相対でやり取りされてきました。
日本において物流 施設の賃貸仲介ビジネスが活発化してきたのは九〇年 代後半以降です。
米プロロジスをはじめとする外資系 の物流不動産ファンドが日本に上陸し始めた時期と 重なります」 ――彼らは競合相手になったのですか? 「その逆で、外資系の物流不動産ファンドは当社に とってお客さんになりました。
彼らが用意する物流施 設に入居するテナントの誘致を任されるようになった のです。
どのような立地・規模・機能の物流施設を 欲しているのか。
当社はそうしたテナント候補のニー ズや情報を握っている。
条件に合ったテナントを物流 不動産ファンドに紹介することで、仲介手数料を得 ていました。
繰り返しになりますが、日本には物流施 設を対象にしたリーシングのインフラがありませんで した。
そのため、数少ないプレーヤーである当社が、 日本に進出してまだ間もない外資系ファンドから重 宝されたわけです」 ――賃貸仲介のビジネスを拡大する一方で、二〇〇五 年九月には自らファンド事業に参入しました。
「せっかくテナントを囲い込めているのに、仲介手 数料を得るだけの商売ではもったいない。
自分たちで ファンド事業を手掛ければ、仲介手数料収入の何倍 ものフィーを稼ぐことができる。
当社が長年培ってき た物流不動産のPM(プロパティ・マネジメント)の ノウハウが埋もれたままの状態で、きちんと活かされ ていないことに気づきました。
そこで金融機関出身の 私が二年前にこの会社にやってきて、資本を約二割出 して共同経営者となり、ファンド事業を立ち上げたと いうのが経緯です」 ――参入から約一年半でファンドの資産運用残高は七 五〇億円に達しました。
かなりのハイスピードで事業 を伸ばしています。
「ようやく他のファンドと肩を並べるくらいにまで 資産規模、物件数ともに拡大しました。
今後も積極 的な投資を続けていくつもりです。
二〇〇八年には一 〇〇〇億円規模の物流施設特化型ファンドを組成し てJ―REITに上場させたいと考えています」 ――物流不動産に対する投資ニーズはあるのですか? 「現在、J―REITではレジデンシャルを対象に したファンドが公募割れするケースが見受けられます。
これに対して物流不動産については長いタームでの運 用を希望する投資家からのニーズが旺盛です。
これま で国内の投資家たちにとって物流不動産は実態がよく 分からない特殊な物件という位置づけでしたが、投資 対象としてのハードルはここ数年でかなり下がってき 日本レップ―― 倉庫賃貸仲介業のノウハウを武器に JANUARY 2007 22 片地格人日本レップ副社長兼COO 物流不動産の賃貸仲介事業で蓄積したノウハウを背景に、 ファンド事業に進出した。
参入後1年半でファンドの運用 資産残高は750億円に達している。
これを1000億円まで増 やして、2008年にはJ-REITに上場させる計画だという。
(聞き手・大矢昌浩、刈屋大輔) 日本の物流資産を始末する ました。
米国やオーストラリアではREIT全体に占 めるインダストリアル分野の物件の割合が一〇%を超 えている。
こうした海外のREIT市場の動向を踏ま えて、物流不動産に目を向けるようになった投資家が 増えてきました」 地価上昇は物流一等地だけ ――REITのポートフォリオは? 「既存物件を取得していくかたちではなく、新規に 開発していく物件をポートフォリオに組み込んでいこ うと考えています。
開発に力を入れていくのには理由 があります。
築年数の経った既存物件は土壌汚染の 心配があったり、増改築に伴い違法建築物化している 恐れがあるなどリスクが高い。
これに対して、新規開 発の物件にはそうした不安材料がないうえに、例えば 一万坪超の大規模物件ならテナントとして大企業が 入居するケースが多いため、クレジットが取りやすい といったメリットがあります。
長期間にわたって安定 的に稼働することが約束されるため、投資家もつきや すくなります」 ――開発のターゲットエリアは? 「特に絞っていません。
当社の場合、常にテナント 候補のニーズというものに軸足を置いて動いています。
どの地域にどのくらいの規模の建物を必要としている のか。
テナント候補の意向を聞いて、それに沿うかた ちで土地を選定・取得し、施設を用意していきます」 「もちろん、テナント候補のニーズに合った土地や 施設を用意できないケースも出てくるでしょう。
その 際には他の不動産ファンドが運営する施設を紹介する ことだって厭わない。
テナント候補に最適なソリュー ションを提供していくことが当社の仕事です。
そのた めには当社が開発した施設を利用してもらうかたちで も、仲介のみでもどちらでも構わないというスタンス でビジネスを展開していきます」 ――物流不動産を対象にしたファンドを立ち上げる企 業が相次いでいます。
それに伴い、各地で物流用地の 値段が上昇していると言われています。
「東京湾岸エリアなど?物流の一等地〞とされる場 所では、確かに土地の値段が高騰している。
湾岸エリ アのような一等地では着工前にテナントが決まってい なくても、立地がいいので施設さえ用意すれば、すぐ に埋まる可能性がある。
高い賃料も見込める。
そのよ うな土地ではファンドによる入札がヒートアップして いるのは事実です」 「ただし、それ以外の物流用地の値段は上がってい ません。
政府や地方自治体によって開発された工業団 地には未分譲のままの土地がまだたくさん残っている。
供給過多の状態にあるわけですから当然、土地の値段 は上がりません。
政府や地方自治体は補助金を付与 したり、税制面での優遇措置を講じることで、企業を誘致しようとしていますが、それでも土地がなかなか 埋まらないというのが実情のようです」 ――土地だけでなく、物流施設も供給が需要を上回っ ている状態が続いています。
「しかし、物流拠点の集約化などに伴って必要にな る三〇〇〇坪超の施設はむしろ足りていない。
そもそ も日本には大型の物流施設がなかった。
そのため、新 たに開発していく必要があります。
資産を大きくする ことで大きなリターンを得ようとするファンド側の都 合で、開発される物流施設の規模が大きくなっている という側面は否定できません。
しかしそれ以上に、テ ナント候補の大型物流施設に対するニーズは依然とし て高い。
日本における大型物流施設の建設ラッシュは しばらく続くと見ています」 23 JANUARY 2007

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