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MAY 2007 84
入荷時に、物流センターの天井部分に
設置したID発信機から赤外線で送られ
てくる位置情報と、荷物に貼付されたI
Cタグの情報をPDAで読み取り、無線
LAN経由で荷物の保管場所を自動登録
する。 出荷時には、出荷指示書のバーコ
ードをスキャンすると、保管場所がPDA
の画面に表示されるため、作業員は広い
センター内から対象の荷物を探す手間と
省ける。
GPSをベースにした位置管理シ
ステムは屋内で使用できなかったり、
位置情報の精度が低いといった問題
点があった。 一方、無線を利用した
位置管理システムは多くの基地局が
必要になるほか、什器や工作機械な
ど周辺環境の影響で位置情報の精度
が変動してしまうことが課題とされ
てきた。
これに対して、赤外線は位置情報
の精度が安定している。 また、発信
機は蛍光灯から電源を取れる構造に
なっているため、大掛かりな設置工
事が不要。 その分、導入コストを低
く抑えることができるというメリッ
トがある。
両社では、平置きで入出庫作業を
処理するクロスドッキング型物流セ
ンターなどを主なターゲットに新シ
ステムを販売していく計画だという。
フレームワークスとNECグループはこ
のほど、ICタグを活用した位置管理シ
ステムの販売を開始した。 フレームワーク
スのWMS(倉庫管理システム)と、N
ECエンジニアリングが開発した赤外線を
用いた位置管理システム「スマートロケー
ター」を連携させたソリューションだ。 こ
れを導入することで、ユーザーは物流セン
ターの入出荷業務のスピード化や作業ミ
ス削減を実現できるという。
ICタグ活用の位置管理システムを開発
フレームワークス
スティクスであるとの信念で共通し
ている。 ロジスティクスに関心を持
たないでいられる時代は終わったと
言っても過言ではないだろう。
著者は武田薬品で、流通関連諸シ
ステムの開発・運用に従事してきた
実務家。 同社退職後に「サプライチ
ェーンロジスティクス研究会」を設
立し、医薬品業界での実務経験を活かしたコンサルティングや講演活動
などを行っている。
医薬品業界のみならず流通業界全
体にはまだまだ開拓の余地がたくさ
んあり、未完成なシステムだからこ
そ内在する未知の可能性を感じさせ
る。 医薬品流通業界関係者は言わず
もがな、業界は問わず流通に携わる
者全てが一読すべき必携の書と言え
よう。
医薬品流通業界で未曾有の事態が
起こっている。 数年前には二〇%程
度しかなかった医薬品卸の上位四グ
ループの市場寡占率が今や九五%に
も達している。 その卸の大再編も終
局を迎えつつあり、さらなるターニ
ングポイントに差し掛かかろうとし
ている。
卸売業の売上高をランキングで示すと、医薬品業界は上位十位以内に
四社がランクインし、なんとトップ
3は医薬品業界で独占されている。
そして、もはや飽和状態となった医
薬品市場に見切りを付けた医薬品卸
は、規模拡大に向け異業種統合を積
極的に推進しているのだ。
その最たる例として挙げられるの
が、医薬品卸のメディセオHDと日
用品卸のパルタックの統合だ。 異業
種の、しかも大手卸同士の統合に多
くの流通関係者は驚愕した。 もはや
他所様の出来事だからと、のんびり
構えてはいられない。 医薬品卸の狙
う矛先は、確実に異業種に向けられ
ている。
専門卸から総合卸へ。 統合のキー
ポイントはロジスティクスであると、
いち早く異業種統合を断行した企業
は指摘する。 どの企業も、卸の根幹
の機能は物流と情報、すなわちロジ
『ここまで来た医薬品流通改革』
武田薬品出身のコンサルが上梓
『ここまで来た医薬品流通改革
主役となった卸の実力に迫る』
著者:保高英児(やすたかえいじ)
発行所:エルゼビア・ジャパン
定価:本体二二〇〇円(税別)
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