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製造業者は自社の製品にタグを付けることを、
サプライチェーンや小売業者から要求されるよ
うになってきている。 その必要性から、より高
い投資回収率(ROI)が見込まれる製造アプ
リケーション向けのRFIDに関心が高まりつ
つある。 製造段階でのRFIDの可能性を評
価する多くの試みがいま現在進行しているなか
で、実際に本格的な導入につながるケースがど
れだけ出てくるかが、市場全体の伸び率とその
タイミングを占うポイントになるだろう。
製造アプリケーション向けRFIDの世界市
場は、標準化の進展と技術的統一によって価
格が下がって出荷数が大幅に増えることで、今
後五年間の年平均成長率(CAGR)八・九%
が見込まれる。 ARCアドバイザリーグループ
の最新の市場調査レポートによれば、二〇〇六
年には二億八八○万ドルだった市場が、二〇一
一年には三億一九五〇万ドルを超えると予測さ
れている。
持続的に成長しているWIP(work in
progress:仕掛品)トラッキングなどの既存ア
プリケーションが、成長分野での採用が増えているアセット・トラッキングなどと結びつき、
今後数年間は市場全体の拡大に寄与するだろ
う。 ARCのレポート『製造アプリケーション
向けRFIDの世界市場動向(RFID in
Manufacturing Applications Worldwide
Outlook)』の主著者のChantal Polsonetti
は
「客先からの要請にもとづくRFIDの導入で
ROIを改善することに比べ、製造アプリケー
ションにRFIDを活用する方が、製造業者に
とってはROIを改善する余地が多い」と述べ
ている。
プロセス改善の継続的な追求
工程改善を可能にするRFIDの能力は、従
来より製造アプリケーションにおけるRFID
の存在理由のひとつであった。 工程内エラー防
止といったアプリケーションでRFIDを用い
れば、人手に頼る機能とその不確実性を、RO
Iの決定要因から取り除くことが可能だ。 同様
製造アプリケーションにおけるRFID実験は市場拡大につながるか?
本コーナーでは米国の大手調査会社、AR
Cアドバイザリーグループの市場調査報告書
について紹介している。 今回は製造アプリケ
ーション向けのRFIDについてのレポートを
取り上げる。
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ーバルスタンダードの多方面にわたる影響が挙
げられる。 現時点ではパッシブでの導入例のみ
だが、HF用ISO15693、アクティブR FID用ISO24730と同様、近い将来
アクティブも出てくるものと思われる。
Wi―Fiベースの
ロケーション・トラッキングに注目
ワイヤレスのインフラ・プロバイダーである
シスコが、2700シリーズ・ワイヤレス・ロ
ケーション機器を発表した際、ロケーション・
トラッキングにWi
―Fiを利用し、さらに主
要サプライヤーのサポートと標準ベースのイン
フラを加えることで大きな注目を浴び、このセ
グメントを伸ばす一因となった。 ワイヤレス・
ロケーション・トラッキングのプロバイダーは、
現在2710と呼ばれるシスコ製品に自社のシステムを適合させることに力を入れている。 W
i
―Fiプロバイダーの多くは、ロケーション・
トラッキングをネットワークに乗せることを特
徴としており、Wi
―Fiベースのプロバイダ
ーのみならず既存のロケーション・トラッキン
グ・ソリューション・プロバイダーとの関係を
も構築しつつある。
本レポートに関するお問い合わせは、ARC
ジャパンオフィスまで。
問い合わせ先
ARCジャパンオフィス
黒岩重雄
電話番号:〇四二(九九一)一六八五
eメール:skuroiwa@arcweb.com
Web:www.arcweb.com/Japan/
に自動車や航空宇宙産業では、製造中のユニッ
トに適切な部品やツールをマッチさせる機能に
より、劇的な工程改善が実現する。 またJIT
生産方式にRFIDを活用する場合のように、
どこに何があるかを把握することで工程を最適
化する効果も、RFIDが工程改善に役立つ事
例のひとつである。
技術の標準化と汎用化
製造向けのRFIDアプリケーションでは従
来、単一ベンダーの提供するアプリケーション
を採用し、クローズド・ループ内で固有の周波
数とプロトコルを使っていた。 しかし現在、パ
ッシブ、アクティブ、RTLS(Real Time
Location System)、Wi―Fi/802.. 11
など、この市場のすべてのセグメントで急速に
標準化が進行しつつある。 例としてEPCグロ
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