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ERP(Enterprise Resource Planning)
市場はすでに成熟したとされてきたが、まだま
だイノベーションの余地は多い。 今後五年間で、
ERP市場の成長に寄与する要因としては、企
業買収、中国など新興市場の登場、新たな産
業の興隆、メンテナンス収入の増大、為替レー
トの変動が挙げられる。
エンタープライズ・アプリケーションのサプ
ライヤーとは、ERPに加え、次のような専用
アプリケーションを一つ以上提供できる企業と
定義される。 すなわちサプライチェーン・マネ
ジメント(SCM)、カスタマー・リレーショ
ンシップ・マネジメント(CRM)、サプライ
ヤー・リレーションシップ・マネジメント(S
RM)、プロダクト・ライフサイクル・マネジ
メント(PLM)などである。
エンタープライズ・アプリケーションの世界
市場は、今後五年間にわたり八・三%の年平
均成長率(CAGR)で伸び、二〇一一年ま
でに四三〇億ドルに達すると期待される。 また
ERP市場は現在一八〇億ドルであり、CA
GR六・七%の成長で、二〇一一年には二五
〇億ドルまで拡大すると予測されている。
これまでERP市場にはベンチャー企業が多
く、企業の方向性の決定には創業者やオーナー
が強い影響力を持っていたが、こうした企業の
多くは買収された。 今日、組織として残ってい
る唯一の大企業はSAPであり、他の企業はS
APと対抗するために三通りの戦略を採用して
いる。
ARCグループの「ERPの世界市場調査」
(
Enterprise Resource Planning Worldwide
Outlook)の主著者で、ヨーロッパのリサーチ・
ディレクターSimon Braggはこう述べている
「SAPは組織として拡大した唯一の大企業で
あり、創業者がいまだに株式の過半を所有して
いる。 そのソリューションは統一されたコード
をベースとして構成され、世界のあらゆる産業
に向けて販売されている」
メンテナンス市場の拡大
まず第一に挙げるべき成長戦略は、複数のE
RPおよび専用アプリケーション・サプライヤ
ーの買収である。 昨今の買収の背景には、メン
テナンスが安定した収益源であるとの認識があ
る。 ほとんどのERPサプライヤーで、メンテ
ERP市場は二〇一一年に二五〇億ドル規模へ
本コーナーでは米国の大手調査会社、
ARCアドバイザリーグループの市場調
査報告者について紹介している。 今回は
ERP市場の今後五年の見通しについ
てのレポートを取り上げる。
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ることがむずかしく、ソフトウエア会社の買収
が成功することはあまりなかった。 しかし、サ
ービス指向アーキテクチャ(SOA)の技術開発により、そのメリットの一つであるアプリケ
ーションの統合を単純化することによって、コ
ストを低減した。
異なるコードベースを使用している顧客にも
販売できるよう、大半のERPサプライヤーは、
単一のコードベースに統合しうる機能を持つS
OAストラテジーを発表している。 さらに、S
OAプラットフォームによって多様なパートナ
ーシップ・ストラテジーが可能になっており、
いまのところSAPが先行している。
新興国の経済成長
ERPへの投資を促進するものは、経済成長
と、低コストで製造できる新興地域の出現であ
る。 今後五年間にわたって成長がもっとも期待
されるのはラテン・アメリカと中国であり、E
MEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)がそれ
に次ぐ。 しかしEMEAのなかでも成長率は一
様ではなく、たとえばフランスおよび南ヨーロ
ッパは比較的低い成長率が予測される。 EU加
盟国は比較的小さな市場であるが、高い伸びが
期待される。 一方、北米地域の成長率は他と
比べると低いと考えられる。
本レポートに関するお問い合わせは、ARC
ジャパンオフィスまで。
問い合わせ先
ARCジャパンオフィス
黒岩重雄
電話番号:〇四二(九九一)一六八五
eメール:skuroiwa@arcweb.com Web:www.arcweb.com/Japan/
ナンス契約の更新率は九〇%以上を達成してい
る。 実際、ERP市場の成長のおよそ半分は、
メンテナンス収入の伸びによってもたらされる
と予測されている。 メンテナンスは安定的に収
益を上げるため、その分を比較的低金利の負債
支払いに当てることができる。
したがってERPサプライヤーの収益性を評
価する指標はもはや一株当たり利益ではなく、
金利・税金支払・償却前の利益、その企業が
生み出すキャッシュの総額、買収された場合に
その買収費用にかかる金利をどれだけ支払う余
裕があるか、などの指標によるのである。 株式
市場は基本的に新規のラインセンス収入と一株
当たり利益のみに着目し、買収された企業の評
価は過小評価される傾向がある。
SOAが統合を容易に
九〇年代には、ソリューション同士を統合す
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