ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2007年8号
keyperson
モーダスリンクジャパン エリック・カウフマン 代表

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

AUGUST 2007  4 処理してきたプロセスをアウトソー シングすることを当社は提案します。
あるいは3PLへのアウトソーシング を検討している企業に対して、より 広範囲なアウトソーシングを提案し、 それを実現していくところに当社の成 長の機会があります」  「通常はまず顧客企業の担当者と 我々で?ホワイトボード・セッショ ン?と呼ぶ会議を開きます。
顧客企 業にとって何が本当に必要なことな のか。
我々がデータを分析し、一つ ひとつ目に見えるかたちで財務的に 確認しながら、トータルなサプライ チェーンの姿を明らかにしていきま す」  「分析の結果、当社がアウトソーシ ングの受け皿として適切でないこと もあります。
その場合には、我々の 仕事はそこで終わります。
その一方 で、顧客企業が当初自分で想定して いたよりも、はるかに広い範囲のア ウトソーシングが可能であり、そこに 優位性がある場合には、当社へのア ウトソーシングを選択肢の一つとして ご提案することになります」 家電製造の半分が 海外へシフト ︱︱日本市場への本格参入は、なぜ この時期だったのか。
SCM企業とは何か ︱︱モーダスリンクはSCMの世界 最大手をうたっている。
そもそもS CM企業とは何なのか。
ビジネスモ デルを理解しにくい。
 「そう言われるのも無理はありませ ん。
当社と全く同じビジネスモデル をとる会社が他にはありませんからね。
当社のソリューションはグローバル・ サプライチェーンの統合です。
資材 調達、生産、物流、コールセンター、 アフターセールス、リバース・ロジス ティクスなどのプロセスを統合するこ とで、ビジビリティ(可視性)を高 めたり、コスト削減やサイクルタイム の短縮を実現します」 ︱︱4PLやLLP(リード・ロジ スティクス・プロバイダー) に近い ビジネスモデルなのか。
 「コンセプトは似ています。
事実、 ロジスティクスの計画立案やオペレー ションの管理といったソリューション を提供している点では同じです。
し かし4PLはサプライチェーン全域 をカバーしているわけではありません。
我々のほうが、ずっと業務領域が広 い」 ︱︱なぜ、そのようなビジネスモデル をとっているのか。
 「当社はIT業界で既に二四年の 業務経験を持っています。
当初は我々 も単純な流通加工のアウトソーシン グを手がけているだけでした。
しか し、ご存じのようにIT業界は目ま ぐるしく市場環境が変化します。
そ のたびに顧客企業はアウトソーシング のパートナーを、それぞれの領域ごと に選び直さなくてはなりません。
当然、 手間も時間もかかります。
そのため 流通加工の顧客企業から『コールセ ンターも任せられないか』、あるいは 『リバース・ロジスティクスもできる か』といった相談を受けることが少 なくありませんでした。
そうしたニー ズに対応していくうちに、SCM全 域のアウトソーシングをワンストップ で請け負う今のビジネスモデルができ あがっていきました」 ︱︱競合相手は誰になるのか。
 「顧客企業が何を必要とするかに よって違います。
ロジスティクスだけ、 あるいはコールセンターだけであれば、 3 P Lなどの専門のプロバイダーと 競合します。
しかし顧客がSCM全 域のアウトソーシングを求めている場 合には、競合はいません」 ︱︱荷主に対するアプローチの方法 はどうしているのか。
 「それまで顧客企業がインソースで モーダスリンクジャパン エリック・カウフマン 代表 「日本企業は変わらざるを得ない」  家電メーカーやIT 企業を荷主として、グローバル・サプライチェーン の企画から運営まで一括して請け負うモーダスリンクが日本に本格上陸し た。
SCM企業世界最大手をうたう同社のビジネスモデルと、日本市場に おける今後の事業展開について尋ねた。
(聞き手・本誌編集長 大矢昌浩) 5  AUGUST 2007  「二つの数字をご紹介しましょう。
我々が主なターゲットとしている荷主 は、ストレージ( コンピュータの記 憶装置)、家電、そして通信のメー カーです。
このうち家電業界におい ては、メーカーの二七%が日本企業 です。
しかもトップメーカーのほとん どが日本企業によって占めています」  「そして家電製品の五〇% が今 や、日本メーカーの製品でありながら、 日本以外で生産されています。
つま り日本の家電メーカーは、世界の複 数の地域をカバーするソリューション を必要としています。
そのグローバル・ サプライチェーンを担うことが当社の 狙いです」 ︱︱日本企業はアウトソーシングと インソーシングの線引きが、欧米企 業と比べてインソース寄りだ。
 「それは事実だと思います。
その線 引きには当然、企業のカルチャーが モーダスリンク  米国に本社を置くS C M 企業。
2005 年度の年商は約1320 億 円。
米大手印刷会社のRR ドネリー & サンズからのスピンアウトで● 年にモーダスメディアとして設立。
2004 年8 月に同社をIT 系投資会 社の米CMGI社が買収。
モーダス リンクに社名を変更し、現在に至る。
日本市場ではこれまで笹徳印刷との ジョイントベンチャーを通して事業 を展開してきたが、2007 年2 月 にモーダスリンクが笹徳印刷の持ち 株を買い取るかたちで本社直轄体制 に移行した。
先ぐらいです。
それだけ変化が激し くなってくる」  「それに伴いソリューションそのも のはもちろんのこと、ソリューション の展開力が重要になっています。
ロー コストで生産できる地域は、時間を 追うごとに変わっていきます。
現在 のローコスト地域が近い将来におい てもそうである保証はありません。
そ のため、コストに優位性のある地域 を探し、そこにいち早く生産を移す というだけでなく、それを機能させて、 スピーディに市場に供給することが求 められています。
グローバルな適地生 産・適地販売を柔軟かつ素早く実現 しなければならないのです」 ︱︱モデルチェンジやアウトソーシン グの導入には、既存の資産の処理や 従業員の雇用問題がつきまとう。
「そのため従来から顧客のビジネスユ ニットの買収が、BPO(ビジネス・ プロセス・アウトソーシング) の典 型的な導入モデルの一つとなってきま した。
当社にも、その実績はあります。
現在、日本でも具体的に検討してい る案件があります。
そのための資金 力も当社は備えています。
具体的な 金額は公表できませんが、当社は今後、 日本市場に対して継続的かつ長期的 な投資を行っていく計画です」 影響してきます。
しかし、この数カ 月間、私は日本のトップメーカーの 経営層との面談を重ねてきましたが、 彼らの誰もが、これまでの企業のあ り方を変えなければいけないと口を揃 えていました」  「メーカーに対する市場の期待は急 速に変化しています。
その変化に追 いついていくために、日本企業はこ れまでのカルチャーや意志決定のプロ セスを変えなければならなくなってい る。
同じことを米国のメーカーは七 〇年代後半から八〇年代にかけて経 験しました。
日本をはじめとした海 外メーカーとの競争によって、多く の米国メーカーが海外シフトを進め ざるを得なくなった。
それが今は日 本で起こっています」  「これまで日本のメーカーは、日 本に生産拠点を構え、世界的に見て も極めて品質に厳しい日本の顧客を 相手にし、その期待に応えることの できる生産モデルを確立してきまし た。
しかし今や日本企業と同じよう な製品を、台湾や韓国、中国などの メーカーも生産しています。
その結果、 品質に対する顧客の期待はこれまで 通りでも、価格はこれまで通りとは いかなくなっている」  「もちろん、それに対応するために 日本企業も生産拠点を海外シフトさ せました。
しかし、その結果として 品質面などに問題が生じている。
日 本メーカーは単なる海外シフトではな く、オペレーションのモデルそのもの を変える必要に迫られています。
従 来の垂直統合から、グローバルな水 平統合へのモデルチェンジです」 ︱︱そこでいう統合とは何か。
 「例えば日系メーカーが中国の協力 工場で生産した製品を日本で販売す る場合には、日系メーカーと協力工場、 輸送会社、また我々のようなSCM 企業が、電子的にもプロセス的にも 全て接続されていなければなりません。
それがバーチャルなサプライチェーン というものであり、統合の意味です」 日本で部門買収も検討 ︱︱統合の最大の目的はやはりコス ト削減なのか。
 「過去二四年にわたってコストは 常に最重要課題の一つでした。
しか し、それと同じレベルで現在はスピー ド、そして柔軟性(フレキシビリティ) が求められています。
顧客企業の多 くは現在、将来予測に苦労していま す。
八〇年代まではIT業界であっ ても一年ぐらい先までの市場を見通 せました。
しかし今は一年も先のこ となど誰も分からない。
予測が立つ のは、せいぜい三カ月先から六カ月

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