ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年8号
進化のゆくえ
イオン vs イトーヨーカ堂の今後

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

AUGUST 2005 56 用として在庫一括処分損二〇九億円の、合計 三八七億円の特別損失を計上したため、最終利 益は前期比六七・九%減の大幅減益となった。
最終利益が大幅減益になった分だけ、ヨーカ 堂の方が弱い決算という印象を与える。
だが、 減損損失と事業構造改革費を一気に計上した 背景には、それでも赤字にはならない余裕のあ る収益力がある。
昨今の厳しい事業環境を考慮 すれば、両社の連結決算はまあまあのできだっ たといえる。
しかし、この評価は、単体決算を見たときに 一変する。
イオンの単体決算は三・七%の増収 で、営業利益は二七・六%減、経常利益一八・ 七%減となった。
一方のヨーカ堂は一・四%の 連結と単体で一変する評価 イオンとイトーヨーカ堂の二〇〇五年二月期 決算は極めて厳しい結果に終わった( 図1 )。
も っとも両社の連結決算を見る限り、大きな問題 があるようには見えない。
イオンの連結決算は、 営業収益(売上高に賃貸収入その他を加えたも の)一八・三%増、営業利益十一%増とそれぞ れ二桁の増収増益を記録。
経常利益と純利益に も二桁増の力強さがある。
また、ヨーカ堂の連結決算は、営業収益二・ 三%増、営業利益と経常利益もそれぞれ二%増、 三・七%増と伸びている。
ただし前倒しで処理 した減損損失一七八億円と、事業構造改革費 減収で、営業利益六三・五%減、経常利益三六%減。
いずれも惨憺たる結果に終わった。
し かも両社とも二期連続の大幅減益だ。
ここから GMS(総合量販店=ゼネラル・マーチャンダ イズ・ストア)の勝ち組に分類されている二社 の、深刻な経営状況が浮き彫りになる。
二〇〇五年二月期と同様、前期も連結決算 はしっかりしていた。
株価は連結一株利益を元 に形成されるため、株式市場では連結決算が前 面に出て、親会社の業績を表す単体決算の評価 は後退しがちだ。
とくに子会社の利益が拡大し ていると単体決算の悪さを吸収してしまうため、 なおさら市場の関心は薄れる。
イオンとヨーカ堂の好調な連結業績は、親会 プリモ・リサーチ・ジャパン 鈴木孝之 代表  第11回 イオン vs イトーヨーカ堂の今後GMSの勝ち組に分類されているイオンとイトーヨーカ堂。
いずれも連 結決算こそ好調だが、本業の収益性は低迷し、現状からの脱却が求められ ている。
スーパーマーケットとドラッグストアに活路を求めるイオンと、 今年九月から持株会社制に移行するヨーカ堂グループ。
両社の事業戦略を 徹底比較する。
57 AUGUST 2005 社の深刻な単体業績を埋め合わせて、なお余裕 のある子会社の利益拡大のおかげだ。
両社の業 績がどれほど深刻な状況にあるのかは、本業の 利益を表す営業利益をピーク時と比較してみる と歴然とする。
イオンの単体営業利益のピークは九二年二月 期の三五七億四六〇〇万円だったが、これに対 して直近の単体営業利益は一七三億円九二〇 〇万円。
ピーク期の半分でしかない。
他方、ヨ ーカ堂の単体営業利益のピークは、九六年二月 期の六五七億五九〇〇万円だった。
これに対し て直近の単体営業利益は八八億円と、ピーク期 のわずか一三%に過ぎない。
数字から明らかだが、とりわけヨーカ堂の収益力低下が著しい。
二〇〇〇年の段階で一〇〇 億円あった両社の営業利益の差は、二〇〇四年 二月期には消滅し、いまや両社の営業利益は横 並びの状態だ(図2 )。
イオンの営業収益が毎 期拡大している一方で、ヨーカ堂の営業収益は ピークだった九九年二月期と比べて約九〇〇億 円も減っていることと無縁ではない。
二社に共通する営業利益の低下は、一過性の 特殊要因によるものではない。
ピーク期から二 〇〇五年二月期に至るまでに多少の回復も見ら れたが、トレンドとしてはずっと下降傾向が続 いている。
イオンの営業利益は九二年二月期か ら十二年間も減少傾向が続いており、ヨーカ堂 も九六年二月期から九年間苦戦している。
GMSが抱える問題の本質 九年とか十二年という長期にわたって業績が 悪化し続けるというのは、一般的な企業にとっ ては異常事態だ。
ここから少なくとも二つのこ とが言える。
まず一つは、両社の直面している課題が極め て困難なものだということ。
GMSの勝ち組と 言われる両社の窮状からは、ダイエー、西友、 ユニーなどの競合他社はもっと厳しい状況に置 かれているのではないかという見方が生まれる。
もう一つ言えるのは、一〇年前後の歳月をかけ ても克服できない課題と なると、問題の本質を見 極めて、よほど大胆な発 想で対応しなければ本当 の解決は望めないという ことだ。
GMSの抱える問題は、 食品には競争力があるの に、衣料品と住居用品を 中心とする非食品部門の 競争力を欠くことだ。
衣 料品と住居用品の分野 には強い専門店があり、 こうした勢力にイオンや ヨーカ堂が負けているの は隠しようのない事実だ。
実用衣料品はしまむらに、カジュアル衣料は 「ユニクロ」のファーストリテイリングに、家具・ホームファッションではニトリに、雑貨で は「無印良品」の良品計画などに圧倒されてい る。
ホームセンターやドラッグストアとの競合 も激しい。
このような状況下にあって、GMSは現在、 手強い競争相手である専門店のマーチャンダイ ジング(商品化計画)を必死に研究し、取り入 れようとしている。
非食品分野の問題がマーチ ャンダイジングにあるのは明らかで、店頭に何 でも揃っているが、欲しいものがない。
この状 況から早急に脱却することが求められている。
しかし、マーチャンダイジングは、実は問題 図1 イオンとイトーヨーカ堂の決算比較 単体 決算期 営業収益 前期比(%) 営業利益 前期比(%) 経常利益 前期比(%) 純利益 前期比(%) 連結 決算期 営業収益 前期比(%) 営業利益 前期比(%) 経常利益 前期比(%) 純利益 前期比(%) 03/2 04/2 05/2 06/2(予) 03/2 04/2 05/2 06/2(予) 1,701,210 1,764,365 1,830,282 1,880,000 1,527,688 1,493,962 1,473,583 1,520,000 +1.9 +3.7 +3.7 +2.7 +1.1 ▲2.2 ▲1.4 +3.1 32,220 24,017 17,392 20,000 34,559 24,103 8,800 20,000 +21.4 ▲25.5 ▲27.6 +15.0 +13.0 ▲30.3 ▲63.5 +127.3 33,849 27,593 22,439 25,000 49,242 42,317 27,081 39,000 17.4 ▲18.5 ▲18.7 +11.4 +6.7 ▲14.1 ▲36.0 +44.0 17,101 15,795 12,382 2,000 42,767 28,695 17,509 27,000 ― ▲7.6 ▲21.6 ▲83.8 +65.8 ▲32.9 ▲39.0 +54.2 03/2 04/2 05/2 06/2(予) 03/2 04/2 05/2 06/2(予) 3,086,504 3,546,215 4,195,843 4,340,000 3,530,316 3,542,146 3,623,554 3,700,000 +5.2 +14.9 +18.3 +3.4 +0.8 +0.3 +2.3 +2.1 132,172 132,212 146,777 160,000 201,301 207,783 211,950 233,000 +10.9 0.0 +11.0 +9.0 +0.6 +3.2 +2.0 +9.9 127,431 131,354 156,099 166,000 189,590 200,787 208,267 230,000 +11.0 +3.1 +18.8 +6.3 ▲3.5 +5.9 +3.7 +10.4 51,257 55,316 62,066 19,000 46,623 53,632 17,205 63,700 ― +7.9 +12.2 ▲69.4 +18.6 +15.0 ▲67.9 +270.2 イオン イトーヨーカ堂 (単位:百万円) 図2 大手GMSの単体営業利益の推移 00/2 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 06/2(予) イオン206 236 265 322 240 174 200 イトーヨーカ堂305 163 306 346 241 88 200 ユニー114 133 133 168 129 95 101 ダイエー115 123 217 156 137 34 40 西友118 46 134 79 ※67 60 ― マイカル― ― ― ― ― 152 ― ※決算期変更。
10カ月決算 (億円) AUGUST 2005 58 明確に異なる二社の収益構造 単体の売上高(営業収益から賃貸収入その他を除いたもの)はヨーカ堂よりイオンの方が大 きい。
両社の売上高の差は、二〇〇四年二月期 に二〇一三億円だったのが、二〇〇五年二月期 には二七九三億円まで拡大した。
この差は出店 数の違いから生まれている。
ヨーカ堂に比べて、 イオンの出店数は多い。
前期のイオンが四五店 舗を出店したのに対し、ヨーカ堂は十二店だけ だった。
今期の出店計画でも、イオンの二七店 が、ヨーカ堂の一〇店を大幅に上回っている。
両社の二〇〇五年二月期の売上高の差である 二七九三億円は、ヨークベニマルの年商に匹敵 する。
しかも、両社の予想売上高の差は今期さ らに拡大し、三六〇〇億円を上回ることになり そうだ。
この差額はスーパ ーマーケット最大手のライ フコーポレーションの売上 規模に迫る( 図3 )。
それ だけイオンの売上拡大は急 加速している。
イオンとヨーカ堂の損益 計算書を比較し、短距離 走にたとえて表現すると、 イオンは勢いよく飛び出す スタートダッシュ型のラン ナーだ。
一方のヨーカ堂は、 出足こそ鈍いが後半加速し て一気にライバルを抜き去 の本質ではないという言い方もできる。
GMS が抱える問題の根っこには、変化を目にしてい ながら、それに対応する行動を起こせなかった ことがある。
先に挙げた、しまむらやファース トリテイリングなどの専門店が急成長した理由 をまず認識する必要がある。
こうした企業は革 新を起こし、しかもそれを大きく育ててきた。
新興勢力の急成長は革新の結果に過ぎない。
このように考えていくと、GMSの抱える問 題の本質は、革新が生まれにくくなってしまっ た組織風土、企業体質、組織運営にあるといえ る。
イオンもヨーカ堂も、本業の苦境をブレー クスルーするためには、何よりも創業期の革新 性を取り戻す必要がある。
マーチャンダイジン グを問題の本質と認識している限り、現在の危 機的状況から脱出するのは難しいはずだ。
ってしまう。
イオンは売上高でヨーカ堂を上回り、その他 の営業収入でも七七四億円も水をあけている。
両 社の不動産賃貸収入に大きな差があるためだ。
イ オンの不動産賃貸収入が六八四億円なのに対し、 ヨーカ堂は一四四億円で、五〇〇億円以上の差 がある。
これはイオンが、専門店が多数テナン トとして入っているショッピングセンターを展開 し、自分たちはそこに核店舗として出店してい るためだ。
同社は小売業「ジャスコ」の顔と同 時に、ディベロッパーとしての顔も持っている。
ヨーカ堂の不動産賃貸収入がイオンの五分の 一に過ぎないのは、ヨーカ堂の店舗が、業界で ?箱形店舗〞と呼ばれる形態をとっているため だ。
GMSのヨーカ堂を中心に据えて、そこに 専門店を加えて一つの大型店を形成している。
商業施設に対する二社の姿勢の違いが、不動産賃貸収入の差として表れているのである。
結果としてイオンには、単体売上比で三・ 九%に当たるほど巨額の不動産賃貸収入がある。
もちろん不動産賃貸収入が一〇〇%利益になる わけではなく、専門店ゾーンの建築コスト、地 代・家賃、水道光熱費、原価償却費など不動 産賃貸にかかわる経費が、損益計算書の下部に 位置する販売管理費の中で発生していることを 忘れてはならない。
いずれにせよ、営業利益段階のイオンは、巨 額の不動産賃貸収入のおかげでヨーカ堂を一二 二二億円上回っている。
この差をそのまま維持 できれば、イオンの収益性は高い評価を得られ 図3 小売業売上高ランキング(専門店を除く) ■総合量販店 1 イオン1,670,142 1,701,210 1,764,365 1,830,282 2 イトーヨーカ堂1,510,945 1,527,688 1,493,962 1,473,583 3 ダイエー1,731,222 1,557,563 1,430,256 1,308,149 4 西友784,567 783,604 644,275 731,848 5 ユニー770,598 756,430 720,214 713,826 社   名2001年度2002年度2003年度2004年度順 位 ■コンビニエンスストア(チェーン全店売上) 1 セブン‐イレブン・ジャパン2,213,298 2,343,177 2,440,853 2 ローソン1,291,030 1,285,018 1,329,077 3 ファミリーマート931,808 954,445 998,491 4 サークルKサンクス891,889 902,247 700,094 5 ミニストップ 239,155 245,730 252,708 社    名2002年度2003年度2004年度順 位 (単位:百万円) ■スーパーマーケット 社    名2001年度2002年度2003年度2004年度順 位 1 ライフコーポレーション382,050 376,341 376,138 386,732 2 イズミ310,365 321,305 332,264 349,083 3 平和堂316,194 317,599 319,258 336,502 4 イズミヤ326,301 322,169 328,161 326,581 5 マルエツ314,184 326,202 332,060 322,668 6 フジ270,938 293,459 298,217 299,625 7 ヨークベニマル257,084 268,510 279,777 287,833 8 東急ストア273,133 270,725 262,339 258,536 9 オークワ213,338 216,134 219,814 222,183 10 オザム185,674 185,674 218,826 ― 59 AUGUST 2005 るはずだ。
ところが現実はそうなっていない。
両社の売上販管費率は、ヨーカ堂の二七・ 八%に対して、イオンが二九・九%となってい る。
イオンはここで営業総利益段階での貯金を かなり使ってしまっている格好だ。
もっとも、 この段階ではまだイオンはヨーカ堂を八六億円 上回っていて、営業利益率はイオン一・〇%に 対し、ヨーカ堂〇・六%となっている。
そして、営業外収益の段階でこの様相が逆転 する。
ヨーカ堂の営業外収益が二〇五億円ある のに対し、イオンは一一九億円。
八六億円の差 がある。
これは営業利益段階でのイオンのアド バンテージとほぼ同額で、この時点で両社は並 ぶことになる。
そしてヨーカ堂の加速力は受取 利息と受取配当金から生まれる。
これがヨーカ 堂に合計二〇〇億円あるのに対し、イオンには 八七億円と、その差が一一三億円もある。
ここで差がつく最大の理由は、ヨーカ堂が子 会社セブン ―イレブン・ジャパンの発行済み株 数の五〇・六%を保有しているためだ。
増配を 続けるセブンイレブン株の受取配当金でヨーカ 堂の懐が潤っているのに対し、イオンにはこれ に匹敵する子会社がない。
この違いが営業外収 益の差となって表れている。
しかも営業外費用段階でも、イオンより有利 子負債が少ないヨーカ堂の方が支払利息は少な い。
このため経常利益段階に至ると、両社の立 場は完全に逆転し、ヨーカ堂がイオンに四六億 円の差をつけることになる。
ヨーカ堂が減損処 理の前倒し費用や、事業構造改革費を特損とし て計上しているにもかかわらず、当期利益の段 階でもヨーカ堂の優位は揺るがず、五一億円の 差をつけている。
つまりイオンは、売上高ではヨークベニマル一社分に近いほどの優位にあり、そこに不動賃 貸収入も加わるため、営業利益段階まではヨー カ堂をはるかに上回っている。
これが経常利益 段階から逆転し、当期利益段階に至ってこの差 は一層広がる。
その大きな要因が、ヨーカ堂の 受取利息と受取配当金ということになる。
同様に利益率の比較でも、営業利益率の段階 ではイオン一・〇%、ヨーカ堂〇・六%だった のに、経常利益率ではヨーカ堂一・九%、イオ ン一・三%と立場が入れ替わる。
そして当期利 益率でもヨーカ堂が上回っている( 図4)。
営業利益率の改善が課題 両社ともに、低水準の営業利益の改善が課題なのは間違いない。
イオンの二〇〇五年二月期 の営業利益率は、過去五年間で最低の一%だっ た。
一方のヨーカ堂は〇・六%で、これも過去 五年間の最低を記録した。
米ウォルマートや仏カルフール、英テスコな どの営業利益率が五%前後であることと比べる と、イオンとヨーカ堂の営業利益率は非常に低 い。
国内のスーパーマーケットの中にも、ヨー クベニマルやヤオコーのように営業利益率四% 台の小売業がある。
売上規模などによる存在感 の大きさとは裏腹に、勝ち組とみなされている GMS二社の収益性の低さは際立っている。
営業利益率は、売上総利益率(粗利率)また は営業総利益率から販管費率を差し引いたもの だ。
従って、この二つをコントロールできなけ れば営業利益率は改善しない。
この観点から両 社を比較すると、粗利率はヨーカ堂の方が一貫 して高く、その差は直近で一・八ポイントある。
ただし、この指標は、粗利率の低い食品の売上 構成比が大きければ低下するし、反対に粗利率 の高い衣料品の売上構成比が大きければ高まる。
実態を把握するためには、その内訳を部門別に 見ていく必要がある( 図5 )。
直営部門の粗利率はヨーカ堂の三一%に対し て、イオンは二六・二%。
差が四・八ポイント ある。
ヨーカ堂の粗利率は全部門においてイオ ンより高い。
ここで差が生じる主な要因として は、イオンが「エブリデー・ロープライス」(E DLP)と呼ぶ低価格戦略を進めていることが 挙げられる。
また、たとえば住居用品では、イ 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 売上総利益率25.9% 25.9% 25.9% 25.3% 25.4% 営業総利益率30.8% 30.8% 30.9% 30.6% 30.9% 販管費率29.3% 29.2% 28.9% 29.2% 29.9% 営業利益率1.5% 1.6% 2.0% 1.4% 1.0% 経常利益率1.7% 1.8% 2.1% 1.6% 1.3% 純利益率0.2% -2.4% 1.1% 0.9% 0.7% ■イオン 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 売上総利益率27.2% 27.1% 27.5% 27.7% 27.2% 営業総利益率28.5% 28.4% 28.9% 28.9% 28.4% 販管費率27.4% 26.3% 26.6% 27.3% 27.8% 営業利益率1.1% 2.1% 2.3% 1.6% 0.6% 経常利益率2.9% 3.1% 3.3% 2.9% 1.9% 純利益率1.4% 1.7% 2.8% 1.9% 1.2% ■イトーヨーカ堂 図4 売上利益率・販管費率などの2社比較 AUGUST 2005 60 付けをともなって浮かび上がってくる。
イオンの販管費率が高い理由は、主に人件費 と設備費にある。
同社の人件費率はヨーカ堂より一ポイント以上高い。
また、地代・家賃・減 価償却費などが含まれる設備費は、出店数に比 例して増えるため、積極的な出店を続けるイオ ンにより重くのしかかっている。
ようするに、 イオンは低価格戦略に見合ったローコストの構 造をまだ完成できていない。
二社ともに販管費 率が高すぎるのは明らかだが、そこには別々の 事情が反映されているのである。
SMのイオンとCVSのヨーカ堂 次に、連結営業収益を比較しながら、イオン とヨーカ堂のグループ戦略の違いを見ていく (次ページ 図6 )。
イオンは、?総合小売事業、 ?専門店事業、?ディベロッパー事業、?サー ビス等事業――の四事業にグループの柱を分類 している。
一方のヨーカ堂は、?スーパースト ア事業、?コンビニエンスストア事業、?レス トラン事業、?金融関連事業、?その他事業― ―の五事業に分類している。
イオンの店舗はショッピングセンターの形を とっているが、営業収益の構造も、専門店、デ ィベロッパー、金融サービスなど、いずれもシ ョッピングセンターと関係が深い。
他方、ヨー カ堂の事業構成からは、こうした分かりやすい 軸が見えてこない。
イオンにしかないのは専門店事業とディベロ ッパー事業で、反対にヨーカ堂にしかないのは オンが粗利率一〇%前後の情報家電やテレビな どを積極的に扱っていることが理由として考え られる。
いずれにせよ、ヨーカ堂の実績からは粗利率 を上げようとする意思が強く伝わってくる。
他 方、イオンからは粗利率を抑える価格戦略の影 響を感じる。
粗利率は改善する方がいいと単純 に決めつけがちだが、両社の違いからは戦略の 相違が滲み出ている。
では、販管費率についてはどうか。
イオンの 販管費率が二九・九%なのに対し、ヨーカ堂は 二七・八%。
イオンの方が二・一ポイント高い。
粗利率が低くて、販管費が高いのだから、常識 的に考えればイ オンの営業利益 率はヨーカ堂よ り低くなるはず だ。
しかし実際 には、不動産賃 貸収入その他を 加えた営業総利 益率がイオンの 方が大きいため そうなってはい ない。
ここから ディベロッパー 事業の利益に助 けられているイ オンの事業構造 が、データの裏 コンビニエンス事業とレストラン事業だ。
イオ ンもコンビニ事業としてミニストップを持って いるが、総合小売事業としてGMSなどとまと められている。
業界で圧倒的トップのセブンイ レブンと、規模の小さいミニストップの違いに よるものと思われる。
レストラン事業について も同様のことが言え、イオンのグルメドールは サービス等事業に埋もれてしまっている。
イオンは四事業構成、ヨーカ堂は五事業構成 となっているわけだが、それぞれの営業収益の 構成比に、両社のグループ戦略の違いが明確に 表れている。
イオンの場合は、GMSやスーパ ーマーケット(SM)、コンビニを含む総合小 売事業の構成比が全体の七六%と圧倒的に高い。
これを専門店事業一〇・一%とサービス等事業 十二・六%が、同じような構成比で支える構図 になっている。
これに対してヨーカ堂は、一番目に挙げてい るスーパーストア事業よりも、二番目のコンビニ エンスストア事業の営業収益が大きい。
コンビ ニ事業の営業収益は、直営店売上高にロイヤリ ティ収入を加えたものだ。
仮にこれを加盟店お よび直営店の店頭売上ベースに変えれば、セブ ンイレブンの全店の合計店頭売上高は二兆四四 〇〇億円あるため、スーパーストア事業の一兆 六四二三億円を遥かに上回ることになる。
いず れにせよヨーカ堂グループの営業収益の柱が、セ ブンイレブンであることは間違いない。
イオンが総合小売業に含めているスーパーマ ーケット事業を見ると、営業収益は七〇〇〇億 図5 部門別粗利益率(単体)の2社比較 01/2 02/2 03/2 04/2 05/2 アパレル、ホームファッション33.5% 32.0% 33.2% 33.5% 33.0% ハードライン、住居用品22.2% 22.4% 22.1% 23.3% 23.8% 食品23.8% 24.1% 23.9% 22.0% 22.3% 直営部門計26.3% 26.3% 26.4% 26.0% 26.2% 合計(商品供給含む) 25.9% 25.9% 25.9% 25.3% 25.4% 衣料品35.4% 37.4% 39.2% 41.0% 39.6% 住居用品29.6% 29.8% 30.1% 30.9% 30.6% 食品28.0% 26.8% 26.9% 27.0% 26.9% 直営部門計30.6% 30.6% 31.0% 31.6% 31.0% 合計27.2% 27.1% 27.5% 27.7% 27.2% イオン イトーヨーカ堂 61 AUGUST 2005 円を超え構成比は一五・四%。
独立した 事業として分類されてもおかしくないほ ど高い構成比を持っている。
しかもイオ ングループのスーパーマーケットの出店 は今後、加速する見込みで、二〇一〇年 二月期には営業収益一兆円の達成をめざしている。
これに比べると、ヨーカ堂の スーパーマーケット事業はおとなしい。
ヨークベニマルとヨークマートの売上高 を合計しても約三八〇〇億円に過ぎず、 構成比も一〇・四%でしかない。
グループ企業全体を見回すと、イオン の場合は企業数こそ多いが、業界ダント ツのナンバーワン企業がない。
片やヨー カ堂には、セブンイレブン、ヨークベニ マル、デニーズのようにそれぞれの業界 を代表する企業がある。
ただし近年はイ オンクレジットサービスとイオンモール が各分野でトップ企業に成長しつつある。
ヨーカ堂グループのアイワイバンクとと もに注目すべき動きだ。
続いて、それぞれの事業が利益面で、 連結決算にどれだけ貢献しているのかを 見ていく。
両社の連結営業利益の事業別 構成を見たときにすぐ気づくのは、ヨー カ堂のコンビニエンスストア事業の構成 比が九二%と極めて高いことだ。
営業収 益でも四九・四%を占めていたのが、連 結営業利益では九割を超えるまでに跳ね 上がる。
これはヨーカ堂の連結営業利益 のほとんどが、セブンの利益だということを意 味している。
GMSの連結営業利益への貢献度 は四・一%に過ぎず、ヨークベニマルの五・ 七%よりもさらに小さい。
一方、イオンの場合は、利益面では各事業が バランス良く貢献する構図になっている。
総合 小売業の三八%に続いて、イオンクレジットサ ービスを中心とするサービス等事業三六・三%。
ここに専門店事業の一三・五%と、ディベロッ パー事業の一二・二%が続いている。
ヨーカ堂の連結営業利益の構造が、強力な収 益力を持つセブンイレブンが全体を引き上げる ?機関車型〞であるのに対し、イオンのそれは それぞれが稼ぐ?電車型〞の構造になっている。
ヨーカ堂の課題はセブンイレブンに極度に依存 する利益構造からの脱却だが、そのためにはG MSの収益力回復と、アイワイバンクの利益拡 大が期待される。
持株会社制で変わるヨーカ堂 ヨーカ堂、セブンイレブン、デニーズという ヨーカ堂グループの主要三社は、今年九月一日 付で持株会社を設立する。
持株会社の名称はセ ブン&アイ・ホールディングス。
セブンイレブ ンの「セブン」が、ヨーカ堂を表す「アイ」の 上位にきているのは、グループ内におけるコン ビニ事業の圧倒的な利益貢献度の表れだ。
持株会社の設立によって、ヨーカ堂とセブン イレブンの関係は、これまでの親会社と子会社 という関係から横並びに変わる。
これは二社の 図6 連結営業収益の事業別規模(売上高)の2社比較 03/2 04/2 05/2 ■イオン 03/2 04/2 05/2 (単位:百万円) ■イトーヨーカ堂 (単位:百万円) ※加盟店及び自営店売上の合計 ※※02/12 ※※※03/12 ?総合小売事業計2,375,939 2,837,009 73.9% 3,481,224 76.0% GMS 1,732,413 2,001,559 2,523,477 55.1% スーパーマーケット479,113 632,878 706,543 15.4% コンビニエンスストア53,709 74,708 90,238 2.0% その他110,502 127,863 160,964 3.5 ?専門店事業449,852 449,161 11.7% 463,812 10.1% タルボットU.S.A. 198,410 186,750 182,891 ブルーグラス41,237 40,662 36,637 メガスポーツ40,056 49,107 59,629 ?ディベロッパー事業44,851 49,240 1.3% 58,915 1.3% イオンモール31,105 35,600 43,052 ?サービス等事業計476,509 501,962 13.1% 575,311 12.6% 金融サービス93,256 101,933 114,197 2.5% イオンクレジットサービス73,789 83,090 94,682 その他383,253 400,029 461,113 10.1% アイク117,489 133,396 148,707 イオンテクノサービス41,060 46,438 52,667 チェルト31,033 35,164 41,602 イオンファンタジー20,279 23,418 28,866   小    計3,347,153 3,837,373 100.0% 4,579,264 100.0%   消    去▲260,649 ▲291,157 ▲383,420   連結営業収益3,086,504 3,546,215 4,195,843 ?スーパーストア事業1,695,911 1,656,544 46.4% 1,642,264 45.0% イトーヨーカ堂1,506,131 1,474,808 1,455,358 ヨークベニマル262,305 272,890 280,595 ヨークマート96,398 96,075 97,072 ロビンソンジャパン62,276 21,571 ― ロビンソン百貨店― 35,247 44,656 ?コンビニエンスストア事業1,689,052 1,721,200 48.2% 1,806,168 49.4% セブンイレブンジャパン※2,213,298 ※2,343,177 ※2,440,853 7-イレブンインク(U.S.A.) ※※1,224,395 ※※※1,244,717 1,311,852 ?レストラン事業125,676 124,381 3.5% 126,181 3.5% デニーズジャパン96,089 95,496 96,360 ファミール20,166 19,617 18,630 ?金融関連事業17,195 0.5% 61,236 1.7% アイワイバンク アイワイカードサービス ?その他事業19,676 14,737 0.4% 17,195 0.5% セブンドリームドットコム   小    計3,530,316 3,568,934 100.0% 3,653,046 100.0%  消    去▲23,912 ▲26,788 ▲ 29,492   連結営業収益3,530,316 3,542,146 3,623,554 AUGUST 2005 62 セブンイレブンを支配したい投資家にとっては M&Aの絶好のチャンスとなっていた。
子会社 のセブンイレブンを直接買収するよりも、親会社のヨーカ堂を買収すれば自動的に子会社をも 手に入れられるためだ。
このような買収の可能 性は、九〇年頃から海外の機関投資家によって 指摘されていた。
ライブドアが日本における企業買収に火をつ け本格化させたことで、現在、買収のためのフ ァンドの規模と数が増えている。
この状況を考 えるとヨーカ堂グループは緊急に買収防衛策を 打ち出す必要があった。
以前からの懸案事項で もあった持株会社制への移行が、同時に買収防 衛策としても有効だったことから、今回の唐突 な発表へとつながったのである。
本稿で注目すべきポイントは、持株会社制へ の移行によって、ヨーカ堂グループがどのよう に変わるかだ。
この点への市場関係者の関心は、 現状ではまだ小さい。
だからこそ九月以降、ヨ ーカ堂グループが大きく変わる可能性があるこ とを、ここで指摘しておきたい。
持株会社の設立によって、ヨーカ堂の創業家 である伊藤家は持株会社の大株主へと変わる。
これまでの関係に変わって、「君臨すれども統治 せず」的な一歩後退した立場になるわけだ。
九 月以降は、創業者個人の考えや意識決定でグル ープが動くのではなく、最前線に出てきた持株 会社がグループ戦略を考える機関になる。
ヨー カ堂グループが今後どのように動くかは、この 持株会社の役割に注目すると見えてくる。
関係が対等になるというより、ヨーカ堂の位置 づけが後退し、それに代わってセブンイレブン が強い影響力を発揮するグループ構造に変わる と理解すべきだろう。
今年九月以降、持株会社は上場するが、ヨー カ堂、セブンイレブン、デニーズの三社は上場 廃止になる。
三社の株式は定められた交換比率 で持株会社の株式と交換される。
これによって 九月一日からは、上記三社に個別に投資するこ とはできなくなり、セブン&アイ・ホールディ ングスという持株会社にまとめて投資すること になる。
これは、いわば単品メニューが途中からセッ トメニューに変わるようなものだ。
高収益企業 であるセブンイレブンに絞って関心を持ってい る投資家にとっては、ヨーカ堂やデニーズとの 抱き合わせでしか株を買うことができなくなる わけで、強い不満の声が上がっている。
グルー プの論理が、とりわけセブンイレブンの株主の 利益に優先したかたちになるためだ。
ヨーカ堂の持株会社設立の発表は唐突だった。
背景には、ニッポン放送の買収によってフジテ レビを支配しようとしたライブドアによるM& Aの動きがあった。
当時のニッポン放送とフジ テレビの関係は、ヨーカ堂とセブンイレブンの 関係に似ていた。
セブンイレブンの時価総額が 約二兆五〇〇〇億円なのに対し、ヨーカ堂のそ れは一兆五〇〇〇億円と、子会社の時価総額が 親会社を上回る状況が続いていた。
時価総額における親子の?ねじれ現象〞は、 過去のヨーカ堂は堅実で、臆病なほど慎重な 企業と言われてきた。
旧ヤオハンやマイカルな どの破綻企業を支援するリスクを取り、M&A に対しても積極的なイオンとは対照的な姿勢だ が、その慎重さが収益力につながったと高く評 価されてきた。
しかし、再編の気運が高まる流 通業界において、近年、こうした保守的にも見 えるヨーカ堂の姿勢が同社の成長性に疑問符を つける要因になってきたことも事実だ。
ヨーカ堂の変身が業界を揺るがす 過去のヨーカ堂グループの動きは、創業家で ある伊藤氏個人の性格や考えを強く反映したも のだったと考えられる。
しかし、持株会社制へ の移行によって、創業者の個人的な影響力は弱 まる。
それに代わって持株会社がグループ戦略 を決定することになり、意思決定は従来より合理的で戦略性の高いものになるはずだ。
持株会社の立場からグループの事業展開を見 れば、強化すべき事業や、新たに加えるべき新 規事業の課題は明白だ。
まず最優先の課題はス ーパーマーケット事業だろう。
ヨークベニマルと ヨークマートの二社を傘下に持ってはいるもの の、ヨーカ堂グループにはスーパーマーケット戦 略と呼べるものがない。
売上高一兆円を目指し てスーパーマーケットの出店を加速しているイオ ンとの差は開くばかりで、業界での存在感も薄 い。
持株会社がM&Aによってスーパーマーケ ット事業の柱を太くする可能性は高いはずだ。
もう一つ考えられるのは、ヨーカ堂グループに 63 AUGUST 2005 とって悲願ともいえる百貨店の買収だ。
八〇年 代の終わりに不動産会社の秀和が、大阪のイズ ミヤ、いなげや、忠実屋、そして百貨店の伊勢 丹と松坂屋の株を集めたことがあった。
秀和が 保有株を処理する段階で、ヨーカ堂が伊勢丹株 の取得に強い関心を示したことを思い出して欲 しい。
このときは思惑通りにならなかったが、衣 料品を中心とするヨーカ堂のマーチャンダイジ ング戦略を延長して、将来、百貨店事業をグル ープの中核に据えるとしても不思議はない。
具体的な買収のターゲットとしては、そごう と西武百貨店が統合したミレニアムリテイリン グあたりが考えられる。
ミレニアムの筆頭株主 は、野村證券の子会社で投資会社の野村プリン シパル。
ここが六〇%の株式を保有しているが、 ミレニアムの再建は進んでおり、三年後には株 式を上場する予定だ。
投資会社である野村プリ ンシパルがミレニアム株を保有し続けるとは考 えにくく、上場益を確保するために売却するは ずだ。
このときミレニアムの株がどこに移るの かがポイントになる。
ここで忘れてはならないのは、野村證券とヨ ーカ堂グループの親密な関係だ。
情報システム、 資金調達、そして野村出身者のヨーカ堂グルー プ入りなどを通して、両者は深い関係にある。
このような事柄を総合すると、セブン&アイ・ ホールディングスがミレニアム獲りに動く可能 性を否定できない。
ミレニアムの他にも、メーンバンクが同じと ころから三越と組む可能性もゼロではあるまい。
ヨーカ堂グループは三井物産を接点として、デ ィベロッパー会社の設立計画などで三井不動産 との関係も強化しつつある。
三井グループとの 関係は深まっており、その原点ともいえる三越との提携はありえない話ではないはずだ。
いずれにせよ、堅実、慎重、保守的と言われ てきたヨーカ堂グループが、九月の持株会社制 への移行によって、一転して積極的なM&Aに 打って出る可能性があることをここでは強調し ておきたい。
現在のGMS業界では、成長戦略を大胆に推 し進めるイオンの動きばかりが目立っている。
だが持株会社に移行して以降の新生ヨーカ堂は、 格段に戦略性が高まると思われる。
ヨーカ堂グ ループの変身によって、小売業界の動きはより ダイナミズムを増すことになるはずだ。
イオンとヨーカ堂の覇権争い ここまでに見てきた通り、大手GMSの現状 は勝ち組二社といえども極めて厳しい。
イオン は規模拡大を収益性の改善につなげるために、 中継計画である「二〇一〇年ビジョン」で掲げ て営業利益率五%の達成を追求しているが、収 益性改善の結果をまだ出せていない。
一方のヨ ーカ堂も、成長性と収益性の両面でかつての存 在感はない。
過去の遺産である強固な財務体質 や、セブンイレブン株の配当に依存する経営か ら脱却することが求められている。
イオンは、前述したスーパーマーケット戦略 と並んで、市場規模一〇兆円になるであろうと 言われるドラッグストア・調剤薬局市場におけ る巨大プロジェクトも進めている。
複数のドラ ッグストアと調剤薬局に、イオンのヘルスアン ドビューティ部門を加えた合計十一社がイオ ン・ウエルシア・ストアーズを組織化している。
イオンのヘルスアンドビューティ部門まで含め た売上規模は六〇〇〇億円(含まない場合は四 二〇〇億円)。
これをシェア一〇%に相当する 一兆円に引き上げようとしている。
スーパーマ ーケット事業で売上高一兆円を目指すことと並 ぶ、イオンの二大戦略である。
これに比べると、堅実で知られるヨーカ堂に は、流通業界に大きなインパクトを与えるよう なプロジェクトが存在しない。
しかし、そのヨ ーカ堂グループも今年九月の持株会社制への移 行で、大きく変わる可能性が出てきた。
勝ち組 小売業二社の動きから、ますます目を離せない 状況が生まつつある。
(すずき・たかゆき)東京外国語大学卒業。
一九六八年 西友入社。
店長、シカゴ駐在事務所長などを経て、八九 年バークレーズ証券に入社しアナリストに転身。
九〇年 メリルリンチ証券入社。
小売業界担当アナリストとして 日経アナリストランキングで総合部門第二位が二回、小 売部門第一位が三回と常に上位にランクインし、調査部 のファーストバイスプレデント、シニアアナリストを最 後に二〇〇三年に独立。
現在はプリモ・リサーチ・ジャ パン代表。
著書に『イオングループの大変革』(日本実業 出版社)ほか。
週刊誌などでの執筆多数。

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