2007年11月号
SOLE
SOLE
米国防総省のロジスティクス戦略
NOVEMBER 2007 74
SOLE 日本支部フォーラムの報告
The International Society of Logistics
米ピッツバーグの年次総会に参加?
米国防総省のロジスティクス戦略
SOLE日本支部では八月度のフ
ォーラムは休会とし、米国ピッツバー
グで開催された総会「SOLE20
07」へ代表を送った。
「ロジスティ クス:任務成功へのかなめ石」をメ インテーマとして、米国防総省(D oD)など産・官・学の要人が出席。
ベビーブーマー世代の大量退職問題 やロジスティクスに携わる人材に求め られる資質など、現在注目を集めて いるトピックスが話し合われた。
2回 にわたり、会議の概要を紹介する。
任務成功へのかなめ石 SOLE2007が始まった二〇 〇七年八月二一日、ピッツバーグの 空には強い雨を降らせる雨雲が飛ん でいた。
カリブ海に被害を及ぼして いたハリケーン「ディーン」には米 本国への上陸のおそれがあり、この 会議にも影響を与えていた。
会議の 主たるテーマの一つは、二〇〇五年 にニューオーリンズに甚大な被害を及 ぼした「カトリーナ」を念頭に設定 されている。
会議に出席を予定して いた何人かのゲストスピーカーの欠席 は、「ディーン」に備える職務を負っ てのものだった。
三日間の会議のメインテーマは『ロ ジスティクス:任務成功へのかなめ 石』である。
初日が「国防ロジステ ィクス」、二日目が「宇宙空間ロジス ティクス」、三日目が「人道主義と災 害救難」と各日ごとにテーマが割り 当てられている。
これらのテーマは 昨年と同じであり、依然として米国 の大きな悩みの種であり続けている ことを示していた。
つまり、新しい 期待されうる分野というよりは、現 在の米国が乗り越えるべきハードル を示すキーワードとして捉えられてい た。
乗り越えるには何らかの変革が 必要であるが、その先には明るい未 来が無いとも限らない。
さて、会場はピッツバーグのダウン タウンにあるオムニ・ウィリアム・ペ ン(OMNI William Penn)ホテルで ある。
ホテルの名前はこの地を拓い たクエーカー教徒ウイリアム・ペンに 因んだもの。
ピッツバーグはペンシル バニア州にあり、三つの川が交差す るこの地には、元巨人の桑田真澄投 手が移籍した大リーグのパイレーツ があるし、二〇〇五年のスーパーボ ールを制したアメリカン・フットボー ルのスティーラーズも本拠地を置い ている。
かつて製鉄で栄えたこの街 は、二〇〇七年の最も住みやすい町 (Most Livable City)に選ばれ、ピ ッツバーグ国際空港をはじめ目立っ た場所にポスターが貼られていた。
話を戻そう。
ホテルでは一七階に会 議の受付や事務局が置かれ、主要な スピーチやプレナリーセッション(全 体会議)もこの階で行われた。
個々 に分かれてのプレゼンテーションは メザニン(中二階)フロアーと「ウ ィリアム・ペン」フロアーで実施さ れた。
参加者二百数十名という規模 は国際会議としては小さな方である が、知らない参加者同士が顔なじみ のように挨拶を交わす様子は小規模 の会議の良いところである。
参加者のほとんどは米国内からで あり、日本支部から来た我々、若干 の中国人、韓国人とシンガポール人 は、ここでは相当のマイノリティだ が、長年参加している日本支部幹事 には本部事務局はじめ顔なじみが多 い。
ロッキードマーチン、レイセオン、 マイクロソフト、ボーイングを筆頭に 計一八社が協賛をしており、この会 議に参加するDoD職員の役職の高 さを窺い知ることができる。
参加者 は産・官・学と幅広いが、やはりD oDからの参加者の存在感は大きい。
上述した三つのテーマを柱に、基 調演説やプレナリーセッション、パネ ルディスカッション、ペーパーセッシ ョンなどが行われる。
一日目の午前 中には基調演説とプレナリーセッシ ョンに続き、二つのパネルディスカ ッションが平行して二会場で行われ た。
同じディスカッションが再度午後 に設けられ、聴衆はどちらも聴くこ とができるようになっている。
ただ し、その後のペーパーセッションは同 時並行で実施される四トラックに分 かれており、各々三〜四つの発表か ら構成されるトラックのいずれかを自 分の興味に合わせて聴くことになる。
ペーパーセッションでの発表は、主と して講演者の興味に基づく研究、紹 介であるから内容は多彩である(図 1)。
米国の二〇一二年問題 二一日の朝七時から始まった開会 式では、今回の会議の実行委員長ジ ョン・J・エルブ(John J. Erb)が 参加者に対し歓迎の言葉を述べ、S OLE会長Dr.ロイド・ミュラー (Lloyd Muller)がロジスティクスの 有用性と重要性を述べた。
続いて基 調演説をDoD次官補隷下に所属す 75 NOVMBER 2007 補給システム群司令の海軍少将アラ ン・トンプソン( Alan Thompson)、 陸軍参謀本部のトーマス・J・エドワ ーズ(Thomas J. Edwards)が軍の 「ロジスティクス2012」を語った。
クリスチャンソンによれば、統合参 謀本部でもこの一〇年で一〇%から 一五%の人員削減が計画され、Do Dにおけるロジスティクスにおける変 化は必然という。
しかし、その特徴 は単に人的資源が十分でないという だけでなく、多様性、変化のスピー ドにある。
このため、技術的イノベ ーションに追従できる教育の提供と その必要性を理解する人材の養成を 大学に求めている。
トンプソンは、積極的なロジスティ クス改革に対し、変革すべき分野と 現状を維持すべき分野のバランスも 大事であると説く。
また、近年の米 国の海外派兵を念頭に、IT情報や 地域情報をロジスティシャンに提供 する重要性を語った。
エドワーズは、兵隊も顧客である ことを理解し、多国籍、多機能的に なりつつあるロジスティクスを理解す る人間が今後のリーダーであること を、スーパーマン、スーパーウーマン のキャラクターをスクリーンに投射し て説明。
そのようなロジスティシャン 育成のための様々なプログラム(大 学への派遣、部内での育成課程や研 るジェームズ・ホール(James Hall) とゼネラル・ダイナミクス社の主席副 社長ウォルター・オリバー( Walter Oliver)が行った。
基調講演「The Human Element of Transformation(変革における人 的要素)」における、ホールの主な主 張は以下のとおりである。
1.制服組、DoD職員、産業界パ ートナーの三者の緊密な関係が必 要である。
2.今ロジスティクスに求められる ものは、Readiness( 即応性)、 Response(反応性)、 Reliability (信頼性)、 Agility(機敏性)、及 びそれらの必要性を納得させる Rational way(合理的手段)であ る。
3.ロジスティクスを取り巻く今日の 状況については、二〇一二年まで にベビーブーマーの大量退職が続 くため、若年労働者、シルバー労 働者の雇用を重要視すべきである。
しかし、若者をはじめ変化しつつ ある雇用者の価値観、動機の把握 に留意が必要である。
4.ロジスティクスの運用は特に重要 である。
また、産業界には工学を 知るロジスティシャンが必要であ る。
5.DoDの将来のロジスティクスは、 統合展開輸送計画(JDDE: Joint Deployment and Distribution Enterprise)を柱に、メンテナンス・ デポ、補給センター、ロジスティッ ク計画局が緊密に連携する組織に よるものとなる。
人事畑を歩いてきたオリバーは、労 働力全般について、出生率の低下と 少子化問題、移民問題、世代間の価 値観ギャップなどから変化は避けら れないし、その変革に必要な人材の キャリア向上への支援を実施すべき であるが、変化を嫌がる人員に変革 の必要性を納得させることが重要で ある、と説いている。
ベビーブーマーの退職は二〇一二 年まで漸次続き、これを二〇一二年 問題と呼ぶのか、「2012ロジステ ィシャン」や「ロジスティクス201 2」が色々な場面で熟語として使用 されていた。
海外派兵も念頭に さて、九時から始まったプレナリ ーセッション「Defense Logistics 2 012:The Organization and Its People(国防ロジスティクス2012 :組織と人)」では、さきほどのホー ルが司会を務め、統合参謀本部の陸 軍中将クロード・V・クリスチャンソ ン(Claude V. Christianson)、海軍 図1 SOLE2007 講演一覧 基調講演変革における人的要素 プレナリーセッション パネルディスカッション ペーパーセッション クロージングセッション 国防ロジスティクス2012:組織と人 2012 ロジスティシャン 将来ためのロジスティクス構築 ロジスティシャンの育成 組織的変化へのカルチャー変革 組織的変化におけるロジスティシャンの役割 迅速かつ正確な対処 宇宙探索 計画とビジョン達成 善し、悪し、宇宙ロジ活動の過酷さ 未来の宇宙ロジ活動のロードマップ 可能性重視の計画 敏感で適応的なロジスティクス 結果重視の機能 統合される宇宙ロジの組織共同体 人道支援・災害救援システムを成功へ導く鍵 将来の国内災害のための種々な計画 人道支援・災害復旧のためのグローバルロジスティクス 国内救援について学び続ける教訓 人道支援と災害救援の価値あるパートナーシップ 国際救援について学び続ける教訓 人道支援と災害救援の価値ある連携 8月21日(国防ロジスティクス) 8月22日(宇宙空間ロジスティクス) 8月23日(人道主義と災害救難) ロジスティクス変革とグローバル経済 NOVEMBER 2007 76 修員制度)も紹介していた。
十一時からは午前中最後のプログ ラムとして、「2012ロジスティシ ャン」と題するパネルディスカッショ ン?が始まった。
ロッキードマーチ ン社のDr.ルイス・A・クラッツ (Louis A. Kratz)を司会に、リーハ イ(Lehigh)大学のDr. ブライアン・ S・フーゲイト(Brian S. Fugate)、 陸軍の退役少将ウェイド・H・マクマ ナス・ジュニア(Wade H. McManus Jr.)、イラク派兵でロジスティクスの 責任者だったJ・ティム・フレイホー ファー(J.Tim Freihofer)がパネラ ーを務めた。
フーゲイトは、将来のロジスティシ ャンに求められる資質、すなわち大 学が今後育成するべきロジスティシ ャンは、多様性、国際性、エンジニ ア的素養、コミュニケーションとリー ダーシップを有する人間であると、大 勢となる意見を述べる。
マクマナスJr.やフレイホーファ ーは実務者の立場から、次のような 実務的素養が必要であると具体的に 述べた。
すなわち、英語以外の言葉、 地域の知識、色々な種類のマインドセ ット(他の組織との協調、物資の共 有化を許容できる精神)が求められ、 いわゆるグローバル・ロジスティクス 環境の下の統合組織で力を発揮でき るロジスティシャンが必要である。
しかし、そもそもの基本は少人数 で自己充足性のある必要最低限のロ ジスティクスを提供できる機能であ ると説く。
特に現在、米軍のロジス ティクスを改革し、ロジスティシャン を育成するにあたって障害となって いることとして、陸・海・空を横断 する統合ロジスティクス技術に関する 技能認定コードが無いこと、固有名 称として「Joint Logistic Doctrine (統合ロジスティクス・ドクトリン)」 をDoDが持っていないことを挙げ ている。
さて、パネルディスカッション?後 の昼食は事務局が準備していた。
同 じ一七階に設置された企業の展示会 場で、大きなサンドイッチを口にしな がら、我々はロッキードマーチン社の RFIDの話に耳を傾けた。
戦場のサプライチェーン 午後一時からは「将来のためのロ ジスティクスの構築」と題されたパ ネルディスカッション?を聴いた。
司 会は防衛ロジスティック局(DLA: Defense Logistic Agency)のアレン・ A・バンハート(Allen A. Banghart)、 パネラーはオハイオ州立大学のDr. ダグラス・J・ランベルット(Douglas J. Lambertto)、クーガー・ソフトウ ェア( Cougaar Software)社長のD r.トッド・A・カリーコ(Todd A. Carrico)、及びアメリカ輸送軍(US TRANCOM: US Transportation Command)の大尉デビッド・C・メ イヤーズ(David C. Meyers)である。
バンハートは司会者の役回りであ ったが積極的に意見を述べ、DLA の改革計画について解説。
USTR ANCOMとの緊密な連係の下、戦 場にいる兵士と補給を直接結ぶエン ド・ツー・エンドのサプライチェー ンを構築することが、目下の目標で あると語った。
DLAは物資の調達、 研究開発、検査に責任があり、US TRANCOMは全世界規模での米 軍の物資輸送を一手に受け持つ、D oDのロジスティクスのかなめ的組織 である。
ランベルットはロジスティクスの基 本を問い、国防ロジスティクスの定義 から明確にすべきであると主張し、メ イヤーズは現在担当している調達プロ セス支配計画(DPO: Distribution Process Owner)の概念図を用いな がら、欧州からの物資要求に対する 衛星を使用した物資調達機能につい て説明。
さらに、DoDのロジスティ クス改革には前述したJDDEが重 要であり、図2のようなJDDEの 教育組織ピラミッドが想定され、それ に基づく人材育成がUSTRANC OMでなされていると報告した。
(以下、次号に続く) 次回フォーラムのお知らせ 11 月度フォーラムは11 月22 日 「RFID 木更津実験センター現場見学」 を予定している。
このフォーラムは年 間計画に基づいて運営しているが、単 月のみの参加も可能。
1 回の参加費は 6,000円。
ご希望の方は事務局(solej- offi ce@cpost.plala.or.jp) までお 問い合わせください。
図2 アメリカ輸送軍のロジスティシャン養成ピラミッド USTRANSCOM Goal: Trained and Experienced Joint Logisticians Senior Joint Logistics (Joint Logistics) Develop,operate & lor Improve DOD Deployment & Distribution Processes Experience appiying skills towaeds specific joint deployment and distribution processes Understand deployment and distribution processes and conscepts Introductory knowledge of deployment and distribution processes University Supply Chain Program Senior Logistics Leaders (15) Web-Based Supply Chain Program Distribution Orientation Joint Distribution Enterprise Personnel (345) Command Wide (800) Awareness Application Expertise Leadership Understanding
「ロジスティ クス:任務成功へのかなめ石」をメ インテーマとして、米国防総省(D oD)など産・官・学の要人が出席。
ベビーブーマー世代の大量退職問題 やロジスティクスに携わる人材に求め られる資質など、現在注目を集めて いるトピックスが話し合われた。
2回 にわたり、会議の概要を紹介する。
任務成功へのかなめ石 SOLE2007が始まった二〇 〇七年八月二一日、ピッツバーグの 空には強い雨を降らせる雨雲が飛ん でいた。
カリブ海に被害を及ぼして いたハリケーン「ディーン」には米 本国への上陸のおそれがあり、この 会議にも影響を与えていた。
会議の 主たるテーマの一つは、二〇〇五年 にニューオーリンズに甚大な被害を及 ぼした「カトリーナ」を念頭に設定 されている。
会議に出席を予定して いた何人かのゲストスピーカーの欠席 は、「ディーン」に備える職務を負っ てのものだった。
三日間の会議のメインテーマは『ロ ジスティクス:任務成功へのかなめ 石』である。
初日が「国防ロジステ ィクス」、二日目が「宇宙空間ロジス ティクス」、三日目が「人道主義と災 害救難」と各日ごとにテーマが割り 当てられている。
これらのテーマは 昨年と同じであり、依然として米国 の大きな悩みの種であり続けている ことを示していた。
つまり、新しい 期待されうる分野というよりは、現 在の米国が乗り越えるべきハードル を示すキーワードとして捉えられてい た。
乗り越えるには何らかの変革が 必要であるが、その先には明るい未 来が無いとも限らない。
さて、会場はピッツバーグのダウン タウンにあるオムニ・ウィリアム・ペ ン(OMNI William Penn)ホテルで ある。
ホテルの名前はこの地を拓い たクエーカー教徒ウイリアム・ペンに 因んだもの。
ピッツバーグはペンシル バニア州にあり、三つの川が交差す るこの地には、元巨人の桑田真澄投 手が移籍した大リーグのパイレーツ があるし、二〇〇五年のスーパーボ ールを制したアメリカン・フットボー ルのスティーラーズも本拠地を置い ている。
かつて製鉄で栄えたこの街 は、二〇〇七年の最も住みやすい町 (Most Livable City)に選ばれ、ピ ッツバーグ国際空港をはじめ目立っ た場所にポスターが貼られていた。
話を戻そう。
ホテルでは一七階に会 議の受付や事務局が置かれ、主要な スピーチやプレナリーセッション(全 体会議)もこの階で行われた。
個々 に分かれてのプレゼンテーションは メザニン(中二階)フロアーと「ウ ィリアム・ペン」フロアーで実施さ れた。
参加者二百数十名という規模 は国際会議としては小さな方である が、知らない参加者同士が顔なじみ のように挨拶を交わす様子は小規模 の会議の良いところである。
参加者のほとんどは米国内からで あり、日本支部から来た我々、若干 の中国人、韓国人とシンガポール人 は、ここでは相当のマイノリティだ が、長年参加している日本支部幹事 には本部事務局はじめ顔なじみが多 い。
ロッキードマーチン、レイセオン、 マイクロソフト、ボーイングを筆頭に 計一八社が協賛をしており、この会 議に参加するDoD職員の役職の高 さを窺い知ることができる。
参加者 は産・官・学と幅広いが、やはりD oDからの参加者の存在感は大きい。
上述した三つのテーマを柱に、基 調演説やプレナリーセッション、パネ ルディスカッション、ペーパーセッシ ョンなどが行われる。
一日目の午前 中には基調演説とプレナリーセッシ ョンに続き、二つのパネルディスカ ッションが平行して二会場で行われ た。
同じディスカッションが再度午後 に設けられ、聴衆はどちらも聴くこ とができるようになっている。
ただ し、その後のペーパーセッションは同 時並行で実施される四トラックに分 かれており、各々三〜四つの発表か ら構成されるトラックのいずれかを自 分の興味に合わせて聴くことになる。
ペーパーセッションでの発表は、主と して講演者の興味に基づく研究、紹 介であるから内容は多彩である(図 1)。
米国の二〇一二年問題 二一日の朝七時から始まった開会 式では、今回の会議の実行委員長ジ ョン・J・エルブ(John J. Erb)が 参加者に対し歓迎の言葉を述べ、S OLE会長Dr.ロイド・ミュラー (Lloyd Muller)がロジスティクスの 有用性と重要性を述べた。
続いて基 調演説をDoD次官補隷下に所属す 75 NOVMBER 2007 補給システム群司令の海軍少将アラ ン・トンプソン( Alan Thompson)、 陸軍参謀本部のトーマス・J・エドワ ーズ(Thomas J. Edwards)が軍の 「ロジスティクス2012」を語った。
クリスチャンソンによれば、統合参 謀本部でもこの一〇年で一〇%から 一五%の人員削減が計画され、Do Dにおけるロジスティクスにおける変 化は必然という。
しかし、その特徴 は単に人的資源が十分でないという だけでなく、多様性、変化のスピー ドにある。
このため、技術的イノベ ーションに追従できる教育の提供と その必要性を理解する人材の養成を 大学に求めている。
トンプソンは、積極的なロジスティ クス改革に対し、変革すべき分野と 現状を維持すべき分野のバランスも 大事であると説く。
また、近年の米 国の海外派兵を念頭に、IT情報や 地域情報をロジスティシャンに提供 する重要性を語った。
エドワーズは、兵隊も顧客である ことを理解し、多国籍、多機能的に なりつつあるロジスティクスを理解す る人間が今後のリーダーであること を、スーパーマン、スーパーウーマン のキャラクターをスクリーンに投射し て説明。
そのようなロジスティシャン 育成のための様々なプログラム(大 学への派遣、部内での育成課程や研 るジェームズ・ホール(James Hall) とゼネラル・ダイナミクス社の主席副 社長ウォルター・オリバー( Walter Oliver)が行った。
基調講演「The Human Element of Transformation(変革における人 的要素)」における、ホールの主な主 張は以下のとおりである。
1.制服組、DoD職員、産業界パ ートナーの三者の緊密な関係が必 要である。
2.今ロジスティクスに求められる ものは、Readiness( 即応性)、 Response(反応性)、 Reliability (信頼性)、 Agility(機敏性)、及 びそれらの必要性を納得させる Rational way(合理的手段)であ る。
3.ロジスティクスを取り巻く今日の 状況については、二〇一二年まで にベビーブーマーの大量退職が続 くため、若年労働者、シルバー労 働者の雇用を重要視すべきである。
しかし、若者をはじめ変化しつつ ある雇用者の価値観、動機の把握 に留意が必要である。
4.ロジスティクスの運用は特に重要 である。
また、産業界には工学を 知るロジスティシャンが必要であ る。
5.DoDの将来のロジスティクスは、 統合展開輸送計画(JDDE: Joint Deployment and Distribution Enterprise)を柱に、メンテナンス・ デポ、補給センター、ロジスティッ ク計画局が緊密に連携する組織に よるものとなる。
人事畑を歩いてきたオリバーは、労 働力全般について、出生率の低下と 少子化問題、移民問題、世代間の価 値観ギャップなどから変化は避けら れないし、その変革に必要な人材の キャリア向上への支援を実施すべき であるが、変化を嫌がる人員に変革 の必要性を納得させることが重要で ある、と説いている。
ベビーブーマーの退職は二〇一二 年まで漸次続き、これを二〇一二年 問題と呼ぶのか、「2012ロジステ ィシャン」や「ロジスティクス201 2」が色々な場面で熟語として使用 されていた。
海外派兵も念頭に さて、九時から始まったプレナリ ーセッション「Defense Logistics 2 012:The Organization and Its People(国防ロジスティクス2012 :組織と人)」では、さきほどのホー ルが司会を務め、統合参謀本部の陸 軍中将クロード・V・クリスチャンソ ン(Claude V. Christianson)、海軍 図1 SOLE2007 講演一覧 基調講演変革における人的要素 プレナリーセッション パネルディスカッション ペーパーセッション クロージングセッション 国防ロジスティクス2012:組織と人 2012 ロジスティシャン 将来ためのロジスティクス構築 ロジスティシャンの育成 組織的変化へのカルチャー変革 組織的変化におけるロジスティシャンの役割 迅速かつ正確な対処 宇宙探索 計画とビジョン達成 善し、悪し、宇宙ロジ活動の過酷さ 未来の宇宙ロジ活動のロードマップ 可能性重視の計画 敏感で適応的なロジスティクス 結果重視の機能 統合される宇宙ロジの組織共同体 人道支援・災害救援システムを成功へ導く鍵 将来の国内災害のための種々な計画 人道支援・災害復旧のためのグローバルロジスティクス 国内救援について学び続ける教訓 人道支援と災害救援の価値あるパートナーシップ 国際救援について学び続ける教訓 人道支援と災害救援の価値ある連携 8月21日(国防ロジスティクス) 8月22日(宇宙空間ロジスティクス) 8月23日(人道主義と災害救難) ロジスティクス変革とグローバル経済 NOVEMBER 2007 76 修員制度)も紹介していた。
十一時からは午前中最後のプログ ラムとして、「2012ロジスティシ ャン」と題するパネルディスカッショ ン?が始まった。
ロッキードマーチ ン社のDr.ルイス・A・クラッツ (Louis A. Kratz)を司会に、リーハ イ(Lehigh)大学のDr. ブライアン・ S・フーゲイト(Brian S. Fugate)、 陸軍の退役少将ウェイド・H・マクマ ナス・ジュニア(Wade H. McManus Jr.)、イラク派兵でロジスティクスの 責任者だったJ・ティム・フレイホー ファー(J.Tim Freihofer)がパネラ ーを務めた。
フーゲイトは、将来のロジスティシ ャンに求められる資質、すなわち大 学が今後育成するべきロジスティシ ャンは、多様性、国際性、エンジニ ア的素養、コミュニケーションとリー ダーシップを有する人間であると、大 勢となる意見を述べる。
マクマナスJr.やフレイホーファ ーは実務者の立場から、次のような 実務的素養が必要であると具体的に 述べた。
すなわち、英語以外の言葉、 地域の知識、色々な種類のマインドセ ット(他の組織との協調、物資の共 有化を許容できる精神)が求められ、 いわゆるグローバル・ロジスティクス 環境の下の統合組織で力を発揮でき るロジスティシャンが必要である。
しかし、そもそもの基本は少人数 で自己充足性のある必要最低限のロ ジスティクスを提供できる機能であ ると説く。
特に現在、米軍のロジス ティクスを改革し、ロジスティシャン を育成するにあたって障害となって いることとして、陸・海・空を横断 する統合ロジスティクス技術に関する 技能認定コードが無いこと、固有名 称として「Joint Logistic Doctrine (統合ロジスティクス・ドクトリン)」 をDoDが持っていないことを挙げ ている。
さて、パネルディスカッション?後 の昼食は事務局が準備していた。
同 じ一七階に設置された企業の展示会 場で、大きなサンドイッチを口にしな がら、我々はロッキードマーチン社の RFIDの話に耳を傾けた。
戦場のサプライチェーン 午後一時からは「将来のためのロ ジスティクスの構築」と題されたパ ネルディスカッション?を聴いた。
司 会は防衛ロジスティック局(DLA: Defense Logistic Agency)のアレン・ A・バンハート(Allen A. Banghart)、 パネラーはオハイオ州立大学のDr. ダグラス・J・ランベルット(Douglas J. Lambertto)、クーガー・ソフトウ ェア( Cougaar Software)社長のD r.トッド・A・カリーコ(Todd A. Carrico)、及びアメリカ輸送軍(US TRANCOM: US Transportation Command)の大尉デビッド・C・メ イヤーズ(David C. Meyers)である。
バンハートは司会者の役回りであ ったが積極的に意見を述べ、DLA の改革計画について解説。
USTR ANCOMとの緊密な連係の下、戦 場にいる兵士と補給を直接結ぶエン ド・ツー・エンドのサプライチェー ンを構築することが、目下の目標で あると語った。
DLAは物資の調達、 研究開発、検査に責任があり、US TRANCOMは全世界規模での米 軍の物資輸送を一手に受け持つ、D oDのロジスティクスのかなめ的組織 である。
ランベルットはロジスティクスの基 本を問い、国防ロジスティクスの定義 から明確にすべきであると主張し、メ イヤーズは現在担当している調達プロ セス支配計画(DPO: Distribution Process Owner)の概念図を用いな がら、欧州からの物資要求に対する 衛星を使用した物資調達機能につい て説明。
さらに、DoDのロジスティ クス改革には前述したJDDEが重 要であり、図2のようなJDDEの 教育組織ピラミッドが想定され、それ に基づく人材育成がUSTRANC OMでなされていると報告した。
(以下、次号に続く) 次回フォーラムのお知らせ 11 月度フォーラムは11 月22 日 「RFID 木更津実験センター現場見学」 を予定している。
このフォーラムは年 間計画に基づいて運営しているが、単 月のみの参加も可能。
1 回の参加費は 6,000円。
ご希望の方は事務局(solej- offi ce@cpost.plala.or.jp) までお 問い合わせください。
図2 アメリカ輸送軍のロジスティシャン養成ピラミッド USTRANSCOM Goal: Trained and Experienced Joint Logisticians Senior Joint Logistics (Joint Logistics) Develop,operate & lor Improve DOD Deployment & Distribution Processes Experience appiying skills towaeds specific joint deployment and distribution processes Understand deployment and distribution processes and conscepts Introductory knowledge of deployment and distribution processes University Supply Chain Program Senior Logistics Leaders (15) Web-Based Supply Chain Program Distribution Orientation Joint Distribution Enterprise Personnel (345) Command Wide (800) Awareness Application Expertise Leadership Understanding
