*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。
83 SEPTEMBER 2005
応、企業間情報共有化基盤の確立など挙げることができる。
■三越・西田氏の講演
実証実験は百貨店業界とアパレル業界とで行われたが、今回は百
貨店における実証実験の内容とその成果を発表したい。
百貨店の扱うSKUは1000万にも及び、スーパー、コンビニと違い、
単品管理の規模が違う。 取り扱う伝票も1枚6行のものが毎月500万
枚にもなり、厖大な取扱品目に検品が伴うわけで、仕入れ伝票、検
品をなくす仕入れの電子化(業務改革)は大変重要な課題である。
そして百貨店は顧客基点のSCMを目指しており、取引の改革、売り
場の改革が次の課題である。 そこに電子タグへの大きな期待がある。
平成16年度の実証実験では、課題が明確で効果の期待できる「婦
人靴」売り場を取り上げて、製・配・販のリアルタイム在庫管理に
よってサービス向上を目指した。 婦人靴売り場の特性として、商品
は平均6サイズ展開のうち1サイズのみを展示、お客様は販売員に自
分のサイズの在庫確認をしてから試着する必要がある。 しかし、売
場と倉庫は離れていて、往復回数も多く、また箱の外から商品がわ
からないなど百貨店の中では課題の多い売場であるといえる。 他ア
イテムと比較し、サイズ切れによる販売機会損失も大きい。 売り場
でお客様に在庫確認の間お待ちいただき、挙句の果てに欠品と言う
ことでは満足してもらえない。
実証実験は靴卸物流センター業務、百貨店売り場業務に電子タグ
を適用し、一定期間の実際運用を行ったが、特にフロントエンドの
顧客との接点に注目した。 この実験は百貨店から見ればお客様をお
待たせしない売り場を目指す、すなわち効率のみならず百貨店とし
てのサービスの原点「楽しい売り場」構築になる。 また婦人靴卸業
界から見れば、無駄な作業を減らし、物流をスピードアップさせ、
欠品削減を目指した。 利用した電子タグは百貨店の値札と同じサイ
ズの特注品にした。
タグは卸でつけ、卸の出荷検品、百貨店の入荷検品、PDA検索、
お客様自身によるセルフ検索、売上登録、棚卸の各業務でタグを読
み取り・使用した。 その結果、百貨店では売り場−倉庫間の往復回
数が減少し、接客時間が短縮され、販売足数が増加した。 特にお客
様自身が靴を端末にかざすだけでサイズの確認ができ、さらに代替
品の検索もできるので、大変好評であった。 販売員もバーコードに
比して扱いが簡易であり、サイズ別の在庫の有無がすぐにわかり、
代替品のお勧めもしやすくなったとの感想を寄せている。
電子タグの大きなメリットは「非接触読取」、「同時読取」であり、
バーコードより操作性が優れ、婦人靴売り場では顧客サービスの観
点から大変大きな効果があった。 しかし、卸のセンター業務での効
果はまだ小さく、距離の出るUHF帯を活用したゲート型リーダーや
スマートシェルフ(棚組込みリーダー)などの実験を通じて、BPR
を継続していく必要を感じている。
8月は米国で「SOLE2005」(8月16日〜18日)が開催されたため、
フォーラムはお休み。 この「SOLE2005」については、フォーラム
シリーズ第10回の9月14日において報告する。 このフォーラムは年間
計画に基づいて運営しているが、単月のみの参加も可能。 1回の参加
費は6,000円。 参加希望やSOLE2005ツアーに関する問い合わせは下
記の事務局まで(sole_consult@jmac.co.jp)。
SOLE報告The International Society of Logistics
æ t H [ ¤ m „
æ t H [ ¤ m „
SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティク
ス技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、
議論を行い、会員相互の啓発に努めている。
今回は、6月15日に行われたロジスティクス技術「RFID最新情報」
の後半の内容を報告する。 次世代電子商取引推進協議会(ECOM)
主任研究員東野正明氏による「電子タグ利活用(トレーサビリティ)
動向」を中心した「平成16年度電子タグ実証実験」と、三越商品企画
部ゼネラルマネジャー西田雅一氏による「百貨店店頭における電子タ
グ活用実証実験の紹介」について。
なお、7月に開催したフォーラム「環境ロジスティクス」(津久井
先生)の報告は、次回のこのコーナーで行う。
* * *
■ECOM東野氏の講演
トレーサビリティについてはいろいろな定義があるが、経済産業
省では、「商品トレーサビリティとはITを用いた商品の追跡管理で
あり、商品ごとにその商品の内容や所在に関する情報や取引に関す
る情報など、相手に応じ必要な情報を個々の商品と結び付けて提供
できる体制を整えることを言う」(2003年3月)と定義している。
ECOMの役割はそのための環境作り、仕組み作りである。
電子タグを利活用したトレーサビリティには、タグに書き込まれ
た情報だけを利用するスタンドアローン型と、タグに書き込まれた
IDをキーとしてデータベースにアクセスするネットワーク連動型の
2つのアプリケーションがある。 ECOMの狙いは後者であり、鍵とな
るのは「国際標準化」と「情報の共通理解」である。
平成16年度、経産省の実証実験は以下の7つの業界で行われた。
?建設機械・産業車両・農業機械
厳しい利用環境下での電子タグ利用可否の実証と生産工程・納品
作業などの可視化による効率化・精度についての実験を行った。
?書籍
本への装着技術の開発、出版業界のサプライチェーンにおける作
業効率化、図書館における蔵書管理の実証実験を行った。
?家電製品・電子電器機器
この業界は製造からリサイクルに至るライフサイクルを通じた追
跡管理が必要で、サプライチェーンにおける作業効率化、環境トレ
ーサビリティに関する実証実験を行った。
?医薬品
小さく、曲率が大きく、割れやすい対象(アンプル)への電子タ
グ適用上の諸問題(貼付可能性、ラベル埋め込み、など)解決のた
めの実証実験を行った。
?百貨店・アパレル
接客サービス向上、在庫管理の効率化、欠品による販売機会損失
の排除を狙った電子タグ活用の実証実験を行った。
?物流
コンテナのビジビリティ確保、検品の自動化・効率化、誤出荷防
止、品質管理を目的とした電子タグの実証実験を行った。
?レコード・DVD・CD
物流倉庫の入出庫管理、検品作業の効率化、販売店における商品
管理、盗難防止などを狙いとした実証実験を行った。
電子タグ普及の課題として、現状システムとの共存・移行可能性、
コードなど国際標準の推進、RFID関連技術の開発、消費者保護対
|