ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2008年3号
特集
流通業の物流 スケール活かして海外各地に混載拠点──DCM Japan

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2008  30  ホームセンター最大手のDCM Japanホール ディングス(DJホールディングス)は、カーマ、ダ イキ、ホーマックの三社が経営統合し、〇六年に誕 生した。
昨年には近畿を地盤とするオージョイフル を子会社化してグループに迎え入れるなど規模拡大 を進めており、売上規模四〇〇〇億円の購買力を活 かした事業展開を行っている。
各事業会社の商品も 九〇%を共通化した。
 ホームセンターの取扱商品には異形物もあり、年 間の在庫回転が一回転のものもある。
このため、ピ ース単位の物流管理が必要になる。
メーカーとの直 接取引の拡大も進めていることもあり、受発注や決 済、物流センターなどロジスティクスためのインフラ を独自に整えてきた。
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庁淵哀襦璽廚両ι碧槁�’修鮹瓦Δ里�■庁達� Japan。
カーマ、ダイキ、ホーマックが統合を 視野に資本・業務提携した〇三年に発足した。
グ ループの商品開発、仕入れ、輸入を行い、事業会 社の共通商品をすべて取り扱う。
カーマ、ダイキ、 ホーマックそれぞれ平均一〇〇〇社あった取引先は 四〇〇社に集約し、棚割りも共通化した。
 アイテム当たりの仕入量はホームセンターとして は国内最大。
購買力を活かしながら、自社開発商 品を増やしている。
グループの共通商品九〇%の内 訳は、NBが八〇%、国内外から調達したPBが 六%、PB以外の海外輸入品が五%程度だが、今後 は海外商品の比率を二五%にまで高める考えだ。
自 社開発商品により粗利を確保し、NBも含めたトー タルで販売価格を抑える。
これまでに、グループの 値入れ率(売価に対する値入れの割合)を四〜五% 改善した。
 海外開発商品の物流面では、国内のセンター在庫 の削減に取り組み、国内では極力在庫を持たない体 制変更を進めている。
要になるのは、海外の混載拠 点の活用だ。
海外商品の調達は中国からが七割を占 める。
これまでは中国の調達先から商品単品をコン テナ単位で国内の物流センターに輸送し、国内の物 流センター間で横持ちかけるケースが多かった。
 今後は品目数の増加に応じて華東、華南から調達 した商品を上海と深圳の物流拠点に集約し各センタ ー向けに混載輸送するシングル・カントリー・コン ソリデーション(SCC)を推進する。
複数の商品 を詰め合わせてセンターに納入することで、横持ち を解消。
対象店舗の販売力が小さく、在庫回転の遅 いセンターでも在庫量を抑えることができる。
 加えて、本格化を検討しているのが、複数国から 調達した商品を韓国の釜山に集約し、そこから国内 の各センター向けに混載輸送するマルチ・カントリ ー・コンソリデーション(MCC)だ。
在庫を釜山 で一元管理し、国内の各センターに輸送、センター でクロスドックを行い店舗に配送する。
これにより、 小規模な物流センターへの商品供給はSCCよりも 容易になる。
ただし、MCCでは調達地と日本との 間で釜山を経由することになるため物流工程が増え てしまう。
このため、物量と国内センターの規模に 応じてSCCとMCCを使い分けていく考えだ。
東 南アジアからの調達も拡大するため、同地域でのS CC拠点設置も検討する。
こうした混載輸送は物量 が少なければメリットは小さいが、グループの規模 がここで効いてくる。
 さらに、メーカーとの協業により一つの工場での 調達品種を増やし、工場での混載も進める。
「海外 商品は増やすが、国内倉庫在庫は削減する。
また、 センター間では対象店舗数や規模の差が大きい。
最 も小さなセンターに最適な運び方をしなければ、在 庫削減と回転率の向上は実現しない」とDCM J apan物流システム部の石黒勝義取締役部長は説 明する。
ただし、国内のセンター在庫の削減により、 欠品の可能性は高くなる。
これを回避するために、 棚割りの変更などにより店舗在庫には余裕をもたせ る考えだ。
 一方、店舗では棚割りが統一されたことで、標 準在庫量の設定が可能になった。
設定量は販売実績 に合わせて週単位で変更するが、発注担当者は売れ た分だけ補充すればいい。
これで余剰在庫を削減し た。
取引先の側でも受注予測ができるため、在庫の 確保が容易になった。
また、取引先の集約により一 社当たりの納品量が増えたことで、納品スケジュー ルのコントロールの精度がも上がった。
 同社が設立以来の戦略としているのは発注精度と 供給精度の向上だ。
今あるインフラをフル活用し、 仕組みを常に進化させている。
    (梶原幸絵) スケール活かして海外各地に混載拠点 ──DCM Japan ホーマック ダイキ カーマ オージョイフル DCM Japan DCM Japanホールディングス 純粋持株会社 北海道、東北、 関東に展開 四国、中国、 近畿に展開 東海、北陸に 展開近畿に展開グループ商品 本部機能会社 図1 �
庁淵哀襦璽�    の構成 図2 店舗分布。
約450店舗を展開している 第4 部小売業態別ロジスティクスに挑む 特集 31  MARCH 2008  ホームセンター業界三位のコーナン商事は、売り 場面積一〇〇〇〜三〇〇〇坪の「コーナン」、小商 圏を対象にした三〇〇坪以下の小型店「ホームスト ック」、建築・土木・電気工事・設備業などのプロ 向けで一〇〇〇坪前後の「コーナンPRO」という 三種類の店舗を展開している。
 店舗数は現在、約二二〇。
関西を地盤に四国、九 州、中部にも展開し、近年は関東地区への出店を 拡大している。
各店舗で扱うアイテム数は小型店で 一万五〇〇〇〜二万弱、大型店では十二〜十五万 にもなる。
ネジや釘などの小物から長尺モノの建材 まで、物流管理のやっかいな商品が多い。
 これまで出店の拡大に物流体制が追いつかず、物 流は物流業者にほぼ丸投げの状態が長らく続いてい た。
そこにメスを入れたのが〇五年。
「情報システ ムと物流を制するものが小売業を制す」(小坂文則 常務執行役員、海外商品部長兼物流部長)という 考えのもと、売り上げが伸びても経費を抑える仕組 みの構築を目指した。
 改革はまず、海外からの輸入物流の効率化か ら取り組んだ。
コーナンがコスト競争力の強化を 目指し、主に中国からの直輸入を本格化したのは 二〇〇〇年。
現在、直接輸入商品の物量は年間 一万二〇〇〇〜三〇〇〇TEU。
〇七年八月中間 期の売上高比率は一六・七%だが、今後は二五%ま で高める考えだ。
 今でこそ収益の底上げに貢献している直輸入だ が、以前は一回当た りの買い付け量が多 量だったため、九〇 カ所もの外部倉庫を 利用せざるを得なく なっていた。
これを 改め輸入品専用の自社物流センターを泉大津(大阪 府)、貝塚(同)、堺(同)、市川(千葉県)に開設 し、外部倉庫を削減した。
 同時に買い付け方も変えた。
直輸入商品は、粗 利は大きいものの、問屋から仕入れるのと違って返 品がきかない。
以前は前年の販売実績に店舗数の 増加を加味し、販売実績が高かった商品は前年の 一二〇%〜一三〇%の割合で買い付けていた。
しか し、気候などの条件によって大量の売れ残りが発生 することも珍しくなかった。
このため特に季節商品 は買い付け量を抑え、足りない分は国内で調達する 方針に変更した。
 こうした施策により、二年半で在庫金額は半減、 外部倉庫は八カ所に減り、外部倉庫の賃料を二〇億 円から四億円に下げることができた。
 今後のテーマは調達地から店舗への直送だ。
中国 側で店別に商品を仕分けして海上コンテナにバンニ ングし、コンテナを港から店舗まで直送する。
在庫 を持っても負担にならない販売力の大きな店舗向け に試験的に運用を開始した。
次のステップとしては 混載を検討している。
同じコンテナ一本に複数店舗 の複数商品を混載し、トレーラーが店舗を回って配 貨する。
 輸入品の受発注システムも再構築する。
現在、海 外の調達先は数百社に上るが、これを六〇社程度に 絞り込み、メーカーの生産計画と在庫量、コーナン の年間販売計画、洋上在庫、倉庫在庫、店舗在庫状 況を共有。
メーカー側では年間の販売計画に基づい た計画生産が可能になり、コーナンはメーカーとの 協業により生産と在庫管理を強めることができる。
 一方、物流改革の一環として国内側で取り組んだ のは、店舗への納品時間の変更だった。
店舗のバッ クヤードにシャッターを設置し保管スペースを仕切っ て夜間倉庫を作り、納品時間を午前中から夜間に変 更して交通混雑を避けて配送できるようにした。
 昨年九月には物流子会社の「コーナンロジスティ ックス」を設立した。
今後一〜二年で戦略立案以外 の物流部の機能を同社に移管する計画だ。
同時に輸 入商品のセンター、国内調達品のセンターともに物 流業者に運営を委託しているのを自社運営に切り替 える。
 その狙いを小坂常務執行役員は「自社で物流を 手がけることで、より物流がみえるようになる。
物 流改革はコストを削減するものだが、物流の目的は 店舗のオペレーションを楽にすること。
そのために、 他業態にも学びながら、最適な物流を構築していき たい」と説明する。
例えば納品単位と発注単位、仕 入れ単位が違えば現場のオペレーションの負担は重 くなる。
これを統一すれば、物流を効率化できるだ けでなく、店舗の負担まで軽減できる。
こうしたこ とも、子会社の設立でみえてきた。
  (梶原幸絵) 物流子会社を新設してプロセス改革 ──コーナン商事 小坂文則常務執行役員 全国で約220店舗 を運営 貝塚流通管理センター MARCH 2008  32 コスト削減と品質向上を両立  エコスは二〇〇五年に東証一部に上場した中堅 食品スーパーだ。
徹底したドミナント展開を特徴と する。
実際、グループ一一六店のうち一〇一店が、 関東エリアに集中している。
これによって物流コス トの六割を占める配送コストを抑えると同時に、販 売エリアを特化することでニーズを深耕し、全国規 模のGMSと差別化することを狙っている。
 生鮮品も地元で獲れた、生産者がはっきりわか るものを中心に扱っている。
そのために大量仕入 れによる規模のメリットが追求できず、供給が安定 しない。
店によって品揃えも変わってしまう。
それ でも「地元で獲れた生鮮品は中堅食品スーパーにと って競争力の源泉だ」と同社の林亨商品部物流セ ンター担当マネジャーは位置付けている。
 物流拠点は従来、埼玉県所沢市に二拠点、茨城 県、山梨県、静岡県にそれぞれ一拠点ずつ、計五 拠点設置していた。
このうち茨城、山梨、静岡のセ ンターは低温・常温の両温度帯に対応していたが、 所沢だけは拠点が温度帯別に分離していて非効率 だった。
出店数の拡大に伴い手狭にもなっていた。
 そこで昨年、物流体制を見直した。
所沢の二拠 点を一拠点に集約。
低温と常温の両温度帯に対応 した「新所沢センター」を新設した。
同センターで は、エコスが中核メンバーとなっている共同仕入れ 機構の協同組合セルコチェーンに加盟する、さえき とたからやの二つ の食品スーパーの 物流も受託するこ とになった。
 この集約を機に、 拠点の運営を大き く刷新した。
同センターでは、朝六時から夕方六 時までを常温用、夕方六時から朝六時までを低温 用と、同じスペースを時間帯で区切って使用してい る。
施設を二回転させることで稼働率を高めた。
こ れによって二拠点に分かれていた時代は、それぞれ 一二〇〇坪の計二四〇〇坪を利用していたところ を一四〇〇坪に抑えることができた。
年間の賃借 料は約四割減った。
 延べ稼働時間も短縮できた。
集約前は各拠点一六 時間ずつ、一日計三二時間稼働していた。
それを 十二時間ずつ交互の二四時間フル稼働にすることで 八時間短縮した。
その分だけパートの人件費がいら なくなった。
納品には両温度帯に対応した二層式 車両を導入し、かつ拠点が集約されたことで、車 両台数は九〇台から五〇台に削減された。
 同時にサービスレベルの向上にも取り組んだ。
納 品用のカートラックを導入、店舗の陳列レイアウト に合わせたカテゴリー別納品を開始した。
店舗の品 出し時に店内を歩き回って陳列する必要が無くなり 作業時間が短縮した。
そのぶん店舗スタッフは本来 の販売活動に集中できる。
 一連の取り組みで物流コストを 集約前に比べて 約十二%削減した。
林担当マネジャーは、「コスト をかければサービスレベルはいくらでも向上する。
店舗へのサービスレベルの向上と物流コストの削減 の両立は、永遠のテーマだ。
今回の一連の取り組み でそれを実現できた」と胸を張る。
台車紛失防止にICタグ利用  新所沢センターではICタグを利用した台車管理 も行っている。
国際規格に準拠した日立製作所製 のUHF帯タグを採用。
センターのバースにリーダ ーを取り付けて、台車の出入りを動的に捕捉してい る。
 狙いは台車の紛失防止だ。
従来は納品先などで 外部に流出し回収できない台車が年間一〇%程度 発生していた。
ICタグを利用することで紛失を 一〇%から四%に下げる。
年間およそ六〇〇万円 のコスト削減効果が見込めるという。
ICタグの導 入費用は約五〇〇〇万円だがその半額については経 産省から補助を受けたため、持ち出しは二五〇〇万 円で済んでいる。
林担当マネジャーは「費用対効果 は十分だ」と期待している。
 店舗の荷受けにもICタグの導入効果がみられ た。
センターのバースを台車が通過すると、トラッ クの出発時間と台車の数が、店舗に自動的にメール 送信される。
林担当マネージャーは、「悪天候時や、 交通事故で道路渋滞が発生したときなど、アクシデ ント時に効果を発揮する。
トラックの運行状況を店 舗から拠点に問い合わせる必要がなくなった」とい う。
まったなしの改革が続いている。
(柴山高宏) ドミナント戦略でGMSを迎え撃つ ——エコス 林亨商品部物流センター 担当マネジャー エコスでは環境保全活動に積極的に取り組んでいる。
店舗で発生した古紙をトイレットペーパーに再資源化し ている。
2007年7月より、都内の店舗と同社本部の トイレに設置を始めた(写真店舗は都内の中神店) 特集 33  MARCH 2008 急成長に物流が追いつかない  「SHOP 99 」を運営する九九プラスが事業規模 を急拡大させている。
コンビニエンスストア型の店 舗に、食品スーパーの品揃え、一〇〇円ショップの 価格設定という独自の業態が消費者の支持を集め、 売上高は五年で四倍増の一二〇〇億円と急成長を遂 げた。
しかし、昨年までは会社の急成長に物流の整 備が追いついていなかった。
 それまで同社は物流拠点を商品カテゴリー別に複 数設置していた。
関東エリアでは、日配・チルド・ 精肉用が五拠点、弁当・惣菜用が三拠点、パン用 が三拠点、ドライグロサリー用が三拠点、青果用が 三拠点と、五カテゴリー計一七拠点に細かく拠点を 分散させていた。
いきおい各拠点の規模は小さくな り、スペース的にも窮屈で作業効率が悪かった。
各 拠点からそれぞれトラックが店舗に納品に向かうた め、店側の荷受け負担も大きかった。
 そこで昨年、拠点網を抜本的に見直した。
青果 を除く四つのカテゴリー別拠点を、温度帯別に低温 と常温の二種類に集約した。
昨年九月に千葉県野 田市に常温センター の「東関東DDC」、 同年十一月には市川 に「市川低温センタ ー」、今年二月には横 浜に「横浜低温セン ター」をそれぞれ新設した。
各拠点の運営は菱食に 委託した。
 拠点集約の効果はてきめんだった。
店舗の荷受 けの回数が減り、納品の車両台数が格段に減った。
「もともと物流コストの六割は運送費が占めている。
トータルでは物流コストを二億一〇〇〇万円削減す ることができた」と、西村武英物流管理部部長は説 明する。
さらに今年の六月と十二月に、低温センタ ーと常温センターをそれぞれ一拠点ずつ新設し、今 年中に関東エリアの拠点再編を完了させる。
これに よって関東エリアは五拠点体制となり、トータルで 計三億八〇〇〇万円の物流コスト削減を見込んでい る。
 ただし今回の拠点集約では、青果用拠点の集約は 見送られた。
西村部長は「青果だけ外してもメリッ トはない。
いずれ集約したい」という。
同社のアイ テム数は約五〇〇〇。
定番アイテムを中心に青果や 精肉など食品を充実させているため、コンビニより 約二〇〇〇多い。
また生鮮品の取り扱いは食品スー パーと大きく異なる。
青果や精肉は適量に小分けし たものを中心に店頭に並べている。
その加工はセン ターで一括して行い、店舗のバックヤードには加工 場を設けていない。
 創業当初の店舗は二〇〇〜三〇〇坪のミニスーパ ー型だったため、これらの生鮮品の加工も各店のバ ックヤードで処理していた。
それが現在は五〇坪程 度のコンビニ型店舗にシフトしたことで、一部店舗を 除き、バックヤードでの店内加工は廃止している。
 「青果はカットすると寿命が短くなり、鮮度も落 ちる。
鮮度は店の信頼度につながる重要な指標。
し かし、コンビニ型の店舗では物理的にバックヤード のスペースをとることができない。
そのためカット した状態でセンターからいかに鮮度を保ったまま店 舗に納品し、販売するか。
ここがロジスティクスの 貢献領域になる」と西村部長は強調する。
ローソンとPB共同開発  もともと九九プラスは、神奈川県や東京都多摩地 区で食品スーパーを運営するベストが米国の「一ド ルショップ」を参考にして、東京都立川市に「99 エンオンリーストア」をオープンしたところから出発 した。
その後、二〇〇〇年に分社化。
〇一年にキ ョウデンの出資を受けてその傘下に加わり、店名を 「SHOP 99 」に変更した。
さらに〇七年にはロー ソンが資本参加。
今年一月からは新たにローソング ループに加わり、PBを共同開発している。
 将来的にはローソンの運営する一〇〇円生鮮コン ビニ「ローソンストア一〇〇」との統合が予定され ている。
今年三月末にはその実験店として関東エリ アを中心に七店を出店する。
「SHOP 99 」のレイ アウトをベースに、カット野菜やローソンブランドの PBを販売する。
 西村部長は「ローソンストア一〇〇とは今後物流 を統合することになるかもしれない。
しかし、今の ところコンビニのローソンとの物流統合は考えてい ない。
コンビニとはアイテム数も配送頻度も異なる ため、一緒にしてしまうと逆に物流コストがアップ してしまう。
今後はコンビニでも食品スーパーでも ない、『一〇〇円生鮮コンビニ』独自のロジスティク スを築いていきたい」と考えている。
 (柴山高宏) 「100円生鮮コンビニ」の物流に挑む ──九九プラス 西村武英物流管理部部長 九九プラスの業績推移 0 20,000 40,000 60,000 80000 100,000 120,000 140,000 03 年3月 04 年3月 05 年3月 06 年3月 07 年3月 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 (単位:百万円) 1,800 売上高 経常利益 《経常利益》《売上高》 格安料金で与信を担保  これまで中小スーパーがメーンの調達先としてき た各地の二次卸が次々に姿を消している。
調達先を 失った中小スーパーが別の卸に新たに口座を開こう とすれば一〇〇〇万円以上の保証金を要求される。
しかも大手卸が顧客ターゲットとするスーパーは年 商五〇億円〜六〇億円クラスが下限。
それ以下のス ーパーは事実上、切り捨てられる状況にある。
 そんな中小スーパーの八方ふさがりに風穴を開け る取り組みが、大阪を起点として全国に拡がってい る。
総菜や乳製品などの日配品を中心とした3PL 事業を展開するグルメンは昨年十二月、中小スーパ ーの共同仕入れ機構・AKR共栄会の東京支部とし てTKRビジネスサポートを設立した。
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腺烹劼牢慇召稜�Π譟参�潺�薀垢涼羮�后璽� ー四五社が加盟する協同組合で、二〇〇一年から 加工食品を対象とした共同仕入れ・共同配送を行っ ている。
独自の債務保証制度と低コストの共同物流 がその特徴だ。
 加盟スーパーの買掛金をAKRが保証し、ベンダ ーに対しては二・五%のセンターフィーで仕分けと店 舗配送を請け負う。
加盟店は仕入れ総額の二・二五% の手数料をAKRに支払うことで、高額な保証金な しに大手卸から商品が調達できる。
 加盟店の手数料が割安なのは、〇・五%の料率で 損保ジャパンが信用保証を引き受けているから。
A KRの河田正興専務 理事は「零細企業の 債務保証保険など、 最初はどこの損保会 社も引き受けようと しなかった。
そこで が大正八年に堂島 浜に設置したのを皮 切りにその後、全国 に広がっていった。
その数はピーク時の 昭和四〇年代末頃 には民間の市場も含 めると、大阪市内だ けで三〇〇カ所にも 上ったという。
 しかし、それ以降 はスーパーマーケッ トの台頭によって 急速に数を減らしていく。
残った市場も多くは九〇 年代に個人商店を統合して会社組織化し、スーパー マーケットへの転換を図った。
だが、中小規模の単 独店が多く、大手チェーンストアの攻勢に押されて どこも苦境が続いている。
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腺烹劼硫賄沈偽柔賁獲��蓮峅罅垢虜遒辰浸伝� みは日本全国どこでも通用する。
初期投資もいらな い。
インフラとして唯一必要なのは共同物流に使う 配送の足だけ。
それを既に持っている各地域の物流 企業と今後は手を組んでいきたい。
それによって各 地の中小スーパーの生き残りを支援し、地域を活性 化することができる」という。
 その呼びかけに東京ではグルメンが応じた。
同社 の澤田幸雄社長は「中小スーパーのネックは与信と 物流。
当社自身、3PL事業のほかに卸売事業と スーパーも経営しているのでよく分かる。
AKRは その両方の課題を見事にクリアしている。
AKRの 債務保証制度と当社の物流機能を組み合わせること で、小が大を喰う流通の革新を実現したい」と意気 込んでいる。
            (大矢昌浩) 中小スーパーの調達力を革新 ──AKR共栄会 MARCH 2008  34 損保ジャパン AKR共栄会 物流企業 80%を保証 手数料 2.25% 仕入債務 20%を連帯保証 中小スーパー ベンダー(一次卸) 商品代金 センターフィー 2.5% 商品代金 一括納品納品 信用保険料 0.5% 物流委託費 2.5% 河田正興専務理事 保証額を八〇〜九〇%にとどめ、残りを加盟店の連 帯保証にした。
その上で加盟店の審査方法を練り、 最後は地域の活性化という公共性に訴えて損保会社 に納得してもらった。
結果として焦げ付きはほとん ど出ていない。
損保会社としても利益の取れるビジ ネスになっている」と説明する。
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腺烹劼硫談租垢琉譴帖�膾紊裡複卻錥弍愾阿北� 三五〇坪の食品スーパーを構えるコーセツ放出(はな てん)。
同社の畦本法孝社長は「我々中小スーパーの 武器は生鮮品。
ウチの場合は精肉だ。
とはいえ売り 上げの半分は加工食品や酒類などのグロサリーが占め ている。
この分野でまともに大手と競争しても勝ち 目はない。
そこはAKRの共同仕入れを活用するこ とで凌いでいる」という。
 店内を見回すと売り場の目立つ場所にはAKR経 由で仕入れた加工食品の目玉商品が山積みされてい る。
AKRでは卸に対してNBを言い値に近い価格 で購入する代わりに、アイテムを絞って特売品を提 供させている。
品揃えとしてNBは必要でも、そこ では勝負をしない。
それよりも特売品で集客と利益 を獲得しようという戦略だ。
 コーセツの商圏はせいぜい店舗を中心として半径 五〇〇メートルに過ぎない。
周辺には大手GMSや チェーンストアの大型店がいくつも軒を連ねる。
そ れでもコーセツの店舗には一日に平均三〇〇〇人の 買い物客が訪れる。
「決して楽な環境ではないが、 やっていける。
今後は新たな出店も考えたい」と畦 本社長は前向きだ。
3PL主導で流通改革  コーセツは大阪市の「公設市場」を発祥とする。
地方自治体が生鮮品を販売する個人商店を集めて設 置した共同店舗だ。
食品の安定供給を目的に大阪市 特集

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