ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2008年5号
メディア批評
マスコミが無節操に持ち上げてきた石原慎太郎文春と新潮を尻目に週刊朝日のみが批判を敢行

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 65  MAY 2008  『週刊朝日』『週刊文春』『週刊新潮』と並 べれば、誰でも勇ましいのは『文春』か『新潮』 だと思うだろう。
 ところがこの両誌とも、石原慎太郎に対し ては及び腰である。
いや、まったく批判しない。
 『新潮』には石原の次男の良純の「石原良純 の楽屋の窓」という連載があり、文春は慎太 郎の全集を出しているからか。
 それに代わって慎太郎批判をしているのが 『週刊朝日』。
四月一八日号の同誌で、山口編 集長が美輪明宏にインタビューしている。
これ が絶品の辛口なのである。
タイトル通りの「毒」 演会。
 まず、山口が「石原慎太郎・東京都知事が、 経営難にあえぐ新銀行東京に都から四〇〇億 円の追加出資をしたことでもめています。
石 原知事のことはどうみていますか?」と問い かけると、美輪はスパッと、こう斬り捨てる。
 「あの人は生まれてこのかた、いったい何を してきたでしょうか? ずっと中途半端な人 生でしょう。
小説『太陽の季節』が芥川賞候 補になったときは、選考委員の佐藤春夫氏が 『文学として認めない』と言って大反対したん ですよ。
ところが別の選考委員が商売感覚で 『おちんちんを障子に突き立てるなんておもし ろいじゃないか』と推薦した。
これを選んだ らマスコミが飛びついて、沈滞している文学 界が息を吹き返すからって。
だからあれは商 売上もらった芥川賞です。
その証拠に、その 後は何にも傑作を書いていませんよ」  それで小説が書けなくなって政治家になった、 と美輪は続ける。
 環境庁長官とか運輸大臣とかをやったが、 いずれも中途半端で、中川(一郎)派を継い だと思ったら、アッという間につぶしてしま った。
とにかく人望がないのである。
外向け の人気だけで、よく知っている人間ほど背を 向けて離れていく。
つまりは選挙用のマスコ ットに過ぎなかった。
 自民党の総裁選にも出たが、海部俊樹に負 けたら、おもしろくもないと議員辞職。
 美輪の石原評を再び引く。
 「それでは今度は、また小説家に戻るって いうから、じゃあ政治の寓話を書いて男を上 げるか、と期待していたら、タイトルが『弟』。
親の七光りだって情けないのに、弟の裕次郎 の七光りですもの。
死んだ人間をネタにする なんてわびしいでしょう。
男じゃありませんよ」  都知事に立候補したのは、青島幸男がやめ たからで、美濃部亮吉に敗れて以来、慎太郎 にとって都知事選は鬼門で、ずっとコンプレ ックスを抱く原因となっていた。
 あの時も、後出しジャンケンのように、土 壇場で立って当選したが、それについても美 輪は次のように厳しい。
 選んだ都民に対しても、怒りの炎は向けら れている。
 「最後の最後に(立候補したの)ね。
もう 卑怯未練。
でも、よく言うんですが、本当に 悪いのは、そういう人間に一票入れる都民が 愚かだっていうことです。
素人がしゃしゃり 出て銀行なんてつくったって、本職の銀行屋 さんがうまくいってないのに成功するはずが ない。
揚げ句には経営陣が悪いって言ってい るでしょ。
自分がつくったくせに」  山口が、財界が推薦してくれた経営陣だか ら私は知らないと言っているがと尋ねると、  「そんなこと言ったって、昔から財界に尾っ ぽを振って歩いてるじゃないですか。
そんな 人間を持ち上げてきたマスコミのレベルの低さ と言ったら、ひどすぎます」  と美輪は容赦がない。
 あれほど都民の反対がありながら、都議会 の自民党と公明党は追加出資を認めてしまっ たが、それは両党の議員が新銀行東京、すな わち“石原銀行”に群がって融資の紹介をし まくったからだといわれている。
それがバレ るのを恐れての賛成だった。
見返りにリベー トでももらっていたのだろうか。
マスコミが無節操に持ち上げてきた石原慎太郎 文春と新潮を尻目に週刊朝日のみが批判を敢行

購読案内広告案内