*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。
SEPTEMBER 2005 44
?大先生〞はクールビズが気に入っている。 暑
さが大の苦手の大先生にとって、いつでもどこ
でもノーネクタイで過ごせる状況は好ましい限
りだからである。
「いい機会ですから華やかな色でもお召しに
なっては?」
洒落たことの好きな?女史〞の一言で、大
先生のシャツあさりがスタートした。 そして、
スタッフの苦労も始まった。 毎日、着ているシ
ャツについてコメントしなければならない。 し
かも、ありきたりの褒め言葉では大先生は満足
しない。 どんなことにも独自の美学を持つ大先
生。 今日は不思議な色のストライプのシャツを
着ているが、女史がうまく褒めたのでご機嫌で
ある。 安心して?弟子〞たちが仕事を片付け
ていたら、いきなり指導が始まった。
「そういえば、ロジビズの連載では在庫管理
をとりあげていたんだよな。 在庫管理の方法論
について書いてあるオレの?虎の巻〞をやるか
ら、それに基づいてきっちりまとめてみろ」
黄色と黒の布で包まれた巻物が、さも大事
そうに弟子に手渡された。
*
*
*
そんなわけでロジビズの読者の皆様、今回
は在庫管理の「方法論」についてまとめてみ
たいと思います。 虎の巻には、下記のような
戒めが書かれていました。 今回は、これに基づ
いて説明を進めていきます。
《この連載について》
「物流コンサル道場」では、物流マンに「ものの見方・
考え方」を学んでもらうことを目的に、湯浅コンサルティ
ングの湯浅和夫社長に連載記事を執筆してもらっている。
いつもは湯浅氏の長年の経験に基づくエピソードを、「大
先生」と二人の「弟子」の活動を通した小説形式で書い
てもらっているが、二〇〇五年六月号から四回は〈番外
編〉と題して、「弟子」のモデルにもなっている事務所の
若手コンサルタント二人に「物流ABC」と「在庫管理」
について解説してもらっている。 前回の「在庫管理−基礎
編」に続き、今回は「実践編」をお送りする。
湯浅コンサルティング
芝田稔子
《第
41
回》
〜番外編〜
〈在庫管理――実践編〉
前号では「在庫管理」に関する?常識・非常識〞について解説してもらった。
共感した人もいれば、異論をとなえたいと感じた読者もいたことだろう。 いず
れにせよ、まず基本的な管理手法を理解した上で、自社で扱っている商品の特
性や、生産にかかわる制約条件などを考慮しながら、在庫の動きを市場に同期
化する工夫をしていくことが結局は早道になる。 今回は、実際に在庫管理をす
る際の要諦を、基礎理論も含めて解説してもらった。
(本誌編集部)
45 SEPTEMBER 2005
在庫があるからそれを管理すること
が必要になる。 在庫がなければ在庫
管理も必要ないことを肝に銘ずべし
当たり前のことを言っているようですが、こ
れはつまり、在庫管理とは「在庫をなくすた
めのマネジメント」であるということを肝に銘
じることで、さまざまな過ちを防げるという心
構えです。 このため、もし「在庫管理が進ん
だ」と言う機会があるとすれば、それは在庫
量が減った時ということになります。
在庫管理には二つのミッションがあるとい
うことを前号の「基礎編」で説明しました。 読
まれていない方のために簡単に繰り返しておき
ましょう。
在庫管理は「在庫をなくすためのマネジメ
ント」です。 在庫をまったく持たずに商売がで
きるようになれば在庫管理をする必要もなく
なるわけですが、実際はそうもいきません。 一
回生産すると一〇日分の製品ができてしまう
といった制約条件から、在庫を持たざるを得
ない状況が生まれてくるからです。
このような状況下で在庫管理を行うために
は、一つには、「持つべき在庫量を必要最小限
に抑え込むこと」が必要です。 これが日常的
な管理になります。 ただし「持つべき在庫量
を必要最小限に抑え込むこと」については、人
が関与する必要性は薄いと言えます。 必要量
を求める計算式に則り、計算の結果としての
補充量をきちんと補充して行けば、うまく管
理できるからです。 この管理の方法については、
後ほど三項目でもふれることにします。
そして、もう一つは「持つべき在庫量を減
らすこと」、すなわち在庫に関わる制約条件を
減らしていくというミッションです。 これにつ
いては五項目で詳しくふれたいと思います。
さて、本題に戻りましょう。 さきほど「在
庫がなければ在庫管理も必要ない」と申し上
げました。 本来、管理業務とは、少ないほど
いい。 ここから管理業務とは、管理の対象を
なくすように行うべきだといえます。 つまり在
庫管理とは、この管理業務をなくすべく、管
理の対象である在庫を減らすために行うもの
なのです。
ただ在庫量を市場動向に同期化させ
ること、すなわち出荷に合わせて補
充することだけを考えよ
これは、在庫管理を実践していくための心
得ということができます。 在庫管理を行おう
としているときに、それを邪魔しようとするも
のが生じることがあります。 その一つで、よく
あるのが、以下のような「市場動向と無縁の
発想」に関わるものです。
在庫管理は、市場における需要の変動に対
応するために行います。 ですから、在庫管理
のための行動は、需要の変動に対応するため
の最適な方法をとる必要があります。
ところが、いろいろな会社で「効率」のよう
な問題が登場し、上記の原則をいとも簡単に
反故にしてしまうのです。
たとえば、ある商品について、市場の動向
からみれば「一〇〇個用意しておけばよい」と
いう状況があったとします。 しかし、そこで一
〇〇個用意しようとしたら、いろいろな反対
の声があがることが少なくありません。
「五〇〇個まとめて買えば仕入れ単価が下がる。
どうせそのうち売れるんだから、少しでも安く
仕入れるほうが会社の利益につながる」とか、
「あまり細かく発注するのは手間がかかって大
変だ。 もっとまとめて仕入れておけ。 事務作
業の効率も考えよ」といったものです。
一見、もっともな意見に感じられるかもしれ
ませんが、このような意見に左右されてはいけ
ません。 こうした意見は在庫管理の本来の目
的を忘れています。 いずれも、効率や各部門の都合を追求した
いが故に出てくる意見といえますが、ちょっと
考えてみてください。 これまで、ずっとこのよ
うなことを追求してきた結果、たくさんの不
良在庫を生み出してきたのではなかったのです
か?
在庫管理をしようとするならば、効率のこ
とはいったん忘れてください。 市場の動向から
みて必要な量だけを在庫すること。 これが在
庫管理の最優先課題です。 これを行うために
は、市場への出荷に合わせて補充を行ってい
くことが必要です。 どれだけの量を補充するべ
SEPTEMBER 2005 46
きか、これは市場への出荷動向から、計算す
ることができます。
もちろん新商品などは別ですが、需要の落
ち着いた定番品については、人が介在して補
充量を求める必要はありません。 計算結果ど
おりの量を補充していくことで、過不足のな
い在庫管理を行うことができます。
そのために欠かせないのが出荷動向のデー
タです。 これを「日数」をベースに把握するこ
とにより、市場の動向にぴたり合わせた在庫
管理が可能になります。
そして、補充量を計算するために必要なの
が「発注法」です。 皆様もお馴染みであろう
と思いますが、以下の四つの手法は、在庫管
理の本などに必ず紹介されています(
図2)。
商品の特性によってこれらを使い分けよと紹
介されている場合もあり、この発注法はいわ
ば在庫管理の方法論としては基本中の基本と
して、これまで位置づけられてきました。 しか
し、よく見てみてください。
在庫管理とは、在庫量を市場の動向に同期
化させることでした。 また、その前提として
「市場の動向は変動するものだ」ということが
あります。 これらを考えると、上記の「発注法」のうち、発注量も発注時期も常に決まっ
ている「定期定量発注法」は、現実的には使
えないということになります。
では、発注量は決まっているけれども発注
時期は変動する「不定期定量発注法」につい
てはどうでしょうか。 「ツービン法」などがこ
れにあたります。 この手法は、同じ大きさの入
れ物をあらかじめ二つ用意しておいて、一つが
空になったら一つ分を補充するというものです。
単純で管理も簡単なため、現実に使っている
ところがあります。
発注時期を「不定」にすることによって、補
充のタイミングは市場に合わせることができそ
うにみえますが、しかし、これについても「定
量」というところが問題です。 需要が落ちて
いても、伸びていても、同じ量を補充するしか
ないのです。 需要が落ちているところへ従来
通りの量を補充してしまったら、いつまでも残
ってしまい不良在庫になりかねません。 一方、
需要が伸びているところへ、これまでと同じ量
しか補充しなかったならば、あっという間に足
りなくなってしまいます。
つまり、需要の変動に対応するためには、何
も決まっていない「不定期不定量発注法」が
最適だということになります。 これから在庫管
理を進めようとする場合にはまず、この発注
法をとることを前提に検討してみてください。
補充の指示をかける日に制約がないのであれ
ば、みなこの方法でよいはずです。 すなわち、
卸売業、小売業の場合は、みなこの方法でよ
いでしょう。 メーカーであっても、工場倉庫か
ら補充を受ける地方拠点であれば、この方法
でよいと思われます。
また、「定期不定量発注法」も、今後の発注
法ということができます。 なぜなら、生産現場
などでは、生産サイクルの関係から、「いつ補
充の指示を出しても、すぐ補充してもらえる」
とは限りません。 金曜日までに生産指示を出
してもらわないと次の週の生産に間に合わな
いとか、補充のタイミングに制約がある場合
には、「定期不定量発注法」を採用してくださ
い。 ただし、これは基本的に生産現場を持つ
場合のみと考えられます。
在庫管理において実数など何の意味
もない。 日数をベースに行うことこそが肝要なり
これは、必要な在庫量をどう見極めるかと
いうことです。
ある卸売業者の納品センターがあるとしま
す。 三六五日稼動しています。 そこで在庫さ
れている「X」という商品が、いま五〇〇個
あります。 この商品は、過去一年間に三万個
売れました。
さて、五〇〇個という在庫量は、在庫管理
の点からみて、どのような意味を持つのでしょ
う。 十分でしょうか、不十分でしょうか?
47 SEPTEMBER 2005
試しに一年間の販売個数を稼働日数で割っ
てみましょう。
三万個÷三六五日=八二個
では、この八二個と在庫量五〇〇個を比較
すると‥‥??
大幅に上回っているので、在庫量としては
余裕がある状態???
しかし、商品Xには季節波動があるかもし
れない????
‥‥これでは埒が明きませんね。
在庫量については、「個数」などの「量」を
みるだけでは、まったく判断のしようがないの
です。 では、どうすればよいかといえば、判断
材料になるように「量」を読み替えればいいの
です。
在庫は、最低限、今日の出荷を行える量を
持っていればよいと言えます。 すると、必要
十分な在庫というのは、「今日一日の出荷に対
応できる量」ということになりますね。 ここ
で「一日分の出荷とはどれくらいの量なのか」、
これを指標にすればよいということが出てき
ます。
商品Xの販売状況をみてみましょう。 過去
一年間では長すぎます。 需要は変動するわけ
ですから、過去三週間分から二カ月分くらい
をめどに調べてみてください。
調査するのは、出荷があった日と、それぞ
れの日の一日あたりの出荷量です。 そして、そ
の平均を求めます。 これを「一日あたり平均
出荷量」と呼びます。 商品Xはいま、一日あ
たり平均出荷量が二〇〇個であることがわかりました。 すると、どうでしょう。 現在の商品Xの在
庫量は、「二・五日分しかない」ということに
なります。 この商品のリードタイムが二日なら
ば、すぐ補充をかけなければなりません。
こんなふうに「日数」で在庫をみていくと、
市場での販売動向に照らして、いま持ってい
る在庫が過剰なのか、不足なのか、いつ補充
すればよいのかなどを、計算によって求めるこ
とができます。
そこでは三つの「日数」が必要になります。
「出荷対応日数」、「リードタイム日数」、「在庫
日数」です。
「出荷対応日数」とは、現在ある在庫量のこ
とです。 これを「一日あたり平均出荷量」で
割ると、「現在ある在庫量で、あと何日分の出
荷に対応できるか」という値が出てきます。 こ
れを「出荷対応日数」と呼ぶのです。 先の例
でいえば、「二・五日分」というのが出荷対応
日数です。 この日数を算出することが、まず
は在庫管理の第一歩になります。
少し横道にそれますが、読者の皆様も、ぜ
ひ以下に説明する算定を試してみてください。
在庫管理がきちんとできているかどうかを判
定できます。 算定は簡単です。 一カ所の在庫
拠点について、すべての在庫アイテムを対象
に以下の数値を求めてください。
?アイテム別月間出荷日数を求める
?アイテム別月間出荷量を求める→?÷?=
一日あたり平均出荷量(A)
?アイテム別月末在庫量を求める→?÷A=
出荷対応日数
出てきた答えはいかがでしょうか。 アイテム
別に一定以下の(例えば「およそ一五日分以
下であった」など)ほぼ揃った数値になれば、
御社の在庫管理はうまく行われているといえ
ます。 しかし、アイテム別にばらばらな出荷対
応日数が出てきたら、それは管理不在の証拠。
在庫管理がうまくいっていないということにな
ります。
それに、?の出荷日数も気になるところで
す。 一カ月の間にあまり出荷されない商品は
ありませんでしたか?
現実には、全アイテム
のうち半分近くが月に一度も出荷されていなかったといった配送センターもあります。 ?配
送するためのセンター〞という役割から考えれ
ばおかしな話です。
このようなケースでは、出荷日数の少ない
商品は、配送センターには保管しないという
ルール作りも考えられます。 保管アイテムが減
れば、在庫量も減りますし、センターの運営
もぐっと楽になりますからね。
さて、だいぶ横道が長くなってしまいました。
本題に戻りましょう。 二つめに必要な「日数」
である「リードタイム日数」は、文字どおりリ
ードタイムの日数です。 不定期不定量発注法
SEPTEMBER 2005 48
が経つごとに「一日分」出荷されて、出荷対
応日数が一日分ずつ減っています。 リードタ
イム日数の二日分にまで減ったところで「三
日分」の発注がかかり、そのまま一日分ずつ
出荷対応日数は減ってきますが、六日目にち
ょうど持っていた在庫がゼロになったところで
補充が行われて、出荷対応日数は「三日」と
なっています。
七日目に再び発注点がきて発注が行われま
したが、その後は出荷がなく、在庫量は減り
ませんでした。 そこへ補充が行われたので、出
荷対応日数は「五日」にまで増えています。 そ
の後はまた「二日分」に減るまで発注は行わ
れません。 このように一時的に五日分までふ
くらむことはあっても、その後は補充が行われない仕組みになっています。
次に、需要が増加した場合の在庫の動きを
みてみましょう(
図4)。 先ほどのグラフより
も頻繁に発注がかかっています。 これは、どう
いうことかというと、需要が増えたために「一
日あたり平均出荷量」の値が増えているため
です。 例えば九日に「三日分」発注していま
すが、補充された十一日には、その量は「二
日分」にしかあたらないということで、この日
も早速発注がかかっています。 需要が増えて
いるときにはこうして欠品を防ぐのです。
一方、需要が減少した場合には、在庫が過
剰になるのを防ぎます(
図5)。 といっても出
では、これが「発注点」になります。
リードタイム日数とは、「今日発注したら入
荷までに何日出荷があるか」ということから
求めます。 例えば「今日の夕方発注すると、明
日の夕方入荷する」ということでしたら、リー
ドタイム日数は「一日」になります。
ところで、発注点に達したら、どれだけの
量を発注すればよいでしょうか。 すでに「量」
では管理できないと述べました。 ここでも日数
を使います。 「何日分の在庫を持つか」を決め
ておき、これを枠として発注するのです。 これ
が三つめの日数で、「在庫日数」と呼びます。
管理のための計算ロジックは以下のとおり
です。
?アイテム別に出荷対応日数を計算します(=
在庫量÷一日あたり平均出荷量)。
?出荷があるたびに一日当たり平均出荷量と
出荷対応日数を計算しなおします。
?出荷対応日数が、発注点すなわちリードタ
イム日数にふれたとき在庫日数分を補充し
ます。
こうして計算すれば、いつも出荷動向に照
らした形で「補充すべきか否か」を判断する
ことができるのです。 では、このロジックに基
づいて在庫の補充を繰り返していくとどんな
ふうになるか、在庫の動きをみてみましょう。
図3はとくに需要が変動しなかった場合の
基本的な動きです。 一日目からみていくと、日
49 SEPTEMBER 2005
荷をコントロールすることはできないので、補
充しないようにするしかありません。 「一日あた
り平均出荷量」の値が小さくなるため、発注の
間隔が大きくあいてきます。
「適正在庫」なるものがあるとすれば、
現行の制約条件下の「必要最小限の
在庫」がそれなり
ここまで読んでいただいたならば、在庫すべ
き量は常に変動させるべきということがお分か
りいただけたと思います。 在庫すべき量を「適
正」と呼ぶのであれば、「適正」は常に変動する
ことになります。
「適正在庫」という表現はよく耳にしますが、
この言葉を使うには注意が必要です。 このアイ
テムについては「○○個が適正」であるとか、
「○日分が適正」というふうに、「適正量」を決
めてはなりません。 在庫を減らす努力が、そこ
で止まってしまうからです。
究極の適正は、あくまでも「在庫ゼロ」です。
在庫管理の目的は、在庫をゼロに向かって近づ
けていくことですから、前回も述べたように、そ
れを中断させるような設定をすることは避けな
ければなりません。
「適正在庫」があるとすれば、それは現行の制
約条件からみて、持たざるをえない在庫量、す
なわち「必要最小限の在庫」ということになり
ます。
現行の制約条件の排除こそが在庫管
理における最大の取り組みと心得よ
現在ある在庫、持たざるを得ない在庫を、増
やさないように維持する仕組みを三項目で紹介
しました。
ここで、在庫管理のもうひとつのミッション
について説明したいと思います。 五項目にあげ
た戒めのなかでは「在庫管理における最大の取
り組み」と表現されていますが、これは「持た
ざるを得ない在庫量を減らす取り組み」という
ことです。 在庫量は、それぞれの在庫拠点にお
いて制約条件によって決まっています。 制約条
件を排除することが、在庫を減らすことにつな
がるのです。
注意すべきことは、さまざまな制約条件があ
ったとしても、在庫量を決めているのは、その
うち最大のもの一つということです。 この最大
の制約条件がボトルネックということになりま
す。 他の制約条件を排除しても、在庫量は減ら
せません。
図6にあるように、最大の制約条件を排除す
ると、次の制約条件が顔を出し、これがボトル
ネックとなります。 その制約条件をつぶせば、ま
た次の‥‥。 こうして次々に現れるボトルネッ
クをつぶしていくことが、在庫管理の取り組み
なのです。
ところで「在庫削減」という言葉があります
が、これと「在庫管理」とはまったく別物です。
在庫削減はある機会を捉えて不良在庫を廃棄し
たり、過剰在庫を配送センターから工場倉庫に
引き上げたりするものです。 あえて二つを関係
づけるなら、在庫削減は、在庫管理というマネジメントのなかの、在庫を整理するための一つ
の方法ということになるでしょう。
在庫管理は永続的に行うものです。 目指すゴ
ールは、もちろん「在庫ゼロ」です。
しばた・としこ一九九二年早稲田大学人間科
学部卒業。 日通総合研究所に入社。 官公庁関
連の調査研究業務、物流ABC、在庫管理の
研究・コンサルティング等に携わる。 二〇〇四
年五月湯浅コンサルティングに入社し、現在に
至る。 著書に『手にとるようにIT物流がわか
る本』(共著、かんき出版)ほか。 湯浅コンサル
ティングhttp://yuasa-c.co.jp
PROFILE
|