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NOVEMBER 2008 82
物流不動産開発大手のプロロジスが
プレスツアーを企画。 本誌も参加した。
視察したのは中国の北京、天津、大
連。 金融不安の影響が比較的微少とさ
れ、成長著しいこの三都市は、同社に
とっても有望な投資対象地域のようだ。
北京
オリンピック後の客付けも順調
世界中の注目を集めた北京オリンピッ
クだったが、その公式物流拠点がプロ
ロジスの開発した「プロロジスパーク北
京空港」だったことはあまり知られてい
ない。 オリンピックは公共性が極めて
高い事業のため、テナントである北京
オリンピック組織委員会が大々的な公
表を控えたためだ。 施設の社名ロゴも
「Beijing 2008」の垂れ幕で隠されている。
「少し残念だが、弊社の施設が選ばれ
たのは非常に名誉なこと。 立地の良さ
プロロジスが中国で積極投資
成長著しい東北部に期待
はもちろん、施設の汎用性の高さも評
価されたと自負している」(プロロジス・
北京地区担当者)
担当者の言うように、同拠点は北京
国際空港から車で約五分、天津港まで
同じく車で約二時間と好立地。 北京市
街へのアクセスも良好だ。
同拠点は倉庫四棟(延べ床面積約一
〇万平方メートル)に加え、約四万二
〇〇〇平方メートルのストックヤードに
よって構成されている。 サイト面積は約
二一万平方メートル。 庫内にはオリン
ピックで使用されたデスクなどの器材や、
開会式で用いられた打楽器などが保管
されている。 これらの一部は次のオリン
ピック開催地であるロンドンに向けて搬
出されるとのことだ。
搬出作業に遅れが出ているため一部
の倉庫の契約が半年ほど延長される見
通しだが、基本的な契約は年内まで。
オリンピック委員会退去後のテナント
が順調に決まるかどうかに注目が集ま
る。 前出の担当者は「引き合いは多く、
施設の五〇%の入居が決まりつつある。
テナントはフォワーダーが中心。 他の倉
庫に関しても問題ないだろう」と語る。
天津
年間一〇万平方メートルずつ拡大
天津は中国においても経済発展の著し
い地区の一つ。 今後さらなる国内外の企
業の進出に伴い、物量の増加が見込まれ
ており、中央政府主導で天津経済開発
区(TEDA)の整備などが急がれている。
プロロジスも天津地区を中国におけ
る最重要マーケットの一つとして位置付
け、将来の需要増に耐えられるよう既
存の施設を拡大していく。 同社の天津
地区担当者は「年間五万から一〇万平
方メートルの拡大が目標だ」と言う。
現在TEDA内における同社の施設
の延べ床面積は計約八万平方メートル。
手始めに〇九年内に既に確保できてい
る五万平方メートルの用地を開発する。
大連
政府との協力体制を強化
大連においては公的組織との結びつ
きを強めている。 数年前に大連港の管理・
運営をする大連港有限公司との間に合
弁会社を設立したほか、大連保税区と
もパートナーシップを結んでいる。
プロロジスにとっての大きな目的の
一つは開発用地調達の円滑化だ。 中国
では個人も法人も土地を独自で購入し、
所有することが許されていない。 政府の
許可を得て、五〇年もしくは七〇年の
使用権付きの土地を借り受けるという
手法が一般的だ。 政府系の企業や組織
との関係を強化することで用地の手当
てが容易になる。 プロロジスの大連地
区担当者も、「条件の良い土地を円滑に
手当てできるかどうかは、我々のビジネ
スにとって生命線。 今後も様々な面で
協力関係は続くだろう」としている。
一方の政府側には、優良な外資企業
を多く誘致し、経済発展を加速したいと
いう思惑がある。 世界的に知名度の高い
プロロジスが物流拠点を提供すれば、そ
れを信頼の担保に進出してくる企業が増
える。 両者の利害は一致している。 大連
保税区関係者も「今後もプロロジスとの
関係は強化されるだろう」と語っている。
プロロジスパーク北京空港
テナントはオリンピック組織委員会
プロロジスパークTEDA
庫内には外国産の完成車が保管されている
大連のプロロジスの施設と
大連保税区物流発展局の劉本超局長
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