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佐高 信
経済評論家
NOVEMBER 2008 72
一〇月二四日号の『週刊ポスト』に「政界
診断ワイド」として、フジテレビと日本テレビ
に「創価大学」のCMが放映されたことが書
いてある。
これまでもローカル局では「提供 創価学会」
とかの番組はあった。 しかし、いわゆるキー
局への登場である。 学会の?東京上陸?と言
ってもいい。 フジテレビの局内からも疑問の
声があがり、当の番組スタッフがこうコメント
している。
「キー局で創価学会関連のCMが流されたの
は初めてのこと。 しかもニュースを扱う報道
番組です。 その上、九月までは、衆院解散の
タイミングとして一〇月三日が最有力視され
ていた。 翌四日に初放送ですからね‥‥」
記事の結びに立大教授の服部孝章の危惧の
声が載っている。
「創価大学がCMを流すことに問題はない
が、報道番組のスポンサーである点は心配で
す。 テレビ局はCM収入が落ち込んでいる事
情があるのかもしれないが、今後、選挙、学
会、公明党を巡る報道がしづらくなるのは自明。
報道機関としての姿勢が問われかねない事態
も予想される」
そのフジをターゲットに中川一徳は『世
界』の十一月号で「テレビに反省はない」を
書いている。 中川が最初に引用しているのは
二〇〇六年一月に『産経新聞』に掲載された
安部譲二の激しいテレビ批判。 ライブドアが強
制捜査される直前だった。
「なぜテレビは、こんなに下らないのでしょう。
ホリエモンに乗っ取られかけた時に、フジテレ
ビの日枝(久)会長は、テレビには公共性が
あると何度も言いました。 公共性とは、愚に
もつかない番組を映し続けて国民を白痴化す
ることでしょうか。 年末年始は特に非道くて、
揃って朝から深夜まで、当たり障りのないニ
ュースと、世にも下らないバラエティ番組を映
し続けていました。
そして、日本のテレビは、文明先進国では
世界一、民度の低い社会を作り上げました。 (中
略)日本の権力者と官僚はテレビの協力を得て、
まんまと国民の白痴化に成功しました」
その企業体質にも大いに疑問がある。 老害
が背広を着ているような日枝がいまだに会長
に居すわっているのだ。
株主総会でも、数少ない一般株主から次の
ような質問が出た。
「日枝会長の在任期間二〇年は長すぎる。
後進に道を譲るべきではないか」
「ライブドア株で被った三四五億円の損害は、
日枝会長を始めとする役員が支払うべきでは
ないか」
「社員の平均給与は、上場企業の中で最も
高い一六〇〇万円。 せめて商社並に引き下げ
てはどうか」
「女子アナはコネ入社があると聞く。 本当な
らイメージダウンではないか」
「いまのテレビはカネ儲けばかりで、公共性
や社会的使命があるのか」
しかし、日枝らはまともに答えず、打ち切
り動議が出されて総会は終わった。
ところが、当時のフジの顧問弁護士が「打
ち切り動議を出したのが社員株主であった場
合」は問題だと次のような警告を発していた
のである。
「御社はまさかこのようなばかげたことは
していないと信じるが、もし本当なら決議取
消事由に該当する可能性が高く、前代未聞の
会社不祥事となる」
その「まさか」だった。 打ち切り動議を出
したのは情報システム局長であり、翌年、執
行役員に昇進している。
顧問弁護士は、これでは職責を果たせない
と辞任した。
「不正に気付いても黙ってさえいれば、ど
んな仕事でも四〇代で二五〇〇万もの年俸が
保証されている」わけで、高給によってその
口を封じられているのである。
問題CMと低俗番組を垂れ流すフジテレビ
老害日枝会長と高給に支配される社員たち
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