2008年11月号
物流不動産市場レポート

兵庫県大阪に次ぐ近畿圏の物流拠点集積地尼崎市湾岸部を中心に大型開発進む

物流不動産市場レポート NOVEMBER 2008  76 ている。
 拠点集約の影響もあり、延べ床面積二〇〇 〇坪以上の施設に対するニーズは底堅く推移 している。
しかし、ここ数年で大阪港周辺に おいて不動産投資家等により大型施設が相次 いで供給されたこともあり、需要は伸張して いるものの、需給バランスは緩和している。
 昨年以降の不動産投資家等の開発としては、 AMBプロパティジャパンによる「AMB尼 崎ディストリビューションセンター2(尼崎市、 延べ床面積一〇万六一六九平米)」の竣工が ある。
神戸湾岸部 三宮東側に施設集積  神戸市の消費の中心地である三宮を中心に、 西側に三菱重工、川崎重工をはじめとする重 厚長大型産業が多く立地している。
賃貸マー ケットは大阪に比べ小さいが、東側の六甲ア イランド、ポートアイランド、住吉浜、魚崎浜、 湾岸部で交通インフラの整備進む  尼崎市湾岸部、神戸市湾岸部のポートアイ ランド、六甲アイランドとその周辺エリア、内 陸部の工業団地に物流施設が集積している。
巨大消費地である大阪府に近接しているため、 企業進出の上でも良好な環境にある。
 近畿圏において、兵庫県は物流立地として 重要な位置付けにある。
大阪港、神戸港の港 湾機能の強化や、二〇〇六年に開港した神戸 空港、高速道路など物流インフラと交通イン フラの整備が進んだことで、湾岸部の物流拠 点としての利便性が増してきている。
 湾岸部の施設供給数は堅調に推移している。
しかし近年、尼崎を中心に、不動産投資家や デベロッパー等が大型マルチテナント型施設を 多数供給したことにより、近畿圏全域を含め たテナント獲得競争が起こっている。
そのた め、需要は伸張しているものの、昨年後半以 降、需給は緩和傾向をみせている。
 施設着工面積は、最盛期の一九九〇年には 七五万平米に迫りつつあったが、徐々に減少 している(図1)。
〇四年、〇六年は大幅な 増加を示したが、近年は概ね二五〜三〇万平 米で推移している。
倉庫一棟当たりの面積は 増加傾向にあり、物流倉庫の大型化が進んで いると考えられる。
 賃料水準は安定的に推移している(図2)。
近畿圏、中国・四国地方を絡めた物流拠点の 統廃合の動きは増加傾向で、湾岸部など利便 性に優れた立地における大型の配送型施設に 対するニーズは多い。
尼崎湾岸部 交通利便性が高く施設集中  阪神高速道路湾岸線、名神高速道路が利用 でき、神戸市内や大阪市内にも容易にアクセ スできるなど、物流施設立地として利便性が 高い。
そのため、古くから物流施設が集積し 第17回 兵庫県 大阪に次ぐ近畿圏の物流拠点集積地 尼崎市湾岸部を中心に大型開発進む シービー・リチャードエリス 吉木靖貴 シービー・リチャードエリス総合研究所 鈴木公二    77  NOVEMBER 2008 る。
 昨年以降の不動産投資家等の開発動向は、 日本ロジスティクスファンド投資法人が昨年八 月、加古川市に「加古川物流センター(延べ 床面積九二六二平米)」、日本レップが今年二 月、神戸市東灘区に「J─REPロジステーシ ョン神戸(延べ床面積六万四九一平米)」を それぞれ竣工させた。
 今後はイヌイ建物が来年二月、神戸市灘区 に「灘浜物流センター(延べ床面積七万六一 〇六平米)」の竣工を予定している。
深江浜などに施設が集積している。
 施設のニーズとしては、近年は大型施設に 対する引き合いが増加傾向にある。
しかし、 大型施設は神戸湾岸部から大阪港に至る地域 で競合し、さらに神戸港湾部は自社の保管型 倉庫を中心に、既に数多くのストックが形成 されているため、需給が逼迫しづらい面もあ  神戸市は海と山が近接しており、平 野部が少ないといった地理的な問題 から、物流施設用地が少ない。
一方、 市街地にいながら海と山を見ることが でき、都会的な生活と自然の両方を楽 しめるロケーションや子供の教育環境 など、住環境としての評価は高い。
 そのため、P&G、ネスレ、イーラ イリリーなど、東京に本社機能を置く 必要がないと考える一〇〇社以上の外 資系メーカーが本社機能を神戸に置い ている。
神戸の住環境は外国の従業 員にも評判だという。
 ちなみに、米フォーブス誌の二〇〇 七年度版「世界で最も綺麗な都市トッ プ25」では、日本の都市としては福 井県勝山市(九位)と神戸市、福岡 県大牟田市がランクイン(ともに二五 位)している。
外資系企業も太鼓判 世界に誇る神戸の住環境 図1 兵庫県の新規着工面積と棟数の推移(?) (棟) 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 床面積棟数 図2 兵庫県の中・大型物流施設の平均賃料 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 98 年99 年00 年01年02 年03 年04 年05 年06 年07年08 年 上期 5,510 5,130 5,000 4,970 4,720 4,410 4,150 4,510 4,280 4,350 4,380 -6.9 -2.5 -0.6 -5.0 -6.6 -5.9 8.7 -5.1 1.6 0.7 変動率 (%) 平均賃料 (円/坪) (円/坪) (%)

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