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DECEMBER 2008 76
明治ロジテックは、液体食品原料輸
送に折りたたみ可能な袋状容器「ソフ
トタンク」の活用を進めている。 昨年、
親会社の明治乳業向けに導入し、タン
クローリーによる片荷輸送を削減。 物
流コストとCO2排出量を低減したの
に加え、輸送品質も向上した。 「液体
輸送に革命を起こす次世代の輸送シス
テム」(営業管理部)として飲料メー
カーや食用油メーカーなどにも利用を
提案し、外販拡大の武器にしていく。
これまで脱脂濃縮乳などの液体食
品原料は、衛生面からすべて専用のタ
ンクローリーで輸送していた。 このた
め、往路は貨物があっても復路は空の
状態で片荷運行になってしまうという
問題を抱えていた。
そこで明治乳業と明治ロジテック
は、撥水性、耐久性、耐熱性のある
特殊樹脂織布を用いたソフトタンクを
用いることにした。 三年または三〇〇
回まで繰り返し利用が可能で小さく折
りたためるため、復路も貨物を積載で
きる。 水密気密ファスナーを開いて内
部のすみずみまで洗浄・点検でき、衛
生面での問題もない。
明治乳業の北海道の工場と関西工
場の間で利用を開始した。 北海道から
関西へは冷凍冷蔵トレーラーにソフト
タンクをセットして液体類を輸送し、
復路ではソフトタンクを外して北海道
向けの乳製品などを運ぶ。 車両を往復
利用することで、明治乳業の支払い
運賃を削減した。 また、昨年一〇月
から今年二月までのCO2削減率は二
七・一七%、省エネルギー率は六三・
〇六%(トンベース)という効果も上
がった。 この取り組みは昨年度のグリ
ーン物流パートナーシップ会議のモデ
ル事業に選定されている。
タンクローリーには断熱材を用いて
いるだけで冷却機能はないが、冷凍
冷蔵トレーラーによるソフトタンク輸
送では温度管理も徹底できる。 北海
道〜本州間はフェリーを利用している
が、無人状態になるフェリー輸送中
でも海陸一体トレーラー運行システム
「T─� 圍錬達咫廚砲茲蝓▲螢▲襯織ぅ�
で温度変化を監視。 さらに、ソフトタ
ンクは真空に近い状態で輸送できるた
め、輸送中の振動で内容物が空気と反
応し品質の劣化を起こすこともなくな
った。
ソフトタンクを開発したのは岩手県
大船渡市の物流業者、アサノ通運(浅
野芳満社長)。 一九九二年に実用化
し、素材やコーティングの改良を重ね
てきた。 今年に入って利用メーカーが
増加し、同社の輸送量は急増している。
導入には課題もある。 ソフトタンク
は折りたたみ後はトレーラーの下部に
格納可能だが、洗浄工場が岩手県と
熊本県の二カ所にしかない。 このた
め、明治ロジテックは空になったソフ
トタンクを関西から別便で岩手県に運
び、洗浄後、北海道に回収している。
それでも同社は「物流効率の向上によ
る環境負荷低減とコスト削減は、メー
カーにとって大きなテーマ。 ソフトタ
ンクによる往復輸送のメリットは大き
い」(同)として、タンクローリーか
らの切り替えを徐々に進めていく考え
だ。
明治ロジテックが液体輸送で「ソフトタンク」活用
コスト削減と環境負荷低減を両立、品質も向上
倉庫
ソフトタンクで液体類を輸送
図1 明治乳業向けに運用している
脱脂濃縮乳のソフトタンク輸送システム
図2 冷凍冷蔵車で温度管理を徹底。
タンクローリーに比べて輸送可能な距離も長い
空のソフトタンクを回送
洗浄工場
洗浄
ほかの製品輸送で
北海道へ
工場
未洗浄
洗浄済
冷 気
倉庫
工場
明治乳業用のソフトタンク。 こ
うした大容量タイプから1トン
用までバリエーションがある
1人でも組み立て・分解でき、
コンパクトに収容できる
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